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第3部『血と硝煙と死体の山の果てに』第16章 春季第三攻勢作戦『電光の双剣』
第4話 能力者化師団による機動戦は妖魔帝国軍の防衛線を打ち崩す
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・・4・・
午前10時30分
妖魔帝国南西部・パースク西部近郊
妖魔帝国軍第一防衛線
『電光』作戦開始から四時間が経過した。
人類諸国統合軍の最先鋒たる、アカツキ率いるアルネシア連合王国軍三個能力者化師団と法国軍神聖特務一個師団は、妖魔帝国軍が事前に構築した防御陣地による苛烈な攻撃を受けるものの、速力と突破力に勝る彼等は多少の犠牲を受けつつ突破していた。
この時点で四個師団総勢三二〇〇〇は死傷者約一五〇〇出しており、想定より二割の損害であったが着実に突出部形成に成功。妖魔帝国軍の防衛線を各所で寸断し、その真髄を見せていた。
例えば北部Aブロックとアカツキ達のいるBブロックは早々に合流して、妖魔帝国軍の反撃を許さずに包囲。妖魔帝国軍の予想を上回る速度で行動する人類諸国統合軍に有効な反撃を与える事が難しくなっていた。
さらに南部Cブロックは妖魔帝国軍の防衛線が薄い箇所を突き、こちらもBブロックとの間に包囲を作り上げ、この時点で包囲網の中に取り残されていた妖魔帝国軍は二個連隊にまで及んでいた。
これらの状況は、決して妖魔帝国軍が無能だからという理由ではない。人類諸国統合軍が早すぎた上に、小隊レベルでの魔法無線装置導入によって四個師団が一個の巨人になっていたからなのである。
そもそも、この世界において四個師団が纏まって平均にして時速約二十キーラで侵攻するという事自体が非常識なのである。最大速度はアカツキ率いる師団に至っては時速約四〇キーラを越える。速度だけに関しては地球世界における機甲師団のそれなのだ。一部を除きこの機動戦に対応出来る将官など殆どいなかった。
さらに、速度だけでなく正確に過ぎる濃密な航空支援と砲撃支援がここに加わっているのである。どうにかしろという方が難しいのだ。
もし、この戦場にリシュカ・フィブラがいれば違っていたかもしれない。同じように突破されたとしても、対抗策を即時打ち出してきたであろう。人類諸国統合軍の侵攻速度を鈍らせるなり、一矢報いるなりも可能だったろうし、そもそもリシュカ個人の戦力によって人類諸国統合軍の攻勢を挫けたかもしれない。
だが、今ここにリシュカはいない。現地妖魔帝国軍指揮官はリシュカ程の采配力はない。リシュカによる改革で人類諸国統合軍の真似事では無くなりつつあるものの、アカツキの采配には適わなかった。
結局、妖魔帝国軍は備えていたとはいえ作戦開始から僅か四時間でパースクが制圧されつつあるという、この世界における前代未聞の侵攻速度に為す術もない状況下にあった。
・・Φ・・
「北部Aブロック、第一防衛線を突破! 一個連隊をBブロックの我々と包囲!」
「南部Cブロックも第一防衛線を突破しパースク南郊外まで到達! 突出部形成を開始しました!」
「我々Bブロックはパースクの防衛線司令部まであと二キーラ!」
最前線で携行型魔法無線装置を背負う通信要員から、次々と各所の戦況が届く。
戦況は僕達人類諸国統合軍にとって好ましいものだった。
機動戦によって妖魔帝国軍第一防衛線は各所で寸断、包囲されつつあり、既に敵二個連隊が無力化されたに等しい状況を作り上げていた。
第一防衛線に配備されていた妖魔帝国軍はおよそ六万。数の上では僕らが不利だけれども、すぐ後ろには前衛軍も控えているし空と陸の圧倒的な火力支援によって四個師団は十分に戦えていた。
今僕がいるのは、第一防衛線司令部があるパースクから西約二キーラ地点。
全体的に妖魔帝国軍は混乱しているけれど、さすがに四時間も経過すると司令部近辺だけは建て直しを図っていて次から次へと敵兵が現れてきていた。
僕は目まぐるしく変わる戦況に対し、エイジスの演算予測をもとに命令を出し続けながら自分も戦っていた。
「よし! その調子で全体突出部を形成しろ! 敵を食い破って包囲だ!」
「了解!」
「旦那様、前方より新たに一個中隊よ」
「おっけーリイナ。アレン中佐、小隊統制魔法射撃。エイジス、前方一個中隊に集中攻撃!」
「了解しました! 小隊統制射撃用意!」
「サー。爆発系火属性、多重ロックオン」
「撃て!」
「てぇぇ!!」
「発射」
多数出現した魔法陣からは爆発系火属性魔法が射出される。
本来は僕の身を守る目的の初級魔法はこの五年間でさらに洗練されていて、攻撃力も増していた。
さらにアレン中佐率いる、僕の護衛が役目の部隊のうち一個小隊が統制射撃。リイナが視認した数百メーラ先にいる敵一個中隊に魔法銃とエイジスの法撃が降り注ぐ。
「第一射による敵生存者半数」
「続けて撃て」
「ってええ!!」
「サー。第二射、開始」
続けざまに銃撃と砲撃を浴びせられた敵の一個中隊は瓦解し、撤退をしていく。
「マスター、追撃はどうしますか?」
「いや、いいよ。わざわざ追いかけなくても後でどうせ潰す。それに他の友軍がやってくれる。リイナ、現在の戦況を教えてくれる? エイジスの視覚共有リンクの、縮尺を広げたもので大丈夫」
「了解したわ。それにしてもこれ、本当に凄いわね。旦那様が正確に命令を下せるのも納得だわ。神の目は言い得て妙ね」
「でしょ。情報量が多すぎるけれど、エイジスが取捨選択して必要なのだけ出してくれるから戦場が手に取るように分かるんだ」
リイナはとても感心した様子で、視覚共有で表示されるシステムを眺めていた。
この五年間、エイジスが全くアップデートしていない。なんて事は無かった。その一つが、これまで僕だけしか見られなかったエイジスの視覚共有リンクの共有化の拡大だ。
一昨年のアップデートで一人だけだけど僕が任意で選択した相手にエイジスが分析、演算した戦況を見ることが出来るようになっている。
前世で言えば超高性能の三次元レーダーにIFF(敵味方識別装置)も加わっているシロモノで、いわゆる高性能C4Iみたいなものだ。
この世界において得られる情報は技術的限界もあって、限られている。けど、これがある事で僕は常に相手より一手も二手も先を読めるようになったし、敵の行動もかなり筒抜けに出来ていた。
ただし、僕みたいに前世でこの手のシステムに慣れているのならともかく、多すぎる情報を読み取るのは至難の業だ。だからリイナには訓練をずっとしてもらっていたんだ。
