17 / 89
第十七話 スキルの効果
しおりを挟む
「もう、お風呂には入られましたか?」
僕たちの回りには、ダンジョンで救出した六人のメイドさんが付いてくれている。
その一人が質問してくれた。
「いいえ、今から入ります」
ヒュアちゃんが答えると、四人のメイドさんが慌てて僕たちの所から駆け出した。
恐らくお風呂の確認と、着替えの用意をする為に移動したのだろう。
「じゃーーん、ここが私のお風呂でーす」
ヒュアちゃんが自慢するほど、豪華で大きなお風呂だった。
だが、入り口は一つしか無い。
考えられることはただ一つ、男湯は無いって事だ。
「ローズ、僕はここまでのようだね。家に転送してくれないかな」
「えっ、あっ、はい」
ふふふ、ローズはとっさのことで、僕を家に転送してしまった。
おかげで久しぶりに、一人が満喫できることになった。
寝室に入りベッドで横になった。
「ニャーー」
「やあ、マリーおいで」
黒猫のマリーが遊びに来たので抱きしめて、背中を撫でた。
マリーが目を細めて気持ちよさそうだ。
しかし、僕の頭の中はグチャグチャになっている。ノコの記憶すら高校時代以前は良く思い出せない。こっちの世界の事はもっとグチャグチャになっている。でも重要な事を思いだした。
ユーリさんのことだ。ユーリさんをゾンビにして、ダンジョンの四階に転送したのは僕とローズだ。
何年か前に、ドラゴン族が人間の国を襲ったときに、僕が激しい戦いの末に、ユーリさんをゾンビにしたのだ。
ゾンビになったユーリさんを入れておく場所が無くて、勝手に西のダンジョンの四階に転送したのだ。
ユーリさんにはゾンビになる前の記憶が無いのだろうか。もし記憶があるのなら、僕を憎んでいるはずだ。
でもゾンビ前の記憶が無いと言うことも考えにくい。
言葉をしゃべっているし、魔王も知っていた。
では、なぜ僕に好意を寄せるのか。
スキル冥府の王が、配下として支配するとこうなるのかもしれない。
そう考えるとアクエラさんの事も、説明が付く。
アクエラさんとは三十四年前に、敵として戦っている。
この時もドラゴン族のように四人の魔王が、人間の世界を滅ぼそうとしたのだ。
その時の戦いで魔力が異常に多くて一番苦戦した魔王だった。
ゾンビ化の息を吹きかけたのに、全然ゾンビにならなくて、僕のゾンビ化が効かないのかと思った程だ。結局時間はかかったが、ゾンビになった。
魔力が多いとゾンビになるのに時間がかかるらしい。
この戦いで僕は体の大部分を失い、回復の為、マリーの魔法で眠りについたのだ。
アクエラさんも他の魔王も僕を憎んでいるはずだ。
でも、なんだか今は強い好意を感じる。
やはりスキルの影響なのだろう。
配下に裏切られないようにする効果なのだろうか。
僕たちの回りには、ダンジョンで救出した六人のメイドさんが付いてくれている。
その一人が質問してくれた。
「いいえ、今から入ります」
ヒュアちゃんが答えると、四人のメイドさんが慌てて僕たちの所から駆け出した。
恐らくお風呂の確認と、着替えの用意をする為に移動したのだろう。
「じゃーーん、ここが私のお風呂でーす」
ヒュアちゃんが自慢するほど、豪華で大きなお風呂だった。
だが、入り口は一つしか無い。
考えられることはただ一つ、男湯は無いって事だ。
「ローズ、僕はここまでのようだね。家に転送してくれないかな」
「えっ、あっ、はい」
ふふふ、ローズはとっさのことで、僕を家に転送してしまった。
おかげで久しぶりに、一人が満喫できることになった。
寝室に入りベッドで横になった。
「ニャーー」
「やあ、マリーおいで」
黒猫のマリーが遊びに来たので抱きしめて、背中を撫でた。
マリーが目を細めて気持ちよさそうだ。
しかし、僕の頭の中はグチャグチャになっている。ノコの記憶すら高校時代以前は良く思い出せない。こっちの世界の事はもっとグチャグチャになっている。でも重要な事を思いだした。
ユーリさんのことだ。ユーリさんをゾンビにして、ダンジョンの四階に転送したのは僕とローズだ。
何年か前に、ドラゴン族が人間の国を襲ったときに、僕が激しい戦いの末に、ユーリさんをゾンビにしたのだ。
