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第25章 帝国皇后クーデターと落日の堕天戦乙女編
第8話 いざ、最終決戦へ
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・・8・・
一時停戦協定が結ばれてから、統合軍の動きは早かった。停戦協定があろうとなかろうと、元からホルソフ方面に侵攻する予定はあったからだ。
統合軍は従来の侵攻計画案をリシュカ率いる反乱軍用に変更、修正して立案。主役となる南部方面軍を主軸としたものへと変更した。
統合軍の将兵は北部方面が一時停戦協定によって勝ち筋がほぼ確定になっていたことで沸き立っており、唯一の懸念である反乱軍も先月までの苦労を思えば先の見えている戦争だと士気は高かった。
帝国軍にとっては一日も早くカタがついてほしく、統合軍にとっては少しでも保障占領域を増やし後の終戦条約を有利にしたい戦いが始まろうとしている。
・・Φ・・
4の月28の日
午後2時過ぎ
ムィトゥーラウ市街地
統合軍南部方面軍前線司令部
一時停戦協定が結ばれてから、僕達統合軍の中でも南部方面軍はすぐさま動き出していた。
統合軍総司令部は唯一残った戦線となった帝国反乱者軍制圧の為に作戦の修正をした上で策定。そのせいで僕も昨日までは睡眠時間がいくらか犠牲になっていた。それは参謀本部の面々だけでなく将兵も同じで、今もムィトゥーラウ市街地の復旧作業――棺桶作戦で吹き飛ばしたのは僕達だけれど、帝国軍は最低限に毛が生える程度の復旧しかしていなかったから、不便じゃない程度にまで市街地を作り直しているんだよね。――忙しなく動き回っている。
でも、将兵達の表情は先月よりもずっと明るい。一時停戦協定が結ばれた事はすなわち、この戦いが終われば終戦に結びつく。残っているのは反乱軍の制圧だけだからだ。
僕はリイナやエイジス、アレン大佐と数名の士官と一緒に歩きながらそれをひしひしと感じていた。
「アカツキ中将閣下、自分は佐官級の集まりの方に行きますのでこれにて」
「ここまでありがとう、アレン大佐。最終確認の会議が終わり次第また決定事項を伝えるね」
「はっ!」
アレン大佐は足早にこの場を去ると、僕達も会議の場へと向かう。
前線司令部の会議室は歩いてすぐの所だ。歩哨の兵士ににこやかに敬礼を受けると答礼し、棺桶作戦でも比較的に綺麗に残っていて僕達がムィトゥーラウ入りしてから修復した建物に入る。こっちもやっぱり軍人達が忙しそうにしていた。
「皆の顔が明るいわね。まるで勝ち戦が確定しているみたい」
「いくらリシュカが相手とはいえ、僕達に負ける要素が無いからね。反乱軍側が一年以上粘れるような兵站と備蓄を保有してたらこんなに余裕でいられないけれど、鉄道輸送だけじゃなくて道路輸送網も帝国軍が遮断してる。半年も放っておけば勝手に干上がるだろうね」
「でも、攻めるのよね。理由は私もよくよく知っているけれど」
「リイナも知っての通り、半年も包囲網を維持するより、今から攻めた方が総合的には安上がりだからさ。それに、反乱軍を帝国側に任せてはおけない。リシュカの処分を軽くするなんてことは無いだろうけど、お義父様、マーチス元帥閣下にしても総司令部にしても、本国にしても帝国に恩を押し付けたいんだ」
「反乱軍は私達で鎮圧しました。なんて十分な恩だものね」
「そういうこと。反乱軍側の総兵力は多く見積もっても約三〇〇〇〇〇。ホルソフに割ける兵力に限ればもっと少ないはず。帝国軍には今も反乱軍側に圧力をかけ続けてもらってるし、反乱軍側が攻撃してくれたら最良だよ。帝国軍が相手してくれるんだから」
あの人が率いている約三〇〇〇〇〇という兵力だけど、全てがホルソフに集まっているわけじゃない。アルネンスクやセヴァストゥーポラも勢力下だし、帝国軍と接する地域も決して狭くはない。となると、最低限置いておかないと兵力もある。対して僕達は今後の交渉を盾にして帝国軍の協力は取り付けられる。この差は余りにも大きい。
