はじめての契約つがい

みつきみつか

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2 就職活動と確認事項

三 就活の進捗(※)

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 食事のあと、コーヒーメーカーの使い方を教えてもらって、ホットコーヒーを淹れた。広いリビングでテレビを観ながら、ソファで隣り合う。

「今日は学校?」
「あ、はい」
「もう少しで卒業ですね」
「ですね」

 でも、就職活動はちっとも上手くいかない。
 企業にエントリーするものの、書類選考で落ちまくり。いまだに就活してるのなんて俺だけ。
 性別欄もバース性も書く欄はないのに。いまは顔写真だってなくて、学歴と資格と長所短所、志望動機、ただそれだけなのに。なのに落ちる。
 就職課に聞いても、こんなにもごくふつうの内容で、エントリーする企業も特段有名だとか人気の企業でもないのになぜ履歴書で落ちるのかわからない、と言われるほどだ。
 俺と同じか、俺以下の成績や内容のひとだって、書類選考ぐらいは通っているのに。運がないといえばそれまでなのかもしれないけれど。

「いまって就活はしているの?」
「もちろん。でも実は今日、またお祈りが……。俺、地場のメーカー志望なんですけど、これからはエリアを広げてみようと思います。無理なら、社員登用ありのアルバイトでも。職安の求人も確認して……」
「わかりました」
「はい」
「いいところが見つかるといいね。そんなに早く見つからなくてもいいけど……、あっ、書類選考が通ったら必ず僕に教えてね。お祝いしよう」
「お祝い!? 書類選考で!?」
「うん。あっ、エントリー前に教えてくれてもいいよ。僕の尚くんを雇用しようという企業のことはきっちり調べ上げないといけないし……あ、ううん。安定してるちゃんとした企業かどうかだよ。へんなことはしないよ」
「あぁ、助かります。俺、どこでもいいからってブラックに応募しちゃいそう」
「僕、ここ数年、会議所の青年部長をしていて、地元の企業にはとっても顔がきくんです」

 頼りがいがあるなぁ……。
 どこかに口添えで入れないのかな……。やめとこ。そこまでしてもらうのは申し訳ないもんね。

「俺、がんばりますね」
「ゆっくりがんばろうね。応援してます」

 と、文弥さんは俺の腰に手を回してくる。つい、びくっとしてしまった。

「あ、ごめん」
「いえ」

 どうしよう。急に緊張してくる。
 昨日から今朝までの出来事は、あんまり思い出さないようにしてた。だけど、こんな距離で触れられて思い出さずにはいられない。
 スーツの上着を脱いでネクタイをほどいた姿の文弥さん。
 御曹司って言葉がぴったりの上品な雰囲気のしなやかな男性で、柔らかくて優しく微笑むし、実際にすごくほんわかしてる。その場の雰囲気をふわっと和らげるような笑みに、ほっとする。
 そんなひとなのに、昨日も今朝も、まるで別の、野蛮な男みたいな顔で、俺を抱きつぶしてきた。
 凶暴でしつこくて絶倫で、俺はめちゃくちゃにされて、信じられないほど気持ちよくなってしまって……。

「尚くん……」

 ふと見ると、文弥さんは凶暴なほうに近い瞳で俺のことを見据えている。

「文弥さん……」

 またキス。コーヒー味。
 ただいまのちゅうではなくて、噛みつくキス。舌を優しく絡ませているのも今のうちで、少し息をついたらすぐにもっと深くなっていく。
 薄目を開けると文弥さんは目を閉じていて、きつく眉を寄せている。怒っているみたいなのは、興奮してるから。
 雰囲気が変わって、ぞくっとする。背中に腕を回されて、胸を寄せ合う。
 文弥さんは夢中でキスしながら、俺のシャツをたくしあげた。一枚しか着てなくて胸があらわになる。
 肌には文弥さんがつけたキスマークがいっぱいついている。なんだか、文弥さんのものだっていう証みたいだ。
 胸の突起を口に含まれ、俺は胸をそらした。

「あっ」

 上唇と下唇で、先端を挟むみたいにしてくる。固くなりつつある乳首を挟んで、唇を早く動かしたりゆっくり動かしたりして、乳首が尖っていくのを楽しんでいるみたい。

「ひっ、あっ」

 もう片方の乳首も、文弥さんは中指と親指で挟んで、唇と同じ動きでねじってる。たまらなくて腰がくねってしまう。

「あふ……」

 思わず吐息が漏れて、もっと強い刺激が欲しくなってくる。
 俺の胸を食べてる文弥さんを見る。目が合った。肉食獣。

「あ……」

 目で笑った。
 話せないけど、何してほしい? って聞いてくる。そんな目。

「文弥さん、もっとして……」

 途端、文弥さんは、舌で先端を潰した。と同時に指で挟んでいるほうは、人差し指で潰してくる。
 俺は声さえ出ない。

「~~~っ!!!」

 ぬちゅ、と熱い唾液に包まれて、強く潰されて、舌の上で転がされる。執拗に弄ばれて、涙が出てくる。
 文弥さんの頭を抱いた。

「ふみやさん、もう、らめ」

 文弥さんは、乳首を吸いながら、ちゅぽ、と音を立てて離した。

「あぅ」
「尚くん。僕の触って」
「は、はい」

 スラックスから取り出したペニスに手を誘導される。俺は両手で握って、昨夜したみたいに、自分のものを取り出して、二本とも扱いた。

「んっんっ」
「尚くんのえっち。すごく気持ちいい……」
「これ、止まらなくて……」

 文弥さんのは物凄くて、俺のは子どもみたいだ。
 文弥さんの赤黒いそれは、どんどん固くなってきて、こするたびに血管が浮いて、カリの段差や、裏筋がみちっと張っている様子や、ずっしりした睾丸も、なにもかもが凶暴。
 こんなにほんわか系の文弥さんにこんなギチギチした凶器がついてるって反則だと思う。
 文弥さんはベルトを外してスラックスと下着をおろした。
 俺のズボンを脱がせて、ソファの上に四つん這いにさせられる。

「ここ、とろとろ」
「文弥さん、言わないで……」

 リビングは明かりが煌々とついていて明るい。俺の背後に回った文弥さんの目に、こんな恥ずかしい格好で、恥ずかしいところを見られるなんて……。
 文弥さんは俺の尻に頬ずりをして、舐めたり、指を入れたりしはじめた。

「ぉ、うっ、あっ」
「尚くん」
「んっんっ、文弥さんっ、あのっ、明かりをっ、消し、て」
「ここ、よく見たい。尚くんのここ見せて」

 指が二本入ってきて、にちゃ、と音がする。広げられてる。二本の指で、広げるようにして、内側を覗かれていた。
 羞恥心でどうにかなりそう。

「えっ、あっ」
「尚くん、はいるよ」

 文弥さんのこらえるような喘ぎと、みち、という粘着質な音がした。
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