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○月×日
今日は歴代の王と王妃の墓参りに行った。
王位を継ぐ時、さらに王妃を迎える時のしきたりというか、儀式の一つなんだそうだ。
先祖への報告はどの世界でも同じらしい。墓は城から少し離れた静かな場所にあった。歴代のというだけあって綺麗に管理されていたし、かなり広かった。王も俺もいつかはここに入るのだと言われた。
後はこの国の占術師や神官長、まだ会った事のない役職者など、この国の中枢を司る人物達への正式なお披露目がある。これは来週やるそうだ。
彼らに認められて、全ての準備が整ってから初めて国民への婚約発表となるらしい。
そういえば占術師と神官は会った事がない。ちなみに神官が結婚式の立会人、地球で言うと神父の役割をするそうだ。
これらの儀式は、特に王に近い宰相や大臣達も何人か立ち会う。だから、来客者にバレるんじゃないかと思ったが、彼の父親が公務があると言って儀式の間は城から連れ出しているそうだ。
最初は嫌がっていたみたいだが、公務ならば仕方ないと渋々ついて行ったという。
それから、王の両親が健在なら、一番最初に報告しなければならないらしい。それは当たり前の話だが、すでに他界しているので墓参りの時に一緒に済ました。
使用人に先代はどんな人物だったのか聞いてみたが、政略結婚だったせいか仲が良い印象はなかったという。子どもも王一人しか作らず、一緒にいるのは公務の時くらいだったらしい。
だから王は話したがらなかったのか。あまり思い出がないのかもしれない。
陛下が恋愛結婚になる事が嬉しく思いますと使用人が言っていた。
恋愛結婚…になるのか。あまり恋愛らしい事をした覚えがないから実感が湧かない。
他国の情勢の関係で、結婚式は半年後になるそうだ。そのうち婚礼衣装の採寸なども行うという。
まさかスカートじゃないだろうな。
ーーーーーーーーーーーーーーー
○月×日
ずっと疑問に思っていた事があった。
それは寿命の事だ。
俺たち地球の人間は平均80~90くらいで寿命が尽きる。けど、この世界はとても寿命が長い。確か中学生くらいに見える子が150歳だったし。
俺はこのまま結婚して、長く生きても50年か60年くらいしか王と一緒にいられない。今さらだが、王はそれでもいいのだろうか。
そういえば俺は、王の年齢を知らない。
長生きという事だし、使用人の年齢を考えてみても何百歳なんだろうけど。
ヤバイな。俺はまだこの世界の事を、王の事を何も知らない。
ーーーーーーーーーーーーーーー
○月×日
いつものように王が身体を求めてきたので、その前に寿命の事を聞いてみた。俺はお前達と違って寿命が短いけどいいのかと。
王は「その事か」と、気にもしていないような素振りを見せた。
どういう事だと話を聞いてみたら、別に心配はいらなかった。
俺は、王の身体を受け入れた時点で寿命も長くなっていたらしい。
そんなバカな話があるのかと思ったが、番というのはそういう物なのだそうだ。身体を重ね続けると寿命が長い方に合わせて変わるという。一心同体って事なのか?
