空間魔法で異世界最強

dainamo

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魔物と武器

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俺は5歳になっていた。
この2年間で空間魔法と、補助魔法の使い方に付いてめっちゃ修行した。
本なども読み漁り色々な事を試した。
本を読んで行く内にある事に気づく。
詠唱が書かれているのだ。俺は補助魔法ですら詠唱なんてした事がないので、必要ないのだと思い無視した。

修行の成果だが、結論から言うと空間魔法では短い距離を瞬間移動できる様になった!長い距離も試したが、速攻で魔力が切れた。◯ーラ的な事は出来ないらしい。魔力量が増えれば出来るのかもしれないが、正直燃費が悪すぎてやりたくない。

他にもサイコキネシスの応用で、引っ張ったり押したり、上から押しつぶす様にしたりと、力の向きをコントロールできる様になった。

補助魔法は、その名の通り補助をしてくれる魔法だ。自分の身体能力を向上させたり、自分以外の能力を向上させる事も出来るようだ。

そして補助魔法・身体強化は重ねがけができた。しかしとてつもない速さで移動などできる代わりに体に物凄い負荷がかかってしまう様だ。試しに使ってみてから3日は筋肉痛で動くのすらしんどかった。

ちなみに親も俺が魔法の訓練をしているのは知っている。以前空間切断の練習をしていて、扉を少し切ってしまった事があった。何を言われるかと思ったが、褒められて終了だった。

本当に甘い親である。

そして5歳になった事で、ちょっとなら外出を許可してもらえたのだ!条件として、森には入っては行けないと言われていた。魔物が出るからだ。しかし、俺は試さずにはいられなかった。

だから言いつけを破り森に入ったのだ。

するとすぐに少し大きいウサギの様なものがこちらに向かってくる。頭にはそこそこ長さがあるであろう鋭角な角が生えていた。

「あれが魔物か!」と俺は興奮しながら身体強化を付与して素早く横にかわす。その際ガラ空きなウサギの首めがけて手刀をした。

空間を切るイメージで放たれた手刀は見事にウサギの首を綺麗に跳ね飛ばした。

「よし!」と成功を喜ぶ。
が切った断面のグロさに少し吐きそうになった。

その時、体が少し熱くなる様な感覚になる。
以前本で読んだレベルアップの際に起こる現象だ。

「こんなんでレベルが上がるのか」とも思ったが、俺には成長率上昇のスキルがある事を思い出した。

「あれのおかげかな」と思いつつも初めて魔物を倒した高揚感に浸っていると、血の匂いに惹きつけられたのか狼の様な魔物が現れた。

俺はその見た目のいかつさから少しビビったが、すぐに気を引き締めて戦闘体制に入る。

今度は切るのではなく削る方で戦う事にした。
削り取るにはそれなりに近くないと当たらないので、必然とインファイトになる。

が、俺には秘策があった。空間を削ると削った先にあるものとお互いに引き寄せられるのである。ちなみに大きな岩や木、もしくは何もないなどは自分だけが引きつけられる結果になる。
引きつける距離は一回につき大体8メートルほどだと思う。