ゾンビになったユーリさんを入れておく場所が無くて、勝手に西のダンジョンの四階に転送したのだ。
ユーリさんにはゾンビになる前の記憶が無いのだろうか。もし記憶があるのなら、僕を憎んでいるはずだ。
でもゾンビ前の記憶が無いと言うことも考えにくい。
言葉をしゃべっているし、魔王も知っていた。
では、なぜ僕に好意を寄せるのか。
スキル冥府の王が、配下として支配するとこうなるのかもしれない。
そう考えるとアクエラさんの事も、説明が付く。
アクエラさんとは三十四年前に、敵として戦っている。
この時もドラゴン族のように四人の魔王が、人間の世界を滅ぼそうとしたのだ。
その時の戦いで魔力が異常に多くて一番苦戦した魔王だった。
ゾンビ化の息を吹きかけたのに、全然ゾンビにならなくて、僕のゾンビ化が効かないのかと思った程だ。結局時間はかかったが、ゾンビになった。
魔力が多いとゾンビになるのに時間がかかるらしい。
この戦いで僕は体の大部分を失い、回復の為、マリーの魔法で眠りについたのだ。
アクエラさんも他の魔王も僕を憎んでいるはずだ。
でも、なんだか今は強い好意を感じる。
やはりスキルの影響なのだろう。
配下に裏切られないようにする効果なのだろうか。
0
お気に入りに追加
82
あなたにおすすめの小説
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
【完結】誰でも持っているはずの7つのスキルの内の1つ、運び屋スキルしか持っていなかったけど、最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
誰でも持っているはずの7つのスキルの内1つ【運び屋】スキルしか持っていなかったトリスが転移魔法スキルを覚え『運び屋トリス』となり、その後『青の錬金術師』として目覚め、最強の冒険者として語り継がれるようになる物語
封印されし魔王、自称モブ生徒に転生す!
猫宮乾
ファンタジー
勇者が言った。「魔王! お前を封印する!!」来た。ついに来てしまった。俺は絶望的な気分で、目の前で閉じつつある時空の歪みを見た。それから――三百年以上の時が経過していたらしい。「リザリア・ナイトレル! 貴様との婚約を破棄する!」なんだか目の前で婚約破棄が繰り広げられているが、それどころではない。俺は、思い出してしまった。そう記憶が蘇ってしまったのだ。俺は、魔王だ……! ※主人公最強の異世界ファンタジーで恋愛要素があります。お楽しみいただけましたら幸いです。
追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました
遥 かずら
ファンタジー
冒険者ギルドに所属しているエンジは剣と魔法の才能が無く、文字を書くことだけが取り柄であった。落ちこぼれスキル【転写】を使いギルド帳の筆記作業で生計を立てていた。そんなある日、立ち寄った勇者パーティーの貴重な古代書を間違って書き写してしまい、盗人扱いされ、勇者によってギルドから追放されてしまう。
追放されたエンジは、【転写】スキルが、物やスキル、ステータスや魔法に至るまで何でも【コピー】できるほどに極められていることに気が付く。
やがて彼は【コピー】マスターと呼ばれ、世界最強の冒険者となっていくのであった。
主人公は高みの見物していたい
ポリ 外丸
ファンタジー
高等魔術学園に入学した主人公の新田伸。彼は大人しく高校生活を送りたいのに、友人たちが問題を持ち込んでくる。嫌々ながら巻き込まれつつ、彼は徹底的に目立たないようにやり過ごそうとする。例え相手が高校最強と呼ばれる人間だろうと、やり過ごす自信が彼にはあった。何故なら、彼こそが世界最強の魔術使いなのだから……。最強の魔術使いの高校生が、平穏な学園生活のために実力を隠しながら、迫り来る問題を解決していく物語。
※主人公はできる限り本気を出さず、ずっと実力を誤魔化し続けます
※小説家になろう、ノベルアップ+、ノベルバ、カクヨムにも投稿しています。
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる