エリート先輩はうかつな後輩に執着する

５ ある何の変哲もない日常（和臣視点）

八 発情（※）

　少しだけ残っているマグカップを置いて、もっと深くと口づける。
　多紀くんも応えるように俺の脇に縋りついてくる。

「和臣さん……」
「多紀くん」

　膝を触れ合わせて、片膝で多紀くんの足を開かせる。固いデニムの上からなぞると、びくびくと身を震わせて、真っ赤になって上目遣い。

「和臣さん」
「多紀くん。さっき、観覧車に一緒に乗れて、嬉しかった」
「はい」
「買い物も、多紀くんと二人だと、ただのスーパーでも楽しい……」
「はい」
「多紀くんと飲むから、コーヒーも美味しいんだ」
「はい」
「抱きたい」
「……はい」

　パーカーを脱がせて、ふたたび口づける。
　昨日あんなにたくさんしたのに。発情しているかのように。求め合いたい。
　唇や、顎、喉仏、首筋、鎖骨。口づけて、舌で舐めて、見えないところを軽く吸って、跡をつける。
　我慢できず、胸の突起にむしゃぶりつくと、多紀くんは白い喉をそらせて嬌声をあげた。

「ああっ」
「ここ、開けて」

　指示通り、デニムの前を開け、チャックをおろしている。
　俺は性急に手を突っ込んで、下着の隙間から取り出したそれを扱いて、床に膝をついて、椅子に座る多紀くんを見上げながら、口に含んだ。汗と我慢汁でしょっぱい。多紀くんの味。

「和臣さん、気持ちい……」

　頭を両手で撫でてくる。
　口の中で固さを増していく。唇をすぼめて圧をかけながら、唾液でじゅぽじゅぽと音を立てる。

「和臣さん、出ちゃう、待って。激しい」
「出していいよ」
「一緒にしたい、ベッド行きましょ……」
「ん」

　立ち上がって多紀くんを横抱きにして、唇をついばみながら隣の寝室に向かう。
　ベッドに座らせて、デニムを脱がせる。下着も。
　多紀くんは俺のセーターとシャツと肌着を一緒くたに脱がせ、コーデュロイのパンツを引っ張っている。仕草が一所懸命で可愛い。
　下着一枚になると、多紀くんは布越しに口づけてきた。食むようにしながら、唇で上からこすってくる。

「多紀くん、反対になって顔またいで」
「はい」

　素直でえっち。ベッドに仰向けになった俺の上に、多紀くんの股間。下がってくるそれを口で受け止めて、飲むように深く咥える。

「いっ、あっ」

　多紀くんは短く喘いだ後、俺のものを咥えた。多紀くんのお口。
　下半身に集中しないように、多紀くんをフェラする。舌で舐めたり喉で吸ったり、強くしたり弱くしたり。扱いたり、喉奥まで入れたり。
　多紀くんはおろそかになっていて、可愛い。手探りでベッドボードのローションをとって、いつも俺のものでいっぱいにしている穴に指を挿入。
　瞬間、多紀くんは声にならない声をあげて震えた。