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番外編6 おまけ2
おまけ* 和臣の悪事(※)
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同じクラスのひとたちと外で食事をしてきて、午後八時。
俺は一人きりの部屋でシャワーを浴びて着替え、髪を拭きながら、時間を持て余している。
さみしい。一人暮らし……多紀くんがいない生活なんて、もう考えられないのに……。
宿題も勉強も個人的な仕事も色々しなくてはいけないけれど、多紀くんへ送った、
『多紀くん、好き』
というメッセージが何時間も既読にならない。さみしい。つらい。他のことが手につかない。
多紀くん、さいきん仕事がとっても忙しそう。まだ職場にいるみたい。位置情報がうごかない。
東京オフィスは最初こそ多紀くんとN社長だけで立ち上げたものの、いまは軌道に乗り、順調にスタッフが増えてきて、多紀くんが調整役を引き受けている。
人が増えればそのぶん摩擦が起こる。業務量も自然と増えていく。
多紀くんは自分でできることはつい自分でしがちで、人に任せる力が弱い。課題。もっと他人に押しつけていかないと。言わないけれど。
仕事を抱え込んでしまい、また潰れてしまう気がする。N社長はその辺りうまい。だが普段は大阪にいるから、気をつけて見ておいてもらいたいな。今度一言いっておこう。ただし、俺の多紀くんだからあまり見すぎはしないでほしい。
がんばる多紀くんも好きだけど、俺との時間も大切にしてほしい。ただでさえなかなか会えなくて苦しいのに。
壁一面に、多紀くんの写真、ポスター。マットレスの上には多紀くんの寝姿をプリントした抱きまくら。
ふふっ、可愛い可愛い可愛い可愛い。
多紀くんは物音ですぐに目覚めてしまうので、俺の同期たちとフットサルをしに行った後を狙い、疲れ切っていた多紀くんをさらにベッドの上でくたくたに疲れさせて、気を失うように寝入ったタイミングで激写。シャツや短パンの中身の肌はキスマークだらけ。
俺の多紀くん。俺のもの。
寝袋の上に転がって、抱きまくらを抱いて頬ずりする。本物がいいけど、我慢。
お気に入りの写真をタブレットで眺めながら。
あとハメ撮り。
これは、多紀くんには絶対に内緒。墓場まで持っていく秘密。
前々から撮影したかったけれど、理性で押し留めていたところ、長期で離れ離れになることが決まり、やむなく。やむなくだよ。
だってバンコクで、悔やんでも悔やみきれなかったんだもん。
ベッドボードのティッシュ箱に仕掛けたカメラで撮影した一部始終。まだ全部は観ていない。いくつか撮り溜めたのを少しずつ。
明るい部屋で、多紀くんを四つん這いにさせて、自分で扱かせながら後ろから突いてる。
バックだと多紀くんのお尻があらわになって、ふたりがつながっている部分も見たい放題だけど、多紀くんの表情だけは見えない。
このときも多紀くんの細い腰と骨盤を両手で掴んで固定しながら、多紀くんが欲しがるように動いていたのだけど、そうか、こういう表情を浮かべてたんだ……。もったいなかったな。これからは毎日見てあげる。
俺は、抱きまくらを引き寄せて固くなりつつある下半身をこすりつける。
カメラの角度が絶妙で、俺に見られていないからって油断してとろけきっている顔も、多紀くんが自分のものを気持ちよさそうに好きに扱いている手元や指先の様子も、多紀くんの先っぽから滴る液体もすべてが映っている。
我ながら、いい仕事してるね……。
少し動画を止めて拡大。
原寸大にした多紀くんの濡れた先端。無意識のうちに、画面を舌で舐めていた。
しまった。画面がタッチに反応して動画が元の画角に戻り、再生。
「あっ、あ、そこぉ……」
「ここ?」
「あっ、あう、きもちい、はあ……」
