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<BAR GRANT>
BAR GRANT
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毎週末の金曜の夜はグラントのカウンターの隅でカクテルを飲む。
この行動は悠歩にとってルーティーンと化しているが、3か月前からは郷を待つという意味をもつようになった。
今はいいけど、郷さんと別れたときはここに来れなくなるだろうな・・・
さすがに、今夜は一人で飲んでいても誘ってくる人はいない。
そもそも、数年前からグラントのこの席に座っていていたのに、新顔と思われていたなんて。
どんだけ存在感無いんだ・・・
郷さんと付き合い始めてから何人かの人から声をかけられるようになり、先週の二人はちょっとしつこくて参ってしまった。
グラントには郷さんが目当てで来る人もいるから、俺なんかが郷さんと付き合っているなんてわかったら迷惑がかかると言ったら
「悠歩は自分を過小評価し過ぎです。わたしをこんなに夢中にするくらい魅力的なんだから"俺なんか"などと言ってはいけない」
「でも」
「何時も、カウンターの隅に一人で座っていて綺麗な人なのに、誰かに声をかけられることもない悠歩のことが気になって、金曜日の夜だけグラントに入っていたんですよ」
「そうなんだ、じゃあ、俺がどれほどモテないかも見ていたんですよね」
「悠歩が恋人が出来たと嬉しそうに話したときは、ちょっと見知らぬ恋人にジェラシーを感じたけど、相変わらず一人で来ていたのは不思議には思っていたよ」
「ここは俺の大切な場所だから・・・それに、誠は俺自体にはあまり興味がなかったというか・・・」
「悠歩は安売りをし過ぎだったのではないのか?」
「安売り?」
「恋人によって人は変わるんだよ。悠歩は愛され不足」
「愛され不足?」
「自分を高く売ることで相手は必死になるだろ?振り向いてほしくて」
「はい」
「でも、簡単に振り返って、何でも言うことを聞くと思えば、必死にならないし、愛も適当に与えればいいと思われてしまう。そうなると、悠歩は不安になって自信をなくしてしまう。そんな感じじゃなかった?」
「そうかも」
いつだって、捨てられたくなくて自分を殺して相手に合わせてきた。
「悠歩は愛された分だけ魅力が増していくとおもうよ。」
そんな話をした後、ある意味メチャクチャ愛されたんだよな
目の前で、カクテルをシェーカーからグラスへ注ぐ郷の細くて長い指先を見つめながら
あの指が俺を・・・
そんなことを考えていると、カランと、来客を知らせる鐘の音が鳴ったが、待ち合わせの相手はカウンター内にいるため誰が入ってきても興味がない。
そもそも、もとからボッチ飲みだからどんな音にも鈍感だった。
悠歩の前におかれている、ジントニックの氷がカランと鳴る。
座席は空いているのに、“ワザワザ”悠歩の隣にその客は座った。
常連は、俺が郷さんと付き合っていることを知っているから、もう声をかけてくる人はいないから常連ではないのかも、でも面倒なことになったら嫌だから関わらないようにしようと思ったその時
「悠歩、久しぶり」
聞き覚えのある声に思わず振り返ると、3ヶ月前に別れた誠がそこに座っていた。
この行動は悠歩にとってルーティーンと化しているが、3か月前からは郷を待つという意味をもつようになった。
今はいいけど、郷さんと別れたときはここに来れなくなるだろうな・・・
さすがに、今夜は一人で飲んでいても誘ってくる人はいない。
そもそも、数年前からグラントのこの席に座っていていたのに、新顔と思われていたなんて。
どんだけ存在感無いんだ・・・
郷さんと付き合い始めてから何人かの人から声をかけられるようになり、先週の二人はちょっとしつこくて参ってしまった。
グラントには郷さんが目当てで来る人もいるから、俺なんかが郷さんと付き合っているなんてわかったら迷惑がかかると言ったら
「悠歩は自分を過小評価し過ぎです。わたしをこんなに夢中にするくらい魅力的なんだから"俺なんか"などと言ってはいけない」
「でも」
「何時も、カウンターの隅に一人で座っていて綺麗な人なのに、誰かに声をかけられることもない悠歩のことが気になって、金曜日の夜だけグラントに入っていたんですよ」
「そうなんだ、じゃあ、俺がどれほどモテないかも見ていたんですよね」
「悠歩が恋人が出来たと嬉しそうに話したときは、ちょっと見知らぬ恋人にジェラシーを感じたけど、相変わらず一人で来ていたのは不思議には思っていたよ」
「ここは俺の大切な場所だから・・・それに、誠は俺自体にはあまり興味がなかったというか・・・」
「悠歩は安売りをし過ぎだったのではないのか?」
「安売り?」
「恋人によって人は変わるんだよ。悠歩は愛され不足」
「愛され不足?」
「自分を高く売ることで相手は必死になるだろ?振り向いてほしくて」
「はい」
「でも、簡単に振り返って、何でも言うことを聞くと思えば、必死にならないし、愛も適当に与えればいいと思われてしまう。そうなると、悠歩は不安になって自信をなくしてしまう。そんな感じじゃなかった?」
「そうかも」
いつだって、捨てられたくなくて自分を殺して相手に合わせてきた。
「悠歩は愛された分だけ魅力が増していくとおもうよ。」
そんな話をした後、ある意味メチャクチャ愛されたんだよな
目の前で、カクテルをシェーカーからグラスへ注ぐ郷の細くて長い指先を見つめながら
あの指が俺を・・・
そんなことを考えていると、カランと、来客を知らせる鐘の音が鳴ったが、待ち合わせの相手はカウンター内にいるため誰が入ってきても興味がない。
そもそも、もとからボッチ飲みだからどんな音にも鈍感だった。
悠歩の前におかれている、ジントニックの氷がカランと鳴る。
座席は空いているのに、“ワザワザ”悠歩の隣にその客は座った。
常連は、俺が郷さんと付き合っていることを知っているから、もう声をかけてくる人はいないから常連ではないのかも、でも面倒なことになったら嫌だから関わらないようにしようと思ったその時
「悠歩、久しぶり」
聞き覚えのある声に思わず振り返ると、3ヶ月前に別れた誠がそこに座っていた。
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