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第二章
077 モンスター園の危機
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周囲を見れば、無数にモンスターの死骸が散らばっている。
その中心に、一人の男がいた。
おそらく、コイツが犯人だろう。
俺は上空からダークネスチェインで男と、リビングアーマーたちを縛る。
男は拘束されてから慌てだすが、もう遅い。
俺はまずリビングアーマーたちを上空へと一気に引き上げると、そこで締め千切って倒す。
当然持っていた銃や輪が爆発するが、上空なので被害は無い。
無数の破片が、地上へと落ちていくだけだ。
これで、問題はない。
そうして俺は地上に降りて、男を確認する。
よく見れば男は、俺が戦った巨漢の男だった。
確か、茶色い熊を召喚していたやつである。
「だ、誰だお前は!!」
「別に、そんなことはどうでもよくない? 君は既に詰んでいるんだから」
「う、嘘だ……そんなはずはない!!」
現実が受け入れられないのか、巨漢の男が慌てだす。
俺はその隙に、自爆されないように腕を切り飛ばして、ストレージに収納しておく。
「ぐあぁあ!?」
突然の激痛に悲鳴を上げるが、どうでもよかった。
まずはとりあえず、鑑定をする。
名称:カボン
種族:人族
年齢:36
性別:男
スキル
【契約召喚】【アイテムポケット】
【大食い】【精神耐性(小)】
【木登り】【威圧】【拳骨強化(小)】
どうやら名前をカボンといい、スキル構成と見た目から荒くれ者という雰囲気だ。
問題はアイテムポケットであり、何を入れているのか分からない。
それも含めて、以心伝心+で探りを入れる。
結果として訊いてみれば、いろいろな事が判明した。
まずここの襲撃については、コイツが先走ったらしい。
予定よりも早く襲撃して、そのままの勢いでハパンナ子爵の屋敷に一人で向かうつもりだったようだ。
本来はミシェルと合流した後に、行う計画だったのにもかかわらず。
最終的にそこで朽ち果てようと、ツクロダの役に立てればそれでいいらしい。
またそもそもとして、本来ミシェルがこちらを襲撃するはずだったようだ。
しかし俺に負けてしまったことで、計画が変わったという。
あの試合の後やけに静かだったと思ったが、どうやらツクロダへの謝罪で頭がいっぱいだったみたいである。
だが未来視で分かっているなら、そもそも参加するのは一人で良かったのではないかと思ったが、理由があった。
それは未来視が、必ず当たるとは限らないためである。
なので慎重な性格なのか、ツクロダの言う通り二人で挑んだとのこと。
結果として俺に負けたので自責の念と共に、流石ツクロダ様だとより忠誠心が増したという。
ここまでくると狂信者の域だが、そこまでツクロダという人物はカリスマ性に溢れているのだろうか?
なのでツクロダについて調べてみると、凄い力を持っていることや、かっこいいこと、ついて行きたくなるようなカリスマ性があるらしい。
だがその容姿を聞いて、俺は首をかしげることになる。
ツクロダは、身長160cmほどの黒髪黒目の少年で、髪型はキノコに酷似しているようだ。
また丸眼鏡をしており、目が細い。加えて出っ歯の細身の体をしているらしい。
実際に会ったことが無いので分からないが、そこまで絶賛するものを感じなかった。
確かに神授スキルは凄いのだが……。いや、だからか。
俺は、とある事を理解した。
おそらく、相手を洗脳する魔道具があるのだろう。
しかも、精神耐性があっても突破できるようだ。
現にこのカボンという男は、精神耐性(小)を所持している。
これにより、様々な不審点が解消された。
まず王様に気に入られて伯爵になり、姫と結婚したのは、百歩譲っていいだろう。
けれども高々一月ほど前に現れた人間に、果たして国の行く末を決める作戦を任せるだろうか?
