牧草地の白馬

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 陸国の地に人々が移り住んできたその時、あらゆる神々が目を醒ました。
 人々の《想い》によって【天界】に目を醒ました森、風、水などの万物の神々は、人々から《神力》を受け取る代わりにその特別な力を使うことで人々が興した新たな国【陸国】を見守ることになる。
 だが、そうしてそれぞれの神が務めをはたして守護するうちに陸国の人口は増えていき、やがて神々は手が回らないほど多忙になっていった。
 自身の管轄内の状況を確認するのだけでも満足にできなくなっていた神々。
 そこで、神は自らの務めの補佐をさせるためにそれぞれが自ら選んだ生き物をそばに従えるようになる。

 陸国の牧畜に関係している牧草地の神はその補佐『側仕え』に1頭の立派な白馬を選んだ。
 長い年月を共に過ごす中で『言葉はなくとも理解し合えている』という関係性が心地よくなり、側仕えの白馬に対して特別な想いを寄せていった牧草地の神。
 しかしそれは牧草地の神だけではなく、白馬の方も同じく特別な想いを牧草地の神に対して抱いていた。
 互いに想いを寄せつつ主従として過ごしていた2人。だが、そんなある日のこと。神々に仕える生き物達は突然神々と言葉を交わせるようになり、なんと神や人と同じ姿をとれるようにもなった。
 人々が更に増え、陸国が大きくなると同時に側仕えの生き物達がわずかに神力をもち始めたのだ。
 しかし、それだけでは不完全で時々元の姿に戻ってしまう生き物達。
 完全な神格を得るためには【人として30年生きること】が必要だということが分かり、白馬もそのために牧草地の神から離れることになる。
 陸国の人間として転生する白馬を見送った牧草地の神は、それからある行動に出た…。

「必ずおそばに戻ります。どうか、どうかまた会う日まで…お元気で」
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