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そのさん
そのさん-3
しおりを挟む「あら!やっぱり可愛いわねえ、みのりちゃん!」
瞳子さんのお店。
マタニティードレス試着するあたし。
今度マタニティー&ベビーウェアを新たに展開するらしい。
お昼ご飯誘われたついでに試着会。
尊が迎え来るって煩かったけど。
仕事しろよ。と。思ってタクシーでお店まで来た。
尊は四階でお仕事中。多分お昼なったら降りて来るやろ。
「もう、いっその事みのりちゃん、ポスターのモデルやらない?」
「あはは…それ、尊が絶対嫌がりますよ」
「そうねえ。あの子、みのりちゃん人前に出すの嫌がるものねえ」
人前どころか家から出るのも嫌がります。
ところで。
尊って仕事中はどうなんやろ。
ちゃんと仕事してんのかね。
「瞳子さん。尊ちゃんと仕事してます?」
「うん?そうね、意外としてるわよ。今も取引先の担当者と打ち合わせしてるわ」
おお。おフランスの人とですかっ。
「後で彼も一緒にランチしましょ」
か、彼。
女の人やないのか。そうか。
「でも、会社で愛想悪いのよね。あの子」
そうなんや。
「お客さん相手には愛想良くするんだけど。社内じゃ無愛想だから女子社員には受け悪いわよ」
ははは。
「すいません…」
「みのりちゃん以外の人には興味無いから。あれは浮気の心配無いわね」
瞳子さんが笑いながら言った。
昔からそうやけど。
あたしにはベタベタに甘いから、無愛想な尊って想像出来ん。
「そろそろお昼ね」
瞳子さんが時計見た。
「触んじゃねえよっ!あっち行けっ!」
裏のエレベーターが騒がしい。
尊の声。
「みのりさんっ!」
走ってあたしに抱き付こうとする尊。
「タケェルゥ!」
尊の後ろから金髪美青年。
あたしに触れる寸前。
「みのっ!」
尊は美青年に抱き締められた。
なんじゃそりゃ。
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