一人で分析するより優秀なリイナも加わるのはとても心強い。
「さて、と。今の戦況は、これね。――現在、私達第一〇一がいるのはパースクから西に約二キーラ地点。Aブロックはそろそろパースク北西約一五〇〇メーラまで来てるわね。ただ、突出部の北で激しい戦闘が起きているわ。恐らく包囲された味方の救出目的でしょう」
「進言。既に魔法無線装置のリンクにて前衛軍司令部及び飛行場に敵の位置を送信済み」
「ならよし。南部は?」
「最前線はパースク南約一三〇〇ミーラまで前進したわ。さらに東進して港町ディトゥートリ方面に向かってる。ただ、パースク制圧まではあくまで主攻はパースク方面みたい」
「采配は各師団長に任せてる。足並みさえ乱れなければそれでいいよ。さて、僕達Bブロックは最も攻勢の激しいパースクの第一防衛線司令部を抑えないといけないけれど、流石に空と陸からの支援がいりそうだね」
「推測。既にこの四時間で戦死者約四〇〇、負傷者約一一〇〇が発生しており参謀本部の事前予測より損害が約二〇パルセント多くなっております。可能な限りの支援要請を推奨」
「大抵あの防衛線のせいだね。火力が集中されて、魔法障壁を抜いてくる事もあるし」
「最初期の突破は久しぶりに生きた心地がしなかったわ」
戦闘開始からまだ四時間しか経っていないというのに、連合王国軍が誇る三個能力者化師団と法国軍一個神聖特務師団は合計で約一五〇〇の死傷者を生じさせていた。
この四個師団は通常の師団編成定数一〇〇〇〇より少ない八〇〇〇が定数だから、約五パルセントが損害を受けた事になる。負傷者約一一〇〇のうちいくらかは復帰出来たと考えてもやはり多い。既に前衛軍の師団とは合流しつつあるから一番損害が大きくなる時間は過ぎたけれど、補充のしにくい最精鋭が出血するのはよろしくない。
ここは濃密な支援の中で戦闘するのが良策だろうと判断した僕は、
「なら、後ろの砲兵隊とL1に支援要請だね。アルト通信少尉!」
「はっ! ここに!」
「砲兵隊とL1に支援要請。五分後、座標D・E・Fの各12・13・14に砲撃及びロケットの支援要請。面制圧で吹き飛ばして欲しいって送信してくれる?」
「了解! 座標D・E・Fの各12・13・14に砲撃及びL1支援要請。…………送信完了しました!」
「ロフト通信中尉」
「はっ!」
「第一〇一各旅団長へ通達。砲撃及びL1支援要請前衛軍司令部に送信完了。支援要請受諾の後、決定し支援開始と同時に手薄な防御線を突破。パースク包囲の用意を」
「了解しました!」
「アカツキ中将閣下、支援要請返答あり! 五分後は無理ですが、七分後であれば該当地区への支援は可能とのこと!」
「了解アルト少尉! 全体通達! 七分後に攻勢開始! 繰り返す! 第一〇一は七分後に攻勢開始!」
『了解!』
僕はこの場から離れている旅団長以下の指揮官へは魔法無線装置を通じて、ここにいる連隊長やアレン中佐等とは集合して事前の作戦に微修正を加えた作戦を説明していく。
ここまでの侵攻速度はおおよそ時間通り。ひとまずはパースクを制圧してオディッサまで迫るのが今日の作戦予定だから、ここからがもう一つの山場になるだろうか。
「アレン中佐、ここから先は市街地正面。市街戦になるから気を付けて」
「了解です。アカツキ中将閣下もどうかお気をつけて。背中は守りますが、市街戦はどうなるか分かりませんので」
「大丈夫。リイナもエイジスもいるし、何より君らもいる」
「有難いお言葉です。聞いたか! アカツキ中将閣下は我々がいることが何よりも安心だと仰られた!」
「任せてください!」
「中将閣下には指一本触れさせません!」
「アカツキ中将閣下に勝利を!」
「リイナ准将閣下に御加護を!」
「エイジス特務官に神々の寵愛を!」
「心意気やよし! まあ、いつも通りの様子ですよアカツキ中将閣下」
「はははっ、本当に頼もしいよ」
「マスター、支援要請時刻まであと一分半です」
「了解。各員、装備の点検! 再装填が必要な者は今のうちに!」
『了解!!』
状況確認と休憩を兼ねていたここの場所から、直ぐに僕達は動き出す。
人類諸国統合軍と妖魔帝国軍双方の砲声と銃声が響き続ける中で、進軍の用意を終える頃。
待っていたL1ロケットとカノン砲による砲撃が始まった。
期待以上の凄まじい攻撃に部下達は大歓声を上げると規定の位置につき、準備を終えると僕は右腕を上げて、
「さあ行くぞ!! 最大戦速、とぉぉぉおつげえぇぇぇぇき!!」
『うおおおおおおおおお!!』
最大速度時速約四〇キーラで、攻勢前面に参戦する二個連隊が動き出す。後方支援担当の残りの一〇一能力者化師団の面々も前進を始めた。
パースクまで残り一キーラと少し。殺到する僕達に対して妖魔帝国軍も迎え撃つ。
エイジスの視覚共有によるとパースクの第一防衛線司令部を直衛するのは一個旅団のようだ。本来は一個師団あるはずだけど、この混乱した状況下でも一個旅団を捻出して援護に充てているらしい。どうやら第一防衛線の司令官は短時間で建て直しを図ろうとするくらいには有能らしい。
「警告、突撃大隊の後方より大隊級多重統制射撃」
「各員散開!! エイジス!!」
「サー、魔法障壁多重展開。…………!! さらに警告、側面より中隊級統制射撃用意を確認」
「不味い! アレン中佐、防御優先! 僕とリイナも展開する!」
「了解! 直衛大隊、魔法障壁展開! 中将閣下をお守りしろ!」
『了解!』
「ったく、混乱しているはずだけど司令部近辺は流石に硬いみたいね!」
正面十二時方向から大隊級、二時方向から中隊級統制射撃を感知したエイジスのお陰で、すぐさま防御行動に移れた。もし彼女がいなかったら大損害だっただろう。
だけど、エイジスがいる限り鉄壁は崩れない。
少数の通り抜けによる着弾はあったけれど、大多数の攻撃を防ぐことに成功する。
「攻勢! 各自判断で応戦!」
「大隊統制射撃! 一旦停止直後、正面大隊へ向け放て!」
アレン中佐は場数慣れしてるだけあって素早く部下に命令を下す。
さらに側面では連隊長が迂回行動を始め、攻勢を仕掛けてきた中隊の側面へ回ろうとする。その奥には視覚共有で一個大隊が控えているのは既にお見通し。
なるほど、なら僕とリイナにエイジスで援護だ。
「エイジス、リイナ!」
「モード・オフェンス。――切断系風魔法、多重詠唱。ロックオン」
「待ってたわ! ――銀世界、極地をも凍てつかせる光をここに」
「炎球よ、尽く焼き払え――」
「発射」
「『アブソリュート・ソロ』!!」
