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第十七話 スキルの効果

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「もう、お風呂には入られましたか?」

僕たちの回りには、ダンジョンで救出した六人のメイドさんが付いてくれている。
その一人が質問してくれた。

「いいえ、今から入ります」

ヒュアちゃんが答えると、四人のメイドさんが慌てて僕たちの所から駆け出した。
恐らくお風呂の確認と、着替えの用意をする為に移動したのだろう。

「じゃーーん、ここが私のお風呂でーす」

ヒュアちゃんが自慢するほど、豪華で大きなお風呂だった。
だが、入り口は一つしか無い。
考えられることはただ一つ、男湯は無いって事だ。

「ローズ、僕はここまでのようだね。家に転送してくれないかな」

「えっ、あっ、はい」





ふふふ、ローズはとっさのことで、僕を家に転送してしまった。
おかげで久しぶりに、一人が満喫できることになった。
寝室に入りベッドで横になった。

「ニャーー」

「やあ、マリーおいで」

黒猫のマリーが遊びに来たので抱きしめて、背中を撫でた。
マリーが目を細めて気持ちよさそうだ。

しかし、僕の頭の中はグチャグチャになっている。ノコの記憶すら高校時代以前は良く思い出せない。こっちの世界の事はもっとグチャグチャになっている。でも重要な事を思いだした。

ユーリさんのことだ。ユーリさんをゾンビにして、ダンジョンの四階に転送したのは僕とローズだ。
何年か前に、ドラゴン族が人間の国を襲ったときに、僕が激しい戦いの末に、ユーリさんをゾンビにしたのだ。
ゾンビになったユーリさんを入れておく場所が無くて、勝手に西のダンジョンの四階に転送したのだ。

ユーリさんにはゾンビになる前の記憶が無いのだろうか。もし記憶があるのなら、僕を憎んでいるはずだ。
でもゾンビ前の記憶が無いと言うことも考えにくい。
言葉をしゃべっているし、魔王も知っていた。

では、なぜ僕に好意を寄せるのか。
スキル冥府の王が、配下として支配するとこうなるのかもしれない。

そう考えるとアクエラさんの事も、説明が付く。
アクエラさんとは三十四年前に、敵として戦っている。
この時もドラゴン族のように四人の魔王が、人間の世界を滅ぼそうとしたのだ。
その時の戦いで魔力が異常に多くて一番苦戦した魔王だった。

ゾンビ化の息を吹きかけたのに、全然ゾンビにならなくて、僕のゾンビ化が効かないのかと思った程だ。結局時間はかかったが、ゾンビになった。
魔力が多いとゾンビになるのに時間がかかるらしい。

この戦いで僕は体の大部分を失い、回復の為、マリーの魔法で眠りについたのだ。
アクエラさんも他の魔王も僕を憎んでいるはずだ。
でも、なんだか今は強い好意を感じる。

やはりスキルの影響なのだろう。
配下に裏切られないようにする効果なのだろうか。
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