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第12章 ブカレシタ攻防戦決着編
第2話 彼と彼女の違いとは、高度な政治の駆引きにおける手腕。
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・・2・・
ラットン中将の執務室がある建物は司令部が置かれたこの建物からそう離れていない所にある。徒歩五分ほどで到着した。
執務室に入ると、遠征先とはいえ将官の執務室に相応しい体裁が整えられていて、座り心地のいい二人掛けのソファが二つあった。
ラットン中将は話す前にコーヒー紅茶のどちはがいいかと聞いてきたので、作戦会議前に紅茶を飲んだ僕がコーヒーでと言うとコーヒーを用意してくれた。手伝うと言ったけれど、話を聞いてもらう側なのだから座って待っているように言われた僕はソファに腰をおろして待つことにした。
色んな上位階級者の人と話をしてきたけれど、結構このパターン多いんだよね……。慣れたから落ち着かないってことはないんだけども。
「南方産のコーヒーじゃ。適度に苦味と渋みがあって美味じゃよ。ただ、もう夜じゃから砂糖は入れておいた方がよいかもしれんの」
「では少し」
「ほいほい。あと、これがコーヒーに合うクッキーじゃ。ロンドリウムで有名な菓子店から個別品として輸送を頼んで持ってきておっての。甘過ぎずないのが特徴じゃ」
「いいですね。コーヒーにはそれくらいがぴったりですから」
「流石、お主も分かっておるの。茶菓子に関しては共和国にも負けておらぬのが儂らの国じゃ。儂には気にせず食べてくれ。この場に限って階級は気にせんで楽にしていいと伝えておくぞよ」
「はっ。っと、失礼しました。分かりました、ラットン中将閣下」
「よいよい。職業病じゃものな」
「すみません」
僕は苦笑いをすると、対面のソファに座ったラットン中将は微笑してコーヒーカップを手に取り一口飲む。僕も同じようにした。
「程良い苦味と酸味、とても美味しいです。十の月も中旬になりやや肌寒くなってきましたから、温かいコーヒーは心地良い気持ちになりますね」
「そうじゃろ? ほれ、小皿にあるクッキーも食べてみるがよい」
「では失礼して。――これは、うん、すごく美味しいです! 素材を活かしていて甘さが出しゃばりすぎていない、どうしよう、何枚でもいけますよこれ」
「ふぉっふぉっ。アカツキ少将や、まるで童心に帰ったような顔をしとるのお。見とるこっちも嬉しくなるものよ」
「こんなに美味しいクッキーをありがとうございます、ラットン中将閣下。取り寄せたくなりました」
「おお、そうかそうか。今の話を聞いたら店主が泣いて喜びそうじゃの。アカツキ少将も取り寄せているとなれば商売上でも大きな効果になるじゃろて。この戦いが終わったら儂は本国に戻る事になるじゃろし、手配しておくぞ?」
「お願いします! やった、これでまた新しいお店を開拓できそうですっ」
少しの間、コーヒーとクッキーを楽しむ和やかな時間が続く。
けれど、ラットン中将が話したいのはコーヒーと茶菓子についてではないのは僕も分かっている。
話の区切りがついたところで、やはりラットン中将は切り出してきた。
「コーヒータイムでついもりあがってしまったが、本題じゃ。お主に話したいというべきか、相談というべきか、意見を聞いておきたい話での。良いじゃろか」
「もちろん。どんな話でしょうか? もしくは、何がありましたか?」
僕はこれまでのリラックスしていた姿勢をただして、面持ちも真剣なものにする。
ラットン中将の個人的な相談ともなればなんとなくは察しているけれど、やはり本人の口から聞いてみたいところではあるかな。
「ううむ。何かあったと言えば当たらずとも遠からず、じゃろか。リチリア島、と言えば分かるかの?」
「ええ。各国民にとっては『今のところ』は協商連合軍と法国軍が戦い抜き追い出した。と伝わっているリチリア島ですね。ブカレシタで戦う我々にとっても喜ばしい話ではあります。ただし、真相を知っている一部の高級軍人クラスは別。仰りたいのはフィリーネ少将ですね」
「察しが良いお主で助かる。まさにあやつ、フィリーネ少将についてじゃよ」
リチリア島の戦い。
九の月二の日から九の月二十八の日まで、法国南部の島であるリチリア島で繰り広げられた壮絶な島嶼戦。僕達がブカレシタで戦っている最中も逐次情報は入っているから全容は知っていた。
結果は約二万もの死傷者を出した人類側の辛勝。勝利というのには犠牲の多すぎた戦いだった。
というのは、各国の国民や末端の兵士まで知っている部分だ。
ただし、この辛勝は曰く付きでもあるんだよね。
「協商連合軍の参謀達から話は耳にしています。わざわざ機密資料を信頼してくれて開示してくれた人もいました。アレらはラットン中将が許可なさいましたね?」
「勘が良いお主なら気付いておったか。そうじゃ。本国から魔法無線装置で送られる機密情報はいつでもお主に話しても良いと伝えてあった。あやつらも複雑な心境じゃろうし、アカツキ少将がどう思うかも聞いてみたいじゃろからな。で、率直な所じゃがお主はどう思うた?」
「簡潔に述べるのならば、『個の力』を使い道を誤ってしまったと私は愚考しました」
フィリーネ少将がリチリア島の戦いの最終局面で何をしたかも僕は知っている。明らかにこれは噂に尾ひれどころか背びれまで付いているのではないかという情報も目にした。とはいえ、率直な感想は力の使い道を誤ったに尽きると思ったんだ。
「そうじゃよ、なあ……。お主もそう思うか」
「はい。フィリーネ少将の召喚武器『コールブラック・カーシーズ』は、人類諸国各SSランク召喚武器の中でトップクラスの攻撃力を持ち、使用者の魔法能力などを含めて考えれば、その総合力は私の『エイジス』を上回るものです。エイジスは『個』より『全体』を引き上げるのに特化しておりますし、本人の言うように補助型ですから。しかし、あの召喚武器は名だたるSSランクの中でトップクラスなだけあって、代償付きの武器でもあります。性質は『侵食』『狂化』『変質』といったところでしょうか」
「うむ。『コールブラック・カーシーズ』は並大抵の魔法能力者では扱えぬ。強靭な精神力を持つか、もしくは元から半ば狂気に脚を突っ込んでおらねば使いこなせん代物じゃ。フィリーネ少将はおそらく後者かもしれぬの。ただそれでも、あの武器を使えば使うほどあやつの人格は曲がる。あやつの強い進言と、あの戦いより前に見た代償の姿程度ならば大丈夫だろうと判断したのじゃが……」