「『炎球大乱舞』ッッ!!」
中隊だけでなく、背後の一個大隊も目標にしてエイジス、リイナ、僕の順に呪文を発動する。
エイジスは六四点ロックオンで多重攻撃。
リイナはお馴染みの『アブソリュート・ソロ』。
やや遅れて新しく身に付けた炎球乱舞の上位版、上級魔法の『炎球大乱舞』を行使した。
エイジスの切断系風魔法によって敵の魔法障壁を破壊し、運良く魔法障壁が残った部隊にはリイナの『アブソリュート・ソロ』が貫通。
そして、後方の大隊も含めて『炎球大乱舞』が襲う。
とてつもない爆音が響き、煙が晴れると敵中隊は瓦解。後方に控えていた一個大隊もダメージを負っていた。
そこに雪崩込むのは一個連隊。建て直しを図る事も叶わず、彼等は白兵戦で蹂躙されていった。
「よし!!」
「お見事です、マスター」
「息ぴったりね!」
「二人共ありがとう。でも息つく暇はないよ! だよねアレン中佐!」
「ええ! 市街地方面の防衛行動が激しく、我々一個大隊の迂回進撃を進言します!」
レーダーには市街地正面を守る部隊は二個大隊。おまけに休戦前までは見た事のない野砲に機関銃まである。道理で敵の銃声音が絶え間ないし、砲音も激しいわけだ。
「確かに。正面は他の部隊に任せて、逆くの字型で進もう。エイジス、側面の敵は薄いよね?」
「正面に比べれば幾らかは」
「ならよし。大隊総員、行くぞッッ!!」
『おおおおおお!!』
正面攻勢を担当する連隊長に迂回攻撃をする事を伝えると、ご武運を。ここはお任せ下さい。と、頼もしい言葉を貰って僕達はすぐさま次の行動に移る。
「エイジス、最も敵の防御と火線が薄い部分を演算」
「サー。パースク司令部を中心点とし、八時方向です。六時から七時方向は先程の連隊が攻勢中」
「おっけー。アレン中佐」
「把握しました。八時方向ですね」
「よろしく」
「了解!」
まずは巡航速度にて方向転換、一度だけさっきの連隊の方向へ進路を変えると、通信要員から僕達の攻勢を受け取っていたのか連隊長がハンドサインで、八時方向了解しました。攻勢強め隙を作ります。と伝えてくれる。
僕は頷くと、迂回していた方向から反転。八時方向へ向けて戦闘速度に上げて突撃する。
「マスター、魔力残量約八割です。まだグリーンラインですが、お気をつけて」
「ありがとうエイジス。早々に終わらせるから大丈夫! アレン中佐、距離六〇〇で中隊統制攻撃! その後は各自中隊長に任せた!」
「了解しました! 我々指揮中隊はアカツキ中将にお供します!」
「頼んだよ!」
距離八〇〇、七〇〇。
流石に突っ込んでくる僕達に気付いたのか火線が激しくなる。時折飛んでくるのは野砲だ。恐らく四〇ミーラクラスの軽野砲。
銃弾の命中で展開していた障壁が何枚か割れる。思ったより魔法銃の攻撃が多い。
けれど、防御はエイジスが一切の隙間なく展開しているし破壊されて直ぐに再展開をしていく。
そして、距離六〇〇。
「中隊統制射撃ィ!」
「了解しましたアレン中佐! 中隊、てえええ!!」
照準を合わせる為に一個中隊が一旦停止し、一斉に射撃。敵約四〇〇の各所に命中する。
一瞬だけ火勢が弱まる。
今だ。
「大隊近接戦闘よぉぉぉぉいぃ!! 吶喊ッッ!!」
『ぬおおおおおおおおおおおお!!!!』
隙を突いて僕達は突撃を開始。
エイジスの神の盾とも呼べる魔法障壁で殆どの攻撃を防ぎ、ついに距離は一〇〇を切る。
「アイス・ジャベリン、発動」
「降り注ぎなさいな、『氷槍惨禍』」
「ツイン・リル。敵を穿て。『風斬』」
敵の部隊と近接戦の距離まで近付き、衝突する。最前方には部下達が各々の攻撃手段を持って白兵戦を繰り広げる。
後に続くは僕、リイナ、エイジス。そしてアレン中佐達。
エイジスは敵を接近させる事を許さないアイス・ジャベリンを。
リイナは『氷槍惨禍』を。
僕はツイン・リルに風魔法を纏わせる『風斬』を発動した。
「エイジス首狩りを行うよ。部隊長を探せ」
「サー」
乱戦になると、部隊長を探すのは難しい。エイジスの個人特定は一度魔力の波長を特定させないといけないから仕方がない。
けど、目視でも十分探せるはずだ。
司令部のある市街地だけあってその先にある拠点を守る為に敵も必死だ。死守命令が下されているんだろう。逃げる敵が少ないあたり、よく訓練されている。
「これ以上近付けさせるかぁぁぁ!!」
「警告、一個分隊接近」
「知ってる。――かかってきなよ」
「なんでお前がここにいるんだよぉぉぉ!!」
「人類の英雄だか知らないが舐めやがって!」
「ぶっ殺す!!」
「司令部に近づけさせるかっ!」
僕は笑って挑発すると、最初の敵兵こそ自分があっち側なら同じ事を言いそうな発言をしたけれど、とはいえ殺気に満ちている。
なら、殺すまで。
「逃げない度胸は認めるよ。だけど、『風斬』、出力上昇」
「なっ――」
「え――」
両腕のツイン・リルを敵の前で振り下ろすと、まずは二人が真っ二つになる。
「二つ。次」
加速、横振りしてきた銃剣の目の前の一瞬だけ力を抜く。相手は視界から消えたと錯覚しただろうね。
「残念、懐だ」
「がァァっっ!!」
「三つ」
右腕から繰り出し突き刺したツイン・リルを抜いて、半歩下がった瞬間に回転蹴り。刺された敵兵は無残に吹っ飛ぶ。
残った二人は僕の背後にリイナがいる事に気付いたろうけれど、もう遅い。
「四つに五つね」
目にも止まらぬ早さでアブソリュートの刺突を繰り出したリイナ。あっという間に五人は五体の死体に変わった。
「警告、さらに二個分隊」
「中将閣下、我々が!」
「アレン中佐、よろしく!」
市街地の路地、隠れていた敵の二個分隊が二時方向から現れる。
だけど直後にアレン中佐と数人の部下が鮮やかな手さばきで屠っていった。
「よくやった!」
「この程度楽勝ですよ!」
「マスター、敵部隊長と思われる対象を捕捉」
「あそこか」
エイジスは白兵戦の間にもこの地区を担当する部隊長を発見したようだ。拡張現実画面には約二〇〇メーラ先にこちらの攻勢を防ぐ為に支援攻撃をしながら指揮をする士官がいた。
階級は大尉、か。護衛は一個小隊だね。
「アレン中佐、行くよ!」
「首狩りですね! 滾ります!」
「マスター、まずは護衛を可能な限り吹き飛ばします」
「了解エイジス」
リイナやアレン中佐達は迫ってくる敵兵をなぎ倒しつつ、僕も彼等の後方支援の法撃を行う。
その間にエイジスは詠唱を完了。
「目標ロックオン。殲滅します。主に仇なす者には誅罰を」
鋭い目付きのエイジスは敵大尉のいる真上に魔法陣を発現させる。
その数、十六。
十六!?!?
