巻き込まれ雑貨屋と美貌の中年騎士隊長さん

 王都の街で魔法雑貨屋『天使のはしご』を営むセルマは二十歳の誕生日、前世が日本人で飛び降り自殺をした人に巻き込まれ死んだことを思い出す。
 亡くなった後に神様らしき人に謝られ、新しい生と一つだけ願いを叶えてもらえることになり、その時セルマが望んのは、人の役に立つ力を得ることだった。
 困っている人を助ければ、自分が事件に巻き込まれることも減ると考えたのだ。

 天使のはしごにはわけありっぽいお客さんが続々とやってくる。

 田舎から出てきた女性は、彼氏と連絡を取り合うための道具を補充しに。
 職人組合長のおじいさんは、後任人事を憂い反対勢力を知るための道具を求めに。
 野良猫の親分は、支援団体の会長の家の家事が放火であることを人間に伝えるために。
 家計を助けたい男の子は、早く大人になる道具を探しに。
 魔法学校の女子生徒は、先生に恋をし告白の後押しとなる道具を買いに。

 時にはなぜか現場によく現れる騎士隊長と一緒に、皆の悩み事や困り事を解決していくセルマ。

 その隊長にも、ずっと悔やんでいることがあった。セルマの優しさによって隊長の止まっていた時が流れ出し――

 悩みを抱えた人々の問題を解決しながら、雑貨屋セルマと騎士隊長リアムが、ピュアな愛を育みます。
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