むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ。

「むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ」
 そう、むしゃくしゃしてやった。後悔はしていない。
 
 私は、カトリーヌ・ナルセー。17歳。
 ナルセー公爵家の長女であり、第2王子ハロルド殿下の婚約者である。父のナルセー公爵は、この国の宰相だ。
 その父は、今、私の目の前で、顔面蒼白になっている。
「カトリーヌ、もう一度言ってくれ。私の聞き間違いかもしれぬから」

 お父様、お気の毒ですけれど、お聞き間違いではございませんわ。では、もう一度言いますわよ。
「今日、王宮で、ハロルド様に往復ビンタを浴びせ、更に足で蹴りつけましたの」
 
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