上気して、涙目になって、口の端から涎を垂らしながら、突かれる衝撃を肘でこらえつつ、シーツを掴んだり、枕に額を押し付けたり。
こんなに感じてるんだ。動画の中の俺に嫉妬してしまう。そこ代わってくれ。
「多紀くん、きもちいい?」
「ん、んあ、きもちい、あ、すご……」
うーん、エッチ中は夢中になっているために聞き逃してる言葉、あらためて聞くと、最高。
「あ、和臣さん……」
名前を呼ばれるとドキッとする。
「ここ好きだね」
ベッドの軋む音と粘着質な音、二人の愛し合う声。これはいい。すごく、すごく愛し合ってる。
激しさを増した後、動きを止めて、深いところで繋がっている。
ひとつになってる。身も心も。全部。多紀くんは俺のもの。
「あ、好き……好き……好き……」
「多紀くん、ここ大好きだね。いっぱいしようね」
俺の声はいらないけど、多紀くんの背中を覆うように密着して耳元で囁いていると、多紀くんは本当に気持ちよさそうにうっとりと緩みきっていて、俺の肉体と声でこんなに感じてるんだと思うと、そこ代わってくれ。
「和臣さん、きもちい、あう、いい、好き、好きぃ」
動画の中の俺は、片手で多紀くんの乳首をつまんで先端を責めつつ、もう片方の手で多紀くんの顎をつかんで、人差し指と中指を吸わせている。
指に当時の感覚が蘇る。多紀くんの熱い口の中。歯と、ぬるりとした舌が這ってきていた。
指を美味しそうに吸っている。唾液でぐちゃぐちゃに濡れる。
俺は天才だったんだ。
こうしてみると、多紀くんの体は細いし薄いし軽そうで、俺よりもはるかに小柄。身長こそ平均男性よりやや低い程度だけど、細身。
こんな小さな体で、俺の肉体を受け止めてくれているんだ。滾るね。
ちゅぽ、と指を引き抜いて、俺は腰の動きを止め、自分の指を舐めてる。気持ちわかる。共感共感。多紀くんの唾液。
「好き、好き……」
多紀くんは、ピストンを止めた俺の腰に甘えてこすりつけている。夢中になって、交尾している動物みたいに、お尻をへこへこと高速で上下させている。えっち……。
「多紀くん、お尻動いてる」
あ゛! 多紀くんは動きを止めてしまう。
おい、俺、何も言わないでくれよ。堪能したかったのに。
いや、待て、でもこのときたしか予想外の動きに、やや射精感があったんだ。
多紀くんのえっちなおねだり行為中の表情も扇情的で、もし顔を見ていたら間違いなく止められなかった。
多紀くんは恥ずかしそう。きゅん……。
「だって、きもちい、おねがい、好き、好き……」
「可愛い、可愛い多紀くん」
「あー……あー……好き、和臣さん、そこ」
多紀くんは涙を流しながら、扱いている。
「あ、でちゃう、イく……」
多紀くんはあっけなく射精。先っぽからぴゅっぴゅっと出てくる白濁の液体。敷いているバスタオルの上に。
俺は多紀くんの涙に濡れた頬をぺろぺろ舐めながら、「イっちゃったね」と囁いている。
多紀くんはふうふうと息を吐きながら、恍惚とした、幸せそうな笑顔。とろっとろ。
「ん、イっちゃった……」
可愛すぎる。
なに、なんなの、この子。こんな顔してたの? 俺はこれを見ていなかったの? なんで?
「可愛いね、多紀くん」
可愛いどころの騒ぎじゃない。少し時間を戻して、再生。おかわり!
「好き、好き……」
「多紀くん、お尻動いてる」
「だって、きもちい、おねがい、好き、好き……」
「可愛い、可愛い多紀くん」
「あー……あー……好き、和臣さん、そこ」
「あ、でちゃう、イく……」
「イっちゃったね」
「ん、イっちゃった……」
俺もイきそう。
「和臣さん、イきますか?」
と、多紀くんは、自分が出した精液を拭うために、ティッシュを数枚とった。そのとき、カメラの位置が少し下向きになって、しかも、ティッシュが垂れて、視界が白いベールに包まれている。
え!? こんなにいいところなのに!?
嘘でしょ!?