「推測、反乱軍側はワタクシ達が何もせずに帝国軍とだけ戦ったとしても、現況を維持可能なのは四半期程度。ここにワタクシ達が作戦を行えばさらに短くなるかと」
「エイジスの言う通りだ。いくらリシュカとはいえ、手元の兵力がかなり限られてる。帝国提供の情報を信じれば洗脳化光龍もソズダーニアもかなり少ないらしい。航空戦力と重装甲戦力が少ないなんて、十年前ならともかく今だと致命的さ」
「対して私達は北部方面が一時停戦になった事で兵力配置に余裕が出てきていて、予備兵力は十分。一時停戦協定が結ばれるまでの間に兵站網の効率化も出来たもの。もしかしたらこれまでの戦いで最も火力を投射出来るんじゃないかしら」
「肯定。本作戦においてオチャルフに配備されていた要塞砲転用が決まっており、現在輸送中。数門程度ですがこれを実戦投入します。加えて南部方面軍が保有している各砲は拠点防衛用と予備を除いて本作戦に投入。一平方キーラ辺りの投射火力量はオチャルフに匹敵するか、それ以上としています」
「エイジスの言うように火力は申し分なく、交渉期間までに休息の取れている兵士が多いから練度も含めて問題無し。リシュカ相手だから慢心はしてはならないけれど、負ける可能性は著しく低い戦いだよ」
「マスターの発言に肯定。リシュカ・フィブラは単体の能力は非常に脅威。しかし、大戦を通じて個が持つ能力が戦略にまで影響する可能性は随分と低くなりました。召喚武器のワタクシが言うのもおかしな話かもしれませんが、個の魔法能力と召喚武器が戦争にもたらす影響力は小さくなりつつあるのかもしれません」
「そうかもしれないわね。外せない要素だけれども、かつてほど絶対的な効力という程でもない。それはあの女が私達の王都に投下した爆弾でも示しているもの」
「うん。だから、この戦争が終わってから軍の仕組みはますます集団、軍全体としての能力が重要視されるだろうね。僕達連合王国軍は、直接的攻撃力に至っては一部を除いて既にそうなっているんだし」
個の持つ能力が重視される戦争から、前世のような形態の戦争へ。僕が転生してから改革を出発点として変わりつつある。まだ反乱軍の制圧が残っているけれど、そろそろ先の先を見据えないと。
前世ではとっくに死んで肉体は無く、この世界で僕はかけがえのない人達が沢山いるんだから。
さて、リイナやエイジスと話しているうちに会議の場に着く。室内には既に全体の七割くらいの人が集まっていた。
室内にいた士官の案内で席に座ると、軍務鞄に入れてある資料を机の上に出しておく。数分くらい経ってから、ランメル大将閣下が入室。全員が立ち敬礼をし、ランメル大将閣下が答礼すると全員が座って会議は始まった。
まず話し始めたのはランメル大将閣下だ。
「諸君。今回の作戦が本大戦最後の戦いになるだろう。反転攻勢前の苦しい展開とは真逆の我々有利の戦いではあるが、慢心せずに取り組んでもらいたい。早速だが作戦参謀長、作戦の説明を」
「はっ」
南部方面軍作戦参謀長は立ち上がると、会議室前方にある横長の板に貼られた地図に指揮棒を当てながら説明を始める。
内容はこんな感じだ。
【『正義の鉄槌作戦』作戦概要】
1,本作戦は帝国主権者ルシュカ・ヨマニエフの勅令を拒否し反逆者となったリシュカ・フィブラ率いる反乱軍の完全制圧が主目標である。
2,南部方面軍総兵力四〇〇〇〇〇の内、ムィトゥーラウ周辺や予備兵力を除く三二〇〇〇〇を投入する。具体的にはホルソフ南北方面に各一個軍。正面に二個軍。ただし、総司令部より必要に応じて二個軍までの派遣は可能であるから実質的な総兵力は予備を含め約五六〇〇〇〇。
3,詳細はそれぞれ後述するが本作戦はこれまでの大戦の集大成となる。敵兵力は我々より少ないが徹底的な火力投射と優勢な兵力で作戦の早期終結を目標とする。
