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9話
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全て片付いたのを確認したグレイシアはすぐにアレンの方へと視線を遣った。
大丈夫だとは思ってはいたが、いつも使い慣れている剣ではなくナイフだ。
数で来られたら厳しい筈だ。
だが、アレンの周りには6体のゾンビが沈んでいた。
流石だわ。
黒の燕尾服は全く乱れていない。
アレンはグレイシアの側まで駆け寄ってくる。
「グレイシア、大丈夫か?見ていたから大丈夫だとは思うが….」
「見ていたから」その言葉になんだか次の言葉が聞きたくないななんて思ってしまった。
元々ちゃんと言うつもりではあったけれどいざ、見らるとなるとこんな令嬢は他にはいないのだから幻滅されてもおかしくない。
幻滅なんて、して欲しくない。
「えぇ、大丈夫ですわ。アレン様こそ、いつもの使い慣れた剣ではなくナイフだったのですから…大丈夫でしたか?」
「あぁ、大丈夫だ。私の方はすぐに片付いたからね。君の元に向かおうと思っていたんだが…」
言い淀むアレンに胸が痛む。
やはり、受け入れらなかったのだろう。
続きの言葉なんて聞きたくない。
思わず顔を俯けた。
「君が闘う姿が的確で綺麗だったから思わず見惚れてしまった」
「え…」
アレンは頬をポリポリと掻きながら少し頬を染めて視線を下に彷徨わせた。
その仕草の可愛いこと可愛いこと…
クールな見た目からは想像の出来ない可愛らしい表情にグレイシアは一瞬息が止まった。
ついでに心臓も止まってしまったかもしれない。
「アレン様…そんな風に言って頂けて嬉しいです…私みたいな貴族令嬢からかけ離れた様なものなのに…」
自分の生き方を変えるつもりもないのについそんな可愛くない事を言ってしまう。
自分でも可愛くないとわかっている。
でも、殿方は好きでしょう?お花のようにふわふわした女性が。
こんな苛烈な女、殿方は見向きもしない事、十分わかっているわ。
「グレイシア、そんな風に言わないでくれ。君は貴族としての令嬢も素晴らしい。でもそれ以上に奴らと闘う君が何より美しくて見惚れてしまったんだ」
とろりと青い瞳を蕩けさせて甘い言葉を吐く。
ずるいわ。
そんな事言われた事ないもの。
こんなの絶対嫌われると思っていたもの。
でも、貴方はそんな私を美しいと言ってくれるのね。
「アレン様。ありがとうございます。ユール家の事をお話しますね。元々話すつもりではありましたが…まず、夜会での帯刀が許されているのは私達、ユール家が王家の剣だからです」
「王家の剣とは?」
王家の剣。
それは一般には公開されていない。
「元々は王家に仇名す輩を秘密裏に処理する事を目的としています。今はゾンビもいるので公にも守っていますが。その為、何があっても王家を守れるようにユール家だけは帯刀を特別に許されています」
「そうだったのか。なら尚更君は辺境に来てもいいのかな?」
「えぇ、ゾンビも本来なら中央には出て来ない筈ですし問題はなかったんですが…何故今回、ゾンビが出たのか…それが解決出来たなら辺境に喜んで行かせていただきます」
そう、中央に本来ならば出る事のないゾンビが出たのだ。
アレンが守っている所が突破されたのならまだしも、そうでなければ事態は深刻だ。
「そうだな。砦に早馬を出して状況をまず聞こう。あの橋が突破された訳ではないのなら事態は深刻だろうし。この中央で誰かがゾンビにする事が出来ると言うことにもなる。どっちにしろ最悪だ」
アレンはグレイシアの危惧をわかっていた。
突破されただけならまだいい。
だが、中央だけに起こっている騒ぎならば、誰かが故意にそういう騒ぎを起こした事になる。
アレンとグレイシアは嫌な胸騒ぎを覚えた
大丈夫だとは思ってはいたが、いつも使い慣れている剣ではなくナイフだ。
数で来られたら厳しい筈だ。
だが、アレンの周りには6体のゾンビが沈んでいた。
流石だわ。
黒の燕尾服は全く乱れていない。
アレンはグレイシアの側まで駆け寄ってくる。
「グレイシア、大丈夫か?見ていたから大丈夫だとは思うが….」
「見ていたから」その言葉になんだか次の言葉が聞きたくないななんて思ってしまった。
元々ちゃんと言うつもりではあったけれどいざ、見らるとなるとこんな令嬢は他にはいないのだから幻滅されてもおかしくない。
幻滅なんて、して欲しくない。
「えぇ、大丈夫ですわ。アレン様こそ、いつもの使い慣れた剣ではなくナイフだったのですから…大丈夫でしたか?」
「あぁ、大丈夫だ。私の方はすぐに片付いたからね。君の元に向かおうと思っていたんだが…」
言い淀むアレンに胸が痛む。
やはり、受け入れらなかったのだろう。
続きの言葉なんて聞きたくない。
思わず顔を俯けた。
「君が闘う姿が的確で綺麗だったから思わず見惚れてしまった」
「え…」
アレンは頬をポリポリと掻きながら少し頬を染めて視線を下に彷徨わせた。
その仕草の可愛いこと可愛いこと…
クールな見た目からは想像の出来ない可愛らしい表情にグレイシアは一瞬息が止まった。
ついでに心臓も止まってしまったかもしれない。
「アレン様…そんな風に言って頂けて嬉しいです…私みたいな貴族令嬢からかけ離れた様なものなのに…」
自分の生き方を変えるつもりもないのについそんな可愛くない事を言ってしまう。
自分でも可愛くないとわかっている。
でも、殿方は好きでしょう?お花のようにふわふわした女性が。
こんな苛烈な女、殿方は見向きもしない事、十分わかっているわ。
「グレイシア、そんな風に言わないでくれ。君は貴族としての令嬢も素晴らしい。でもそれ以上に奴らと闘う君が何より美しくて見惚れてしまったんだ」
とろりと青い瞳を蕩けさせて甘い言葉を吐く。
ずるいわ。
そんな事言われた事ないもの。
こんなの絶対嫌われると思っていたもの。
でも、貴方はそんな私を美しいと言ってくれるのね。
「アレン様。ありがとうございます。ユール家の事をお話しますね。元々話すつもりではありましたが…まず、夜会での帯刀が許されているのは私達、ユール家が王家の剣だからです」
「王家の剣とは?」
王家の剣。
それは一般には公開されていない。
「元々は王家に仇名す輩を秘密裏に処理する事を目的としています。今はゾンビもいるので公にも守っていますが。その為、何があっても王家を守れるようにユール家だけは帯刀を特別に許されています」
「そうだったのか。なら尚更君は辺境に来てもいいのかな?」
「えぇ、ゾンビも本来なら中央には出て来ない筈ですし問題はなかったんですが…何故今回、ゾンビが出たのか…それが解決出来たなら辺境に喜んで行かせていただきます」
そう、中央に本来ならば出る事のないゾンビが出たのだ。
アレンが守っている所が突破されたのならまだしも、そうでなければ事態は深刻だ。
「そうだな。砦に早馬を出して状況をまず聞こう。あの橋が突破された訳ではないのなら事態は深刻だろうし。この中央で誰かがゾンビにする事が出来ると言うことにもなる。どっちにしろ最悪だ」
アレンはグレイシアの危惧をわかっていた。
突破されただけならまだいい。
だが、中央だけに起こっている騒ぎならば、誰かが故意にそういう騒ぎを起こした事になる。
アレンとグレイシアは嫌な胸騒ぎを覚えた
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