「どうやらあの召喚武器のツケは底無しのようだったと」
「その通りじゃ……。確かにフィリーネ少将の活躍によってリチリア島は守り抜いた。どんな形であれ、艦隊決戦は回避されこちらの戦力は温存された。が、それは妖魔帝国も同じじゃな。海軍は決戦前の海戦での損害のみにおさまったわけじゃから。また、陸軍に関しても二万から三万程度奴らは失ったが、妖魔帝国軍にとっての二万、三万なぞさほど痛くはなかろう。せいぜい新編された海兵隊の半数以上が死傷したのがやや痛手といったくらいか。それよりも、じゃ。お主なら情報を目にして耳にしておればもう答えに行き着いておるじゃろ」
「ええ、まあ。ラットン中将閣下が仰りたいのは我々にとっての長期的損失の事ですよね」
「うむ。妖魔帝国陸軍のモイスキンじゃったか。奴はほぼ間違いなくこの視点で冷静に思考を巡らして受け入れたのじゃろう。そうでなくては、ああも簡単に引き下がらぬ。恐怖政治のレオニードに十分な説得力を持って理由を述べられるから、リチリア島から撤退したのじゃ」
「妖魔帝国軍にも切れ者がいるようで」
「全くじゃよ。故に我々は面倒な事になった。どうして面倒な事になるか何点か述べていこうかの」
「よろしくお願いします」
ラットン中将が語ってくれたのは、以下のような点だった。
一つ。この件で協商連合はフィリーネ少将を前線に出せなくなった。召喚武器が無くともフィリーネ少将は恐ろしく強いが、やはり召喚武器が有ると無しとでは違ってくる。しかし、フィリーネ少将の悪評が広まれば広まる程好ましく思われなくなり、前線に出せば現場からどんな批判が出るか分からない。そうなると、フィリーネ少将というカードを協商連合は使えなくなるわけだ。簡潔に言うと、切り札の遊兵化だね。
二つ。この話は遅かれ早かれ協商連合だけでなく他国の国民の間に広まる。前世のインターネットがある時代に比べればとても遅いけれど、この世界には新聞という報道媒体がある。魔法無線装置が僕とフィリーネ少将の改革の前から民間はその性能に目をつけていた、改革前後から急速に普及している。現在協商連合政府は情報統制を敷いているけれどいつまで持つか分からない。リチリア島から兵が帰還した辺りが限界だろう。となれば、市民の間にも噂は広まるわけだ。ただしフィリーネ少将は国民からの人気が高いから彼等がどう評価するかは分からない。それでも悪評は流布するだろうけれど。
三つ。改革急進派のフィリーネ少将には例の如く対立派閥が存在したいて、本件はその派閥にとって格好の材料になる。協商連合政府にとって一番痛いのはこの点だろうね。ラットン中将はフィリーネ少将には味方も多いけれど同じくらい敵も多いから内政問題に発展するだろうと言っていた。民主主義の協商連合だからこそ起きる問題でもあるね。何せリチリア島は国内では無く国外に出張った出来事であり、フィリーネ少将を出さなければこうならなかったわけだし。
「とまあこんな所じゃな。フィリーネ少将の行いによって軍だけではない。政府間でも政争の火種になり兼ねなくなったわけじゃ。唯一の幸いはリチリア島は一応勝ったという事実じゃろか。これで負けておったら目も当てられんかったじゃろう」
「外征が軍の問題だけでなく内政問題へ、ですか……。私も他人事ではありませんね……」
「そうじゃろか? 儂にしても協商連合軍の指揮官クラスは誰もそう思わんぞよ?」
「何故ですか? フィリーネ少将と私には共通点が多いはずですが」
僕は素直に疑問に思った。もちろん、フィリーネ少将と自分は同じ改革急進派とはいっても手法や性格など違う点はいくらでもある。けれど、僕としては自身が言ったように決して他人事ではないんだ。だって、今でこそ勝利を重ねているけれどもし負けたら対立派閥である西方領派は批判の旗にするだろうから。
けれど、ラットン中将はそれを否定した。いやいやあやつとお主は正反対だと言わんばかりに。
「うむ。共通点なぞいくらでもある。じゃがな、お主の実績と後ろで支援している面々はどうじゃ?」
「実績というと、A号改革と開戦以来の戦績となりますが」
「まずそこじゃろ。A号改革は勅令じゃろ? そして開戦以来お主は常に外征しており法国の支援にも赴いた。ジトゥーミラ、対チャイカ姉妹戦、我が国との外交、キシュナウ、そして今じゃ。常に戦場にいたのはお主。軍人としての模範的行為じゃろ。それに、お主は『複合優勢火力ドクトリン』の信奉者。じゃがその理由は?」
「常に敵より優勢火力を維持する事で数を上回る敵軍を粉砕。ですがこれには将兵の温存も理由です。我々は兵を失えば失う程に不利になりますから」
「その温存が将兵にとって我等を大事にしてくれていると映っているのじゃよ。最新鋭の兵器があれば勝てる。自分の命を守ってくれる頼もしい相棒になる。それらを与えてくれたのは国王陛下であろうが、進言したのは参謀本部やお主」
「なるほど……。兵を大事にしたい思いはありましたが、まさかそこまで有難く思われているとは……。現場の視点で考えてみて、あったら助かるくらいしか考えていませんでした」
「おおう……。まさかお主、無自覚じゃったとは……」
「いえ、兵から慕われている自覚はありますよ。私は常に指揮官として相応しい振る舞いを心掛けていますから、間違いではなかったとも思っております」
「そうか。まあこの話はここまでにしよう。次にじゃが、お主の支援者については流石に自覚しておろう?」
「え、ええ。国内においてこれ以上の味方はいないと思っております。故にその期待に応えねばならないという責務もありますが、周りに支えられて今まで来れました」
「こと国内において、政治においてフィリーネ少将とアカツキ少将、お主の違いはそこじゃ。言うなれば、支持基盤の違いじゃの」
「支持基盤。国内問題において最重要視される部分ですね」
「まあ貴族のお主じゃからその点は敏感であろ。分かっているであろうが、お主の支持基盤は非常に強力じゃ。まずは地元。ノースロード領。軍官民問わず絶大な人気がある。次に中央においては主要派閥のマーチス大将閣下。お主の嫁は彼の娘じゃろ」
「はい。リイナはマーチス大将閣下の長女です。連合王国では近年あまり起きていませんが、貴族の勢力争いにおいて侯爵家の娘が伯爵家の私に嫁ぎに来たという事実は大きいのは間違いありません」