えっと、多分君の攻撃力だとそれは……。
「ファイア・ランス、十六重舞踏」
「大尉、直上!!」
「なっ――」
直後、現れた十六の炎の槍が放たれ大爆音が発生する。
「うっわぁ……」
「オーバーキルよね……」
「死体、残らなさそうですね……」
平然ととんでもない攻撃を繰り出すエイジスに僕、リイナ、アレン中佐の順に思わず素直な感想を漏らし、敵兵は呆然。
案の定と言うべきか、爆心地のようになっていた場所には黒炭しか残っていなかった。
「ひ、ひいいいいいいい!!」
「大隊長が死んだ!?!?」
「て、撤退だぁぁぁ!! 防衛線を後退させろ!!」
瞬き一つの間に護衛の小隊ごと消し炭にされた敵兵達は敗走を始める。
こればっかりかは無理もないよね。
で、だ。指揮官を失った彼等にさらなる悲劇が襲う。
「警告。L1の飛翔を確認。予測地点、三〇〇メーラ前方。推奨、後退。残り十五秒」
「総員後退! すぐにL1が着弾するよ!」
「えぇ!?」
「とにかく下がる!」
エイジスのカウントダウンの間に、僕達は五〇メーラ後退する。
L1ロケット独特の金切り音が大きくなると数秒後。
「着弾します。続けてカノン砲五発、三、二、一」
敵の退路上にL1ロケットが降り注ぎ、続けてカノン砲の砲弾も直撃する。連合王国軍新型の一六〇ミーラカノン砲だね……。
粉塵が収まると残っていたのは瓦礫と化した建造物と、悲惨な死体の数々。なんとか砲撃を免れた敵兵は散り散りになって逃げ出していた。
泣きっ面に蜂とはまさにこのことだ。
「これはひどい」
「推測。着弾地点が僅かに南方に逸れた模様」
「まあ、結果オーライって事で」
「アカツキ中将閣下! お見事でした! ここから先は我々が!」
「レイデン連隊長。ありがとう。くれぐれも気を付けて」
「はっ! 連隊総員見たまえ! 戦場の神、砲兵隊と金切り針が敵を打ち崩した! この機を逃すなっ!」
『アルネシアに悠久の平和を!』
「突撃続行っ!」
『うおおおおおお!!』
「ではアカツキ中将閣下、また後程!」
「了解したよ。貴官等に武運を」
勢い止まず、一個連隊が市街地に突入していく。
自分の部下達だけど、驚くほどに勇猛果敢だなあ……。
「アカツキ中将閣下」
「アレン中佐、よくやってくれたよ。大隊総員、ダメージレポートも兼ねて小休憩にしよっか」
『はっ!!』
・・Φ・・
一八四六年六の月九の日午前六時半に発動された『電光の双剣』作戦。
その初日は人類諸国にとっては輝かしい大戦果を、妖魔帝国にとっては悪夢のような現実を突きつけた。
当時において最高の高機動力を持つ連合王国軍三個能力者化師団と法国軍一個神聖特務師団は戦場を駆け抜け、第一防衛線各地で妖魔帝国軍が備えていた防衛線を突破。その上逐次包囲していき、午後四時頃にはこれ以上の戦線維持は不可能と判断した妖魔帝国軍第一防衛線司令官の賢明な判断により放棄。撤退可能な部隊はオディッサ前面の第二防衛線まで敗走していった。
この時包囲された妖魔帝国軍は約八〇〇〇と言われており、捕虜になるか自決するかを選ばざるを得なかった。
妖魔帝国軍全体の損害は死者約五〇〇〇、負傷者約八〇〇〇。ここに捕虜になった約八〇〇〇を加えると、合計約二一〇〇〇。
実に第一防衛線全体の三分の一が死ぬか負傷するか捕虜になるかだった。
対して、人類諸国統合軍南部統合軍の損害を以下に記す。
死者:約二六〇〇(内、能力者化師団は一〇〇〇。)
負傷者:約四〇〇〇(内、能力者化師団は二三〇〇。復帰可能は一四〇〇)
捕虜:約数百(内、能力者化師団はおよそ半数)
全体の損害は捕虜にされたと推測される者を含めて約七〇〇〇程度。これは参謀本部の事前予測を上回る数であるが、現状は潤沢な医療物資のお陰で能力者化師団については半数以上が復帰可能であった。
休戦前と比較してかなり多い死傷者であるものの人類諸国統合軍にとっては織り込み済みであり、初日にしてパースク制圧。橋頭堡確保とあう得られた戦果を考えれば戦術的勝利は間違いなしと言えるだろう。
しかし、オディッサにいる方面軍司令官は人類諸国統合軍のかつてない侵攻速度に戦慄しつつも、諦めていなかった。
何故ならば、オディッサ方面軍司令官には帝都より渡された贈り物があるからである。
それは翌日以降、人類諸国統合軍にとって機動戦を阻む妨害要素となるのであった。
午前10時30分
妖魔帝国南西部・パースク西部近郊
妖魔帝国軍第一防衛線
『電光』作戦開始から四時間が経過した。
人類諸国統合軍の最先鋒たる、アカツキ率いるアルネシア連合王国軍三個能力者化師団と法国軍神聖特務一個師団は、妖魔帝国軍が事前に構築した防御陣地による苛烈な攻撃を受けるものの、速力と突破力に勝る彼等は多少の犠牲を受けつつ突破していた。
この時点で四個師団総勢三二〇〇〇は死傷者約一五〇〇出しており、想定より二割の損害であったが着実に突出部形成に成功。妖魔帝国軍の防衛線を各所で寸断し、その真髄を見せていた。
例えば北部Aブロックとアカツキ達のいるBブロックは早々に合流して、妖魔帝国軍の反撃を許さずに包囲。妖魔帝国軍の予想を上回る速度で行動する人類諸国統合軍に有効な反撃を与える事が難しくなっていた。
さらに南部Cブロックは妖魔帝国軍の防衛線が薄い箇所を突き、こちらもBブロックとの間に包囲を作り上げ、この時点で包囲網の中に取り残されていた妖魔帝国軍は二個連隊にまで及んでいた。
これらの状況は、決して妖魔帝国軍が無能だからという理由ではない。人類諸国統合軍が早すぎた上に、小隊レベルでの魔法無線装置導入によって四個師団が一個の巨人になっていたからなのである。
そもそも、この世界において四個師団が纏まって平均にして時速約二十キーラで侵攻するという事自体が非常識なのである。最大速度はアカツキ率いる師団に至っては時速約四〇キーラを越える。速度だけに関しては地球世界における機甲師団のそれなのだ。一部を除きこの機動戦に対応出来る将官など殆どいなかった。
