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第五章

157 新たな大陸と手に入れた成果

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 お待たせいたしました。
 第五章を本日から開始いたします。
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 国境門を抜けると、そこには既視感のある光景が広がっていた。

 紫色の空に、灰色の地面。

 そう、以前リジャンシャン樹海にあった小さな国境門の先と、同じ光景である。

 これは似たような大陸なのか、それとも同じ大陸なのだろうか?

 同じだとすれば、あの時いなくなったゲヘナデモクレスがいるかもしれない。

 偶然だが、こういう事もあるのだろう。

 さて、それよりもまずは先に、周囲のザコを片付けるとしよう。

 国境門を抜けた先には、無数のモンスターがいた。

 ほとんどはスケルトンであり、上位種が多少いるくらいだ。

「出てこい、ネームドたち」

 俺はそこで名付けたモンスターである、サン・ジョン・トーン・アロマ・ホブン・アンク・グインを召喚して戦わせる。

 もちろん俺もレフに騎乗しながら、ザコを蹴散けちらしていく。

 そうして何事もなく、敵を一掃した。

 カード化も行ったことで、周囲の地面も綺麗になる。

 とりあえず敵の姿も見えなくなったので、これで一息つけるだろう。

 俺はようやく、纏っていたカオスアーマーを解除した。

 全能感が無くなり、体に重い疲れがやってくる。

 魔力もかなり消費したこともあり、余計にそう感じた。

 これは、少し休憩した方がいいな。

 それに移動よりも先に、まずは偵察が必要だろう。

 俺はそう考えるとアサシンクロウを無数に召喚して、偵察に向かわせた。

 ネームドたちには、周囲を警戒させる。

 その間に俺は生活魔法の製作で椅子を作ると、それに腰掛けた。

 空は紫色だが、意外と明るい。太陽が見当たらないのに、不思議な光景だ。

 加えて気温は少し肌寒い程度だし、過ごしやすい。

 それと何となくだが、こんな魔界のような世界なのにも関わらず、居心地が良く感じる。

 レフとアンクも、同じように居心地が良いみたいだ。

 逆にアロマは、少し不快感があるらしい。

 そして他は、別に何も感じないみたいだ。

 意外なのは、サンも何も感じていないことだろう。

 アンデッド系だし、一番居心地が良いと思ったのだが。

 この違いは、何だろうか。

 共通点は俺・レフ・アンクは、闇属性適性を持っていることだ。

 居心地が悪く感じるアロマは、癒属性である。

 そして何も感じないサンは、闇光属性だ。

 簡単に推測するとしたら、闇属性系は居心地がよく、光属性系は不快に感じるのだろう。

 だとすれば、癒属性は光属性寄りということになる。

 つまり闇属性と光属性の両方を持つサンは、相殺されて何も感じないのだろう。

 いや、なら俺はどうなんだ? 俺は全属性適性であり、闇系も光系も持っていることになる。

 であれば、サンと同じく何も感じないはずだ。

 それなのに居心地が良く感じるという事は、俺自身が闇寄りなのかもしれない。

 カオスアーマーのスキルもあるし、可能性は十分にある。

 まあだとしても、現状では特に気にする必要もないだろう。

 アロマもそこまで影響は出ていないみたいだし、問題ない。

 こういう環境の世界もあるのだと、割り切ることにする。

 それに環境についてよりも、この空いた時間の内にしておくことがある。

 それは、手に入れたカードの確認作業だ。

 アンデッド軍団との戦いで、かなりの数を手に入れた。

 仕分け作業に時間がかかりそうだが、やる必要がある。

 なので椅子だけではなく、作業しやすいように少し広めの机を作り出し、目の前に出す。

 よし、早速カードの仕分けを始めよう。

 ◆

 あれからしばらく時間が経ち、ようやく仕分け作業が完了する。

 結果として、手に入れたカードは以下のようになった。


【入手カード】
 ・スケルトン(F) 991枚
 ・ボーンバード(F) 18枚
 ・ボーンビースト(E)23枚 
 ・ハイスケルトン(E) 425枚
 
 ・スケルトンアーチャー(D) 685枚
 ・スケルトンソードマン(D) 458枚
