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2 ある聖夜のころ

七 入らない(※)

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 和臣さんは、手荷物のリュックの中から、なにやらまたアダルトグッズらしきものを出してきた。
 シリコンの輪っか。黒い。口径広めの水道のパッキンにしか見えないけど、ベッドで全裸になってから和臣さんがリュックから出してくるんだから、エッチに使うに決まってる。
 なんなんだろ、これ。どこから持ってきたんだろ。日本で買ったのかな。まさか向こうで買ったんだろうか。
 アダルトグッズを手荷物にいれて海を越える男。

「なんですこれ」
「コックリング。えへへ、お揃いみたいだね」

 指輪だけでは飽き足らず、下にもつけたいのか。指輪を買うときは恥ずかしがってたくせに、このリングを買うのは恥ずかしくないのかな。聞きたくないけど。
 四つあって、サイズ違い。お互いに二つずつ付けあってみる。

「玉も含めた根元と、竿の根元につける感じ」
「締めてきますね……」

 ローションを垂らして擦り合わせてると、勃ってきて、締められて鬱血する感じがする。おかげで、いつもより形がはっきりする。なんだか、感度もあがってるような。
 俺のでもそうなんだから、和臣さんのほうはなんかすごいばきばきになってる。亀頭がぱんぱんに張ってて今までで一番でかい。棍棒。凶器みたい。細長いペットボトルくらいある。
 怖い。

「そもそも、でかくなってません……?」
「少し太ったせいもあるかな?」
「太ったというか、がたいよくなってますよね?」

 昼飯前に一回エッチしたときも、体格が良くなってることには気づいてた。
 俺は、ただでさえ小柄で、背も、低いとはいわないけれど、百六十七センチで止まったまま。そのうえ、この半年で痩せた。和臣さんのせい。
 和臣さんはもともと背が高く、百八十超え。このたび体つきがさらにしっかりして、俺とは一回り二回り違う。肩のせいかな。どんどん男らしくなっていて羨ましい。

「実は筋トレしまくってたんだよね」

 筋トレする時間あるなら、連絡の一つでも寄越せばいいのに。
 っていうか、連絡しないんならしないで、しばらく連絡できないとか、そういうこと言ってくれたらいいじゃん。そうしてくれたら、俺はやきもきせずに、俺だって筋トレしてたのに。

「なんかずるい」

 擦り合ってると硬くて気持ちいいけどさ。

「それにしても、入る気がしないです。外したほうが……」
「無理やりでも入れるよ」

 今回の帰国は優しいのかと思ってたのに、彼の中の悪魔が頭をもたげてくる。
 ローションで優しく広げられてほぐされて、先っぽでぺちぺち当ててきたあと、正常位で、濡らした穴をめがけてくる。
 がちがちになっていて重たい。みっちり入ってくる。やっぱり入れるのか……。
 和臣さんが俺の上でうめく。

「っ、きっつい……」
「和臣さ、ん、でかい……」
「多紀くん、痛くない?」
「痛くはないです……」

 だけど、これまでになく広げられてる。痛くないのが不思議。体の中に硬い棒を突っ込まれてる感覚がすごい。
 エッチするのって、相手の肉体の距離が近くて、身体をつなげてるんだなと今更ながら実感する。
 もっとも深いところ。もう苦しい。いつもよりも掘られて、そこはしんどくてたまらないのに、満たされて、我ながらいやらしい、恍惚としたため息が漏れる。
 無理にやられること自体も、相手の余裕のなさを感じて、快感につながってくる。

「あー……」
「多紀くん、狭い……」

 口づけたり、肩に額を擦り付けたりしながら、なじむまで耐える。
 和臣さんも耐えてるみたいな声。

「多紀くん、締めてくる」
「すごすぎて……」
「動いて大丈夫……?」
「はい……」

 腰を揺らされると、内臓が持っていかれそう。

「ひ……」
「ね、多紀くんのここ、俺専用だよね? 他の男の入れてないよね?」

 入れてるわけないだろと思い、そして身勝手だなと思う。
 和臣さんのほうが離れたんじゃないかと思わせるくらい放置してたくせにさ。返事なんかしてやるかよ、馬鹿。
 遠慮なく突いてくる。
 体全体でのしかかって擦り潰されるみたいにされて、俺は両足を開いて必死にしがみつく。
 ばちばちと叩きつけるみたいにしてきて、有無を言わさぬような横暴。

「あっ、お願い、か、和臣さん、もっと、ゆ、ゆっくり、あっ、あっ」
「え? なに? ごめん、聞こえない」

 聞こえないといいながら、俺の唇を塞いでくる。言わせないの間違いだろ。
 唾液が流れ込んできて溺れそう。変態。俺の肉体を雁字搦めにして、支配しようとしてくる。マットレスそのままのベッドは、動きが激しすぎて位置が変わりそう。
 乳首を両方ともこねられて、勃ってきて敏感になる。時々、舌で舐められたり、吸われたりする。純粋な快感に、腰が仰け反る。

「んんんっ、は、あっ」
「多紀くん、体が小さくなったよね。こんなに腰細かったっけ? お尻も小さいよ。痩せた?」

 激しく突きながら、体の大きさをはかるように絡みついてくる。

「か、和臣、さんが、おおきく、あっ、あっあっ」
「可愛いね。多紀くん」
「も、そんな、はげし、激しく、したら」

 二人の体の間で擦られて、俺のほうも限界を迎えつつある。汗だく。上になった和臣さんから汗が落ちてくる。俺も、シーツが濡れてるのを感じるくらい汗かいてる。
 和臣さんは、一度引き抜いた。息を整えながら、お互いの下のリングをすべて外す。うわ、外されると解放感。はあ。
 またぐいぐい入ってくる。押し入ってくる。そろそろ限界の、凶器みたいなそれ。俺を容赦なく犯して汚す、雄の塊。
 優しくしてほしいなんて要望、まったく聞いてくれない。
 どこもかしこも、擦り合わせてる。

「多紀くん、俺の精子、どこに出せばいい?」
「わ、わかんない、あ、あっ、はげしい、あ」
「多紀くんはどこに欲しいかな。この多紀くんの奥かな……」

 深くでぐいぐい擦られる。疼くような熱。

「和臣さん……! あっ、イく、中が、あっ、熱い」
「中でイく?」
「あっあっ、あっ、お願い、あっ、和臣さんっ、俺、あ、ひ、っ、いっ……! 気持ちいい、気持ちいいよぅ、あっ、なかが、イくっ、イく、ああああ!」

 何か言ってないと快感を逃せなくて頭がおかしくなりそうで、いやらしい言葉が口を突いて出てくる。

「ああ、いい、ひくひくしてるね、いいね、多紀くん、あー……」
「和臣さん、あっあっあっ……精液、中に……」
「中に出していい?」
「欲しいです……」
「可愛い。欲しがってる多紀くん、可愛いね」

 きつく抱きしめてきて、奥を突かれながら、甘い言葉。
 なのに乱暴。
 そしてすべてが俺を追い立てる。

「あああっ、出る、あう、んん、出る、ああああっ!」

 汗だくになって抱きしめて、お互いに射精しながら唇を塞ぎ合った。
 気持ちよすぎてどうにかなりそう……。
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