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大学生 近づく心 Ⅰー4

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「それでいいって言ったろ?」

凰雅さんはソファから立ち上がり テーブルまで来て

「それとも何か?結は料理全般得意なのか?」

と憎らしい事を言う。

そこそこ手伝いはするけど 得意かって言われると...

一人で何かを作る事はほとんど出来ない。

「こ これからです!」

「そうだな これからでいい。全てゆっくり行こうぜ」

大きな手で首を抱き寄せ 唇に触れるだけのキスを落として。

...気がついていたけど あの事件から凰雅さんは私に深く触れない。やさしいキスや抱き締めるだけ。
まだ二日だけど凰雅さんの気遣いを感じる。

今の私には それが居心地が良くて。

心も体も全て凰雅さんの傍でリラックスしていた。 





ーーー
少しづつ この生活に慣れてきた週末 凰雅さんの会社は引っ越し日で

私は一ノ瀬の家に帰る日が来た。

帰ると言っても日帰りで戻って来るんだけど。

凰雅さんは 私に運転手付きの車をつけてくれているのに送り迎えをすると言って譲らない。
引っ越しで忙しい凰雅さんに無理はして欲しくなかったけど 凰雅さんがする事はもうなくて 業者が全部してくれ 平井さんが立ち会うだけで。

両親に挨拶したいからと押しきられて 受け入れない訳にはいかなかった。

でも
「凰雅さん 来週には凰雅さんのご両親にご挨拶に伺わせて下さい」

よく考えたら吉川家には同居にあたって何も挨拶に行ってなくて 常識の無さに気がついた途端血の気が引いた。

私の様子を一部始終観察していた凰雅さんは 全てを理解したようで私の頭を徐に撫でてから

「俺から言ってあるから気にするな。親父もお袋も了解してる。落ち着いたら一緒に行こうぜ」

やさしくそう言ってくれた。


.... いいのだろうか 私。

かなり甘やかされている。
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