「うむ。マーチス大将閣下が義父というのは余りにも存在が大きい。しかもマーチス大将閣下の派閥にはオランド海軍大将閣下もおられる。それだけではない。連合王国エルフ理事会の理事長たるアレゼル中将との親交もお主はある。ここに旧東方領全域奪還が加われば、元々東方が故郷で奪還が悲願の彼等にとって実現した場合はお主に対する信頼は確約される。さらにドルノワ工廠など有力ドワーフからの支持。改革によってドワーフあたりも好景気じゃからの。そして極めつけは、連合王国国王陛下じゃな」
「王政の我が国にとってこれ以上の味方はいない、と」
「子供でも分かる話じゃな。お主は国王陛下のお気に入り。国王陛下の期待に常に応えるお主は、アルネシアにおける忠臣と全方位から映っておる。そしてお主の実績は未だ負け無し。よしんば負けたとて、擁護する面々は著しく多数。こうなると、対立派閥が付け入る隙はあるかの?」
「ありませんね。それと、最近ですが西方領派との対立は緩んでいます。挙国一致体制で歩まねば大戦には勝てない。今は国内で争っている場合ではないという国王陛下のお言葉もあって、国王陛下への忠誠が深い西方領派はひとまず矛を収めていますから」
「戦争が良い方向に向かったわけじゃの。で、対立が緩んだのもお主は西方に多少配慮したであろう?」
「はい。参謀本部での作戦立案には、特にダボロドロブ戦などでこれまで前線に立たなかった西方も配置。功績のバランスが東方に中央と西方で歪んでいたので、練成強化も兼ねて要望にお応えしました。産業面でも魔石産出など資源面では西方は重要地点ですから可能な限り口添えはしましたし、やや遅れていた鉄道敷設の追加認証も鉄道局にコネクションがあるのでしました。国立だけでは追いつかない需要を満たすために敷設計画が多い民間鉄道についても同じです。認可制にしてあるこれに関しては、全土で平等に随時許可が下りているはずですが、さりげなく仰った方がおられたので、こちらもさりげなく。とまあこんな所です。お陰で本国に帰還しても休暇が少なくなってしまっていますが」
僕が国王陛下や宮内大臣、マーチス侯爵や関係者などからアドバイスを受けてやってきた事を話すとラットン中将は大きく目を見開いていた。ちなみに休日が減ったのも本当。冬の間、ただでさえ忙しかったけれど国内でゴタゴタされて後方に憂いがあるのは嫌だったから極力嫌われている相手の要望も妥協点を探して着地させたんだ。もちろんこれらを一人でやれるはずもないので、改革以降築いてきた知識と人脈をフル活用したのもまた事実だけどね。皆、僕の頼みならと快く受けてくれたのは本当に助かったよ……。リイナになんてどれだけ助けられたか……。
「じゃからお主は、連合王国どころか国外からも絶賛されるのじゃよ。まさに、付け入る隙が皆無ではないか」
「戦争しているのに揉めるのは嫌ですから。後顧の憂いは極限まで減らすべきです。であるのならば、自分の力は使うべきでしょう。それが国家、それが組織というものです」
「なあ、アカツキ少将」
「なんでしょう、ラットン中将閣下」
「エリアス国防大臣がお主を欲しがる理由がよう分かったわ……」
「エリアス国防大臣が、ですか」
「将来、我が国の首相になりうる逸材とな」
「いやいやいやいや」
「謙遜は程々にしておいた方が良いぞ。協商連合の政府首脳陣は本気でそう思うておる。国防大臣から届いた儂個人宛に届いた魔法無線装置機密情報が先日届いたからの。わざわざ儂しか読めぬよう、留めておいて儂が直に読んだものじゃ」
「ああ……。事態を知ってから会議をして意見共有した頃なら、届きますね……」
「国防大臣も政府首脳陣も、よもやこうなるとまでは予測出来ておらなんだ。召喚武器の代償の激しさを知らなんだ。国防大臣はこう言うておった。『もしフィリーネ少将が正確に伝えていてくれていれば。アカツキ少将のように根回しが、政治の視点でも立ち回りが上手ければこうはならなかったかもしれない』との」
「それは余りにも暴論では。いくら日頃の立ち回りや言動があったとしても結果が出てからでもしかと述べるのはフィリーネ少将に失礼が過ぎます。フィリーネ少将はリチリア島でどんな形であったとしても勝利を掴んだ英雄です。彼女がいなければ勝てませんでした。そもそも、政治手腕も必要とされる貴族でもある私と純粋な軍人であるフィリーネ少将を比べてはなりません。そして、彼女には決して私を引き合いにして批判してはなりません。してはならない、最悪の批判ですよ。ラットン中将閣下に言うのはお門違いなのは承知しています。それでも、です」
僕はこの発言を聞いてこれまで抑えてはいたけれど、ついに反論した。
フィリーネ少将に親近感を覚えているのもある。彼女がまるで前世のあの上官のようであるから、その上官が非難されているように聞こえたからという浅い考えだとしても許せなかった。無論、表の理由として出した、協商連合の批判が理不尽だというのもあるけれど。
「お主にそう言われたら、彼等も耳が痛いであろうな……。しかしの、高度な政治取引の世界にフィリーネ少将がいた以上対策はしておくべきじゃったのも確かではないかの? 急進的な改革は保守派に批判される。ならば根回しも必要じゃ。ところがフィリーネ少将は力押しで行ってきて、実績を出したからいいであろうという姿勢が強かった。口もあまり上手くはない。周りが支えてきたから対立派閥を抑えられた」
「それは私も同じです。むしろ、私の方が周りに支えられたからこそ成し遂げられた側面が強いです」
「であるのならば、お主、フィリーネ少将のウソをどう擁護する?」
「ウソ……。召喚武器の代償ですか」
「うむ。召喚武器の効果にせよ何にせよ、本人が一番知っておる。ならば代償がどれほどまでかあやつは知っておおったろう?」
「それは……」
「これはの、同じように闇属性魔法を使うておる儂じゃから分かる点があるんじゃよ。闇属性はその性格から力も強いが、何かを差し出さねばならん。儂の場合は経験もあるから、調節も効く。使い過ぎれば己に何か起きるのもよう理解しておるから、これくらいにしておくという線引きも出来る」
「ですが、ならばフィリーネ少将も同じでしょう」
「本当にかの? お主はフィリーネ少将の何を知っておるのじゃ?」
「…………」
ラットン中将の目付きが厳しくなる。彼の言う通りだ。僕はフィリーネ少将について書面上でしか知らない。だったらこれ以上は過ぎた発言になる。だから僕は何も言わなかった。
「すまぬ……。ちと遠回りに言い過ぎた。ようはの、あやつはの、どうにも戦争が好きといえか人殺しが好き過ぎる気がするんじゃよ。まるで私を殺してみろ、と言わんばかりにの。演習ですらこれじゃ。その理由は分からん。強いて言うのであれば辛い過去がそうさせているのかもしれぬ。召喚武器が拍車をかけているのかもしれぬ」
