Play With Me

偏桃体

13

今までの俺って。

好き。

って言われるから、まあいっかあ、みたいな感じで彼女出来て。

一緒に遊び行ったりメシ食ったりセックスしたり。

周りのヤツらとかにも。

「あ、これ彼女お」

みたいに言ったりして。

付き合えばそれなりに、コイツ好き、って思うけど。

絶対にコイツじゃなきゃやだ、とか、俺と一緒にいてくれっ、とか思ったこと無い。

今の俺は。

ちいさんじゃなきゃ絶対やだ。

自分が好きになった相手に好きって言ってもらえるのがこんなに幸せな気分だとか知らなかったよ。

一緒にいてくれ、って言うか側にいさせて？

俺、ちいさんより年下で頭悪いし、ちいさんは大人で強いひとだけど。

俺が守ってやるよ、とか、そんなんじゃなくて。

うーん、と。

ずっとこうしてちいさん抱き締めてたい。

俺がちいさんの側にいてちいさんが笑っていられる様にしてあげたい。

俺の前では気い抜いて休んでくれたら良いなって。

俺といてほっとしてくれたら良いなって。

そんな風に、俺はなりたいなって。

思うんだよ。

だから。一緒にいさせてよ。

「…ねえ…ちいさん…」

「…うん」

俺の胸に頭乗っけて、ちょっとだるそうにしてる。

俺は左腕でちいさんの背中抱えて。

ちょっと普段よりも幼い感じのちいさんが可愛くて好き。

「あの…さあ…」

「…なに」

ずっとずっと、言いたかった事。ちいさんが俺のお願いに弱いからとかじゃなくて。

俺の本当に本気のお願い。

「か…」

う、なんか言葉に詰まる。

ちゃんと今度こそ頑張って言えよ。

「俺の…彼女になって？お願い…」

言った途端に身体の全部の血が頭に集まったみてえに。

うわ、熱い。俺、湯気出てんじゃねえか？

ぐらぐらするくれえに熱い。

そんですぐ後悔する。

もっとさあ、違う言い方あったろ？

か、彼女になって。

とかじゃなくて、付き合って下さい、とかもっと大人っぽく、俺と一緒にいて欲しい、とかさ。

「お、俺、ちいさんのかっ彼氏になりたいっ…とか思う…し」

ちいさんが何も言わねえから。

「あっ、俺なんかじゃ恥ずかしいかもしれないけどっ」

一人でしゃべる。

「けどっっ！俺、頑張るしっ。ちいさんが一緒にいて恥ずかしくない様に頑張るしっ」

やっぱ、俺なんかじゃ恥ずかしいかな。

ちいさんは綺麗だし大人だし。

俺みてえなガキんちょだと恥ずかしいかな。

そう言えば共通の話題なんてねえよな。いや、俺も少しはニュースとか見る様になったから時事ネタは勉強してるけど。

服とかもお兄系止めてカジュアル系にしたけど。

「俺、ちいさんと話出来る様にいっぱい勉強するからっ」

ちいさんの好きな事とか、ワインとかも勉強するしっ。

政治の事とかもちゃんと今の総理大臣とか政党とかわかる様に頑張るしっ。

掛け算はちゃんと言えるしっ。

「ちいさんが一緒にいて恥ずかしくない様にっ！俺といて楽しくなる様に頑張るからっ」

掛け算とかのレベルで自分でも恥ずかしい。

言いながら、やっぱ俺じゃちいさんの彼氏とか無理じゃん。

ちょっと悲しくなってきた。必死過ぎるのも。

「…俺…頑張るから…」

ちいさんが身体起こして俺見下ろす。

「…バカね」

ちょっと笑ってちいさんが言う。

やっぱ、俺バカ？

「祐輔は今のままで良いのに」

へ？良いの？

「素直で無邪気だから私は安心していられるのよ」

ちいさんが俺のほっぺた。

優しく撫でてくれた。