俺は狼っぽいやつに向かって左手を振りかざす。その瞬間俺と狼は引きつけ合い、目の前に俺が現れた狼は一瞬何が起こったのか理解できずに固まる。

その瞬間俺は構えていた右腕で狼の頭に触れて振りかざす。すると狼の頭は消え、首から下が残った。

「なかなかにエグいなこれ」

何せ一撃である。普通は5歳児の魔法ではせいぜいちょっと痛い程度の魔法を出すのが限界である。

それを考えるとこの破壊力を何度も使える空間魔法は攻撃において相当燃費が良い。

しかし欠点もあり、空間魔法で遠くの敵を攻撃しようとすると一気に消費するMPが増えるのである。なので攻撃は相手の攻撃を受けうる間合いでしか使えないのだ。

そこで活躍するのが補助魔法である。身体強化をする事で機敏に動き、相手より早く相手に攻撃する。先手必勝である。

さらに先ほどの様に引きつけるという初見殺しの技もあり、意外とそのデメリットはどうにでもなる。

俺はウサギと狼の死体を空間魔法の「ストレージ」と読んでいる空間に入れる。

そして自分の魔法を試せて満足したため、帰路に着いた。

家に着くと玄関にはソフィが待っていた。
「ソルちゃん?何か血の匂いがしない?」
ギクリ…
「いやぁ、実はそのぉ…森に入ってしまって…」

その後はこっ酷く叱られた。言いつけを守らなかったのだから当然であるが、まさかここまでソフィが怒るとは思わなかった。かなり怖い。

だが俺は将来冒険者になりたいと思っている。
早めに経験を積みたかったのだ。
だから俺はルクスに言った。

「僕は将来お母様の様に冒険者になりたいです!なので強くなりたいです!僕は魔物と戦いたいです!ダメですか?お父様…」と。

すると「5歳児に魔物と戦って良いと許可する親がいると思うか?お前がどれだけ努力しているのかは知っているが、まだダメだ」

「『まだ』とはいつまででしょうか!」

「そうだな。8歳になれば王都で『学校』に行く事になる。そうなったら自分で魔物と戦う事を許そう。だがそれまではダメだ」

学校…俺の嫌いな言葉である。喧嘩に明け暮れていた俺はまともに学校など行っておらず、勉強も嫌いだ。できれば行きたくない。が、この世界では真っ当に生きると決めている。

「わかりました…」と返事をし、自分の部屋へと戻る。

「学校か…」とため息をこぼしながらも王都というまだ見ぬ地へと行ける事にはワクワクしていた。

しかしまだ3年もある。5歳となったが、この体はかなり運動神経が良くガタイも良い。他の5歳児を見た事はないが、村で以前見た少年少女たちよりも大きいだろう。

前世でもフィジカルの強さの重要性は嫌というほど知っている。俺がそうだったからだ。

「さて、この3年間をどう過ごすか」
魔法の訓練は当然として、俺は適度に肉体を強くする事にした。

言いつけを破ってしまったが、少しの外出は許してもらえたので、ランニングをして基礎体力を鍛えて、それが終わると、軽い無酸素運動で筋肉をつけていく。やりすぎると成長に悪影響なため本当に適度な量だけだ。

身体強化の重ねがけに耐えうる肉体を作るためにも取り組むべきであると判断したためである。

それが終わると魔法をMPが切れる寸前まで練習する。最初は気絶してしまう事もあったが、数週間すると、「あ、そろそろなくなる」というとが、なんとなくわかってくる様になったのである。

それに日に日に使える魔法の回数が増えている。きっとMPの量が増えているのだろう。
成長率上昇はレベルアップ以外にも効果があるのかもしれない。

そんなこんなで一年が経ち、俺は6歳になった。

ルクスも俺がトレーニングをしているのを知っているためか、6歳になる誕生日に、

「ソル、そろそろお前に武器になるものを買ってやろうと思うんだが何が良い?」と言われた。

俺は驚いた。まだ魔物と戦う事は許可されていないのに、武器をくれるというのだから。
俺が不思議そうな顔をしているとルクスが、

「そろそろお前の特訓相手になってやろうかと思ってな」と言う。

「いつも1人で鍛えているだろう?強くなりたいのなら魔物だけでなく対人戦も経験した方がいいと思ってな。もちろん嫌と言うなら無理強いはしな「やります!」…そうか」

食い気味に答える

「では武器は何がいい?」

そう聞かれて俺は悩んでしまう。俺は正直ロングソードとか弓とか興味あんまりないんだよなぁ。剣より切れる魔法があって遠距離もやろうと思えば引きつけてなんとかなるし。

あるのかはわからないが、魔法が無効化された時の対処法は欲しいな。となると…

「ガントレットが欲しいです。できるだけ動きやすいやつで」

ガントレットだ。仮に魔法を封じられても殴れるし、剣や弓の様に手元にないと攻撃出来ない訳ではない。さらに俺はインファイトが多い。無駄に刃が付いているものは邪魔になる可能性が高いのである。

「ガントレットか…それで、なぜそれなんだ?」

「僕の戦い方と相性が良いと感じたからです!」

「そうか。わかった、動きやすいものを用意しよう。」

「ありがとうございます!」

念願の武器ゲットである。と言ってもガントレットなので今までと戦闘スタイルは大して変わらないが、対人戦では空間魔法は危険すぎる。

そして5日ほど経った頃、念願の武器が届いたのである!

形は思っていたよりもシンプルで、黒を基調としたグローブに近い感じだ。関節の所には少し角張った金属が出ていて、攻撃力は高そうだ。

かつ無駄にゴツいわけではなく、とても軽い。
試しに引っ張ってみるが意外と伸びる。伸縮性もいい様だ。

俺は届いたガントレット、もといグローブに満足していた。そして「それじゃ約束通り、対人の訓練をしようか」と、ルクスから声をかけられる。
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