「奥までしていい?」
衣擦れ。ティッシュはそのまま。視界ゼロ。撃沈。
「あ……まって、はう、あ……あ……!」
「多紀くん、体起こして」
そうだ、この時、膝立ちにさせて立ちバックでしていたんだ。カメラによく映るように。
このときの多紀くん、すっごく素直で、いっぱいさせてくれたのに。
何も映っていない……。
「あー、奥まで入っちゃった」
「あ……和臣さん……ん、そこ……」
「多紀くん、膝閉じて、俺の上、座って」
「あ……ふ、深いよぅ……」
「深いの、どう?」
「きもちい、あ、奥まで、来る……、あ……はぁ、あ、耳、かじっちゃ、あん、きもち、い……あ、あう……」
「多紀くん……」
「和臣さん、和臣さんもきもちいい?」
「俺も気持ちいいよ。多紀くんの中、熱いよ」
「ああっ、あ、あっ、はげしい、激しい……!」
「多紀くん、多紀くん……」
きしみ音にまじるぴちゃぴちゃ音は、多紀くんのうなじを舐めているもの。
舐めて甘噛みして、背中も噛んで、さんざんさせてもらった。次の日休みだったから。
「和臣さん、すごく、おっきい、俺、いっぱいになってる……っ」
「俺でいっぱいにしてもいいの?」
「うん……して、和臣さん、えっち、きもちいい……好き……奥、強くして……」
「強くするの? いいの?」
「ん……いい……和臣さんの、奥で感じたい……」
「あー、多紀くん、だめだよ。そんな可愛いなんて」
ベッドの軋む音が激しくなっていく。多紀くんの甘い鳴き声が響いている。可愛い。声が濡れてる。
「あっ、あっ、あっ、和臣さんっ、あっ、和臣さん、好きっ、好きっ」
「大好き。多紀くん。このままイっていい?」
「ん、ん、俺もイく」
「なかでイく?」
「うん、あっ、熱い、和臣さん、奥イっちゃう、あ、俺、お尻の奥で、や、熱い、イく、イくぅ……!」
「俺も、多紀くんの奥で……っ、あっ」
多紀くんの顔を振り向かせて、唇を貪りながら、多紀くんの中でたっぷり射精したな……。
あああ……。
俺も多紀くんの抱きまくらの上に乗っかって、正常位でこすりつける。
疲れ切って寝ている多紀くん。可愛い。犯したい。
柔らかすぎる抱きまくらにキスしながら。
「多紀くん……!」
あっという間に下着の中で吐精。
ティッシュの向こうでは二人がとっても愛し合っていて、この後も続けて二回目を松葉くずしと寝バックでしていたはずだけど、今日はここまで。
すっかり賢者になりつつ、音声だけになった動画を停止する。シャワーを浴びてかえたばかりの下着、脱ぐのも洗うのも面倒……。
抱きまくらをぎゅうぎゅう抱きしめる。寝ている多紀くん。可愛い。
でも俺も本物の多紀くんとエッチしたい。動画の俺、ずるい。ずるいよ。
はあ……。
多紀くんに送った愛のメッセージ、既読になっているのに返事がないし……。
あ゛! 位置情報! N社長お気に入りの中華屋! N社長ずるい!
あああ……。
〈おまけ 終わり〉
俺は一人きりの部屋でシャワーを浴びて着替え、髪を拭きながら、時間を持て余している。
さみしい。一人暮らし……多紀くんがいない生活なんて、もう考えられないのに……。
宿題も勉強も個人的な仕事も色々しなくてはいけないけれど、多紀くんへ送った、
『多紀くん、好き』
というメッセージが何時間も既読にならない。さみしい。つらい。他のことが手につかない。
多紀くん、さいきん仕事がとっても忙しそう。まだ職場にいるみたい。位置情報がうごかない。
東京オフィスは最初こそ多紀くんとN社長だけで立ち上げたものの、いまは軌道に乗り、順調にスタッフが増えてきて、多紀くんが調整役を引き受けている。
人が増えればそのぶん摩擦が起こる。業務量も自然と増えていく。
多紀くんは自分でできることはつい自分でしがちで、人に任せる力が弱い。課題。もっと他人に押しつけていかないと。言わないけれど。
仕事を抱え込んでしまい、また潰れてしまう気がする。N社長はその辺りうまい。だが普段は大阪にいるから、気をつけて見ておいてもらいたいな。今度一言いっておこう。ただし、俺の多紀くんだからあまり見すぎはしないでほしい。
がんばる多紀くんも好きだけど、俺との時間も大切にしてほしい。ただでさえなかなか会えなくて苦しいのに。
壁一面に、多紀くんの写真、ポスター。マットレスの上には多紀くんの寝姿をプリントした抱きまくら。
ふふっ、可愛い可愛い可愛い可愛い。
多紀くんは物音ですぐに目覚めてしまうので、俺の同期たちとフットサルをしに行った後を狙い、疲れ切っていた多紀くんをさらにベッドの上でくたくたに疲れさせて、気を失うように寝入ったタイミングで激写。シャツや短パンの中身の肌はキスマークだらけ。
俺の多紀くん。俺のもの。
寝袋の上に転がって、抱きまくらを抱いて頬ずりする。本物がいいけど、我慢。
