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番外編20 季節ものSS
和臣くんの女装
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「多紀くん、いつまで見てるの?」
俺は言った。
多紀くんは、母が渡した文化祭ブロマイド集を、きらきらのお目目で、穴が開くのではというほど眺めている。
俺が高校一年生の秋のことである。文化祭で、男女逆転カフェという、時代錯誤な出し物があった。
つまり男女の制服を入れ替える、又はサイズがない場合はウェイトレスの制服を着て給仕するというものだ。
俺は、学校関係者の親族から新品の女子制服を与えられ、セーラー服を着る羽目になった。
あのときの地獄たるや。自分の精神状態と考えあわせて、人死にが出なかったのがいまだ不思議である。
当日は、できるだけ表に出ないように逃げ回り、途中で母親と瑞穂さんと行動して他人から絡まれないように防御していたが、裏切り者に背中を撃たれた。母親は俺を、あろうことか、全力で避けるべきミスコンに放り込んだのである。
俺は優勝した。母親は、「少しは社交的になるかと思って」と言い訳していたが、荒療治が過ぎるではないか。
多紀くんは呟いた。
「だって、可愛い……」
紺色のセーラー服、プリーツスカート。紺ハイソックスにローファー。まつげばさばさ。色白で顎が細くて、すらっとしている。色素薄い。
我ながら母親によく似て美人な高校時代だが、いい思い出はない。多紀くんと出会えたこと、ただそれだけ。
「俺、小野寺先輩のこと、学校一の美人だって思ってたし、周りもそう言ってたんですけど、こういう経緯があったせいですかね」
「……」
「本当、美人」
ねぇ、やっぱり女の子が好きなの?
怖くて聞けない。
多紀くんときたら、初恋の女の子の高校生姿に夢中。バカバカ! 俺がいるのに。これは俺なのに!
いや、この頃、線が細いな。手足も細くて白い。薄幸そう。
いまは背も伸びたし、体つきも変わった。変わってないように見えて、ずいぶん変わっているのだ。
多紀くんは冊子をぺらぺらめくりながら、片手を俺のほうに差し出してよしよししてくる。そんなのには騙されないぞ! 騙されたりしないんだぞ!
「和臣さん、昔から可愛いです。大好き」
「多紀くん~! 俺も大好き~!」
ちゅーしに行く。多紀くんの隣を陣取って、横からちゅー攻撃。多紀くんのほっぺたに吸いつく。
「それにしても、一年のときはまだ女子っぽいね。やたら細いし」
「俺が知ってるカズ先輩より、もうひとつ幼くて、ふふ……」
多紀くんの唇を食む。頬を染めた多紀くん、色っぽい。舌で唇の割れ目をなぞると多紀くんは舌を絡ませてくる。あたたかい舌をとらえて、歯列をなぞりながら、浅くしたり深くしたり。
堪能した後、息を切らす多紀くんの顎を掴んで、俺は訊ねた。
「ねー、今度、制服エッチしよっか」
「あは。和臣さん、女子の制服着ますか?」
「いいよ?」
「やったね」
三連休の日にしよう。俺は女子の制服を着たまま、多紀くんを三日三晩ぶっ通しでハメてやるんだ。やってやってやりまくり、メスにしてやる。決定事項。
「あ、俺は男子の制服ですよね」
「もちろんそれでいいよ?」
「よっしゃ」
多紀くんときたらタチができると勘違いでもしているのかな。うかつだなぁ。そういうところが可愛いんだけど、多紀くんの甘い想定通りに進むはずないじゃんね。
徹底的に体に叩き込んであげないとね。
〈和臣くんの女装 続く?〉
俺は言った。
多紀くんは、母が渡した文化祭ブロマイド集を、きらきらのお目目で、穴が開くのではというほど眺めている。
俺が高校一年生の秋のことである。文化祭で、男女逆転カフェという、時代錯誤な出し物があった。
つまり男女の制服を入れ替える、又はサイズがない場合はウェイトレスの制服を着て給仕するというものだ。
俺は、学校関係者の親族から新品の女子制服を与えられ、セーラー服を着る羽目になった。
あのときの地獄たるや。自分の精神状態と考えあわせて、人死にが出なかったのがいまだ不思議である。
当日は、できるだけ表に出ないように逃げ回り、途中で母親と瑞穂さんと行動して他人から絡まれないように防御していたが、裏切り者に背中を撃たれた。母親は俺を、あろうことか、全力で避けるべきミスコンに放り込んだのである。
俺は優勝した。母親は、「少しは社交的になるかと思って」と言い訳していたが、荒療治が過ぎるではないか。
多紀くんは呟いた。
「だって、可愛い……」
紺色のセーラー服、プリーツスカート。紺ハイソックスにローファー。まつげばさばさ。色白で顎が細くて、すらっとしている。色素薄い。
我ながら母親によく似て美人な高校時代だが、いい思い出はない。多紀くんと出会えたこと、ただそれだけ。
「俺、小野寺先輩のこと、学校一の美人だって思ってたし、周りもそう言ってたんですけど、こういう経緯があったせいですかね」
「……」
「本当、美人」
ねぇ、やっぱり女の子が好きなの?
怖くて聞けない。
多紀くんときたら、初恋の女の子の高校生姿に夢中。バカバカ! 俺がいるのに。これは俺なのに!
いや、この頃、線が細いな。手足も細くて白い。薄幸そう。
いまは背も伸びたし、体つきも変わった。変わってないように見えて、ずいぶん変わっているのだ。
多紀くんは冊子をぺらぺらめくりながら、片手を俺のほうに差し出してよしよししてくる。そんなのには騙されないぞ! 騙されたりしないんだぞ!
「和臣さん、昔から可愛いです。大好き」
「多紀くん~! 俺も大好き~!」
ちゅーしに行く。多紀くんの隣を陣取って、横からちゅー攻撃。多紀くんのほっぺたに吸いつく。
「それにしても、一年のときはまだ女子っぽいね。やたら細いし」
「俺が知ってるカズ先輩より、もうひとつ幼くて、ふふ……」
多紀くんの唇を食む。頬を染めた多紀くん、色っぽい。舌で唇の割れ目をなぞると多紀くんは舌を絡ませてくる。あたたかい舌をとらえて、歯列をなぞりながら、浅くしたり深くしたり。
堪能した後、息を切らす多紀くんの顎を掴んで、俺は訊ねた。
「ねー、今度、制服エッチしよっか」
「あは。和臣さん、女子の制服着ますか?」
「いいよ?」
「やったね」
三連休の日にしよう。俺は女子の制服を着たまま、多紀くんを三日三晩ぶっ通しでハメてやるんだ。やってやってやりまくり、メスにしてやる。決定事項。
「あ、俺は男子の制服ですよね」
「もちろんそれでいいよ?」
「よっしゃ」
多紀くんときたらタチができると勘違いでもしているのかな。うかつだなぁ。そういうところが可愛いんだけど、多紀くんの甘い想定通りに進むはずないじゃんね。
徹底的に体に叩き込んであげないとね。
〈和臣くんの女装 続く?〉
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