さらに、速度だけでなく正確に過ぎる濃密な航空支援と砲撃支援がここに加わっているのである。どうにかしろという方が難しいのだ。
もし、この戦場にリシュカ・フィブラがいれば違っていたかもしれない。同じように突破されたとしても、対抗策を即時打ち出してきたであろう。人類諸国統合軍の侵攻速度を鈍らせるなり、一矢報いるなりも可能だったろうし、そもそもリシュカ個人の戦力によって人類諸国統合軍の攻勢を挫けたかもしれない。
だが、今ここにリシュカはいない。現地妖魔帝国軍指揮官はリシュカ程の采配力はない。リシュカによる改革で人類諸国統合軍の真似事では無くなりつつあるものの、アカツキの采配には適わなかった。
結局、妖魔帝国軍は備えていたとはいえ作戦開始から僅か四時間でパースクが制圧されつつあるという、この世界における前代未聞の侵攻速度に為す術もない状況下にあった。
・・Φ・・
「北部Aブロック、第一防衛線を突破! 一個連隊をBブロックの我々と包囲!」
「南部Cブロックも第一防衛線を突破しパースク南郊外まで到達! 突出部形成を開始しました!」
「我々Bブロックはパースクの防衛線司令部まであと二キーラ!」
最前線で携行型魔法無線装置を背負う通信要員から、次々と各所の戦況が届く。
戦況は僕達人類諸国統合軍にとって好ましいものだった。
機動戦によって妖魔帝国軍第一防衛線は各所で寸断、包囲されつつあり、既に敵二個連隊が無力化されたに等しい状況を作り上げていた。
第一防衛線に配備されていた妖魔帝国軍はおよそ六万。数の上では僕らが不利だけれども、すぐ後ろには前衛軍も控えているし空と陸の圧倒的な火力支援によって四個師団は十分に戦えていた。
今僕がいるのは、第一防衛線司令部があるパースクから西約二キーラ地点。
全体的に妖魔帝国軍は混乱しているけれど、さすがに四時間も経過すると司令部近辺だけは建て直しを図っていて次から次へと敵兵が現れてきていた。
僕は目まぐるしく変わる戦況に対し、エイジスの演算予測をもとに命令を出し続けながら自分も戦っていた。
「よし! その調子で全体突出部を形成しろ! 敵を食い破って包囲だ!」
「了解!」
「旦那様、前方より新たに一個中隊よ」
「おっけーリイナ。アレン中佐、小隊統制魔法射撃。エイジス、前方一個中隊に集中攻撃!」
「了解しました! 小隊統制射撃用意!」
「サー。爆発系火属性、多重ロックオン」
「撃て!」
「てぇぇ!!」
「発射」
多数出現した魔法陣からは爆発系火属性魔法が射出される。
本来は僕の身を守る目的の初級魔法はこの五年間でさらに洗練されていて、攻撃力も増していた。
さらにアレン中佐率いる、僕の護衛が役目の部隊のうち一個小隊が統制射撃。リイナが視認した数百メーラ先にいる敵一個中隊に魔法銃とエイジスの法撃が降り注ぐ。
「第一射による敵生存者半数」
「続けて撃て」
「ってええ!!」
「サー。第二射、開始」
続けざまに銃撃と砲撃を浴びせられた敵の一個中隊は瓦解し、撤退をしていく。
「マスター、追撃はどうしますか?」
「いや、いいよ。わざわざ追いかけなくても後でどうせ潰す。それに他の友軍がやってくれる。リイナ、現在の戦況を教えてくれる? エイジスの視覚共有リンクの、縮尺を広げたもので大丈夫」
「了解したわ。それにしてもこれ、本当に凄いわね。旦那様が正確に命令を下せるのも納得だわ。神の目は言い得て妙ね」
「でしょ。情報量が多すぎるけれど、エイジスが取捨選択して必要なのだけ出してくれるから戦場が手に取るように分かるんだ」
リイナはとても感心した様子で、視覚共有で表示されるシステムを眺めていた。
この五年間、エイジスが全くアップデートしていない。なんて事は無かった。その一つが、これまで僕だけしか見られなかったエイジスの視覚共有リンクの共有化の拡大だ。
一昨年のアップデートで一人だけだけど僕が任意で選択した相手にエイジスが分析、演算した戦況を見ることが出来るようになっている。
前世で言えば超高性能の三次元レーダーにIFF(敵味方識別装置)も加わっているシロモノで、いわゆる高性能C4Iみたいなものだ。
この世界において得られる情報は技術的限界もあって、限られている。けど、これがある事で僕は常に相手より一手も二手も先を読めるようになったし、敵の行動もかなり筒抜けに出来ていた。
ただし、僕みたいに前世でこの手のシステムに慣れているのならともかく、多すぎる情報を読み取るのは至難の業だ。だからリイナには訓練をずっとしてもらっていたんだ。
一人で分析するより優秀なリイナも加わるのはとても心強い。
「さて、と。今の戦況は、これね。――現在、私達第一〇一がいるのはパースクから西に約二キーラ地点。Aブロックはそろそろパースク北西約一五〇〇メーラまで来てるわね。ただ、突出部の北で激しい戦闘が起きているわ。恐らく包囲された味方の救出目的でしょう」
「進言。既に魔法無線装置のリンクにて前衛軍司令部及び飛行場に敵の位置を送信済み」
「ならよし。南部は?」
「最前線はパースク南約一三〇〇ミーラまで前進したわ。さらに東進して港町ディトゥートリ方面に向かってる。ただ、パースク制圧まではあくまで主攻はパースク方面みたい」
「采配は各師団長に任せてる。足並みさえ乱れなければそれでいいよ。さて、僕達Bブロックは最も攻勢の激しいパースクの第一防衛線司令部を抑えないといけないけれど、流石に空と陸からの支援がいりそうだね」
「推測。既にこの四時間で戦死者約四〇〇、負傷者約一一〇〇が発生しており参謀本部の事前予測より損害が約二〇パルセント多くなっております。可能な限りの支援要請を推奨」
「大抵あの防衛線のせいだね。火力が集中されて、魔法障壁を抜いてくる事もあるし」
「最初期の突破は久しぶりに生きた心地がしなかったわ」