あの白い空間では、誤差はあれどほぼ全員同じ時期に転移したはずだ。
であるならば、まだこの世界に来て一月ほどとなる。
もしかしたらあの空間での一秒が、こちらの世界での一日以上という可能性もあるかもしれない。
だがどちらにしても年齢は十六歳らしく、国に現れて一月ほどとこの男は心の中で言っていた。
なのでこの世界に来たのが俺と同時期というのは、ほぼ変わらない。
それで話を戻すが、王様が認めても、周囲の貴族などは反対するだろう。
いかに能力と作戦が優れていても、新参者に反発する貴族は出てくるはずだ。
加えて国の将来のかかった重大な作戦が、そんなすぐに決まるはずがない。
何より一番の問題は、この国が大会中ということだ。
この大会は、かなり神聖なものらしい。
大陸が統一されていた時期からあり、多少名称や形を変えても残っている文化だという。
これは他の二国でも別の時期に行われており、数年に一度代表を決めて三国で競う大切な行事とのこと。
なのでこの時期への他国からの襲撃は有り得ず、逆に大会中の侵攻も有り得ないのだ。
そんなことをすれば、二つの国が同盟を組んで襲ってくる良い口実になってしまう。
なので例えこの作戦がいかに優れていようとも、様々な面から有り得ないことらしい。
だがそれが実際に起こり、成功率もそれに見合うだけの価値がある。
おそらく他の街では、既に手遅れな状況になっている可能性が高い。
流石にそれをどうにかするのは、俺には無理だ。
そしてそれを可能にした物こそ、洗脳の魔道具なのだろう。
おそらくラブライア王国は、既にツクロダの手に落ちている。
これは、想像以上に不味い状況だ。
オブール王国は、かなりの窮地といっても過言ではない。
またドラゴルーラ王国にも、何かしているようだ。
この男も詳しいことは知らないようだが、戦争中に強襲をしているらしい。
そういえば、ノブモ村の宿屋で似たようなことを聞いた記憶がある。
となれば、かなり進んだところまで既に強襲は行われているだろう。
あの銃を持ったリビングアーマーが襲うとなれば、ドラゴルーラ王国もかなり痛手なはずだ。
加えてドラゴルーラ王国は、俺がやってきた国と戦争中でもある。
これは完全に、大陸の統一を目標にしているな。
想像以上に、ツクロダという人物は危険だ。
以前倒したタヌゥカなど、足元にも及ばない。
何か手を考えなければ、この大陸はツクロダの手に落ちる。
俺はそう思いながらも、カボンから引き続き情報を収集した。
するとどうやらアイテムポケットには、連絡用の魔道具が入っているらしい。
他にもモンスター園でなぜかやけに強いおっさんに邪魔されて、他のモンスターを逃がされたとのこと。
その人物は既に死んでいると言っていたので、確認すればこの園を任されているデガロという人物だった。
一度挨拶しただけだが、決して強そうには見えない。
おそらく周囲のモンスターの亡骸は亡くなったデガロのモンスターであり、それで戦ったのだろう。
どうやらカボンがリビングアーマーを召喚した瞬間、合わせるように出してきたという。
もしかしたら、不審に思い後をつけていたのかもしれない。
俺に負けた事で、この男は相当功に焦っていたようだ。
結果として俺が間に合ったのは、この人の頑張りのおかげだろう。
でなければ、今頃無関係のモンスターたちが虐殺されていた。
今はどうすることもできないので、生活魔法の清潔で汚れを落とすくらいしかできない。
とりあえずこのカボンという男を、ハパンナ子爵のところに運ぼう。
ちなみに当然のように茶色熊、ブラウングリズリーやオークを嗾けてきたので、倒しておいた。
またコイツのモンスターは、カード化しない。
他人のモンスター云々というより、生理的な拒否反応が出た。
無理やりではなく、自らこの男に従っていたモンスターなど、欲しくもない。
人を悪人と判断して処分するのと同様に、モンスターも処分する。
モンスターは関係ないとか、可哀そうだとかは一切思わない。
主のために仕方なくだとしても、関係ない。
そこに確固たる意志があったのであれば、同罪だ。
なので俺は男のモンスターはカード化しないが、輪で服従させられているリビングアーマーはカード化を行う。
