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先生、退院

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 白田さんと会った10日後、無事に生理がきた。いつもの私のスケジュール的には1週間後だったので、生理がくるまでの3日間は凄く不安な気持ちになった。
 その生理が終わる頃、先生の診察があった。
「状態も落ち着いているので、伊藤さんには退院してもらおうと思っています」先生が話し出した。
「……分かりました」私は静かに答えた。
「いつがいいとかありますか?」
「迎えにきてくれる親が休みの土日がいいかなとは思うんですが、特には……」
「そうですか、では2週間後ぐらいにしましょうか?」
「本音を言うと毎日暇すぎて今すぐにでも退院したいんですけど、先生がそう仰るなら……」
「稀にですが、退院が近づくと元の生活に戻ることに不安を感じて、体調を崩す人がいるんです。伊藤さんの場合、以前入院された時は大丈夫でしたが、今回の場合旦那さんとの関係が良好ではないため、色々とストレスのかかる場面も出てくると思うのですが……その辺りはどうですか?」
「……前は退院したらすぐにでも話し合いがしたいなと思っていたんですが、今は自分の体調を見ながらの方がいいなと思ってます」
「分かりました。それくらい慎重に考えていることを知って安心しました」
「それならよかったです」
「話は変わるんですが……その……風俗の仕事に対して今はどう思っていますか?」
「……」私が答えられずにいると、先生はこう言った。
「私が、その仕事に対して偏見とかそういうものがあるわけではないんです。今の時代は学生さんとかの収入のいいバイトだとも聞いたことがありますし。ただ、伊藤さんがどう思われてるのか、知りたいなと思いまして」
「……上手く説明出来ないと思うんですが、私がやるべきではなかったかなと。傷つけてしまった人がいるので……。迷惑もかけてしまいましたし……」
「なるほど……。勘違いしてほしくないのは伊藤さんが風俗で働いてたから、入院させたわけではないんです。入院前の伊藤さんは凄く苦しそうで、助けてあげたいという思いもあったんです」
「……そうだったんですね」
「答えてくださって、ありがとうございます。それでは、2週間後に退院する方向で進めていきましょう」
「はい、お願いします」
 私はその日から2週間後の11月2日の土曜日、無事に退院をした。
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