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凰雅side 初めての出逢い 3

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そう言うと その子は見る見る 涙が溢れ 鼻水も出ていたと思う。

声を出して泣き出した。

連れて帰って今日は一緒に寝てやろう。それから...
「結!」
俺の訳のわからない妄想に割り込む声が聞こえ

より一層大声で泣き出したその子を 顔はよく見えなかったが後ろから来た男の子がいとも簡単に連れて行ってしまった。

何だかわからない喪失感に俺は暫く動けなくて。


何日かは確実に物思いに耽っていた。 

ただ 何も出来ないガキでいることが歯がゆくて 速く大人になろうと思った。

それには...  


 ーー まずは金か。


その時の俺は この件について 一番の問題は自分がガキで金がない事だと。
最低限そこはクリアするべき所だと考えた。

歳は周りと同じだけしかとれないから 分かりやすい所で決着させ ガキであることに焦りを感じながら 仕事にするためのイメージは常に思い浮かべてパソコンに向かった。

そうしたおかげか 仕事にした途端 溢れるアイディアやストックしていたシステムがあらゆる方面で受け入れられ。

俺にしたら当然の事で少しも驚かなかった。


使いきれない金がどんどん入って来るけれど それはいつか必用な時に持っていたくて出来るだけ稼いだ。

いつか必要な時にーーー。
そう思う時 浮かぶのは小学二年生の時に会ったあの子....。

また会った時には何でもしてやれる状態でいたい。

いつか絶対会う日が来る。

何故か自信を持って いつもそんな風に思っていた。



そんなある日 ビルの前で結を見かけ


ーーー 一目で分かった。


あの時の子だ。

大きくなっていたって俺には分かる。


俺の体は震え つかの間動けなくなり

薄暗かった視界が 

カッと一瞬で 遮るものが何もない明るい視界になったようだった。




俺は一度見た事や人の顔をまず忘れない。

制服を見て同じ国元学園だった事に驚いた。

確かに学年が違うと交流はなく 俺は元々無駄な行事に出席しない。

「灯台もと暗しだな」

と 笑ってしまった。


中2のあの日ビルの前で 後で知ったが母方の姓である一ノ瀬になった結に偶然出合い

あんなに泣いていたのに 楽しそうにピアノ教室に通っていて。

取り敢えずは 俺の手助けは必用無いらしい。

よかった と思う反面

何だか面白くない。


俺のものだ と心が言う。


不思議な感情を持て余しながら毎週木曜日 通って来るのを楽しみに見ていた。
それでも段々 彼女の視界に入っていない事にストレスを感じ始め   

あの日

我慢できずに 追いかけてしまった。

 
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