「どれもこれも推測の域では、ありませんか」
「そうじゃ。しかし、推測にしては要素が強過ぎる。賢明なお主なら理解出来るじゃろ」
「だとしたら、協商連合は彼女をどうするつもりなんですか。国防大臣から直接話が届いたのならば、もう結論は出たのでしょう?」
「お主はなんでもお見通し、か」
「出たんですね」
「…………うむ」
「だから、この話を私に持ちかけて相談したと。貴方が協商連合軍の有力者で、僕が連合王国軍だけでなく他国にも一定の影響力を持っているから。なら、私が要望通りにした場合、立派な内政干渉ですよ。協商連合への」
「だとしてもじゃ」
「処分内容は。防音魔法はもうかけてあるんでしょう。話し始めにしましたね」
「…………彼女の指揮下にある二個師団の指揮権剥奪。召喚武器は国防省管轄となり実質封印。階級は功績を無視出来ぬから据え置き。ただし、ほとぼりが冷めるまでは閑職行き。じゃ……」
酷い話だ。法国の領土で戦って退けた英雄に対して、これでは事実上の左遷。いやもっと悪い。
対立派閥に配慮し過ぎて、政争を避けたくてフィリーネ少将をスケープゴートにしたとしか言えない処分じゃないか。間違いなく、彼女は絶望するだろう。何せ祖国の為に人類諸国の為に戦ったのにも関わらず、裏切られるのだから。
だけど、これは僕の手に負えない話だ。僕は軍人。政治は専門じゃない。ラットン中将は僕を政治家でもあると誤解しているんだろうけど、それは周りの人々が動いてくれたからこそで自分がしたことなんてアドバイスとコネクションを用いた手回しだけ。
国外に対して同じ事が出来るかと言われれば答えは否、だ。例えフィリーネ少将が、あの人が転生した姿だったと著しく低い可能性で考えたとしても、協商連合に僕がやれることなんて限られている。
だからこう言った。
「率直に申し上げますね。私にどうにかする域を超えています。内政問題に口出しすれば、私が協商連合対立派閥とやらに余計な口出しをするなと言われます。それでも、これをどうにかしろと? 書面上でしか知らない彼女の為に? ブカレシタを終えても山積みされた仕事が残るにも関わらず高度な政治取引の、それも内政干渉甚だしい舞台に立てと?」
「じゃよ、な……。すまぬ……。フィリーネ少将と儂は長い付き合いじゃから、どうにかしてやりたかったのじゃよ……」
「ラットン中将閣下とフィリーネ少将の関係は存じています。が、同情論で私を揺さぶっても無理ですよ。私は連合王国軍の軍人です。第一にあるのは自国の為。忠誠を誓っている国王陛下の為です。感情で他国に干渉などして自国に迷惑をかけられません。私も組織の一員なのです。そもそも、今はブカレシタに集中するべきで、失礼を承知で言いますがこの重要な局面において他国の尻拭いに思考を割く時間はありません。その点を分かっておいでで、この話をしたのならば私は退室させて頂きますよ」
かなりきつい発言をしている自覚はある。ラットン中将に反感を買われても仕方ない失礼極まりない言葉の数々を並べているだろう。
だけど、ここでこそ正論を述べないといけない場だろう。何せこの地は本国ではなく、戦場。明日からの戦いで勝利を掴む為に知恵を絞らないといけない。必要とされれば戦場に立って戦わないといけない。僕は全知全能じゃないんだ。一人のただの人間なんだ。物事には限界があるんだから。
でも。
「…………すまぬ。無茶は承知じゃった。悪い事をしたの……」
「ただし」
「…………え?」
「協商連合の問題が、ひいては我が国に影響してくるのならば話は別です」
「…………今、なんと?」
「フィリーネ少将が戦いたがりなんでしょう? 協商連合軍にとっての切り札の一枚なのでしょう。だったら視点を変えて考えてみれば、使い所は気をつけなければいけませんが我々人類諸国軍にとっての切り札でもあります。必ず、今後の最前線に立つであろう人間です。それに人の噂も悪評も時が経てば薄まります。一年くらいじっとしていれば反対派閥はともかく多くの人なんて忘れますよ。なんならその悪評は本人が現場で拭って汚名返上すればいいじゃないですか。私はとても偉そうに言える立場でありませんが、こういう風にも考えられます」
「じゃったら……、アカツキ少将……」
「予め言っておきますが、効果は期待しないでください。内政干渉にならないギリギリのレベルであくまでエリアス国防大臣に事を穏便にするよう書状をしたためるだけです。最終的にどうするかは、協商連合の首脳陣の方々が決める事ですから」
「感謝する……! 本当に感謝するぞよ、アカツキ少将!」
「しかし、私が動くのであればラットン中将閣下も貴方の持ちうる全ての人脈を駆使してください。処分の一時保留です。さらなる引き伸ばしには限度があるでしょうが、私が正式な書状をここから出す時間的余裕と届くまでの時間がかなり必要になりますから。また、事が事です。マーチス大将閣下にも話を通さねばなりません。マーチス大将閣下が駄目だと言えば私も動けませんから、その点はご容赦を」
特に最後が重要だ。いくらなんでもこの件は僕個人で勝手にやれない。最低でもマーチス侯爵との相談が必要。そのマーチス侯爵が否と言えば僕は何も出来ない。これが物事を進める筋道ってやつだし、あくまで僕は少将なんだから。
それでも、ラットン中将の表情は明るかった。
「うむ、うむ! それくらいならば、やらねばならぬ事よ! 今であればまだ間に合う。すぐにでも動こう!」
「くれぐれもブカレシタに支障がない程度でお願いします。まずは、今目の前にある戦いが先ですから。本来ならば、協商連合の政府がやるべき分野なのですから」
「うむ! 本当に、感謝するぞアカツキ少将!」
「いえ、感謝は事態が上手く運んでからにしてください。上手くいく可能性は低いのですから」
「それでも、じゃ」
ラットン中将はどうやら僕に希望を繋げる気らしい。しまったなあ、明日からは作戦もあるというのに面倒な話を受けてしまった……。
まあでも、フィリーネ少将が長期的視点で現状考えうる最悪の事態になればもっと面倒か……。
僕はすぐに思考を前向きに切り替えると時間も時間だしすぐに動く。懐中時計を見やると、時刻は午後九時前だった。
「善処はします。では、早速マーチス大将閣下に話を通しに行きますのでこれにて。コーヒーとクッキー、ありがとうございました。失礼致します」
僕は敬礼するとラットン中将の執務室を後にする。向かうのはマーチス侯爵の私室がある建物。ここからなら歩いて十分もかからない。明日からの不確定なスケジュールを考えるなら今しかない。
