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そのじゅういち

そのじゅういち-5

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「あ、窓壊れちゃった。フランス製だから修理すんの面倒なんだよねえ」

驚いた様子も無く。

なんでこんなに落ち着いてるんだ、この変態は。

「てめえっ!みのりさんから離れろっ!!」

あたしから手離さず。

「やだね」

「てんめええええええっ!!」

ぶちギレ尊のパンチがっ。

よけた各務先生があたしに覆い被さる。

ソファーの背に尊の手がめり込んで。

「もう、これもフランス製なのに」

ひょうひょうと笑う各務先生。

尊の手が抜けると同時に各務先生がソファーから離れた。うお!尊の手に木屑がっ。

「たっ尊!血が出てるっ」

「みのりさんっ!大丈夫!?もう怖くないからねっ、俺が来たからね!」

あたし抱き締めて背中撫でる。

「ちょっと待っててね、あの変態片付けてくるからね」

そう言って。

隠れ変態が逃げたど変態に向き直る。

「てめえ、覚悟しやがれっ」

「あははっ。鬼ごっこでもするう?」

テラスのガラス戸開け放し外に出るど変態。追う隠れ変態。

「待ちやがれえっ」

「あはははは」

怒声と笑い声が遠くに行く。本気で追いかけっこする気か?

「大丈夫ですか、先生」

なんだ、松本氏もいたのか。

「大丈夫と言うかなんと言うか…」

かろうじてなにもされてはないんだけど。まあ、尊があとちょっと遅かったら。って、考えるとちょっと。

両腕抱えてぶるってしたら。

「各務先生はちょっと…」

松本氏が珍しく言葉濁す。

「普段からテンションが高くて我儘な方ではあるんですが…常軌を逸した我儘は初めてですよ…。僕の寝込み襲うくらいは予想はついてたんですが」

「離婚して自分と結婚しろって言われましたよ…」

松本氏がおでこに手当てて深くため息ついた。

「各務先生の病気ですよ、女性にすぐ結婚と言う言葉を使う。本気で好きなワケでもないから何ヶ月ももたないで破局するんです」

でもそう言うのとはちょっと違ってた様な。

子供にこだわってたし。

松本氏はどこまで知ってんのかな。

「子供が欲しいらしいですよ、各務先生」

あたしが言ったら松本氏がまた深いため息ついた。

「…そうですか」

松本氏はちょっと考えて。

「触発、されたんでしょうね」

「触発?」

「僕の結婚と、幸せそうな天海先生に。各務先生は普通よりも家庭への欲求や願望が強い人ですから」

松本氏はあたしを見て。

「こんな目に合われたんですから天海先生にはお話しておいた方が良いでしょう。尤も、それで各務先生を許せとは言いませんが」

いつものトーンで話し始めた。




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