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第二章 凰雅side 29

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薄々気が付いていたが この犯人グループは全員が若い。
十代も混ざっているんじゃないかと思う。

同年代と思われるニウは俺をじっと見た後

『ニウだ。よろしく』

と 右手を差し出した。


わざわざ呼ばれて現時点では好意的な態度。
こんな状況で暴走するほど向こう見ずじゃないが 迎合するほど弱ってもいない。
結の顔がちらつかなければ駆け引き又は取引等の勝負に出たかもしれない。
だが今の俺は結のところへ無事に戻らなければならないから。
それが絶対推進事項。
迎合でも何でもしてやる。
その覚悟で 一先ずニウの右手を握った。

「凰雅 そんな目で睨まないで下さい。ボク達は有利に政府と話し合いがしたいだけです。暫く不自由でしょうが明日には先に老人と女性は解放します」
「....俺がここに呼ばれた理由は?」
「ええ。今アメリカとメールでやり取りしているんですが そのメールに何かこちらのパソコンに支障になるようなものがついてないか確認して欲しいんです」

先ずはニウの言う通りにすることにした。


アメリカ政府にこちらからメッセージを送るとき 何か含みを持たせようかとも思ったが今のところは犯人からの信用を得ることを優先した。

アメリカ政府からのメールに何も不信なものはなく 逆にアメリカ政府のシステムに侵入しろと言われたら厄介だと思いこちらから話を違う所に振ったりもした。  
その中で犯人達は銃を首から下げたままで人懐っこく話かけてくる。
それは余りにもクーデターと言うにはミスマッチで。
タイミングを見計らってニウに問うた。

「アメリカ政府に後ろ楯になってもらって何をしたかったんだ?」
「今の軍政は時代にあっていない。若い人の意見も聞かず幹部は若者を手足にしか思っていないんだ。このままじゃあ近い将来民政だけの我国になる。まだこの国には軍政の役割がある。軍政でも今の時代に合わせたものに至急する為のやむにやまれぬ所業さ」

ニウは自嘲するように言う。

「他にやり方がなかったのか?」
「存分に試したさ。最後は国王に仲裁して貰おうと思ったけど幹部に潰された。国王はもうお年で体調も悪い。だからこれ以上難しいんだ」

残酷な話だ。
クーデターをおこす以外なかったんだろうか?
このまま上手くいくとは思えない。現政府の転覆を狙ったニウらは相当重い罰を課せられる。
「それでも違う方法だってあるはずだ。そうだろう?この国には国王以外にも頼れる王族だっている」

そうやって何も言わなくなるニウに何度か語りかけた。



...疲れた

他の人質のもとへ帰される。
これは現実なんだろうか....
まだ数日なのにもっと経ったような気がする。

結に会ったのも随分前みたいに感じた。
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