本当にファンタジーすぎてついていけない。
って事は、もし俺がプロポーズを断ったらどうなってしまったんだろう。恐くて考えたくない。
王は不安だったのか?とキスをしてきた。悩んだ俺がバカだったと呟いたら笑っていた。
ちなみに王は420歳だそうだ。
長く生きてて飽きないのかと聞いてみたら、これが当たり前だから考えた事がないと言っていた。
王はそれから、全ての儀式が終われば婚約は確定する。その後に来客者へ最後の通告をすると言った。さすがに婚約が確定すれば諦めるだろうと。
そこまでしないと話が通じない相手なのかと聞いてみたら、最初に通告をしてから幾度となく説得しているが、やはり認めないらしい。
しばらく窮屈な思いをさせるがすまないと謝られた。
来客者には会いたくないけど、いつかは会わなきゃいけないかもしれない。
守られてるだけは嫌だと思う自分がいる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
○月×日
今日からお妃教育を再び開始した。
今までのは婚約するにあたっての礼儀や作法、まだこの世界を知らなかった俺に対する基本的な知識の勉強だったらしいが、今度からは王妃になる為の徹底的な教育らしい。
はっきり言って不安しかなかったが、きちんとやらないと王が恥をかくのですよと言われたら頑張るしかない。自分で王妃になると決めたんだ。俺のせいで負担をかけたくない。
しかし、覚える事が多すぎて頭がパンクしそうだ。
ーーーーーーーーーーーーーーー
○月×日
今日もみっちりお妃教育。
覚えが早いと言われたが、本当に覚える事が多すぎる。
いつかはこの作法を他の国の人の前でもやらねばならない時が来る。
宴の時は笑ってごまかしていたが、今度は立場が変わる。ちゃんとできるだろうか。今から頭が痛い。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
○月×日
昨日、夜に王が訪ねて来たが、俺は顔が死んでいたらしい。具合が悪いのかと、かなり心配されてしまった。
お妃教育で覚える事が多すぎてしんどいとこぼしたら、苦労をかけると謝られた。
謝って欲しい訳じゃない、これは俺が決めた事だからと言ったら、ありがとうと感謝されて抱き締められた。
その温もりが心地よくて、しばらくこうしていて欲しいとついねだってしまった。王はびっくりしていたが、黙って頭を撫でてくれた。
やっぱり疲れてる時は人肌が恋しくなるのかもしれない。
俺は自然に王を誘っていた。凄く、抱いて欲しくなってしまったのだ。
あそこまで積極的になったのは初めてかもしれない。自分から王に腕や足を絡め、ずっとキスをねだっていた。王の身体にキスもした。
そして、思い出すのも恥ずかしいが、気づいたら俺は、王の上に自分から跨がり腰を振っていた。なんであんな事しちゃったんだろう。
王の嬉しそうな顔が頭から離れない。
そのまま激しく求められ、指一本動かせなくなるまで攻められた。喘ぎまくったせいで声が掠れて今も出ない。
王は朝も顔を綻ばせたまま、キスを落として出ていった。恥ずかしいから寝てるフリしたけど。
使用人に昨日何かあったんですか?と聞かれたけど、言えるはずがない。
王はまた今日も来るって言ってたけど、忘れてくれないだろうか。
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○月×日
今日は歴代の王と王妃の墓参りに行った。
王位を継ぐ時、さらに王妃を迎える時のしきたりというか、儀式の一つなんだそうだ。
先祖への報告はどの世界でも同じらしい。墓は城から少し離れた静かな場所にあった。歴代のというだけあって綺麗に管理されていたし、かなり広かった。王も俺もいつかはここに入るのだと言われた。
後はこの国の占術師や神官長、まだ会った事のない役職者など、この国の中枢を司る人物達への正式なお披露目がある。これは来週やるそうだ。
彼らに認められて、全ての準備が整ってから初めて国民への婚約発表となるらしい。
そういえば占術師と神官は会った事がない。ちなみに神官が結婚式の立会人、地球で言うと神父の役割をするそうだ。
これらの儀式は、特に王に近い宰相や大臣達も何人か立ち会う。だから、来客者にバレるんじゃないかと思ったが、彼の父親が公務があると言って儀式の間は城から連れ出しているそうだ。
最初は嫌がっていたみたいだが、公務ならば仕方ないと渋々ついて行ったという。
それから、王の両親が健在なら、一番最初に報告しなければならないらしい。それは当たり前の話だが、すでに他界しているので墓参りの時に一緒に済ました。
使用人に先代はどんな人物だったのか聞いてみたが、政略結婚だったせいか仲が良い印象はなかったという。子どもも王一人しか作らず、一緒にいるのは公務の時くらいだったらしい。
だから王は話したがらなかったのか。あまり思い出がないのかもしれない。
陛下が恋愛結婚になる事が嬉しく思いますと使用人が言っていた。
恋愛結婚…になるのか。あまり恋愛らしい事をした覚えがないから実感が湧かない。
他国の情勢の関係で、結婚式は半年後になるそうだ。そのうち婚礼衣装の採寸なども行うという。
まさかスカートじゃないだろうな。
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○月×日
ずっと疑問に思っていた事があった。
それは寿命の事だ。
俺たち地球の人間は平均80~90くらいで寿命が尽きる。けど、この世界はとても寿命が長い。確か中学生くらいに見える子が150歳だったし。
俺はこのまま結婚して、長く生きても50年か60年くらいしか王と一緒にいられない。今さらだが、王はそれでもいいのだろうか。
そういえば俺は、王の年齢を知らない。
長生きという事だし、使用人の年齢を考えてみても何百歳なんだろうけど。
ヤバイな。俺はまだこの世界の事を、王の事を何も知らない。
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○月×日
いつものように王が身体を求めてきたので、その前に寿命の事を聞いてみた。俺はお前達と違って寿命が短いけどいいのかと。
王は「その事か」と、気にもしていないような素振りを見せた。
どういう事だと話を聞いてみたら、別に心配はいらなかった。
俺は、王の身体を受け入れた時点で寿命も長くなっていたらしい。
そんなバカな話があるのかと思ったが、番というのはそういう物なのだそうだ。身体を重ね続けると寿命が長い方に合わせて変わるという。一心同体って事なのか?
