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大学生 近づく心 Ⅱ ー4

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来客を告げるベルが鳴りドアを開けると

思った通り佐藤さんでチェーンをしたまま対応したことは誉められた。

「さあ会議に入ろう」

とスマートに部屋の中に入る。

私は出入口に近い椅子に座り話し出すのを待つ。

「さっき連絡がもらえた。食事は毎日差し入れするよう要求しているらしい。食料も有るし料理人もいるはずなんだけど そこまでの自由度は無いようだ。でも 水もちゃんと摂れているそうだし まだ発表されていないけど 女性と老人は今日中に解放される」

...本当に?

だとしたら物凄い情報網。

「その件はじきにマスコミに発表される。今の情報だと一ノ瀬さんの想い人も僕のクライアントもまだ解放されない。

でも 病人 怪我人は出ていない。となると取り敢えず現時点では無事であるという事」

こくこく頷きながら目に涙が浮かぶ。いい加減に涙腺をどうにかしないと呆れて捨てられそうに思う。

「よ よかったです」

震える声でそれだけ言った。

「それで」

声を潜めて

「君の携帯電話を預かる。これから作戦実行まで部屋を勝手に出れない。盗聴機を置かせてもらう。これらを排除したり反故にして機密が漏れたら作戦は失敗する。その時は日本には帰れないと思っていい。それで良ければ重大な話をする。」
徹底して秘密を守る為。

...恐ろしくて顔がひきつる。
でも 断ることが出来るんだろうか。

「スマホはいつ戻って来ますか?」
ピンポーン

そのタイミングで来客のベルが鳴り ルームサービスのサンドイッチと紅茶が二人分運び込まれた。

空腹だったから 
そう言おうと思ったけど どういう意味でか
佐藤さんは全てを理解したように頷いて微笑んだ。


そのまま佐藤さんの部屋へ行き不自然にドアを開けたまま
スマホをロックして佐藤さんの部屋のセキュリティーボックスに入れ 解除のナンバーは私がセットした。

佐藤さんの部屋は私と同じ様な広くはない普通の部屋だった。

部屋の事 あんなふうに言ってたからてっきり。
航空機ファーストクラス使う位なのに。でも価値観って色々あるよね。

私の反応に気がついた佐藤さんは

「僕の場合いつもこうだよ。部屋 ほとんど使わないんだ。寝に戻れるかどうかも分からないから」

とやや苦笑いしながら説明してくれた。
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