 ・スケルトンソーサラー(D) 382枚

 ・スケルトンナイト(C) 86枚
 ・ガシャドクロ(B) 10枚
 合計3,078枚


 先にダークエルフたちが頑張っていたので、ハイスケルトンはこれでも少な目だ。

 ボーンバードとボーンビーストは、国境門を抜けた先にしかいなかったから、こちらも少ない。

 逆にスケルトンナイトはほとんど俺たちが倒し、ガシャドクロに至っては俺たちが独占した形だ。

 ソーサラーもアーチャーやソードマンより数が少なく、基本後方にいたから多く倒せたと思う。

 ちなみにスケルトンが991枚なのは、既に持っていたのが9枚だからである。

 同じカードの上限枚数は、1,000枚だ。

 そしてこの1,000枚は、次のオーバーレボリューションの候補でもある。

 以前はCランクのリビングアーマーを融合した結果、ゲヘナデモクレスが誕生した。

 であればFランクのスケルトンなら、もう少し扱いやすいモンスターになるだろう。

 強いのは良いことだが、扱いやすさも考慮しなければならない。

 少なくとも俺より強い個体になりそうなのは、止めた方がいいだろう。

 そうして倒した成果は、3,078枚となった。

 ちなみに、各種族の能力はこんな感じである。


 種族:スケルトン(F)
 種族特性
【生命探知】

 ◆

 種族:ボーンバード(F)
 種族特性
【生命探知】【飛行】

 ◆

 種族:ボーンビースト(E)
 種族特性
【生命探知】【爪強化(小)】
あぎと強化(小)】

 ◆

 種族:ハイスケルトン(E)
 種族特性
【生命探知】【闇属性適性】【闇属性耐性(小)】

 ◆

 種族:スケルトンアーチャー(D)
 種族特性
【生命探知】【闇属性適性】【闇属性耐性(小)】
【弓適性】【アロー】

 ◆

 種族:スケルトンソードマン(D)
 種族特性
【生命探知】【闇属性適性】【闇属性耐性(小)】
【剣適性】【スラッシュ】

 ◆

 種族:スケルトンソーサラー(D)
 種族特性
【生命探知】【闇属性適性】【闇属性耐性(小)】
【シャドーニードル】【マナドレイン】

 ◆

 種族:スケルトンナイト(C)
 種族特性
【生命探知】【闇属性適性】【闇属性耐性(小)】
【剣盾適性】【スラッシュ】【ガード】【集団指揮】

 ◆

 種族:ガシャドクロ(B)
 種族特性
【闇属性適性】【闇属性耐性(大)】
【物理耐性(中)】【魔法耐性(小)】
【生命探知】【マナドレイン】
【再生】【瘴気生成】


 役割もしっかりしているので、軍団として運用するには十分だろう。

 しかしこれだけの数は流石に容量を圧迫するので、ある程度削ることにする。

 結果として削ったカードは、以下の通りとなる。


 ・ボーンバード(F) 18枚→10枚
 ・ボーンビースト(E)23枚→20枚
 ・ハイスケルトン(E) 425枚→100枚
 ・スケルトンアーチャー(D) 685枚→500枚


 ハイスケルトンは、大幅に削った。

 それでも、多いくらいである。

 正直ハイスケルトンは、少し強いスケルトンだ。

 上位種も大量にいるし、使い道は少ないだろう。

 けどせっかく手に入れたので、100枚残したのである。

 それと削るのとは逆に、ソードマンとソーサラーは500枚に揃えたい。

 またナイトも100枚にしたいところだ。

 なので見つけ次第、カード化していこうと思う。

 個人的に、なるべく数は綺麗に揃えておきたい派である。

 容量はまだ余裕がある感じだし、大丈夫だろう。

 何となくだが、戦いを積み重ねたり魔力を頻繁に使うと、魔力上限が少しずつ増えている気がする。

 上限がどれくらいかは不明だが、まだまだ伸びそうだ。

 であれば、カードの保有できる容量もしばらくは増えるだろう。

 こうして余計なカードを定期的に削っていれば、それほど容量を気にしなくても問題はなさそうだ。

 それとこれだけカード化したのだから、当然ユニーク個体を期待した。

 けれども期待とは裏腹に、ユニーク個体が一体もいなかったのである。

 これは運が悪いと言い切るのには、無理があるだろう。

 だとすれば、何か理由がありそうだ。

 もしかしたらこの大陸には、ユニーク個体がいないのかもしれない。

 紫色の空と灰色の地面も相まって、この世界には面倒な何かが待っている気がした。

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