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5 ある何の変哲もない日常(和臣視点)

十一 壊れる(※)

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 多紀くんの奥で果てて、繋がったまま口づける。
 呼吸を整える暇も与えずに、貪るようなキス。唾液を交換して、垂れて、吸って、舐めて、舌を絡ませる。
 正常位で密着して、お互いに舌を抜き差し。
 多紀くんはへとへとになって、濡れた瞳で懇願してくる。

「和臣さん、好き、もっかいして……」
「する」

 多紀くんの頭を抱くように両腕で覆い、肩を固定する。
 挿入したままの性器は固く、どちらの体温なのかわからないほど芯から熱く、もっと高まって、とろとろに溶けたい。

「多紀くん、俺の精液でびちゃびちゃになってる」
「もっと、びちゃびちゃにして……」
「ねぇ、こんなに俺専用のメスにされてるくせに、どんな顔でルームシェアしてるなんて言ってるんだか」

 肉体関係のある恋人同士の距離感、察しないほうが鈍いよ。ルームシェアなんて嘘を信じるほうがどうかしてる。
 俺を見ていればその先に多紀くんしかいないことくらいすぐわかりそうなもの。
 多紀くんの顎をつかんで、ほっぺたをつっついてみる。

「多紀くん。俺の恋人ですって言って。以前言ってくれたみたいに」
「俺の、恋人……」
「ふふ。練習しておいて」
「ん……」

 のしかかりながら、すりつぶすように。上も下も抜き差し。
 腹の間で多紀くんのそれがこすれて、濡れてる。
 両足を開いて俺を受け入れている多紀くんに抱きついて、お構いなしにピストンする。
 吸いついて締めてくる感触に震えそう。汗が噴き出てくる。多紀くんを抱くたびに、体の相性がいいと思う。肌を重ねていると満たされるんだ。

「多紀くん、愛してる。多紀くんのこと、壊しちゃうかも」
「あっああっ、あっ、気持ちい、いい、和臣さん、も、壊して、あっ、出るの、止まらない……っ」
「気持ちいい、多紀くん、んん、しがみついて、多紀くん、ん、あ」

 両腕を背中に回してくる多紀くんの体を押さえつけて、体全体でごりごり突いて潰す。
 俺も止められない。
 壊したい。衝動。
 精液のにおいがする。多紀くん、射精したみたい。

「んむ、んっ、か、かず、んんっ」
「ん、たきくん、んん……!」

 性行為中の口づけ。口でもエッチしてる。多紀くんの口腔内に遠慮なく挿入して蹂躙する。
 溢れる唾液はすべて舌で送り込む。多紀くんも同じようにしてくる。
 溺れそう。熱い。激しい。欲しい。多紀くんのすべてが欲しい。
 多紀くんは俺の脇腹に必死にしがみついて、喉をそらして俺の舌を受け入れている。されるがまま。
 下半身も上半身も、なにもかも繋がって揺さぶって、ぎゅうぎゅう抱いて絡まり合う。
 もっと深く、もっと多紀くんの何もかも、俺のものにしたい。
 なんで俺たち、ひとりずつなんだろう。

「ああっ、多紀くん、あっ、イく、あっ、ああ、イく……!」

 多紀くんの耳をかじりながら、打ちつける。

「和臣さん、俺、イってる、奥、あっ、奥で、ぐりぐりして、精子、出して、あっ、イくの、止まらない、イっちゃう、イっ、あっあっあっ、イく、和臣さん……!」

 多紀くんの背中を浮かせて強く抱きしめる。多紀くんの手が、俺の背中をしっかり抱いている。やがてこれまでにない絶頂が訪れた。
 汗だくになって、固く抱きしめ合ったまま。

「ん……多紀くん、多紀くん……ん……」
「和臣さん……」

 息ができない。
 なんとか息を整えて、多紀くんの唇を吸う。吸いすぎて腫れぼったくなっている気さえする。
 熱い。
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