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高校生 変化 4
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「何があった?」
心配そうに拓也君は聞いてくれた。
兄弟になったと言っても元々従兄弟だったから そのまま呼び方は変わらなくて。
流石に今の両親の事はお父様お母様と呼んでいるけれど 拓也君の呼び方は
たっ5ヶ月違いの為か今の両親も特に何も言わなかったし。
でも拓也君は大切なお兄ちゃんだと思っている。
そして拓也君も 普段は結構冷たいけれど いざというときは妹として大切にしてくれていて。
6才の時 両親を亡くして 泣き続けていた私の情けない顔が忘れられないらしくて トラブルがあると過保護になる。
本当に愛されていると感じて 幸せを実感していた。
本当に幸せだと思っていた。
なのに 翌日
お昼休み教室にいるとまた凰雅さんが絡んできて。
...最悪な事に
「結。」
あろうことか名前で呼んだ..!
あんぐりとして 呆気にとられている私の横で 一緒にいた里美は飲んでいたジュースを吹き出していた。
また取り巻きのお姉様に見つかると凄くややこしいので 無視すると。
大きな声で
「結!」
とよぶ。
いよいよ危なくなって来たので びっくりしている里美を置いて 凰雅さんの腕を引っ張って校舎の影に身を隠した。
凰雅さんは満足そうに色っぽい視線を投げかけて言う。
「俺を連れ込むなんて お前結構大胆だな。」
私は はっとして凰雅さんの腕から手を離し 意識しないよう気をそらした。
「それより何で名前知ってるんですか!」
「昨日そう呼ばれてたから。」
不満そうに
私の顎に指を掛けながら
「お前 あいつと付き合ってるの?」
と。
あいつ?付き合ってる?
何の話しか全く見えない私に苛立った声で
「まっ いいけど。処女じゃない分 簡単にやれるし。」
そう言って 私の腕を引っ張ろうとした。
急に私は怖くなって震えてきて。
「いやっ!離して!」
そうだった。違う世界の人だった。涙まで浮かんできて必至で踏ん張って抵抗した。
すると 凰雅さんは振り返り 私を見て 目を見開いて。
じっと見つめた後 ふうっと溜め息をついた。
震える私を抱き締めて
「全く訳のわからねえやつだな。気が強いと思ったら 簡単にやれるって言っただけでぶるぶる震えて。何なんだよ。」
そう言って抱き締める手はやさしくて。
この人に震えているのに この人に抱き締めて慰めてもらっているなんて。
訳の分からない状態により一層頭が混乱していた。
私の髪を撫でながら
「今日送っていく。」
と ポツリ という。
何故に決定?
...いやいや 送らないでしょう。
「送らなくていい!」
「うるさい。迎えに行くから。何組?」
取り巻きのお姉様の様子が走馬灯のように駆け巡る。
これ以上は勘弁してほしくて
「今日は習い事の日だから!」
「習い事のとこまで送るけど。」
何で私の方が言い訳がましくなっているのか 不思議だけど
「いい!あ そう! た 拓也君と行くから!」
取り敢えず 思い付く事を言うと チッと悪態付いて また不機嫌になり 私の腕を振り払った。
その一瞬を逃さず
私は逃げた。
やっぱり怖い。あり得ない。
心配そうに拓也君は聞いてくれた。
兄弟になったと言っても元々従兄弟だったから そのまま呼び方は変わらなくて。
流石に今の両親の事はお父様お母様と呼んでいるけれど 拓也君の呼び方は
たっ5ヶ月違いの為か今の両親も特に何も言わなかったし。
でも拓也君は大切なお兄ちゃんだと思っている。
そして拓也君も 普段は結構冷たいけれど いざというときは妹として大切にしてくれていて。
6才の時 両親を亡くして 泣き続けていた私の情けない顔が忘れられないらしくて トラブルがあると過保護になる。
本当に愛されていると感じて 幸せを実感していた。
本当に幸せだと思っていた。
なのに 翌日
お昼休み教室にいるとまた凰雅さんが絡んできて。
...最悪な事に
「結。」
あろうことか名前で呼んだ..!
あんぐりとして 呆気にとられている私の横で 一緒にいた里美は飲んでいたジュースを吹き出していた。
また取り巻きのお姉様に見つかると凄くややこしいので 無視すると。
大きな声で
「結!」
とよぶ。
いよいよ危なくなって来たので びっくりしている里美を置いて 凰雅さんの腕を引っ張って校舎の影に身を隠した。
凰雅さんは満足そうに色っぽい視線を投げかけて言う。
「俺を連れ込むなんて お前結構大胆だな。」
私は はっとして凰雅さんの腕から手を離し 意識しないよう気をそらした。
「それより何で名前知ってるんですか!」
「昨日そう呼ばれてたから。」
不満そうに
私の顎に指を掛けながら
「お前 あいつと付き合ってるの?」
と。
あいつ?付き合ってる?
何の話しか全く見えない私に苛立った声で
「まっ いいけど。処女じゃない分 簡単にやれるし。」
そう言って 私の腕を引っ張ろうとした。
急に私は怖くなって震えてきて。
「いやっ!離して!」
そうだった。違う世界の人だった。涙まで浮かんできて必至で踏ん張って抵抗した。
すると 凰雅さんは振り返り 私を見て 目を見開いて。
じっと見つめた後 ふうっと溜め息をついた。
震える私を抱き締めて
「全く訳のわからねえやつだな。気が強いと思ったら 簡単にやれるって言っただけでぶるぶる震えて。何なんだよ。」
そう言って抱き締める手はやさしくて。
この人に震えているのに この人に抱き締めて慰めてもらっているなんて。
訳の分からない状態により一層頭が混乱していた。
私の髪を撫でながら
「今日送っていく。」
と ポツリ という。
何故に決定?
...いやいや 送らないでしょう。
「送らなくていい!」
「うるさい。迎えに行くから。何組?」
取り巻きのお姉様の様子が走馬灯のように駆け巡る。
これ以上は勘弁してほしくて
「今日は習い事の日だから!」
「習い事のとこまで送るけど。」
何で私の方が言い訳がましくなっているのか 不思議だけど
「いい!あ そう! た 拓也君と行くから!」
取り敢えず 思い付く事を言うと チッと悪態付いて また不機嫌になり 私の腕を振り払った。
その一瞬を逃さず
私は逃げた。
やっぱり怖い。あり得ない。
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