霊になった私は恋をする

闇猫古蝶

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久しぶりの日常

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家に着き男はきたかな、と振り返る。

「はぁ…っ。なんだよ、いきなりついてきて、って」

ついてきてくれていたようで、とりあえず安心(?)した。

「いいから入って!」

「お、おう」

私は半ば無理やり男を家にあげるとリビングのソファに座らせ、私はその向かいのソファに腰かけた。

「知らない男家にあげていいのか?つーか…なんなんだ、いきなり?」

私はとりあえず自分が幽霊で恋がしたくて成仏できないこと、男が不審者にみられそうなので家にあげたことを説明した。

「なるほど…って、俺まさか霊感ある…?」

「いやいや…。あ、名前は?私、早乙女レイ」

「俺は月流トオルだ」

それから私達は少し話をすることになった。

私は一人暮らしだということ、少女漫画が好きなことを話した。トオルはこの近くに住んでいること、同じ歳だということを話してくれた。

「っと、そろそろ帰るわ」

「うん、そっか…」

いつまでも話せるわけじゃないんだよね。誰かと話せただけで、だいぶいい収穫だったかもしれない。

「明日も…話す?」

「いいのっ?」

その提案に驚いて、嬉しくて…思わず声が裏返る。

「うん。じゃあ明日一時にまた来ていい?」

「うんっ!」

トオルは私の内心を察してくれたのだろうが、また話せる。

ただそれだけのことが私は嬉しかった。

やっぱり、誰も話せなくてどこか不安だったのかもしれない。

玄関までトオルを見送り今日はそこで別れた。

まだ六時。とくにすることもないのでテレビをみて、漫画を読む…それを繰り返す。

そうこうしているうちに時刻は十一時。

「そうだ!日記でもつけてみよう!」

突然浮かんだが、結構いいアイデアだと思う。

私は、すぐ自分の部屋の机に向かい、ノートを広げ書き始める。

『今日はトオルと出会った。久しぶりに生きてた頃みたいに誰かと話した。また明日も話せる…すごく心強いなぁ。

成仏するのはたしか四十二日後、くらいかな…?

ちゃんと成仏できるように、頑張らなきゃ!』

文章を書くのは得意ではないがなんとかかけた。でも慣れないことをしたからか眠気が…

ノートを閉じ、冷えたベッドにはいるとすぐ眠りに落ちた。
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