4,本作戦発動後ホルソフ周辺に展開次第、砲火力(オチャルフから輸送した大口径カノン砲含む)・『L2ロケット』『L3ロケット』による攻勢前準備砲撃を二日間行う。なお、ホルソフ周辺展開前に反乱軍が攻勢に出た場合これを撃滅する。
5,4と同時にホルソフ空域へ戦闘機部隊約一〇〇を投入。なお予備戦力として約一〇〇も配置する。
6,攻勢前準備砲撃が終わり次第ホルソフへ突入。市街を包囲した上で敵を圧倒する後方支援火力及び航空火力を持って市街戦を行い敵軍を粉砕する。
7,この際に現れるであろうリシュカ・フィブラには最大限の警戒をすること。なお、当該人物は能力的にも非常に危険の為、捕縛前提の戦闘ではなく殺害前提の全力攻撃を行うこと。よって生死は問わない。
8,本作戦における備えとして、SSランク召喚武器保有者はアカツキ中将(ホルソフ正面一個軍指揮官)や明日到着のアレゼル大将(エルフ主構成師団等含む北方面一個軍指揮官)のほか、五日後にはマーチス元帥も直々に参戦する。
9,本作戦終了をもって、大戦は終結したも同然となる。兵站部の協力により砲弾薬はほぼ無制限で使用可能な為、徹底的に叩き短期終結になるよう各員の奮起を望む。
「――以上になります」
「ご苦労。――さあ諸君。これが最後の戦いである。唯一残った、終戦を妨げる反乱者を鎮圧する戦争である。我等は数ヶ月を耐え抜き、遂には目の前にある戦勝を掴もうとしている。だが、まだ掴めない。阻む者がいるからだ。敵の頭目はリシュカ・フィブラ。帝国で最も脅威の一人。罪無き市民達を大勢焼き尽くした大罪者だ。しかし我等には奴等を打ち倒す力がある。アレゼル大将がいる。マーチス元帥閣下も参上なされる。そして、我等が連合王国に改革と勝利をもたらしてきた英雄、アカツキ中将もいる。何より、貴官らがいる。勇猛果敢な将兵達がいる。ならば我等が成すべきことは一つ! 奴等を打ち倒し、再びの平和を手に入れる事のみ! 貴官等の奮闘を期待する!」
『はっ!!!!』
人類諸国統合軍にとって大戦を終わらせる戦争が。
僕にとっては、あの人とケリをつける為でもある戦争が。
最終決戦の幕が上がる。
一時停戦協定が結ばれてから、統合軍の動きは早かった。停戦協定があろうとなかろうと、元からホルソフ方面に侵攻する予定はあったからだ。
統合軍は従来の侵攻計画案をリシュカ率いる反乱軍用に変更、修正して立案。主役となる南部方面軍を主軸としたものへと変更した。
統合軍の将兵は北部方面が一時停戦協定によって勝ち筋がほぼ確定になっていたことで沸き立っており、唯一の懸念である反乱軍も先月までの苦労を思えば先の見えている戦争だと士気は高かった。
帝国軍にとっては一日も早くカタがついてほしく、統合軍にとっては少しでも保障占領域を増やし後の終戦条約を有利にしたい戦いが始まろうとしている。
・・Φ・・
4の月28の日
午後2時過ぎ
ムィトゥーラウ市街地
統合軍南部方面軍前線司令部
一時停戦協定が結ばれてから、僕達統合軍の中でも南部方面軍はすぐさま動き出していた。
統合軍総司令部は唯一残った戦線となった帝国反乱者軍制圧の為に作戦の修正をした上で策定。そのせいで僕も昨日までは睡眠時間がいくらか犠牲になっていた。それは参謀本部の面々だけでなく将兵も同じで、今もムィトゥーラウ市街地の復旧作業――棺桶作戦で吹き飛ばしたのは僕達だけれど、帝国軍は最低限に毛が生える程度の復旧しかしていなかったから、不便じゃない程度にまで市街地を作り直しているんだよね。――忙しなく動き回っている。
でも、将兵達の表情は先月よりもずっと明るい。一時停戦協定が結ばれた事はすなわち、この戦いが終われば終戦に結びつく。残っているのは反乱軍の制圧だけだからだ。
僕はリイナやエイジス、アレン大佐と数名の士官と一緒に歩きながらそれをひしひしと感じていた。
「アカツキ中将閣下、自分は佐官級の集まりの方に行きますのでこれにて」
「ここまでありがとう、アレン大佐。最終確認の会議が終わり次第また決定事項を伝えるね」
