上 下
5 / 164

高校生 変化 3

しおりを挟む
ついに観念した私は 凰雅さんに向き直り

「人に名前を聞くなら 先に名乗るべきじゃないですか?」

と 至極まともな事を言った。

出来れば 名前を言いたくなかったし。

凰雅さんは少し驚いた顔をした後 

「へえ 気が強いんだな。」

と呟き バカにするように笑った。

私はカチンときて 凰雅さんの手を払いのけ無言でお弁当を食べ始めた。

凰雅さんは私の 向かいに座り じっと見ていたけれど

開き直った私は 無視して食べ続け

たまにジロリと睨み。

目が合うと凰雅さんは右の眉をあげて意地悪に笑う。

何が楽しいのか 何もしゃべらずただひたすらこちらをずっと見つめて。

食べ終わりそうになった時 

「あ いた!」

と 大きな声がして 急に我に戻った。


そうだ!怖い取り巻きがいたんだ!振り返って

その瞬間 顔から血の気がさーっと引いた。

案の定取り巻きのお姉様方が 私をジロリとにらんで

「あなた誰?誰の許可をとって皇雅といるの?」

と理不尽な事を言い出し
その間も凰雅さんはじっと見ているだけで 何も言わない。

自分が勝手に側に来たのに知らん顔するって何?

あまりの理不尽さに切れかけていたとき やっと凰雅さんが口を開いた。

ニヤリとして。

「助けて欲しかったら俺にお願いしろよ。」

耳元で。 
私の驚いた顔を見ると満足そうな笑みを浮かべてそうっと私の耳を撫で

私はわなわなと震え上がり
取り巻きのお姉様方はその行為に叫び声をあげた。

頭がくらりとして 怒りで罵倒しかけた瞬間




騒ぎを聞きつけて駆けてつけてくれた。



「結!どうした?」
「拓也君!」

一番信頼してる人の登場に安心して。

拓也君は私を後ろに隠して
凰雅さんと取り巻きに言ってくれた。

「何があったか知らないが こんな人数で酷すぎないですか?」


拓也君は成績もよくて一年生なのに生徒会長もしてる位 口がたつ。

ちらりと拓也君の背後から凰雅さんの顔を見ると苛立った顔でこっちを見ていた。

取り巻きのお姉様はなおも続く拓也君の追及にしどろもどろになっている。


「どうした?わお 凰雅こわっ。」

後から来た凰雅さんの友達も異様な雰囲気に 凰雅さんの機嫌の悪さの原因を探りながら声をかけた。

凰雅さんはじいっと拓也君を穴が空くぐらい見つめたあと 

「うるさい。行くぞ。」

と 去っていった。

な 何よ あの子どもみたいな態度!あり得ない!
高校生なのに 凄く仕事まで出来るくせに!
脅えるわけでなく ぷりぷり怒る私を見て 拓也君はほっと息をついた。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

伝える前に振られてしまった私の恋

メカ喜楽直人
恋愛
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。 そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

三度目の嘘つき

豆狸
恋愛
「……本当に良かったのかい、エカテリナ。こんな嘘をついて……」 「……いいのよ。私に新しい相手が出来れば、周囲も殿下と男爵令嬢の仲を認めずにはいられなくなるわ」 なろう様でも公開中ですが、少し構成が違います。内容は同じです。

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます

おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」 そう書き残してエアリーはいなくなった…… 緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。 そう思っていたのに。 エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて…… ※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

貴妃エレーナ

無味無臭(不定期更新)
恋愛
「君は、私のことを恨んでいるか?」 後宮で暮らして数十年の月日が流れたある日のこと。国王ローレンスから突然そう聞かれた貴妃エレーナは戸惑ったように答えた。 「急に、どうされたのですか?」 「…分かるだろう、はぐらかさないでくれ。」 「恨んでなどいませんよ。あれは遠い昔のことですから。」 そう言われて、私は今まで蓋をしていた記憶を辿った。 どうやら彼は、若かりし頃に私とあの人の仲を引き裂いてしまったことを今も悔やんでいるらしい。 けれど、もう安心してほしい。 私は既に、今世ではあの人と縁がなかったんだと諦めている。 だから… 「陛下…!大変です、内乱が…」 え…? ーーーーーーーーーーーーー ここは、どこ? さっきまで内乱が… 「エレーナ?」 陛下…? でも若いわ。 バッと自分の顔を触る。 するとそこにはハリもあってモチモチとした、まるで若い頃の私の肌があった。 懐かしい空間と若い肌…まさか私、昔の時代に戻ったの?!

後宮の棘

香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。 ☆完結しました☆ スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。 第13回ファンタジー大賞特別賞受賞! ありがとうございました!!

夫は私を愛してくれない

はくまいキャベツ
恋愛
「今までお世話になりました」 「…ああ。ご苦労様」 彼はまるで長年勤めて退職する部下を労うかのように、妻である私にそう言った。いや、妻で“あった”私に。 二十数年間すれ違い続けた夫婦が別れを決めて、もう一度向き合う話。

処理中です...