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第一章

006 少し豪華な宝箱

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 剣持ちゴブリンに右耳を採取させ、短剣持ちに魔石を採取させる。

 残りは邪魔なので、カードに戻した。

 それと待っている間暇なので、さっそく手に入れたホブゴブリンを召喚してみる。

「ゴブっ!」
「おおっ」

 敵としても迫力があったが、味方になると頼もしい。

 念のため、もう一度鑑定してみる。


 種族:ホブゴブリン
 種族特性
【悪食】【病気耐性(小)】【他種族交配】
【腕力上昇(小)】
 エクストラ
【ダンジョンボス】
 スキル
【棍適性】


 よし、エクストラが消えていない。

 だがこのホブゴブリンを鑑定されたらやっかいなことになりそうなので、エクストラは偽装で隠しておこう。

 うん、偽装も問題なくできたな。

 だがカードに戻してから再度召喚した時にどうなるのか気になったので、試してみたところ問題なくエクストラは偽装されたままだった。

 これで面倒は回避できそうだな。

 そうしてホブゴブリンに棍棒を素振りさせたりしながら待ち、右耳と魔石の採取が終わる。

 よし、そろそろ先へと進むか。

 俺はホブゴブリン達を連れて、ボスエリアを出る。

 そしてしばらく歩くと、少し立派な宝箱がある部屋に辿り着く。

 宝箱の後ろには何やら魔法陣があり、更に奥には道が見える。

 おそらく、ボスを倒したご褒美のようなものだろう。

 だが念のため、新たにゴブリンを召喚して開けさせる。

 当然思った通り罠などはなく、宝箱は開いた。

 少し豪華な宝箱だし、何が入っているのかな。

 安全が確保されたので、さっそく中身を確認する。

「これは、オーブ?」

 手のひらサイズの青いオーブが、一つ入っていた。

 とりあえず、気になったら鑑定。


 名称:下級生活魔法のオーブ
 効果
 適性があれば、使用することで下級生活魔法のスキルが習得できる。


 おおっ! スキルが覚えられるのか。

 適性が必要らしいが、デミゴッドは全属性適性があるので問題ない。

 俺はさっそくオーブを使用してみる。

『スキル【下級生活魔法】を習得しました』
『神授スキル【二重取り】が発動しました。スキル【下級生活魔法】を獲得します』
『スキルが重複しているため、スキルが統合されました。スキル【下級生活魔法】は、スキル【中級生活魔法】に進化しました』

「おおぅ」

 二重取りがヤバいな。

 これは今後オーブを使う度に、上位スキルに進化するということになる。

 だが、どうして二重取りが発動したのだろうか?

 二重取りは、与えられた・・・・・プラス要素に対して、二重に取得することができる。

 これは俺がカード化するのでカード化には発動しないし、村で串焼きを買っても俺が買っているだけなので発動しない。

 つまり、効果説明の与えられたとは少し違う訳だ。

 なら、オーブはどういう訳だ?

 オーブを使用したのは俺だ。けど、与えられたという風に判断された。

 スキルは、誰かに与えられたもの? だとすれば、誰に? いや、この場合神にか。

 スキルを与えられるとすれば、神の可能性が高い。

 それがダンジョンから手に入ったオーブを、俺が使用したとしてもだ。

 何となくだが、二重取りは対等な相手だったり、こちらが金銭的な対価を支払って購入などすると発動しない気がする。

 例えば上位の相手から無償で与えられたり、何かの行動によって報酬として与えられた場合は、発動するのではないだろうか。

 この考えが正しければ、冒険者ギルドで報酬が与えられるとき、二重取りが発動すると思う。

 まあ、まだ二重取りの発動条件は詳しく分かっていないし、これから探っていけばいいか。

 とりあえず、オーブに発動することは理解した。

 そして肝心の中級生活魔法について鑑定してみよう。


 名称:中級生活魔法
 効果
 次の魔法が使用可能になる。
 ・種火 ・飲水 ・微風 ・土塊
 ・光球 ・暗闇 ・清潔 ・氷塊


 おおっ、思ったより色々できそうだな。

 これで中級ってことは、上級もありそうだし、もっとすごそうだ。

 試しに、一つずつ使ってみよう。

 まずは種火。効果は指先から小さな火が出るだけだった。

 次に飲水は、名称の通り蛇口から出る勢いで水が出る。飲んでみるが普通の水だ。

 続いて微風は手の平から風が吹き、土塊は土の塊が現れた。

 この二つは、使い道が限られそうだ。
 
 そして光球は、光の球が現れて辺りを照らす。

 歩いてもついてくるようで、これは便利だ。

 しかし次の暗闇は、何とも言えない。

 光球を消したり、周囲を暗くすることができるだけである。

 ちなみに光球は、念じれば消すことができた。

 だが次の清潔は当たりだ。

 体が風呂上がりのようにリフレッシュして、衣服の汚れなどが綺麗さっぱり消えた。

 ついでにホブゴブリン達にも使ったら、全体的に小綺麗になった。

 これにはホブゴブリン達も心なしか、喜んでいる気がする。

 そして残す最後の氷塊だが、土塊と同じく氷の塊を出すだけだった。

 暑い日の飲み物に入れると、良いかもしれない。
 
 こうして、中級生活魔法の確認は終わった。

 次に気になるのは、この部屋にある魔法陣である。

 とりあえず、鑑定。

 
 名称:転移魔法陣
 説明
 ・乗って念じることで、設定された場所へと転移することができる。
 ・現在ダンジョンの入り口の前が、転移場所に設定されている。


 なるほど。つまりこれを使えば、ダンジョンの外に出られるという訳か。

 これは便利だ。

 しかし、脱出前にもう一つ気になることがある。

 それは、奥へと続く道だ。

 この先に何があるのか、まずは見てからでも遅くはない。

 そう思った俺は、魔法陣を無視して先へと進む。

 念のためホブゴブリンと剣持ち二匹を前衛にして歩かせる。

 後衛は短剣持ち二匹と、宝箱を開けるために召喚した普通のゴブリン一匹だ。

 そうしてしばらく歩くと、部屋に出た。

「これは、キューブか?」

 すると部屋の中央には、全長一メートルほどの赤色のキューブが宙に浮いている。

 加えてくるくると回っているようだった。

 まあ、鑑定。

 
 名称:ダンジョンコア
 説明
 ・ダンジョンを動かす心臓のようなものであり、破壊されるとダンジョンが崩壊する。
 ・ダンジョン内や周囲から得られた魔力を元にして、一定の期間経過でモンスターや宝箱などを全自動で補充する。
 ・魔力量が一定値を越えた場合、ダンジョンの外へと大量のモンスターを吐き出すことで魔力を消費する。
 ・現在半身であるダンジョンボスの消失により、自己崩壊へと向っている。


「まじかぁ……」

 どうやら俺がホブゴブリンをカード化した影響で、このダンジョンコアは自己崩壊に向っているらしい。
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