そう結論づけた僕はマーチス侯爵の所へ向かった。
ラットン中将の執務室がある建物は司令部が置かれたこの建物からそう離れていない所にある。徒歩五分ほどで到着した。
執務室に入ると、遠征先とはいえ将官の執務室に相応しい体裁が整えられていて、座り心地のいい二人掛けのソファが二つあった。
ラットン中将は話す前にコーヒー紅茶のどちはがいいかと聞いてきたので、作戦会議前に紅茶を飲んだ僕がコーヒーでと言うとコーヒーを用意してくれた。手伝うと言ったけれど、話を聞いてもらう側なのだから座って待っているように言われた僕はソファに腰をおろして待つことにした。
色んな上位階級者の人と話をしてきたけれど、結構このパターン多いんだよね……。慣れたから落ち着かないってことはないんだけども。
「南方産のコーヒーじゃ。適度に苦味と渋みがあって美味じゃよ。ただ、もう夜じゃから砂糖は入れておいた方がよいかもしれんの」
「では少し」
「ほいほい。あと、これがコーヒーに合うクッキーじゃ。ロンドリウムで有名な菓子店から個別品として輸送を頼んで持ってきておっての。甘過ぎずないのが特徴じゃ」
「いいですね。コーヒーにはそれくらいがぴったりですから」
「流石、お主も分かっておるの。茶菓子に関しては共和国にも負けておらぬのが儂らの国じゃ。儂には気にせず食べてくれ。この場に限って階級は気にせんで楽にしていいと伝えておくぞよ」
「はっ。っと、失礼しました。分かりました、ラットン中将閣下」
「よいよい。職業病じゃものな」
「すみません」
僕は苦笑いをすると、対面のソファに座ったラットン中将は微笑してコーヒーカップを手に取り一口飲む。僕も同じようにした。
「程良い苦味と酸味、とても美味しいです。十の月も中旬になりやや肌寒くなってきましたから、温かいコーヒーは心地良い気持ちになりますね」
「そうじゃろ? ほれ、小皿にあるクッキーも食べてみるがよい」
「では失礼して。――これは、うん、すごく美味しいです! 素材を活かしていて甘さが出しゃばりすぎていない、どうしよう、何枚でもいけますよこれ」
「ふぉっふぉっ。アカツキ少将や、まるで童心に帰ったような顔をしとるのお。見とるこっちも嬉しくなるものよ」
「こんなに美味しいクッキーをありがとうございます、ラットン中将閣下。取り寄せたくなりました」
「おお、そうかそうか。今の話を聞いたら店主が泣いて喜びそうじゃの。アカツキ少将も取り寄せているとなれば商売上でも大きな効果になるじゃろて。この戦いが終わったら儂は本国に戻る事になるじゃろし、手配しておくぞ?」
「お願いします! やった、これでまた新しいお店を開拓できそうですっ」
少しの間、コーヒーとクッキーを楽しむ和やかな時間が続く。
けれど、ラットン中将が話したいのはコーヒーと茶菓子についてではないのは僕も分かっている。
話の区切りがついたところで、やはりラットン中将は切り出してきた。
「コーヒータイムでついもりあがってしまったが、本題じゃ。お主に話したいというべきか、相談というべきか、意見を聞いておきたい話での。良いじゃろか」
「もちろん。どんな話でしょうか? もしくは、何がありましたか?」
僕はこれまでのリラックスしていた姿勢をただして、面持ちも真剣なものにする。
ラットン中将の個人的な相談ともなればなんとなくは察しているけれど、やはり本人の口から聞いてみたいところではあるかな。
「ううむ。何かあったと言えば当たらずとも遠からず、じゃろか。リチリア島、と言えば分かるかの?」
「ええ。各国民にとっては『今のところ』は協商連合軍と法国軍が戦い抜き追い出した。と伝わっているリチリア島ですね。ブカレシタで戦う我々にとっても喜ばしい話ではあります。ただし、真相を知っている一部の高級軍人クラスは別。仰りたいのはフィリーネ少将ですね」
「察しが良いお主で助かる。まさにあやつ、フィリーネ少将についてじゃよ」
リチリア島の戦い。
九の月二の日から九の月二十八の日まで、法国南部の島であるリチリア島で繰り広げられた壮絶な島嶼戦。僕達がブカレシタで戦っている最中も逐次情報は入っているから全容は知っていた。
結果は約二万もの死傷者を出した人類側の辛勝。勝利というのには犠牲の多すぎた戦いだった。
というのは、各国の国民や末端の兵士まで知っている部分だ。
ただし、この辛勝は曰く付きでもあるんだよね。
「協商連合軍の参謀達から話は耳にしています。わざわざ機密資料を信頼してくれて開示してくれた人もいました。アレらはラットン中将が許可なさいましたね?」
「勘が良いお主なら気付いておったか。そうじゃ。本国から魔法無線装置で送られる機密情報はいつでもお主に話しても良いと伝えてあった。あやつらも複雑な心境じゃろうし、アカツキ少将がどう思うかも聞いてみたいじゃろからな。で、率直な所じゃがお主はどう思うた?」
「簡潔に述べるのならば、『個の力』を使い道を誤ってしまったと私は愚考しました」
フィリーネ少将がリチリア島の戦いの最終局面で何をしたかも僕は知っている。明らかにこれは噂に尾ひれどころか背びれまで付いているのではないかという情報も目にした。とはいえ、率直な感想は力の使い道を誤ったに尽きると思ったんだ。
「そうじゃよ、なあ……。お主もそう思うか」
「はい。フィリーネ少将の召喚武器『コールブラック・カーシーズ』は、人類諸国各SSランク召喚武器の中でトップクラスの攻撃力を持ち、使用者の魔法能力などを含めて考えれば、その総合力は私の『エイジス』を上回るものです。エイジスは『個』より『全体』を引き上げるのに特化しておりますし、本人の言うように補助型ですから。しかし、あの召喚武器は名だたるSSランクの中でトップクラスなだけあって、代償付きの武器でもあります。性質は『侵食』『狂化』『変質』といったところでしょうか」
「うむ。『コールブラック・カーシーズ』は並大抵の魔法能力者では扱えぬ。強靭な精神力を持つか、もしくは元から半ば狂気に脚を突っ込んでおらねば使いこなせん代物じゃ。フィリーネ少将はおそらく後者かもしれぬの。ただそれでも、あの武器を使えば使うほどあやつの人格は曲がる。あやつの強い進言と、あの戦いより前に見た代償の姿程度ならば大丈夫だろうと判断したのじゃが……」
「どうやらあの召喚武器のツケは底無しのようだったと」