戦闘開始からまだ四時間しか経っていないというのに、連合王国軍が誇る三個能力者化師団と法国軍一個神聖特務師団は合計で約一五〇〇の死傷者を生じさせていた。
この四個師団は通常の師団編成定数一〇〇〇〇より少ない八〇〇〇が定数だから、約五パルセントが損害を受けた事になる。負傷者約一一〇〇のうちいくらかは復帰出来たと考えてもやはり多い。既に前衛軍の師団とは合流しつつあるから一番損害が大きくなる時間は過ぎたけれど、補充のしにくい最精鋭が出血するのはよろしくない。
ここは濃密な支援の中で戦闘するのが良策だろうと判断した僕は、
「なら、後ろの砲兵隊とL1に支援要請だね。アルト通信少尉!」
「はっ! ここに!」
「砲兵隊とL1に支援要請。五分後、座標D・E・Fの各12・13・14に砲撃及びロケットの支援要請。面制圧で吹き飛ばして欲しいって送信してくれる?」
「了解! 座標D・E・Fの各12・13・14に砲撃及びL1支援要請。…………送信完了しました!」
「ロフト通信中尉」
「はっ!」
「第一〇一各旅団長へ通達。砲撃及びL1支援要請前衛軍司令部に送信完了。支援要請受諾の後、決定し支援開始と同時に手薄な防御線を突破。パースク包囲の用意を」
「了解しました!」
「アカツキ中将閣下、支援要請返答あり! 五分後は無理ですが、七分後であれば該当地区への支援は可能とのこと!」
「了解アルト少尉! 全体通達! 七分後に攻勢開始! 繰り返す! 第一〇一は七分後に攻勢開始!」
『了解!』
僕はこの場から離れている旅団長以下の指揮官へは魔法無線装置を通じて、ここにいる連隊長やアレン中佐等とは集合して事前の作戦に微修正を加えた作戦を説明していく。
ここまでの侵攻速度はおおよそ時間通り。ひとまずはパースクを制圧してオディッサまで迫るのが今日の作戦予定だから、ここからがもう一つの山場になるだろうか。
「アレン中佐、ここから先は市街地正面。市街戦になるから気を付けて」
「了解です。アカツキ中将閣下もどうかお気をつけて。背中は守りますが、市街戦はどうなるか分かりませんので」
「大丈夫。リイナもエイジスもいるし、何より君らもいる」
「有難いお言葉です。聞いたか! アカツキ中将閣下は我々がいることが何よりも安心だと仰られた!」
「任せてください!」
「中将閣下には指一本触れさせません!」
「アカツキ中将閣下に勝利を!」
「リイナ准将閣下に御加護を!」
「エイジス特務官に神々の寵愛を!」
「心意気やよし! まあ、いつも通りの様子ですよアカツキ中将閣下」
「はははっ、本当に頼もしいよ」
「マスター、支援要請時刻まであと一分半です」
「了解。各員、装備の点検! 再装填が必要な者は今のうちに!」
『了解!!』
状況確認と休憩を兼ねていたここの場所から、直ぐに僕達は動き出す。
人類諸国統合軍と妖魔帝国軍双方の砲声と銃声が響き続ける中で、進軍の用意を終える頃。
待っていたL1ロケットとカノン砲による砲撃が始まった。
期待以上の凄まじい攻撃に部下達は大歓声を上げると規定の位置につき、準備を終えると僕は右腕を上げて、
「さあ行くぞ!! 最大戦速、とぉぉぉおつげえぇぇぇぇき!!」
『うおおおおおおおおお!!』
最大速度時速約四〇キーラで、攻勢前面に参戦する二個連隊が動き出す。後方支援担当の残りの一〇一能力者化師団の面々も前進を始めた。
パースクまで残り一キーラと少し。殺到する僕達に対して妖魔帝国軍も迎え撃つ。
エイジスの視覚共有によるとパースクの第一防衛線司令部を直衛するのは一個旅団のようだ。本来は一個師団あるはずだけど、この混乱した状況下でも一個旅団を捻出して援護に充てているらしい。どうやら第一防衛線の司令官は短時間で建て直しを図ろうとするくらいには有能らしい。
「警告、突撃大隊の後方より大隊級多重統制射撃」
「各員散開!! エイジス!!」
「サー、魔法障壁多重展開。…………!! さらに警告、側面より中隊級統制射撃用意を確認」
「不味い! アレン中佐、防御優先! 僕とリイナも展開する!」
「了解! 直衛大隊、魔法障壁展開! 中将閣下をお守りしろ!」
『了解!』
「ったく、混乱しているはずだけど司令部近辺は流石に硬いみたいね!」
正面十二時方向から大隊級、二時方向から中隊級統制射撃を感知したエイジスのお陰で、すぐさま防御行動に移れた。もし彼女がいなかったら大損害だっただろう。
だけど、エイジスがいる限り鉄壁は崩れない。
少数の通り抜けによる着弾はあったけれど、大多数の攻撃を防ぐことに成功する。
「攻勢! 各自判断で応戦!」
「大隊統制射撃! 一旦停止直後、正面大隊へ向け放て!」
アレン中佐は場数慣れしてるだけあって素早く部下に命令を下す。
さらに側面では連隊長が迂回行動を始め、攻勢を仕掛けてきた中隊の側面へ回ろうとする。その奥には視覚共有で一個大隊が控えているのは既にお見通し。
なるほど、なら僕とリイナにエイジスで援護だ。
「エイジス、リイナ!」
「モード・オフェンス。――切断系風魔法、多重詠唱。ロックオン」
「待ってたわ! ――銀世界、極地をも凍てつかせる光をここに」
「炎球よ、尽く焼き払え――」
「発射」
「『アブソリュート・ソロ』!!」
「『炎球大乱舞』ッッ!!」
中隊だけでなく、背後の一個大隊も目標にしてエイジス、リイナ、僕の順に呪文を発動する。
エイジスは六四点ロックオンで多重攻撃。
リイナはお馴染みの『アブソリュート・ソロ』。
やや遅れて新しく身に付けた炎球乱舞の上位版、上級魔法の『炎球大乱舞』を行使した。
エイジスの切断系風魔法によって敵の魔法障壁を破壊し、運良く魔法障壁が残った部隊にはリイナの『アブソリュート・ソロ』が貫通。
そして、後方の大隊も含めて『炎球大乱舞』が襲う。
とてつもない爆音が響き、煙が晴れると敵中隊は瓦解。後方に控えていた一個大隊もダメージを負っていた。