「はっ!」
アレン大佐は足早にこの場を去ると、僕達も会議の場へと向かう。
前線司令部の会議室は歩いてすぐの所だ。歩哨の兵士ににこやかに敬礼を受けると答礼し、棺桶作戦でも比較的に綺麗に残っていて僕達がムィトゥーラウ入りしてから修復した建物に入る。こっちもやっぱり軍人達が忙しそうにしていた。
「皆の顔が明るいわね。まるで勝ち戦が確定しているみたい」
「いくらリシュカが相手とはいえ、僕達に負ける要素が無いからね。反乱軍側が一年以上粘れるような兵站と備蓄を保有してたらこんなに余裕でいられないけれど、鉄道輸送だけじゃなくて道路輸送網も帝国軍が遮断してる。半年も放っておけば勝手に干上がるだろうね」
「でも、攻めるのよね。理由は私もよくよく知っているけれど」
「リイナも知っての通り、半年も包囲網を維持するより、今から攻めた方が総合的には安上がりだからさ。それに、反乱軍を帝国側に任せてはおけない。リシュカの処分を軽くするなんてことは無いだろうけど、お義父様、マーチス元帥閣下にしても総司令部にしても、本国にしても帝国に恩を押し付けたいんだ」
「反乱軍は私達で鎮圧しました。なんて十分な恩だものね」
「そういうこと。反乱軍側の総兵力は多く見積もっても約三〇〇〇〇〇。ホルソフに割ける兵力に限ればもっと少ないはず。帝国軍には今も反乱軍側に圧力をかけ続けてもらってるし、反乱軍側が攻撃してくれたら最良だよ。帝国軍が相手してくれるんだから」
あの人が率いている約三〇〇〇〇〇という兵力だけど、全てがホルソフに集まっているわけじゃない。アルネンスクやセヴァストゥーポラも勢力下だし、帝国軍と接する地域も決して狭くはない。となると、最低限置いておかないと兵力もある。対して僕達は今後の交渉を盾にして帝国軍の協力は取り付けられる。この差は余りにも大きい。
「推測、反乱軍側はワタクシ達が何もせずに帝国軍とだけ戦ったとしても、現況を維持可能なのは四半期程度。ここにワタクシ達が作戦を行えばさらに短くなるかと」
「エイジスの言う通りだ。いくらリシュカとはいえ、手元の兵力がかなり限られてる。帝国提供の情報を信じれば洗脳化光龍もソズダーニアもかなり少ないらしい。航空戦力と重装甲戦力が少ないなんて、十年前ならともかく今だと致命的さ」
「対して私達は北部方面が一時停戦になった事で兵力配置に余裕が出てきていて、予備兵力は十分。一時停戦協定が結ばれるまでの間に兵站網の効率化も出来たもの。もしかしたらこれまでの戦いで最も火力を投射出来るんじゃないかしら」
「肯定。本作戦においてオチャルフに配備されていた要塞砲転用が決まっており、現在輸送中。数門程度ですがこれを実戦投入します。加えて南部方面軍が保有している各砲は拠点防衛用と予備を除いて本作戦に投入。一平方キーラ辺りの投射火力量はオチャルフに匹敵するか、それ以上としています」
「エイジスの言うように火力は申し分なく、交渉期間までに休息の取れている兵士が多いから練度も含めて問題無し。リシュカ相手だから慢心はしてはならないけれど、負ける可能性は著しく低い戦いだよ」
「マスターの発言に肯定。リシュカ・フィブラは単体の能力は非常に脅威。しかし、大戦を通じて個が持つ能力が戦略にまで影響する可能性は随分と低くなりました。召喚武器のワタクシが言うのもおかしな話かもしれませんが、個の魔法能力と召喚武器が戦争にもたらす影響力は小さくなりつつあるのかもしれません」
「そうかもしれないわね。外せない要素だけれども、かつてほど絶対的な効力という程でもない。それはあの女が私達の王都に投下した爆弾でも示しているもの」
「うん。だから、この戦争が終わってから軍の仕組みはますます集団、軍全体としての能力が重要視されるだろうね。僕達連合王国軍は、直接的攻撃力に至っては一部を除いて既にそうなっているんだし」
個の持つ能力が重視される戦争から、前世のような形態の戦争へ。僕が転生してから改革を出発点として変わりつつある。まだ反乱軍の制圧が残っているけれど、そろそろ先の先を見据えないと。