「その通りじゃ……。確かにフィリーネ少将の活躍によってリチリア島は守り抜いた。どんな形であれ、艦隊決戦は回避されこちらの戦力は温存された。が、それは妖魔帝国も同じじゃな。海軍は決戦前の海戦での損害のみにおさまったわけじゃから。また、陸軍に関しても二万から三万程度奴らは失ったが、妖魔帝国軍にとっての二万、三万なぞさほど痛くはなかろう。せいぜい新編された海兵隊の半数以上が死傷したのがやや痛手といったくらいか。それよりも、じゃ。お主なら情報を目にして耳にしておればもう答えに行き着いておるじゃろ」
「ええ、まあ。ラットン中将閣下が仰りたいのは我々にとっての長期的損失の事ですよね」
「うむ。妖魔帝国陸軍のモイスキンじゃったか。奴はほぼ間違いなくこの視点で冷静に思考を巡らして受け入れたのじゃろう。そうでなくては、ああも簡単に引き下がらぬ。恐怖政治のレオニードに十分な説得力を持って理由を述べられるから、リチリア島から撤退したのじゃ」
「妖魔帝国軍にも切れ者がいるようで」
「全くじゃよ。故に我々は面倒な事になった。どうして面倒な事になるか何点か述べていこうかの」
「よろしくお願いします」
ラットン中将が語ってくれたのは、以下のような点だった。
一つ。この件で協商連合はフィリーネ少将を前線に出せなくなった。召喚武器が無くともフィリーネ少将は恐ろしく強いが、やはり召喚武器が有ると無しとでは違ってくる。しかし、フィリーネ少将の悪評が広まれば広まる程好ましく思われなくなり、前線に出せば現場からどんな批判が出るか分からない。そうなると、フィリーネ少将というカードを協商連合は使えなくなるわけだ。簡潔に言うと、切り札の遊兵化だね。
二つ。この話は遅かれ早かれ協商連合だけでなく他国の国民の間に広まる。前世のインターネットがある時代に比べればとても遅いけれど、この世界には新聞という報道媒体がある。魔法無線装置が僕とフィリーネ少将の改革の前から民間はその性能に目をつけていた、改革前後から急速に普及している。現在協商連合政府は情報統制を敷いているけれどいつまで持つか分からない。リチリア島から兵が帰還した辺りが限界だろう。となれば、市民の間にも噂は広まるわけだ。ただしフィリーネ少将は国民からの人気が高いから彼等がどう評価するかは分からない。それでも悪評は流布するだろうけれど。
三つ。改革急進派のフィリーネ少将には例の如く対立派閥が存在したいて、本件はその派閥にとって格好の材料になる。協商連合政府にとって一番痛いのはこの点だろうね。ラットン中将はフィリーネ少将には味方も多いけれど同じくらい敵も多いから内政問題に発展するだろうと言っていた。民主主義の協商連合だからこそ起きる問題でもあるね。何せリチリア島は国内では無く国外に出張った出来事であり、フィリーネ少将を出さなければこうならなかったわけだし。
「とまあこんな所じゃな。フィリーネ少将の行いによって軍だけではない。政府間でも政争の火種になり兼ねなくなったわけじゃ。唯一の幸いはリチリア島は一応勝ったという事実じゃろか。これで負けておったら目も当てられんかったじゃろう」
「外征が軍の問題だけでなく内政問題へ、ですか……。私も他人事ではありませんね……」
「そうじゃろか? 儂にしても協商連合軍の指揮官クラスは誰もそう思わんぞよ?」
「何故ですか? フィリーネ少将と私には共通点が多いはずですが」
僕は素直に疑問に思った。もちろん、フィリーネ少将と自分は同じ改革急進派とはいっても手法や性格など違う点はいくらでもある。けれど、僕としては自身が言ったように決して他人事ではないんだ。だって、今でこそ勝利を重ねているけれどもし負けたら対立派閥である西方領派は批判の旗にするだろうから。
けれど、ラットン中将はそれを否定した。いやいやあやつとお主は正反対だと言わんばかりに。
「うむ。共通点なぞいくらでもある。じゃがな、お主の実績と後ろで支援している面々はどうじゃ?」
「実績というと、A号改革と開戦以来の戦績となりますが」
「まずそこじゃろ。A号改革は勅令じゃろ? そして開戦以来お主は常に外征しており法国の支援にも赴いた。ジトゥーミラ、対チャイカ姉妹戦、我が国との外交、キシュナウ、そして今じゃ。常に戦場にいたのはお主。軍人としての模範的行為じゃろ。それに、お主は『複合優勢火力ドクトリン』の信奉者。じゃがその理由は?」
「常に敵より優勢火力を維持する事で数を上回る敵軍を粉砕。ですがこれには将兵の温存も理由です。我々は兵を失えば失う程に不利になりますから」
「その温存が将兵にとって我等を大事にしてくれていると映っているのじゃよ。最新鋭の兵器があれば勝てる。自分の命を守ってくれる頼もしい相棒になる。それらを与えてくれたのは国王陛下であろうが、進言したのは参謀本部やお主」
「なるほど……。兵を大事にしたい思いはありましたが、まさかそこまで有難く思われているとは……。現場の視点で考えてみて、あったら助かるくらいしか考えていませんでした」
「おおう……。まさかお主、無自覚じゃったとは……」
「いえ、兵から慕われている自覚はありますよ。私は常に指揮官として相応しい振る舞いを心掛けていますから、間違いではなかったとも思っております」
「そうか。まあこの話はここまでにしよう。次にじゃが、お主の支援者については流石に自覚しておろう?」
「え、ええ。国内においてこれ以上の味方はいないと思っております。故にその期待に応えねばならないという責務もありますが、周りに支えられて今まで来れました」
「こと国内において、政治においてフィリーネ少将とアカツキ少将、お主の違いはそこじゃ。言うなれば、支持基盤の違いじゃの」
「支持基盤。国内問題において最重要視される部分ですね」
「まあ貴族のお主じゃからその点は敏感であろ。分かっているであろうが、お主の支持基盤は非常に強力じゃ。まずは地元。ノースロード領。軍官民問わず絶大な人気がある。次に中央においては主要派閥のマーチス大将閣下。お主の嫁は彼の娘じゃろ」
「はい。リイナはマーチス大将閣下の長女です。連合王国では近年あまり起きていませんが、貴族の勢力争いにおいて侯爵家の娘が伯爵家の私に嫁ぎに来たという事実は大きいのは間違いありません」
「うむ。マーチス大将閣下が義父というのは余りにも存在が大きい。しかもマーチス大将閣下の派閥にはオランド海軍大将閣下もおられる。それだけではない。連合王国エルフ理事会の理事長たるアレゼル中将との親交もお主はある。ここに旧東方領全域奪還が加われば、元々東方が故郷で奪還が悲願の彼等にとって実現した場合はお主に対する信頼は確約される。さらにドルノワ工廠など有力ドワーフからの支持。改革によってドワーフあたりも好景気じゃからの。そして極めつけは、連合王国国王陛下じゃな」