そこに雪崩込むのは一個連隊。建て直しを図る事も叶わず、彼等は白兵戦で蹂躙されていった。
「よし!!」
「お見事です、マスター」
「息ぴったりね!」
「二人共ありがとう。でも息つく暇はないよ! だよねアレン中佐!」
「ええ! 市街地方面の防衛行動が激しく、我々一個大隊の迂回進撃を進言します!」
レーダーには市街地正面を守る部隊は二個大隊。おまけに休戦前までは見た事のない野砲に機関銃まである。道理で敵の銃声音が絶え間ないし、砲音も激しいわけだ。
「確かに。正面は他の部隊に任せて、逆くの字型で進もう。エイジス、側面の敵は薄いよね?」
「正面に比べれば幾らかは」
「ならよし。大隊総員、行くぞッッ!!」
『おおおおおお!!』
正面攻勢を担当する連隊長に迂回攻撃をする事を伝えると、ご武運を。ここはお任せ下さい。と、頼もしい言葉を貰って僕達はすぐさま次の行動に移る。
「エイジス、最も敵の防御と火線が薄い部分を演算」
「サー。パースク司令部を中心点とし、八時方向です。六時から七時方向は先程の連隊が攻勢中」
「おっけー。アレン中佐」
「把握しました。八時方向ですね」
「よろしく」
「了解!」
まずは巡航速度にて方向転換、一度だけさっきの連隊の方向へ進路を変えると、通信要員から僕達の攻勢を受け取っていたのか連隊長がハンドサインで、八時方向了解しました。攻勢強め隙を作ります。と伝えてくれる。
僕は頷くと、迂回していた方向から反転。八時方向へ向けて戦闘速度に上げて突撃する。
「マスター、魔力残量約八割です。まだグリーンラインですが、お気をつけて」
「ありがとうエイジス。早々に終わらせるから大丈夫! アレン中佐、距離六〇〇で中隊統制攻撃! その後は各自中隊長に任せた!」
「了解しました! 我々指揮中隊はアカツキ中将にお供します!」
「頼んだよ!」
距離八〇〇、七〇〇。
流石に突っ込んでくる僕達に気付いたのか火線が激しくなる。時折飛んでくるのは野砲だ。恐らく四〇ミーラクラスの軽野砲。
銃弾の命中で展開していた障壁が何枚か割れる。思ったより魔法銃の攻撃が多い。
けれど、防御はエイジスが一切の隙間なく展開しているし破壊されて直ぐに再展開をしていく。
そして、距離六〇〇。
「中隊統制射撃ィ!」
「了解しましたアレン中佐! 中隊、てえええ!!」
照準を合わせる為に一個中隊が一旦停止し、一斉に射撃。敵約四〇〇の各所に命中する。
一瞬だけ火勢が弱まる。
今だ。
「大隊近接戦闘よぉぉぉぉいぃ!! 吶喊ッッ!!」
『ぬおおおおおおおおおおおお!!!!』
隙を突いて僕達は突撃を開始。
エイジスの神の盾とも呼べる魔法障壁で殆どの攻撃を防ぎ、ついに距離は一〇〇を切る。
「アイス・ジャベリン、発動」
「降り注ぎなさいな、『氷槍惨禍』」
「ツイン・リル。敵を穿て。『風斬』」
敵の部隊と近接戦の距離まで近付き、衝突する。最前方には部下達が各々の攻撃手段を持って白兵戦を繰り広げる。
後に続くは僕、リイナ、エイジス。そしてアレン中佐達。
エイジスは敵を接近させる事を許さないアイス・ジャベリンを。
リイナは『氷槍惨禍』を。
僕はツイン・リルに風魔法を纏わせる『風斬』を発動した。
「エイジス首狩りを行うよ。部隊長を探せ」
「サー」
乱戦になると、部隊長を探すのは難しい。エイジスの個人特定は一度魔力の波長を特定させないといけないから仕方がない。
けど、目視でも十分探せるはずだ。
司令部のある市街地だけあってその先にある拠点を守る為に敵も必死だ。死守命令が下されているんだろう。逃げる敵が少ないあたり、よく訓練されている。
「これ以上近付けさせるかぁぁぁ!!」
「警告、一個分隊接近」
「知ってる。――かかってきなよ」
「なんでお前がここにいるんだよぉぉぉ!!」
「人類の英雄だか知らないが舐めやがって!」
「ぶっ殺す!!」
「司令部に近づけさせるかっ!」
僕は笑って挑発すると、最初の敵兵こそ自分があっち側なら同じ事を言いそうな発言をしたけれど、とはいえ殺気に満ちている。
なら、殺すまで。
「逃げない度胸は認めるよ。だけど、『風斬』、出力上昇」
「なっ――」
「え――」
両腕のツイン・リルを敵の前で振り下ろすと、まずは二人が真っ二つになる。
「二つ。次」
加速、横振りしてきた銃剣の目の前の一瞬だけ力を抜く。相手は視界から消えたと錯覚しただろうね。
「残念、懐だ」
「がァァっっ!!」
「三つ」
右腕から繰り出し突き刺したツイン・リルを抜いて、半歩下がった瞬間に回転蹴り。刺された敵兵は無残に吹っ飛ぶ。
残った二人は僕の背後にリイナがいる事に気付いたろうけれど、もう遅い。
「四つに五つね」
目にも止まらぬ早さでアブソリュートの刺突を繰り出したリイナ。あっという間に五人は五体の死体に変わった。
「警告、さらに二個分隊」
「中将閣下、我々が!」
「アレン中佐、よろしく!」
市街地の路地、隠れていた敵の二個分隊が二時方向から現れる。
だけど直後にアレン中佐と数人の部下が鮮やかな手さばきで屠っていった。
「よくやった!」
「この程度楽勝ですよ!」
「マスター、敵部隊長と思われる対象を捕捉」
「あそこか」
エイジスは白兵戦の間にもこの地区を担当する部隊長を発見したようだ。拡張現実画面には約二〇〇メーラ先にこちらの攻勢を防ぐ為に支援攻撃をしながら指揮をする士官がいた。
階級は大尉、か。護衛は一個小隊だね。
「アレン中佐、行くよ!」
「首狩りですね! 滾ります!」
「マスター、まずは護衛を可能な限り吹き飛ばします」
「了解エイジス」
リイナやアレン中佐達は迫ってくる敵兵をなぎ倒しつつ、僕も彼等の後方支援の法撃を行う。
その間にエイジスは詠唱を完了。
「目標ロックオン。殲滅します。主に仇なす者には誅罰を」
鋭い目付きのエイジスは敵大尉のいる真上に魔法陣を発現させる。
その数、十六。
十六!?!?