本当にファンタジーすぎてついていけない。
って事は、もし俺がプロポーズを断ったらどうなってしまったんだろう。恐くて考えたくない。
王は不安だったのか?とキスをしてきた。悩んだ俺がバカだったと呟いたら笑っていた。
ちなみに王は420歳だそうだ。
長く生きてて飽きないのかと聞いてみたら、これが当たり前だから考えた事がないと言っていた。
王はそれから、全ての儀式が終われば婚約は確定する。その後に来客者へ最後の通告をすると言った。さすがに婚約が確定すれば諦めるだろうと。
そこまでしないと話が通じない相手なのかと聞いてみたら、最初に通告をしてから幾度となく説得しているが、やはり認めないらしい。
しばらく窮屈な思いをさせるがすまないと謝られた。
来客者には会いたくないけど、いつかは会わなきゃいけないかもしれない。
守られてるだけは嫌だと思う自分がいる。
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今日からお妃教育を再び開始した。
今までのは婚約するにあたっての礼儀や作法、まだこの世界を知らなかった俺に対する基本的な知識の勉強だったらしいが、今度からは王妃になる為の徹底的な教育らしい。
はっきり言って不安しかなかったが、きちんとやらないと王が恥をかくのですよと言われたら頑張るしかない。自分で王妃になると決めたんだ。俺のせいで負担をかけたくない。
しかし、覚える事が多すぎて頭がパンクしそうだ。
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○月×日
今日もみっちりお妃教育。
覚えが早いと言われたが、本当に覚える事が多すぎる。
いつかはこの作法を他の国の人の前でもやらねばならない時が来る。
宴の時は笑ってごまかしていたが、今度は立場が変わる。ちゃんとできるだろうか。今から頭が痛い。
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○月×日
昨日、夜に王が訪ねて来たが、俺は顔が死んでいたらしい。具合が悪いのかと、かなり心配されてしまった。
お妃教育で覚える事が多すぎてしんどいとこぼしたら、苦労をかけると謝られた。
謝って欲しい訳じゃない、これは俺が決めた事だからと言ったら、ありがとうと感謝されて抱き締められた。
その温もりが心地よくて、しばらくこうしていて欲しいとついねだってしまった。王はびっくりしていたが、黙って頭を撫でてくれた。
やっぱり疲れてる時は人肌が恋しくなるのかもしれない。
俺は自然に王を誘っていた。凄く、抱いて欲しくなってしまったのだ。
あそこまで積極的になったのは初めてかもしれない。自分から王に腕や足を絡め、ずっとキスをねだっていた。王の身体にキスもした。
そして、思い出すのも恥ずかしいが、気づいたら俺は、王の上に自分から跨がり腰を振っていた。なんであんな事しちゃったんだろう。
王の嬉しそうな顔が頭から離れない。
そのまま激しく求められ、指一本動かせなくなるまで攻められた。喘ぎまくったせいで声が掠れて今も出ない。
王は朝も顔を綻ばせたまま、キスを落として出ていった。恥ずかしいから寝てるフリしたけど。
使用人に昨日何かあったんですか?と聞かれたけど、言えるはずがない。
王はまた今日も来るって言ってたけど、忘れてくれないだろうか。
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