お気に入りの写真をタブレットで眺めながら。
あとハメ撮り。
これは、多紀くんには絶対に内緒。墓場まで持っていく秘密。
前々から撮影したかったけれど、理性で押し留めていたところ、長期で離れ離れになることが決まり、やむなく。やむなくだよ。
だってバンコクで、悔やんでも悔やみきれなかったんだもん。
ベッドボードのティッシュ箱に仕掛けたカメラで撮影した一部始終。まだ全部は観ていない。いくつか撮り溜めたのを少しずつ。
明るい部屋で、多紀くんを四つん這いにさせて、自分で扱かせながら後ろから突いてる。
バックだと多紀くんのお尻があらわになって、ふたりがつながっている部分も見たい放題だけど、多紀くんの表情だけは見えない。
このときも多紀くんの細い腰と骨盤を両手で掴んで固定しながら、多紀くんが欲しがるように動いていたのだけど、そうか、こういう表情を浮かべてたんだ……。もったいなかったな。これからは毎日見てあげる。
俺は、抱きまくらを引き寄せて固くなりつつある下半身をこすりつける。
カメラの角度が絶妙で、俺に見られていないからって油断してとろけきっている顔も、多紀くんが自分のものを気持ちよさそうに好きに扱いている手元や指先の様子も、多紀くんの先っぽから滴る液体もすべてが映っている。
我ながら、いい仕事してるね……。
少し動画を止めて拡大。
原寸大にした多紀くんの濡れた先端。無意識のうちに、画面を舌で舐めていた。
しまった。画面がタッチに反応して動画が元の画角に戻り、再生。
「あっ、あ、そこぉ……」
「ここ?」
「あっ、あう、きもちい、はあ……」
上気して、涙目になって、口の端から涎を垂らしながら、突かれる衝撃を肘でこらえつつ、シーツを掴んだり、枕に額を押し付けたり。
こんなに感じてるんだ。動画の中の俺に嫉妬してしまう。そこ代わってくれ。
「多紀くん、きもちいい?」
「ん、んあ、きもちい、あ、すご……」
うーん、エッチ中は夢中になっているために聞き逃してる言葉、あらためて聞くと、最高。
「あ、和臣さん……」
名前を呼ばれるとドキッとする。
「ここ好きだね」
ベッドの軋む音と粘着質な音、二人の愛し合う声。これはいい。すごく、すごく愛し合ってる。
激しさを増した後、動きを止めて、深いところで繋がっている。
ひとつになってる。身も心も。全部。多紀くんは俺のもの。
「あ、好き……好き……好き……」
「多紀くん、ここ大好きだね。いっぱいしようね」
俺の声はいらないけど、多紀くんの背中を覆うように密着して耳元で囁いていると、多紀くんは本当に気持ちよさそうにうっとりと緩みきっていて、俺の肉体と声でこんなに感じてるんだと思うと、そこ代わってくれ。
「和臣さん、きもちい、あう、いい、好き、好きぃ」
動画の中の俺は、片手で多紀くんの乳首をつまんで先端を責めつつ、もう片方の手で多紀くんの顎をつかんで、人差し指と中指を吸わせている。
指に当時の感覚が蘇る。多紀くんの熱い口の中。歯と、ぬるりとした舌が這ってきていた。
指を美味しそうに吸っている。唾液でぐちゃぐちゃに濡れる。
俺は天才だったんだ。
こうしてみると、多紀くんの体は細いし薄いし軽そうで、俺よりもはるかに小柄。身長こそ平均男性よりやや低い程度だけど、細身。
こんな小さな体で、俺の肉体を受け止めてくれているんだ。滾るね。
ちゅぽ、と指を引き抜いて、俺は腰の動きを止め、自分の指を舐めてる。気持ちわかる。共感共感。多紀くんの唾液。
「好き、好き……」
多紀くんは、ピストンを止めた俺の腰に甘えてこすりつけている。夢中になって、交尾している動物みたいに、お尻をへこへこと高速で上下させている。えっち……。
「多紀くん、お尻動いてる」
あ゛! 多紀くんは動きを止めてしまう。
おい、俺、何も言わないでくれよ。堪能したかったのに。
いや、待て、でもこのときたしか予想外の動きに、やや射精感があったんだ。
多紀くんのえっちなおねだり行為中の表情も扇情的で、もし顔を見ていたら間違いなく止められなかった。
多紀くんは恥ずかしそう。きゅん……。
「だって、きもちい、おねがい、好き、好き……」
「可愛い、可愛い多紀くん」
「あー……あー……好き、和臣さん、そこ」
多紀くんは涙を流しながら、扱いている。
「あ、でちゃう、イく……」
多紀くんはあっけなく射精。先っぽからぴゅっぴゅっと出てくる白濁の液体。敷いているバスタオルの上に。
俺は多紀くんの涙に濡れた頬をぺろぺろ舐めながら、「イっちゃったね」と囁いている。
多紀くんはふうふうと息を吐きながら、恍惚とした、幸せそうな笑顔。とろっとろ。
「ん、イっちゃった……」
可愛すぎる。
なに、なんなの、この子。こんな顔してたの? 俺はこれを見ていなかったの? なんで?