えっと、多分君の攻撃力だとそれは……。
「ファイア・ランス、十六重舞踏」
「大尉、直上!!」
「なっ――」
直後、現れた十六の炎の槍が放たれ大爆音が発生する。
「うっわぁ……」
「オーバーキルよね……」
「死体、残らなさそうですね……」
平然ととんでもない攻撃を繰り出すエイジスに僕、リイナ、アレン中佐の順に思わず素直な感想を漏らし、敵兵は呆然。
案の定と言うべきか、爆心地のようになっていた場所には黒炭しか残っていなかった。
「ひ、ひいいいいいいい!!」
「大隊長が死んだ!?!?」
「て、撤退だぁぁぁ!! 防衛線を後退させろ!!」
瞬き一つの間に護衛の小隊ごと消し炭にされた敵兵達は敗走を始める。
こればっかりかは無理もないよね。
で、だ。指揮官を失った彼等にさらなる悲劇が襲う。
「警告。L1の飛翔を確認。予測地点、三〇〇メーラ前方。推奨、後退。残り十五秒」
「総員後退! すぐにL1が着弾するよ!」
「えぇ!?」
「とにかく下がる!」
エイジスのカウントダウンの間に、僕達は五〇メーラ後退する。
L1ロケット独特の金切り音が大きくなると数秒後。
「着弾します。続けてカノン砲五発、三、二、一」
敵の退路上にL1ロケットが降り注ぎ、続けてカノン砲の砲弾も直撃する。連合王国軍新型の一六〇ミーラカノン砲だね……。
粉塵が収まると残っていたのは瓦礫と化した建造物と、悲惨な死体の数々。なんとか砲撃を免れた敵兵は散り散りになって逃げ出していた。
泣きっ面に蜂とはまさにこのことだ。
「これはひどい」
「推測。着弾地点が僅かに南方に逸れた模様」
「まあ、結果オーライって事で」
「アカツキ中将閣下! お見事でした! ここから先は我々が!」
「レイデン連隊長。ありがとう。くれぐれも気を付けて」
「はっ! 連隊総員見たまえ! 戦場の神、砲兵隊と金切り針が敵を打ち崩した! この機を逃すなっ!」
『アルネシアに悠久の平和を!』
「突撃続行っ!」
『うおおおおおお!!』
「ではアカツキ中将閣下、また後程!」
「了解したよ。貴官等に武運を」
勢い止まず、一個連隊が市街地に突入していく。
自分の部下達だけど、驚くほどに勇猛果敢だなあ……。
「アカツキ中将閣下」
「アレン中佐、よくやってくれたよ。大隊総員、ダメージレポートも兼ねて小休憩にしよっか」
『はっ!!』
・・Φ・・
一八四六年六の月九の日午前六時半に発動された『電光の双剣』作戦。
その初日は人類諸国にとっては輝かしい大戦果を、妖魔帝国にとっては悪夢のような現実を突きつけた。
当時において最高の高機動力を持つ連合王国軍三個能力者化師団と法国軍一個神聖特務師団は戦場を駆け抜け、第一防衛線各地で妖魔帝国軍が備えていた防衛線を突破。その上逐次包囲していき、午後四時頃にはこれ以上の戦線維持は不可能と判断した妖魔帝国軍第一防衛線司令官の賢明な判断により放棄。撤退可能な部隊はオディッサ前面の第二防衛線まで敗走していった。
この時包囲された妖魔帝国軍は約八〇〇〇と言われており、捕虜になるか自決するかを選ばざるを得なかった。
妖魔帝国軍全体の損害は死者約五〇〇〇、負傷者約八〇〇〇。ここに捕虜になった約八〇〇〇を加えると、合計約二一〇〇〇。
実に第一防衛線全体の三分の一が死ぬか負傷するか捕虜になるかだった。
対して、人類諸国統合軍南部統合軍の損害を以下に記す。
死者:約二六〇〇(内、能力者化師団は一〇〇〇。)
負傷者:約四〇〇〇(内、能力者化師団は二三〇〇。復帰可能は一四〇〇)
捕虜:約数百(内、能力者化師団はおよそ半数)
全体の損害は捕虜にされたと推測される者を含めて約七〇〇〇程度。これは参謀本部の事前予測を上回る数であるが、現状は潤沢な医療物資のお陰で能力者化師団については半数以上が復帰可能であった。
休戦前と比較してかなり多い死傷者であるものの人類諸国統合軍にとっては織り込み済みであり、初日にしてパースク制圧。橋頭堡確保とあう得られた戦果を考えれば戦術的勝利は間違いなしと言えるだろう。
しかし、オディッサにいる方面軍司令官は人類諸国統合軍のかつてない侵攻速度に戦慄しつつも、諦めていなかった。
何故ならば、オディッサ方面軍司令官には帝都より渡された贈り物があるからである。
それは翌日以降、人類諸国統合軍にとって機動戦を阻む妨害要素となるのであった。
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