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第四章
151 出来ることを処理していく
しおりを挟むまずコイツは、自分からカード化された初めての個体だ。
そういう意味では珍しい個体だが、気になるのはそこではない。
とりあえず、一度能力を確認してみよう。
俺はそう思い、カードからフェアリーの能力を確認する。
種族:フェアリー
種族特性
【幻属性適性】【精神耐性(中)】
【スリープ】【フィアー】【幻物】
【幻変装】【飛行】【姿隠し】
やはりフェアリーは、幻属性という珍しい魔法を使えるようだ。
この中で、スリープは問題なく無効化できた。
しかし問題は、フィアーという魔法が効いたことである。
俺は状態異常耐性(特大)があることから、大抵の状態異常は効かないと思っていた。
だがコイツと初めて会った時、フィアーという魔法に抵抗した感覚など一切なく、効いてしまっている。
属性耐性(特大)もあるが、これはファイアやストーンといった攻撃系魔法のダメージを軽減するものだろう。
だとすればフィアーという魔法を無効化するには、他の耐性が必要という事になる。
その答えについては、既に判明していた。
フェアリーの種族特性にもある通り、精神耐性が必要なのだろう。
俺には病気無効という種族特性があることから、精神耐性も通常の状態異常とは別枠だと思われる。
これについては、早い段階で気がつけたと前向きに捉えよう。
なのでどうにかして、精神耐性のスキルオーブが欲しいところだ。
それとこの機会にどのようなものだったか、もう一度フィアーを受けてみようと思う。
耐性スキルは無いが、経験しておくことで抜け出しやすくなるかもしれない。
そう思い、フェアリーにフィアーの発動を頼む。
「う、うん! わかった! い、いくよ、フィアー!」
「ぐっ!?」
すると想像していた通り、得体のしれない恐怖が襲ってくる。
心の弱い者であれば、喰らっただけで身動きが出来なくなるだろう。
しかしそうした魔法だと知っており、尚且つ経験していれば問題はない。
一瞬行動が遅れてしまうものの、心を強く持つことで打ち消せる。
「だ、だいじょうぶ!?」
「ああ、問題ない」
心配してきたフェアリーにそう言って、軽く息を吐く。
やはり、耐性が無ければかなりやっかいだな。
動きが鈍るのは一瞬だが、その一瞬が命取りになる。
あとは敵を精神的に追い詰めた後に使用すれば、凄いことになりそうだ。
思った以上に、凶悪な魔法かもしれない。
村に戻ったら、一度スキルオーブ屋に在庫が無いか見に行こう。
「あ、あの、ご主人様? も、森がどうなったのか、教えてほしぃなーなんて。えへへ」
するとフェアリーは、そう言って手でごまをすりながら、下手に出てくる。
「別にそこまで下手に出なくても、普通に教えるが……」
そう言葉を返しながら俺は、妖精の森での出来事をフェアリーに伝えた。
「そ、それじゃあ、女王様の仇を討ってくれたんだね! ごしゅ~ありがとぉ!!」
「ごしゅ?」
「う、うん! ごしゅはごしゅだよぉ!」
「そ、そうか」
先ほどと打って変わって、フェアリーの言い方が軽くなる。
まあ、別に呼び方とかはどうでもいいか。
これまでゲヘナデモクレス関連で色々あったからか、俺は多少寛容になった気がする。
「ごしゅ~。ごしゅのシロップ、舐めた~い!」
するとフェアリーがそう言いながら、俺の周りをクルクルと飛び回った。
「フシャァ!」
「ひぎぃ!?」
だが調子に乗り過ぎたのか、レフに捕まって地面に押さえつけられる。
「にゃゴウ!」
「ひぃい、ちょ、調子に乗って、しゅ、しゅみませんでしたぁ!」
フェアリーはピエンピエン泣きながら、そう叫ぶのだった。
距離が近すぎるのも面倒だから、少しは自重してもらいたいところだな。
そうしたやり取りがあった後、フェアリーをカードに戻して一度村へと帰る。
フェアリーの他のスキルは、また今度試そう。
まだまだ他にも試したいことが、いくつかあるからな。
そうして次に目指すのは、スキルオーブ屋だ。
目的はもちろん、精神耐性のスキルオーブである。
争いがあるときは、戦闘に使えるスキルオーブはだいたい売り切れなんだよな。
果たして、精神耐性のスキルオーブはあるだろうか。
そう思いながら、店主に精神耐性のスキルオーブがあるか確認をとる。
すると偶然にも運よく、一つだけ在庫があった。
もちろん、購入を決める。
しかし値段が高く、所持金がかなり心細くなってしまった。
つい最近装飾品を買い揃えたこともあり、これ以上の散財は避けた方がいいかもしれない。
なので防具を買い替えるのは、また金を貯めてからになりそうだ。
そう思いながら一度宿に戻ると、早速購入したスキルオーブを使用する。
『スキル【精神耐性(小)】を習得しました』