また園を任せられていたデガロが奮闘したのか、カード化できたのは三十六枚だった。
つまりデガロは、十四匹のリビングアーマーを倒したことになる。
数はミシェルが五十と心の中で言っていたので、間違いない。
たいした人物だ。
そんなことを思いながら、俺は後からここに来る者のために置手紙をデガロの亡骸に持たせると、グリフォンに乗る。
ここでやることも済んだし、戻ろう。
そうしてダークネスチェインでカボンを宙吊り状態にしながら、闘技場へと戻るのだった。
その中心に、一人の男がいた。
おそらく、コイツが犯人だろう。
俺は上空からダークネスチェインで男と、リビングアーマーたちを縛る。
男は拘束されてから慌てだすが、もう遅い。
俺はまずリビングアーマーたちを上空へと一気に引き上げると、そこで締め千切って倒す。
当然持っていた銃や輪が爆発するが、上空なので被害は無い。
無数の破片が、地上へと落ちていくだけだ。
これで、問題はない。
そうして俺は地上に降りて、男を確認する。
よく見れば男は、俺が戦った巨漢の男だった。
確か、茶色い熊を召喚していたやつである。
「だ、誰だお前は!!」
「別に、そんなことはどうでもよくない? 君は既に詰んでいるんだから」
「う、嘘だ……そんなはずはない!!」
現実が受け入れられないのか、巨漢の男が慌てだす。
俺はその隙に、自爆されないように腕を切り飛ばして、ストレージに収納しておく。
「ぐあぁあ!?」
突然の激痛に悲鳴を上げるが、どうでもよかった。
まずはとりあえず、鑑定をする。
名称:カボン
種族:人族
年齢:36
性別:男
スキル
【契約召喚】【アイテムポケット】
【大食い】【精神耐性(小)】
【木登り】【威圧】【拳骨強化(小)】
どうやら名前をカボンといい、スキル構成と見た目から荒くれ者という雰囲気だ。
問題はアイテムポケットであり、何を入れているのか分からない。
それも含めて、以心伝心+で探りを入れる。
結果として訊いてみれば、いろいろな事が判明した。
まずここの襲撃については、コイツが先走ったらしい。
予定よりも早く襲撃して、そのままの勢いでハパンナ子爵の屋敷に一人で向かうつもりだったようだ。
本来はミシェルと合流した後に、行う計画だったのにもかかわらず。
最終的にそこで朽ち果てようと、ツクロダの役に立てればそれでいいらしい。
またそもそもとして、本来ミシェルがこちらを襲撃するはずだったようだ。
しかし俺に負けてしまったことで、計画が変わったという。
あの試合の後やけに静かだったと思ったが、どうやらツクロダへの謝罪で頭がいっぱいだったみたいである。
だが未来視で分かっているなら、そもそも参加するのは一人で良かったのではないかと思ったが、理由があった。
それは未来視が、必ず当たるとは限らないためである。
なので慎重な性格なのか、ツクロダの言う通り二人で挑んだとのこと。
結果として俺に負けたので自責の念と共に、流石ツクロダ様だとより忠誠心が増したという。
ここまでくると狂信者の域だが、そこまでツクロダという人物はカリスマ性に溢れているのだろうか?
なのでツクロダについて調べてみると、凄い力を持っていることや、かっこいいこと、ついて行きたくなるようなカリスマ性があるらしい。
だがその容姿を聞いて、俺は首をかしげることになる。
ツクロダは、身長160cmほどの黒髪黒目の少年で、髪型はキノコに酷似しているようだ。
また丸眼鏡をしており、目が細い。加えて出っ歯の細身の体をしているらしい。
実際に会ったことが無いので分からないが、そこまで絶賛するものを感じなかった。
確かに神授スキルは凄いのだが……。いや、だからか。
俺は、とある事を理解した。
おそらく、相手を洗脳する魔道具があるのだろう。
しかも、精神耐性があっても突破できるようだ。
現にこのカボンという男は、精神耐性(小)を所持している。
これにより、様々な不審点が解消された。
まず王様に気に入られて伯爵になり、姫と結婚したのは、百歩譲っていいだろう。
けれども高々一月ほど前に現れた人間に、果たして国の行く末を決める作戦を任せるだろうか?
