上 下
133 / 164

第二章 凰雅side 19

しおりを挟む
なのに

“....もう 動けない

ビリー 泊まっていい?”

と 宣う。

俺をこんなに振り回して 後の覚悟はあるのか? 



「あんな男がいいのか?」
「何言って...」
「ちやほやしてくれる男がいいのか?」
「な 何するの?」
「何?何って泊まるんだろう?」

やさしそうな奴だった。
さっきから思ってたんだ。気にしないようにしてたけどこのドレスだってあいつの瞳の色に合わせたんじゃないのか?

我慢できなくなった俺は結を引き起こし 驚いている結を無理矢理引っ張って取ってあった部屋へ連れていく。

結と泊まるつもりだった訳じゃない。最近の俺はヘロヘロな上 結に打たれ弱い。
力尽きたときは帰るのも億劫になるだろうと部屋を用意していた。


「ととと 取り敢えず 話合いましょう!」

と真顔で言う結を見てるとさっきまでの沸騰した気持ちは何処へやら 気が抜けてしまった。

それなのに結は ビリー ビリー ビリー。

挙げ句の果てにあいつは ダーリン。

吐き気がする。
結を ダーリン呼ばわりするな。


どんな事をしても 結を返してもらう 

今すぐ。

その時 暴走しそうな俺に結はストップをかけた。


「ビリーとは特別な信頼関係で 男女じゃないの!」
「 ...でもこの前ホテルで お前抱きついてキスしようとしてたじゃねえか」
「キ キス?」
「ああ こうやって...」
「違うの!ビリーが元気かよく確認しようとしただけ!」

俺を悩まし続けていた事を一気に解決する言葉に暫し考える。
特別な信頼関係ってなんだ?
それでも結にキスしようとしていたところで平手を食らって唖然とした。

...まあいい。
結があいつと男女で無いと言うなら俺は何も悩む事はない。
突き進むのみ。
ただ ビリーとやらには 一度結に触るなと釘をさそう。


俺とは 

終わった 

と言う結に 言った。

「お前 俺がこの間からお前の逃亡をなんで見逃してるんだかわかってる?」
「リハビリ だから」

...俺の。

あれ以上傍にいたら 計画なんてぶち壊して暴走した自信がある。

だから あれ以上は無理。追いかけられなかった訳。

もうちょっとお前に慣れないと。

「リハビリなんて要らないから!もう会いたくない....!」

そう言うくせに 泣き顔を見せる。

理性を試すなよ。


お前 俺に惚れてるんだろ?

さよなら

なんて言って出ていったけど 結が揺れているのはよく分かった。

...もう頃合いだな。




その夜の俺は久し振りに ぐっすり眠れた。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

伝える前に振られてしまった私の恋

メカ喜楽直人
恋愛
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。 そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます

おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」 そう書き残してエアリーはいなくなった…… 緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。 そう思っていたのに。 エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて…… ※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

貴妃エレーナ

無味無臭(不定期更新)
恋愛
「君は、私のことを恨んでいるか?」 後宮で暮らして数十年の月日が流れたある日のこと。国王ローレンスから突然そう聞かれた貴妃エレーナは戸惑ったように答えた。 「急に、どうされたのですか?」 「…分かるだろう、はぐらかさないでくれ。」 「恨んでなどいませんよ。あれは遠い昔のことですから。」 そう言われて、私は今まで蓋をしていた記憶を辿った。 どうやら彼は、若かりし頃に私とあの人の仲を引き裂いてしまったことを今も悔やんでいるらしい。 けれど、もう安心してほしい。 私は既に、今世ではあの人と縁がなかったんだと諦めている。 だから… 「陛下…!大変です、内乱が…」 え…? ーーーーーーーーーーーーー ここは、どこ? さっきまで内乱が… 「エレーナ?」 陛下…? でも若いわ。 バッと自分の顔を触る。 するとそこにはハリもあってモチモチとした、まるで若い頃の私の肌があった。 懐かしい空間と若い肌…まさか私、昔の時代に戻ったの?!

後宮の棘

香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。 ☆完結しました☆ スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。 第13回ファンタジー大賞特別賞受賞! ありがとうございました!!

夫は私を愛してくれない

はくまいキャベツ
恋愛
「今までお世話になりました」 「…ああ。ご苦労様」 彼はまるで長年勤めて退職する部下を労うかのように、妻である私にそう言った。いや、妻で“あった”私に。 二十数年間すれ違い続けた夫婦が別れを決めて、もう一度向き合う話。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

処理中です...