「王政の我が国にとってこれ以上の味方はいない、と」
「子供でも分かる話じゃな。お主は国王陛下のお気に入り。国王陛下の期待に常に応えるお主は、アルネシアにおける忠臣と全方位から映っておる。そしてお主の実績は未だ負け無し。よしんば負けたとて、擁護する面々は著しく多数。こうなると、対立派閥が付け入る隙はあるかの?」
「ありませんね。それと、最近ですが西方領派との対立は緩んでいます。挙国一致体制で歩まねば大戦には勝てない。今は国内で争っている場合ではないという国王陛下のお言葉もあって、国王陛下への忠誠が深い西方領派はひとまず矛を収めていますから」
「戦争が良い方向に向かったわけじゃの。で、対立が緩んだのもお主は西方に多少配慮したであろう?」
「はい。参謀本部での作戦立案には、特にダボロドロブ戦などでこれまで前線に立たなかった西方も配置。功績のバランスが東方に中央と西方で歪んでいたので、練成強化も兼ねて要望にお応えしました。産業面でも魔石産出など資源面では西方は重要地点ですから可能な限り口添えはしましたし、やや遅れていた鉄道敷設の追加認証も鉄道局にコネクションがあるのでしました。国立だけでは追いつかない需要を満たすために敷設計画が多い民間鉄道についても同じです。認可制にしてあるこれに関しては、全土で平等に随時許可が下りているはずですが、さりげなく仰った方がおられたので、こちらもさりげなく。とまあこんな所です。お陰で本国に帰還しても休暇が少なくなってしまっていますが」
僕が国王陛下や宮内大臣、マーチス侯爵や関係者などからアドバイスを受けてやってきた事を話すとラットン中将は大きく目を見開いていた。ちなみに休日が減ったのも本当。冬の間、ただでさえ忙しかったけれど国内でゴタゴタされて後方に憂いがあるのは嫌だったから極力嫌われている相手の要望も妥協点を探して着地させたんだ。もちろんこれらを一人でやれるはずもないので、改革以降築いてきた知識と人脈をフル活用したのもまた事実だけどね。皆、僕の頼みならと快く受けてくれたのは本当に助かったよ……。リイナになんてどれだけ助けられたか……。
「じゃからお主は、連合王国どころか国外からも絶賛されるのじゃよ。まさに、付け入る隙が皆無ではないか」
「戦争しているのに揉めるのは嫌ですから。後顧の憂いは極限まで減らすべきです。であるのならば、自分の力は使うべきでしょう。それが国家、それが組織というものです」
「なあ、アカツキ少将」
「なんでしょう、ラットン中将閣下」
「エリアス国防大臣がお主を欲しがる理由がよう分かったわ……」
「エリアス国防大臣が、ですか」
「将来、我が国の首相になりうる逸材とな」
「いやいやいやいや」
「謙遜は程々にしておいた方が良いぞ。協商連合の政府首脳陣は本気でそう思うておる。国防大臣から届いた儂個人宛に届いた魔法無線装置機密情報が先日届いたからの。わざわざ儂しか読めぬよう、留めておいて儂が直に読んだものじゃ」
「ああ……。事態を知ってから会議をして意見共有した頃なら、届きますね……」
「国防大臣も政府首脳陣も、よもやこうなるとまでは予測出来ておらなんだ。召喚武器の代償の激しさを知らなんだ。国防大臣はこう言うておった。『もしフィリーネ少将が正確に伝えていてくれていれば。アカツキ少将のように根回しが、政治の視点でも立ち回りが上手ければこうはならなかったかもしれない』との」
「それは余りにも暴論では。いくら日頃の立ち回りや言動があったとしても結果が出てからでもしかと述べるのはフィリーネ少将に失礼が過ぎます。フィリーネ少将はリチリア島でどんな形であったとしても勝利を掴んだ英雄です。彼女がいなければ勝てませんでした。そもそも、政治手腕も必要とされる貴族でもある私と純粋な軍人であるフィリーネ少将を比べてはなりません。そして、彼女には決して私を引き合いにして批判してはなりません。してはならない、最悪の批判ですよ。ラットン中将閣下に言うのはお門違いなのは承知しています。それでも、です」
僕はこの発言を聞いてこれまで抑えてはいたけれど、ついに反論した。
フィリーネ少将に親近感を覚えているのもある。彼女がまるで前世のあの上官のようであるから、その上官が非難されているように聞こえたからという浅い考えだとしても許せなかった。無論、表の理由として出した、協商連合の批判が理不尽だというのもあるけれど。
「お主にそう言われたら、彼等も耳が痛いであろうな……。しかしの、高度な政治取引の世界にフィリーネ少将がいた以上対策はしておくべきじゃったのも確かではないかの? 急進的な改革は保守派に批判される。ならば根回しも必要じゃ。ところがフィリーネ少将は力押しで行ってきて、実績を出したからいいであろうという姿勢が強かった。口もあまり上手くはない。周りが支えてきたから対立派閥を抑えられた」
「それは私も同じです。むしろ、私の方が周りに支えられたからこそ成し遂げられた側面が強いです」
「であるのならば、お主、フィリーネ少将のウソをどう擁護する?」
「ウソ……。召喚武器の代償ですか」
「うむ。召喚武器の効果にせよ何にせよ、本人が一番知っておる。ならば代償がどれほどまでかあやつは知っておおったろう?」
「それは……」
「これはの、同じように闇属性魔法を使うておる儂じゃから分かる点があるんじゃよ。闇属性はその性格から力も強いが、何かを差し出さねばならん。儂の場合は経験もあるから、調節も効く。使い過ぎれば己に何か起きるのもよう理解しておるから、これくらいにしておくという線引きも出来る」
「ですが、ならばフィリーネ少将も同じでしょう」
「本当にかの? お主はフィリーネ少将の何を知っておるのじゃ?」
「…………」
ラットン中将の目付きが厳しくなる。彼の言う通りだ。僕はフィリーネ少将について書面上でしか知らない。だったらこれ以上は過ぎた発言になる。だから僕は何も言わなかった。
「すまぬ……。ちと遠回りに言い過ぎた。ようはの、あやつはの、どうにも戦争が好きといえか人殺しが好き過ぎる気がするんじゃよ。まるで私を殺してみろ、と言わんばかりにの。演習ですらこれじゃ。その理由は分からん。強いて言うのであれば辛い過去がそうさせているのかもしれぬ。召喚武器が拍車をかけているのかもしれぬ」
「どれもこれも推測の域では、ありませんか」
「そうじゃ。しかし、推測にしては要素が強過ぎる。賢明なお主なら理解出来るじゃろ」
