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5 ある何の変哲もない日常(和臣視点)
十 白状(※)
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多紀くんは、荒くなった息を整えながら白状した。
顔が真っ赤で可愛い。涙目になって、俺の顔を見ずに俯き加減。
「すみません、あの、先日、下の階のひとに、『あのイケメンのかたって、恋人はいるんですか』って」
「俺のこと?」
「スーパーの店員さんたちにも、俺ひとりで行くと、『お連れ様は?』とか、『どういうご関係ですか?』って……ルームシェアしてるって答えたら、『恋人はいるんですか?』って……」
「なるほどね」
「恋人がいるとは言えなくて、でも、和臣さんを、とられたくない……」
はぁ、そういうこと。
俺も多紀くんをとられたくないよ。絶対に。
多紀くんがまた俺から離れようとしたら、今度こそ許さないつもり。
そもそも、恋人の有無を訊ねられるなんて、日常茶飯事なんだよ。テキトーにあしらってくれたらいいのに、多紀くんは真面目だね。
恋人がいるって言えばいい。自分が恋人だって言えばいい。俺が恋人だって多紀くんが堂々と言ってくれたら俺は幸せ。
なんなら既婚者って言ってくれてもいいよ。多紀くんの夫。あ、それがいいな。お揃いの指輪もしているし。
ダメ元で婚姻届、出しちゃおっかな……。婚姻届はすでに用意してあって、ほとんど記入済み。あとは多紀くんに書いてもらうだけの状態なんだ。
ちなみに証人欄は、先日四兄弟で集まったとき、太郎兄さんとのんちゃんに書いてもらってある。俺の奇妙な要望に、ふたりとも面白がって快諾してくれた。俺と多紀くんの裏事情を知っている次郎兄さんはひとり苦虫を嚙み潰したような顔をしていた。負けないよ。三対一だからね。
婚姻届、出したら、行政の確認ミスでうっかり受理されないかな。無理か。
「俺、性格悪いです……」
「大丈夫だよ」
俺に比べたら可愛いものだよ。
多紀くんは可愛いし。
「和臣さん、モテすぎて、ほんと困ります! なんでそんなモテるんですか!?」
多紀くんは頭を抱えている。
多紀くん以外なんて一切見ていないこと、多紀くんは知っているはずなのに。いつもは物分かりのいい子なのに、どうしてわかってくれないんだろう。
「みんな顔しか見てないからだよ。他人の目に俺の中身が見えたらモーゼが海を割ったみたいに周囲から人がいなくなる自信があるよ」
「不安になるの嫌なのに」
「不安?」
「だって、俺は、どんなにがんばったって、誰にも勝てない……」
多紀くん、俺の話、聞いてないな。不安を口に出したいだけなのかな。だったらいいけど。
俺は謎が解けてすっきり。よく寝られそう。
「和臣さんのこと、本気っぽい子、すごく可愛くて」
「そうなの?」
「でも、和臣さんは、俺のだから、つい、冷たくしてしまって、連絡先渡してこようとしたのも、渡せないって突き返しちゃって、自己嫌悪……」
「可愛い子だった?」
「はい……ごめんなさい……」
「俺とどっちが可愛い?」
「えっ!? 和臣さん……のほうが可愛いですけど」
「じゃあ、俺だけ見てて。多紀くんがその子を可愛いっていうの、いやだ。俺のことだけ可愛いって言って」
多紀くんは苦笑してる。
冗談ではないんだけどな。
「それに、多紀くんが意外と色んな人に話しかけられているのも、気になるね」
「和臣さんのことばっかです」
「閉じ込めておきたいよ」
俺は本気だよ。多紀くんが俺以外の人を見て、可愛いだなんて、許せない。俺の目の届かない場所で誰かと楽しくおしゃべりするのも、許せない。
機会さえあればいつだって閉じ込めたい。
多紀くんにもう一度挿入して、深いところをぐぽぐぽしていると、多紀くんはいつになく感じて、潮を吹いている。
「あっあっあっ」
「多紀くんが一番。二番も三番も四番もなくて、多紀くんだけ」
「ああっ、あっ、ふか、かず、おみ、さん……」
「外野なんて気にしなくても、身も心もすべて、多紀くんだけ。どうやってしたらわかるのかな……」
奥に俺の形や味を刻みつけて、俺以外は受け入れないようになればいい。
首輪もしておきたいけど、目隠しもしておきたいくらい。誰のことも見ないでほしい。
「多紀くん。恋人だって言うの、恥ずかしい? 俺みたいなへんなやつが恋人なのは、恥ずかしい?」
「そんなはずない……」
「じゃあ、堂々としていてよ。俺は多紀くんがいい。多紀くん、多紀くん」
「あっ、和臣さん、イくっ、イく……!」
「もっと可愛く言ってみて」
「あっ、和臣さんの、気持ちい、奥まで、来てる、あっ、あっ、気持ちい、届く……」
「こんな俺専用になっちゃって、他のなんていらないよ。多紀くんもそうでしょ?」
おへその下のあたりを軽く押さえながら。
「俺も、和臣さん、だけです。和臣さんしか、いらない」
「俺の多紀くん。君さえいれば、他には何もいらない」
耳元で囁いて、体にも心にもすり込む。