『神授スキル【二重取り】が発動しました。スキル【精神耐性(小)】を獲得しました』
『スキルが重複しているため、スキルが統合されました。スキル【精神耐性(小)】は、スキル【精神耐性(中)】に進化しました』
狙っていた通り、精神耐性が(中)に進化した。
これで少しは、大丈夫だろう。
試しにフェアリーを召喚してフィアーを放ってもらったが、全く効かなかった。
やはり耐性があると無しでは、かなり違うな。
他にも専用の耐性が必要なスキルがあるかもしれないし、状態異常耐性の過信には注意しよう。
さて、次にすることは、転移者を倒して手に入れたポイントについてか。
女王ティニアとエルオを倒したことで、残りと合わせて現在100ポイント所持している。
このポイントで精神耐性や自然魔力回復速度上昇を強化してもいいが、選ぶならこれだろう。
俺は迷うことなく100ポイント全てを使い、このスキルを選択した。
『ポイントを使用したことにより、【ダークアーマー】は【カオスアーマー】にランクアップしました』
名称:カオスアーマー
効果
・闇冥属性の鎧を身につけることができる。
【発動中、以下の効果を得る】
・闇冥属性耐性(極大)を得る。
・闇冥属性の効果上昇(極大)
・闇冥属性の消費魔力減少(大)
・あらゆる闇を見通すことが可能になる。
・敵の聖なる者に弱体(小)を与える。
・味方の闇に連なる者に強化(小)を与える。
これは、凄いな……。
想像以上に、効果が優れていた。
流石、100ポイントを使った甲斐がある。
ちなみに、カオスアーマーより先のランクアップは無かった。
つまりこのカオスアーマーが、最終ランクアップ先となる。
それと闇冥属性か。冥というのは、闇の上位属性だろうか?
何となく、ゲヘナデモクレスも使用している気がする。
だとすれば極大耐性もあるし、結構善戦できるのでは?
いや、早計か。召喚回数が限られている以上、もっと強くなってからの方がいいだろう。
だが、良い手札が増えたことには変わりない。
また味方の闇に連なるものを、強化できるようだ。
これがもし闇属性への適性という括りであるならば、レフも強化できるかもしれない。
だとすれば闇属性のモンスターを集めれば、かなり有利になる。
カード化で数を揃えることが可能な俺からすれば、相性の良いスキルだろう。
それに聖なる者、おそらく光属性のモンスターを弱体化することもできる。
印象的に魔王側の能力に思えてしまうが、まあ気にせずに使っていこう。
そういう訳で以上のことから、ポイントについては十分な成果を得られた。
さてと、ポイントを全て使い切ったし、次はアレについて考えよう。
実は他にも、試したいことがあった。
それは、サンの進化についてである。
だいぶ前から進化条件を満たしていたが、ヴァンパイア系にするため、保留にしていた。
しかし選り好みし過ぎた結果、放置に近い状態になっている。
いつ適したモンスターが手に入るか分からない現状、このままではいけないと思った。
なので手持ちのモンスターの中から、融合相手を選ぶことにする。
サンはFランクのジャイアントバットなので、なるべくランクの近いモンスターが良いはずだ。
一瞬今回15枚手に入ったフェアリーと融合しようとも考えたが、フェアリーはCランクである。
明らかに、ランクが離れすぎだ。
フュージョンモンスターは、回数を重ねるほどに強くなる。
確か効果は、こんな感じだった。
名称:フュージョンモンスター
効果
・フュージョン回数に応じて、生命力や魔力、身体能力などが上昇する。
・フュージョン回数に応じて、次回のフュージョン時に種族特性をいくつか引き継ぐことが可能になる。
・ランクアップが不可能になる。
・知力を上昇させ、個を確立する。
以上のことから、離れていても一つ上のEランクまでがいいだろう。
ちなみに現在所持しているFランクとEランクモンスターは、次の通りだ。
【Fランク】
・ジャイアントバット ・ポイズンモス
・スモールモンキー ・ジャイアントリーチ
・スモールマウス ・スライム
・フォレストバード ・ドローンビードル
・ポイズンスクワール ・スケルトン
・リトルトレント ・フライングモスボール
・ソイルバグ
【Eランク】
・ゴブリン ・グレイウルフ
・マッドクラブ ・グリーンスネーク
・ビッグフロッグ ・グリーンキャタピラー
・ソイルワーム ・自爆ネズミ
・スティンクバグ ・ドリルモール
・コボルト ・ファングハイエナ
下手に融合してしまうと、ジョンのような悲しきモンスターになってしまう。
なので融合する時は、細心の注意が必要だ。
そうして俺はどのモンスターとサンを融合させるのか、頭を悩ませるのだった。
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