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大学生 自覚 2

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ダルそうな動きで男の一人が彼女にきく。

「それよりあんた 約束の金持ってきてるんだろうな」

「ええ 勿論」

男らの問いかけに彼女が肩からかけていたバックを暗に示唆した。

と同時に

彼らが目で合図してニヤリと笑う。

それから彼女のバックを力任せにひったくった。

「何するのよ!」

彼女が悲鳴の様な大声で非難すると 片方の男が薄ら笑いを浮かべて抗う彼女の両手首を掴んで拘束し もう一方の男も這いずって精一杯抵抗して逃げようとする私の足首を後ろから掴んで背後から捕まえた。

「金さえもらえれば後はもう言う事をきく必要ない。好きにさせてもらうぜ。あんたも相当上玉だし」

全てが一瞬の出来事で これから起こりうるあまりの惨さに 頭が現実と認識するのを拒んでいる。


男らが笑いながら私たちの服を思い思いに引き裂いていく。
ビリビリ服が破ける音と 彼女の叫ぶ声が響く。

私も声をあげようとするけど 恐怖で喉が狭くなって声が出ない。顔は引き攣り涙でぐちゃぐちゃ。

私は息も絶え絶えになりながら抵抗しているのにどこか現実と思えなくて

でも 押さえつけるその手はゾッとするほど気持ち悪く 息が出来なくなっていく。

苦しくて 

虚ろになりながら うかぶのは 

凰雅さん。

ああ あの人以外に触れて欲しくなかったのに。
気持ち悪い

暴れる私を男が何か罵って頬をぶった。

それでも抵抗をやめない私に苛立ちを隠せず無理矢理押さえ込み。

凰雅さん 助けて

嫌だ...気持ち悪い…

凰雅さん..

助…けて...

「お 凰雅さん...!!」

最後の力を振り絞ってどうにか大声をあげた。


その刹那 

...空耳?


外から大きな足音と凰雅さんの私を呼ぶ声が...

男らにも耳に届いたようで ピタリと動きを止めて見合っている。

「やばい…!」

男らが叫び声をあげた

次の瞬間

「結!結!!」

と叫ぶ声と共に

凄い力でドアをドンドンと叩かれ

何か大声で話しながら 鍵が開き

ドアは勢いつけてめい一杯開いて壁に激突した。


「結...!!」


鬼の形相の凰雅さんを先頭に五人ほどの男性が乗り込んで来る。

夢を見ているようで…。

今この瞬間さっき助けを求めた 凰雅さんがここにいるなんて…。

私の衣服の乱れを目に入れ さっきよりより一層 目を吊り上げ 

私に跨っている男を背後から襟首を掴んで引きずり 膝で鳩尾を蹴り上げた。

倒れた男を引きずり起して肩をがしりと掴みもう一度顎を下から膝で蹴る。髪を鷲掴みして殴り掛かろうとした時

「凰雅!やめろ!殺す気か!」

凰雅さんの後ろから
必死に羽交い絞めしてそれを食い止めようとする平井さんがいた。

それでも殴り掛かろうとする凰雅さんは

「凰雅!それより結ちゃんが先だろ!俺が行っていいのか?!」

凰雅さんは はっと気が付いたようにこちらを見て私に駆け寄って抱きしめた。

ぶるぶる震えの止まらない私を凰雅さんはつらそうな顔をしてかき抱き

うわ言のように時折

ゆい 

と 焦ったようにつぶやく。

その声をきいて 極限の緊張状態だったらしい私は

「…本物」

そう発した後 

さっき嗅がされた薬の影響が残っていたのか

ーーぷつりと 気を失った。






---
   気が付いたのはあれから随分経ってから。

目を開けると見慣れない天井で ベットに横たわっていた。

少し開いた引き戸の向こうへ一筋光が流れて その戸の遠くからしゃべり声が聞こえる。
ベットに横ったわったまま耳をすまして聞き耳をたてた。

…どうやら凰雅さんが仕事の電話をしてたみたいで

仕事を掘り投げて今ここにいてくれていると確信する。


申し訳ないと思う反面 今はまだそばにいて欲しいと思う。
…体もまだ動かなくて
救い出されてほっとしているけど心がつらい。




涙が訳もなく流れている。

つらくて

どうしていいのか分からない。



自分自身に戸惑っている間に引き戸をひいて凰雅さんが入ってきた。

「結…?気が付いたのか?」

やさしい声色で話しかけてくれて。




…心が震えて呼吸し始めた。




泣きそうになりながら手を伸ばし小さい声になったけど確りと伝えた。

「凰雅さん…抱きしめて」

凰雅さんはベットに腰掛け やさしくきつく抱きしめてくれて。

気がつけば頭を撫でてくれていた。

私はその手を両手で包み込み頬ずりをして。

その手の その人の 存在の大きさに感謝した。

凰雅さんがいれば 何もいらない

この人の傍にいたい

神様 この人だけは私から奪わないで欲しい。

…愛しくて

この気持ちを何と言うのだろう。


とてつもなく深くて大きい。





「凰雅さん 愛してる」



ーーー 口から自然と 素直な気持ちが言葉になってこぼれていた。
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