「可愛いね、多紀くん」
可愛いどころの騒ぎじゃない。少し時間を戻して、再生。おかわり!
「好き、好き……」
「多紀くん、お尻動いてる」
「だって、きもちい、おねがい、好き、好き……」
「可愛い、可愛い多紀くん」
「あー……あー……好き、和臣さん、そこ」
「あ、でちゃう、イく……」
「イっちゃったね」
「ん、イっちゃった……」
俺もイきそう。
「和臣さん、イきますか?」
と、多紀くんは、自分が出した精液を拭うために、ティッシュを数枚とった。そのとき、カメラの位置が少し下向きになって、しかも、ティッシュが垂れて、視界が白いベールに包まれている。
え!? こんなにいいところなのに!?
嘘でしょ!?
「奥までしていい?」
衣擦れ。ティッシュはそのまま。視界ゼロ。撃沈。
「あ……まって、はう、あ……あ……!」
「多紀くん、体起こして」
そうだ、この時、膝立ちにさせて立ちバックでしていたんだ。カメラによく映るように。
このときの多紀くん、すっごく素直で、いっぱいさせてくれたのに。
何も映っていない……。
「あー、奥まで入っちゃった」
「あ……和臣さん……ん、そこ……」
「多紀くん、膝閉じて、俺の上、座って」
「あ……ふ、深いよぅ……」
「深いの、どう?」
「きもちい、あ、奥まで、来る……、あ……はぁ、あ、耳、かじっちゃ、あん、きもち、い……あ、あう……」
「多紀くん……」
「和臣さん、和臣さんもきもちいい?」
「俺も気持ちいいよ。多紀くんの中、熱いよ」
「ああっ、あ、あっ、はげしい、激しい……!」
「多紀くん、多紀くん……」
きしみ音にまじるぴちゃぴちゃ音は、多紀くんのうなじを舐めているもの。
舐めて甘噛みして、背中も噛んで、さんざんさせてもらった。次の日休みだったから。
「和臣さん、すごく、おっきい、俺、いっぱいになってる……っ」
「俺でいっぱいにしてもいいの?」
「うん……して、和臣さん、えっち、きもちいい……好き……奥、強くして……」
「強くするの? いいの?」
「ん……いい……和臣さんの、奥で感じたい……」
「あー、多紀くん、だめだよ。そんな可愛いなんて」
ベッドの軋む音が激しくなっていく。多紀くんの甘い鳴き声が響いている。可愛い。声が濡れてる。
「あっ、あっ、あっ、和臣さんっ、あっ、和臣さん、好きっ、好きっ」
「大好き。多紀くん。このままイっていい?」
「ん、ん、俺もイく」
「なかでイく?」
「うん、あっ、熱い、和臣さん、奥イっちゃう、あ、俺、お尻の奥で、や、熱い、イく、イくぅ……!」
「俺も、多紀くんの奥で……っ、あっ」
多紀くんの顔を振り向かせて、唇を貪りながら、多紀くんの中でたっぷり射精したな……。
あああ……。
俺も多紀くんの抱きまくらの上に乗っかって、正常位でこすりつける。
疲れ切って寝ている多紀くん。可愛い。犯したい。
柔らかすぎる抱きまくらにキスしながら。
「多紀くん……!」
あっという間に下着の中で吐精。
ティッシュの向こうでは二人がとっても愛し合っていて、この後も続けて二回目を松葉くずしと寝バックでしていたはずだけど、今日はここまで。
すっかり賢者になりつつ、音声だけになった動画を停止する。シャワーを浴びてかえたばかりの下着、脱ぐのも洗うのも面倒……。
抱きまくらをぎゅうぎゅう抱きしめる。寝ている多紀くん。可愛い。
でも俺も本物の多紀くんとエッチしたい。動画の俺、ずるい。ずるいよ。
はあ……。
多紀くんに送った愛のメッセージ、既読になっているのに返事がないし……。
あ゛! 位置情報! N社長お気に入りの中華屋! N社長ずるい!
あああ……。
〈おまけ 終わり〉
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