「だとしたら、協商連合は彼女をどうするつもりなんですか。国防大臣から直接話が届いたのならば、もう結論は出たのでしょう?」
「お主はなんでもお見通し、か」
「出たんですね」
「…………うむ」
「だから、この話を私に持ちかけて相談したと。貴方が協商連合軍の有力者で、僕が連合王国軍だけでなく他国にも一定の影響力を持っているから。なら、私が要望通りにした場合、立派な内政干渉ですよ。協商連合への」
「だとしてもじゃ」
「処分内容は。防音魔法はもうかけてあるんでしょう。話し始めにしましたね」
「…………彼女の指揮下にある二個師団の指揮権剥奪。召喚武器は国防省管轄となり実質封印。階級は功績を無視出来ぬから据え置き。ただし、ほとぼりが冷めるまでは閑職行き。じゃ……」
酷い話だ。法国の領土で戦って退けた英雄に対して、これでは事実上の左遷。いやもっと悪い。
対立派閥に配慮し過ぎて、政争を避けたくてフィリーネ少将をスケープゴートにしたとしか言えない処分じゃないか。間違いなく、彼女は絶望するだろう。何せ祖国の為に人類諸国の為に戦ったのにも関わらず、裏切られるのだから。
だけど、これは僕の手に負えない話だ。僕は軍人。政治は専門じゃない。ラットン中将は僕を政治家でもあると誤解しているんだろうけど、それは周りの人々が動いてくれたからこそで自分がしたことなんてアドバイスとコネクションを用いた手回しだけ。
国外に対して同じ事が出来るかと言われれば答えは否、だ。例えフィリーネ少将が、あの人が転生した姿だったと著しく低い可能性で考えたとしても、協商連合に僕がやれることなんて限られている。
だからこう言った。
「率直に申し上げますね。私にどうにかする域を超えています。内政問題に口出しすれば、私が協商連合対立派閥とやらに余計な口出しをするなと言われます。それでも、これをどうにかしろと? 書面上でしか知らない彼女の為に? ブカレシタを終えても山積みされた仕事が残るにも関わらず高度な政治取引の、それも内政干渉甚だしい舞台に立てと?」
「じゃよ、な……。すまぬ……。フィリーネ少将と儂は長い付き合いじゃから、どうにかしてやりたかったのじゃよ……」
「ラットン中将閣下とフィリーネ少将の関係は存じています。が、同情論で私を揺さぶっても無理ですよ。私は連合王国軍の軍人です。第一にあるのは自国の為。忠誠を誓っている国王陛下の為です。感情で他国に干渉などして自国に迷惑をかけられません。私も組織の一員なのです。そもそも、今はブカレシタに集中するべきで、失礼を承知で言いますがこの重要な局面において他国の尻拭いに思考を割く時間はありません。その点を分かっておいでで、この話をしたのならば私は退室させて頂きますよ」
かなりきつい発言をしている自覚はある。ラットン中将に反感を買われても仕方ない失礼極まりない言葉の数々を並べているだろう。
だけど、ここでこそ正論を述べないといけない場だろう。何せこの地は本国ではなく、戦場。明日からの戦いで勝利を掴む為に知恵を絞らないといけない。必要とされれば戦場に立って戦わないといけない。僕は全知全能じゃないんだ。一人のただの人間なんだ。物事には限界があるんだから。
でも。
「…………すまぬ。無茶は承知じゃった。悪い事をしたの……」
「ただし」
「…………え?」
「協商連合の問題が、ひいては我が国に影響してくるのならば話は別です」
「…………今、なんと?」
「フィリーネ少将が戦いたがりなんでしょう? 協商連合軍にとっての切り札の一枚なのでしょう。だったら視点を変えて考えてみれば、使い所は気をつけなければいけませんが我々人類諸国軍にとっての切り札でもあります。必ず、今後の最前線に立つであろう人間です。それに人の噂も悪評も時が経てば薄まります。一年くらいじっとしていれば反対派閥はともかく多くの人なんて忘れますよ。なんならその悪評は本人が現場で拭って汚名返上すればいいじゃないですか。私はとても偉そうに言える立場でありませんが、こういう風にも考えられます」
「じゃったら……、アカツキ少将……」
「予め言っておきますが、効果は期待しないでください。内政干渉にならないギリギリのレベルであくまでエリアス国防大臣に事を穏便にするよう書状をしたためるだけです。最終的にどうするかは、協商連合の首脳陣の方々が決める事ですから」
「感謝する……! 本当に感謝するぞよ、アカツキ少将!」
「しかし、私が動くのであればラットン中将閣下も貴方の持ちうる全ての人脈を駆使してください。処分の一時保留です。さらなる引き伸ばしには限度があるでしょうが、私が正式な書状をここから出す時間的余裕と届くまでの時間がかなり必要になりますから。また、事が事です。マーチス大将閣下にも話を通さねばなりません。マーチス大将閣下が駄目だと言えば私も動けませんから、その点はご容赦を」
特に最後が重要だ。いくらなんでもこの件は僕個人で勝手にやれない。最低でもマーチス侯爵との相談が必要。そのマーチス侯爵が否と言えば僕は何も出来ない。これが物事を進める筋道ってやつだし、あくまで僕は少将なんだから。
それでも、ラットン中将の表情は明るかった。
「うむ、うむ! それくらいならば、やらねばならぬ事よ! 今であればまだ間に合う。すぐにでも動こう!」
「くれぐれもブカレシタに支障がない程度でお願いします。まずは、今目の前にある戦いが先ですから。本来ならば、協商連合の政府がやるべき分野なのですから」
「うむ! 本当に、感謝するぞアカツキ少将!」
「いえ、感謝は事態が上手く運んでからにしてください。上手くいく可能性は低いのですから」
「それでも、じゃ」
ラットン中将はどうやら僕に希望を繋げる気らしい。しまったなあ、明日からは作戦もあるというのに面倒な話を受けてしまった……。
まあでも、フィリーネ少将が長期的視点で現状考えうる最悪の事態になればもっと面倒か……。
僕はすぐに思考を前向きに切り替えると時間も時間だしすぐに動く。懐中時計を見やると、時刻は午後九時前だった。
「善処はします。では、早速マーチス大将閣下に話を通しに行きますのでこれにて。コーヒーとクッキー、ありがとうございました。失礼致します」
僕は敬礼するとラットン中将の執務室を後にする。向かうのはマーチス侯爵の私室がある建物。ここからなら歩いて十分もかからない。明日からの不確定なスケジュールを考えるなら今しかない。
そう結論づけた僕はマーチス侯爵の所へ向かった。
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