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第2章

第11話 シルダ

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 アリスを専属侍女にする方法とは、

「国民に話して納得してもらえばいい」

 それはアリスが思ったよりも単純であった。しかし、

「それが成功するとお思いで?」

「ああ、もちろん」

 ルイスの問いに自信満々に答えるアルベール。だが、アリスもそれが上手く行くとは到底思えなかった。

 しかし、アルベールにはある作戦があったのだ。

◆ ◆ ◆

 さて、少しアリス達がいるこの国の説明をしよう。 

 人口はおよそ4000万人ほど。これは世界で見ても割と多い方の部類に入る。歴史ある伝統的な国だ。もちろん歴史があるということは、それだけ様々な出来事があった。

 そして、アルベールは昨夜ある面白い書物を見つけた。国王とその親族しか入れない書庫のようなところにあった。それはこの国の先代国王達の本だった。

 歴史があるということは、今まで多くの国王がいた。もちろん良い国王もいれば、スキャンダルを起こして辞めらされた国王もいた。

 アルベールはその辞めらされた国王達のその後の生活について書いてあるページを見つけたのだった。

 読んでみると、大抵の元国王は居場所が出来ず、孤独に死んでいく者達ばかりだった。中には死罪になった者もいた。

 しかし、1人の男に目が止まった。名前はシルダ。第23代国王。因みにアルベールが第31代国王だ。2人の年の差は100歳を超える。しかもたった3年しか就任していなかった。アルベールが知らなくて当然だった。

 国民からの不満で辞めらされたと書いてある。書物によると、思い立ったらすぐに行動するタイプで、数々の改革で、当時戦争に負けたこの国を救ったそうだった。では、なぜそんな国王が辞めらされたのか。

 シルダにはある愛人がいた。その愛人はなんと奴隷だった。国王であるシルダは奴隷の女性に恋をしてしまったようだ。

 シルダは縁談全てを断り、その理由を国民達に告白した。

 シルダは今までの成し遂げてきた実績で、国民から認められるという自信があった。

 しかし、国民はそう甘くはなかった。すぐに国民の支持率は下がり、辞めろという声が大きくなった。中には死罪を要求するものもいた。
確かに、シルダのスキャンダルなら死罪になってもおかしくなかった。だが、それは今までの実績からか死罪を求める国民が少なく、何とか免れることができた。

 その後、シルダは奴隷の女性と結婚し、他国へと引越していったという話だ。

 アルベールはこれを利用する。アリスと幸せに暮らすために、わざと辞めらされるように仕向けさせるという作戦だ。しかし、これにはある問題がある。それは、死罪の可能性だ。

 シルダは、数々の改革の実績があったため、死罪は免れたが、アルベールにはそんな実績はない。

 しかし、これもアルベールに考えがあったのだ。
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みんなの感想(1件)

ババナ
2021.04.22 ババナ

アリスちゃんは 実家の人達より塩分の多い食事を出されていたのかな?
蛙も水から茹でると逃げ出さない って言うし、徐々に増やせば慣れるでしょ?
緊張 興奮で気絶って 血圧高すぎなんじゃないかなぁ…
なんて 勝手な事を考えてしまいました。ゴメンナサイ!

トモヒロ69
2021.05.01 トモヒロ69

 ババナ様

 感想ありがとうございます!
 アリスは元々病弱な部分があるんだと思います(多分)
 これからも見て頂けると幸いです。

解除

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