前世ではとっくに死んで肉体は無く、この世界で僕はかけがえのない人達が沢山いるんだから。
さて、リイナやエイジスと話しているうちに会議の場に着く。室内には既に全体の七割くらいの人が集まっていた。
室内にいた士官の案内で席に座ると、軍務鞄に入れてある資料を机の上に出しておく。数分くらい経ってから、ランメル大将閣下が入室。全員が立ち敬礼をし、ランメル大将閣下が答礼すると全員が座って会議は始まった。
まず話し始めたのはランメル大将閣下だ。
「諸君。今回の作戦が本大戦最後の戦いになるだろう。反転攻勢前の苦しい展開とは真逆の我々有利の戦いではあるが、慢心せずに取り組んでもらいたい。早速だが作戦参謀長、作戦の説明を」
「はっ」
南部方面軍作戦参謀長は立ち上がると、会議室前方にある横長の板に貼られた地図に指揮棒を当てながら説明を始める。
内容はこんな感じだ。
【『正義の鉄槌作戦』作戦概要】
1,本作戦は帝国主権者ルシュカ・ヨマニエフの勅令を拒否し反逆者となったリシュカ・フィブラ率いる反乱軍の完全制圧が主目標である。
2,南部方面軍総兵力四〇〇〇〇〇の内、ムィトゥーラウ周辺や予備兵力を除く三二〇〇〇〇を投入する。具体的にはホルソフ南北方面に各一個軍。正面に二個軍。ただし、総司令部より必要に応じて二個軍までの派遣は可能であるから実質的な総兵力は予備を含め約五六〇〇〇〇。
3,詳細はそれぞれ後述するが本作戦はこれまでの大戦の集大成となる。敵兵力は我々より少ないが徹底的な火力投射と優勢な兵力で作戦の早期終結を目標とする。
4,本作戦発動後ホルソフ周辺に展開次第、砲火力(オチャルフから輸送した大口径カノン砲含む)・『L2ロケット』『L3ロケット』による攻勢前準備砲撃を二日間行う。なお、ホルソフ周辺展開前に反乱軍が攻勢に出た場合これを撃滅する。
5,4と同時にホルソフ空域へ戦闘機部隊約一〇〇を投入。なお予備戦力として約一〇〇も配置する。
6,攻勢前準備砲撃が終わり次第ホルソフへ突入。市街を包囲した上で敵を圧倒する後方支援火力及び航空火力を持って市街戦を行い敵軍を粉砕する。
7,この際に現れるであろうリシュカ・フィブラには最大限の警戒をすること。なお、当該人物は能力的にも非常に危険の為、捕縛前提の戦闘ではなく殺害前提の全力攻撃を行うこと。よって生死は問わない。
8,本作戦における備えとして、SSランク召喚武器保有者はアカツキ中将(ホルソフ正面一個軍指揮官)や明日到着のアレゼル大将(エルフ主構成師団等含む北方面一個軍指揮官)のほか、五日後にはマーチス元帥も直々に参戦する。
9,本作戦終了をもって、大戦は終結したも同然となる。兵站部の協力により砲弾薬はほぼ無制限で使用可能な為、徹底的に叩き短期終結になるよう各員の奮起を望む。
「――以上になります」
「ご苦労。――さあ諸君。これが最後の戦いである。唯一残った、終戦を妨げる反乱者を鎮圧する戦争である。我等は数ヶ月を耐え抜き、遂には目の前にある戦勝を掴もうとしている。だが、まだ掴めない。阻む者がいるからだ。敵の頭目はリシュカ・フィブラ。帝国で最も脅威の一人。罪無き市民達を大勢焼き尽くした大罪者だ。しかし我等には奴等を打ち倒す力がある。アレゼル大将がいる。マーチス元帥閣下も参上なされる。そして、我等が連合王国に改革と勝利をもたらしてきた英雄、アカツキ中将もいる。何より、貴官らがいる。勇猛果敢な将兵達がいる。ならば我等が成すべきことは一つ! 奴等を打ち倒し、再びの平和を手に入れる事のみ! 貴官等の奮闘を期待する!」
『はっ!!!!』
人類諸国統合軍にとって大戦を終わらせる戦争が。
僕にとっては、あの人とケリをつける為でもある戦争が。
最終決戦の幕が上がる。
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