「イく、和臣さんっ、俺、イく、あ、すご……あ、あー……!」
「二度と離さない。多紀くんのこと、絶対に離さないんだ」
顔が真っ赤で可愛い。涙目になって、俺の顔を見ずに俯き加減。
「すみません、あの、先日、下の階のひとに、『あのイケメンのかたって、恋人はいるんですか』って」
「俺のこと?」
「スーパーの店員さんたちにも、俺ひとりで行くと、『お連れ様は?』とか、『どういうご関係ですか?』って……ルームシェアしてるって答えたら、『恋人はいるんですか?』って……」
「なるほどね」
「恋人がいるとは言えなくて、でも、和臣さんを、とられたくない……」
はぁ、そういうこと。
俺も多紀くんをとられたくないよ。絶対に。
多紀くんがまた俺から離れようとしたら、今度こそ許さないつもり。
そもそも、恋人の有無を訊ねられるなんて、日常茶飯事なんだよ。テキトーにあしらってくれたらいいのに、多紀くんは真面目だね。
恋人がいるって言えばいい。自分が恋人だって言えばいい。俺が恋人だって多紀くんが堂々と言ってくれたら俺は幸せ。
なんなら既婚者って言ってくれてもいいよ。多紀くんの夫。あ、それがいいな。お揃いの指輪もしているし。
ダメ元で婚姻届、出しちゃおっかな……。婚姻届はすでに用意してあって、ほとんど記入済み。あとは多紀くんに書いてもらうだけの状態なんだ。
ちなみに証人欄は、先日四兄弟で集まったとき、太郎兄さんとのんちゃんに書いてもらってある。俺の奇妙な要望に、ふたりとも面白がって快諾してくれた。俺と多紀くんの裏事情を知っている次郎兄さんはひとり苦虫を嚙み潰したような顔をしていた。負けないよ。三対一だからね。
婚姻届、出したら、行政の確認ミスでうっかり受理されないかな。無理か。
「俺、性格悪いです……」
「大丈夫だよ」
俺に比べたら可愛いものだよ。
多紀くんは可愛いし。
「和臣さん、モテすぎて、ほんと困ります! なんでそんなモテるんですか!?」
多紀くんは頭を抱えている。
多紀くん以外なんて一切見ていないこと、多紀くんは知っているはずなのに。いつもは物分かりのいい子なのに、どうしてわかってくれないんだろう。
「みんな顔しか見てないからだよ。他人の目に俺の中身が見えたらモーゼが海を割ったみたいに周囲から人がいなくなる自信があるよ」
「不安になるの嫌なのに」
「不安?」
「だって、俺は、どんなにがんばったって、誰にも勝てない……」
多紀くん、俺の話、聞いてないな。不安を口に出したいだけなのかな。だったらいいけど。
俺は謎が解けてすっきり。よく寝られそう。
「和臣さんのこと、本気っぽい子、すごく可愛くて」
「そうなの?」
「でも、和臣さんは、俺のだから、つい、冷たくしてしまって、連絡先渡してこようとしたのも、渡せないって突き返しちゃって、自己嫌悪……」
「可愛い子だった?」
「はい……ごめんなさい……」
「俺とどっちが可愛い?」
「えっ!? 和臣さん……のほうが可愛いですけど」
「じゃあ、俺だけ見てて。多紀くんがその子を可愛いっていうの、いやだ。俺のことだけ可愛いって言って」
多紀くんは苦笑してる。
冗談ではないんだけどな。
「それに、多紀くんが意外と色んな人に話しかけられているのも、気になるね」
「和臣さんのことばっかです」
「閉じ込めておきたいよ」
俺は本気だよ。多紀くんが俺以外の人を見て、可愛いだなんて、許せない。俺の目の届かない場所で誰かと楽しくおしゃべりするのも、許せない。
機会さえあればいつだって閉じ込めたい。
多紀くんにもう一度挿入して、深いところをぐぽぐぽしていると、多紀くんはいつになく感じて、潮を吹いている。
「あっあっあっ」
「多紀くんが一番。二番も三番も四番もなくて、多紀くんだけ」
「ああっ、あっ、ふか、かず、おみ、さん……」
「外野なんて気にしなくても、身も心もすべて、多紀くんだけ。どうやってしたらわかるのかな……」
奥に俺の形や味を刻みつけて、俺以外は受け入れないようになればいい。
首輪もしておきたいけど、目隠しもしておきたいくらい。誰のことも見ないでほしい。
「多紀くん。恋人だって言うの、恥ずかしい? 俺みたいなへんなやつが恋人なのは、恥ずかしい?」
「そんなはずない……」
「じゃあ、堂々としていてよ。俺は多紀くんがいい。多紀くん、多紀くん」
「あっ、和臣さん、イくっ、イく……!」
「もっと可愛く言ってみて」
「あっ、和臣さんの、気持ちい、奥まで、来てる、あっ、あっ、気持ちい、届く……」
「こんな俺専用になっちゃって、他のなんていらないよ。多紀くんもそうでしょ?」
おへその下のあたりを軽く押さえながら。
「俺も、和臣さん、だけです。和臣さんしか、いらない」
「俺の多紀くん。君さえいれば、他には何もいらない」
耳元で囁いて、体にも心にもすり込む。
「イく、和臣さんっ、俺、イく、あ、すご……あ、あー……!」
「二度と離さない。多紀くんのこと、絶対に離さないんだ」
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