あの白い空間では、誤差はあれどほぼ全員同じ時期に転移したはずだ。
であるならば、まだこの世界に来て一月ほどとなる。
もしかしたらあの空間での一秒が、こちらの世界での一日以上という可能性もあるかもしれない。
だがどちらにしても年齢は十六歳らしく、国に現れて一月ほどとこの男は心の中で言っていた。
なのでこの世界に来たのが俺と同時期というのは、ほぼ変わらない。
それで話を戻すが、王様が認めても、周囲の貴族などは反対するだろう。
いかに能力と作戦が優れていても、新参者に反発する貴族は出てくるはずだ。
加えて国の将来のかかった重大な作戦が、そんなすぐに決まるはずがない。
何より一番の問題は、この国が大会中ということだ。
この大会は、かなり神聖なものらしい。
大陸が統一されていた時期からあり、多少名称や形を変えても残っている文化だという。
これは他の二国でも別の時期に行われており、数年に一度代表を決めて三国で競う大切な行事とのこと。
なのでこの時期への他国からの襲撃は有り得ず、逆に大会中の侵攻も有り得ないのだ。
そんなことをすれば、二つの国が同盟を組んで襲ってくる良い口実になってしまう。
なので例えこの作戦がいかに優れていようとも、様々な面から有り得ないことらしい。
だがそれが実際に起こり、成功率もそれに見合うだけの価値がある。
おそらく他の街では、既に手遅れな状況になっている可能性が高い。
流石にそれをどうにかするのは、俺には無理だ。
そしてそれを可能にした物こそ、洗脳の魔道具なのだろう。
おそらくラブライア王国は、既にツクロダの手に落ちている。
これは、想像以上に不味い状況だ。
オブール王国は、かなりの窮地といっても過言ではない。
またドラゴルーラ王国にも、何かしているようだ。
この男も詳しいことは知らないようだが、戦争中に強襲をしているらしい。
そういえば、ノブモ村の宿屋で似たようなことを聞いた記憶がある。
となれば、かなり進んだところまで既に強襲は行われているだろう。
あの銃を持ったリビングアーマーが襲うとなれば、ドラゴルーラ王国もかなり痛手なはずだ。
加えてドラゴルーラ王国は、俺がやってきた国と戦争中でもある。
これは完全に、大陸の統一を目標にしているな。
想像以上に、ツクロダという人物は危険だ。
以前倒したタヌゥカなど、足元にも及ばない。
何か手を考えなければ、この大陸はツクロダの手に落ちる。
俺はそう思いながらも、カボンから引き続き情報を収集した。
するとどうやらアイテムポケットには、連絡用の魔道具が入っているらしい。
他にもモンスター園でなぜかやけに強いおっさんに邪魔されて、他のモンスターを逃がされたとのこと。
その人物は既に死んでいると言っていたので、確認すればこの園を任されているデガロという人物だった。
一度挨拶しただけだが、決して強そうには見えない。
おそらく周囲のモンスターの亡骸は亡くなったデガロのモンスターであり、それで戦ったのだろう。
どうやらカボンがリビングアーマーを召喚した瞬間、合わせるように出してきたという。
もしかしたら、不審に思い後をつけていたのかもしれない。
俺に負けた事で、この男は相当功に焦っていたようだ。
結果として俺が間に合ったのは、この人の頑張りのおかげだろう。
でなければ、今頃無関係のモンスターたちが虐殺されていた。
今はどうすることもできないので、生活魔法の清潔で汚れを落とすくらいしかできない。
とりあえずこのカボンという男を、ハパンナ子爵のところに運ぼう。
ちなみに当然のように茶色熊、ブラウングリズリーやオークを嗾けてきたので、倒しておいた。
またコイツのモンスターは、カード化しない。
他人のモンスター云々というより、生理的な拒否反応が出た。
無理やりではなく、自らこの男に従っていたモンスターなど、欲しくもない。
人を悪人と判断して処分するのと同様に、モンスターも処分する。
モンスターは関係ないとか、可哀そうだとかは一切思わない。
主のために仕方なくだとしても、関係ない。
そこに確固たる意志があったのであれば、同罪だ。
なので俺は男のモンスターはカード化しないが、輪で服従させられているリビングアーマーはカード化を行う。
また園を任せられていたデガロが奮闘したのか、カード化できたのは三十六枚だった。
つまりデガロは、十四匹のリビングアーマーを倒したことになる。
数はミシェルが五十と心の中で言っていたので、間違いない。
たいした人物だ。
そんなことを思いながら、俺は後からここに来る者のために置手紙をデガロの亡骸に持たせると、グリフォンに乗る。
ここでやることも済んだし、戻ろう。
そうしてダークネスチェインでカボンを宙吊り状態にしながら、闘技場へと戻るのだった。
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