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第2章 【異世界召喚】冒険者
第47話 強風の中で。
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「いいねぇ、新人冒険者っぽくて」
俺の方を見てニヤニヤしてるレオニードさん。
「はぁ、はぁ……、新人ですからね。ただ、直ぐ慣れそうな気はしますね……」
主にスキルの力でね。
ちょっと心の準備が出来てなかっただけで、多分次からは大丈夫……なハズ。
そんな事より。
その足元の犬はどうするのでしょうか。その完全に抵抗を諦めてしまった子犬の様に震えてる魔物はどうするのでしょうか……。
いえ、もはや子犬です。
「あの、その足元の魔物はどうするんですか?」
「あん?あぁ、忘れてたな」
レオニードさんはスモールガルムが逃げない様に踏みつけたまま、首根っこを掴み足を退けた。
スモールガルムは完全に戦意喪失しており、抵抗せずされるがままになっている。
「殺して食う……にしても不味そうだしな」
食うつもりなんかい。
「そうすね、流石に食べたくは無いんで……。その、やっぱり放しちゃうと危ないですかね」
人間を襲って食べるって言ってたし、ここで開放したら誰かが襲われるかも知れないもんな。
やっぱりここで処分するしかないのだろうな。
「大丈夫じゃねーか?こいつはもう人間に近付かないと思うぜ?」
「え、そうなんですか?」
「そりゃ、こいつだって死にたくないだろうし。そうだろ?犬」
「くぅ、くぅ~ん――」
おい、自分の事犬って認めんなよ。つーか、言葉分かるんかい。お前、犬で良いんだな?
「こいつが余程頭が悪く無ければ、だけどな。敵わないって理解した相手には牙を向けてくる事は無いだろうよ」
この世界で生きている魔物は、それ位の危機感位はあるそうだ。まぁ、そりゃそうか。魔物と言えど弱肉強食だ。
「じゃあ、放してあげましょうよ」
いつまでも持ち上げられたままってのも可哀そうだしな。
「んじゃ、そうするか」
地面にスモールガルムはを下ろし、既に興味を失ったレオニードさんはコボルトの死骸に近付き、その辺に落ちている枝や枯葉を集めて、コボルトを隠す様に被せた。
「ほら、行っていいんだよ。もう人間を襲うなよ」
俺はあっちに行けってジェスチャーをして、スモールガルムを追い払った。
テッテッテッと駆け出して、離れた所でこちらを振り返り……クワンっと一鳴きして去って行った。
まぁ、あの個体は人間を襲わないだろうけども。……だけど次からは躊躇わずに駆逐しないと駄目だろうな。
そうこうしている内に、レオニードさんは枯葉に火の魔石を使い火をつけた。一応燃やして置かないと他の魔物が群がって来る可能性があるそうだ。
街からそんなに遠く無い場所だから、万が一そこから街道にでも魔物が流れたら厄介だ。との事。
「そういやお前、さっきの動きは良かったな。普段からアレが出来りゃ大丈夫だろうよ」
咄嗟に体が動いたってのが正しいんだよな。無意識。
「そうですね……、頑張ります」
きっと意識の問題なんだよな。実際自分の中では、生き物を殺す事に忌避感があるし…。そんな事言ってる場合じゃないんだけどさ。
さっきはフローラが一瞬頭に浮かんで、そこから怒り?なのかな、そんな感情が思考を満たして。
って、怒りで能力が爆発するとか、どこの戦闘民族ですか……。
「まぁ、焦んなくても良いけどよ。それなりに焦った方がいいな」
「いや、どっちすか」
「はははっ、両方だな。んじゃ、そろそろかな」
コボルトの死骸が良く焼けて来た所で、レオニードさんは徐に例のライトソードを取り出し、コボルトを簡単に等間隔に切り始めた。
「え、まさか食べるんですか?」
「食わねえよ。俺はな。だが――っと、まぁこんなもんか。これを一応持って行くぞ」
コボルトの解体が終わったレオニードさんは、背中のバックパックを下ろし、中にコボルトを詰め始めた。
「収納持ちが居りゃあ、こんな事しなくても良いんだけどよ……」
あ、それ持ってますね。俺。
「あ、あの……」
「あん?どうした」
「持ってます……収納……」
「は?」
「それ……収納出来ます。俺……」
その手を止め、俺を凝視するレオニードさん。き、気まずい……。
「早く言ってくれよ。まじで」
「はい、ごめんなさい……」
いやだって、このスキルは人にあんまり見せるなって助言されてるしさ!って話をしたら「俺は良いんだよ、そんなもん。大体お前を利用したって何の得にもなりゃしねぇっての。あ、コボルトを収納すんのは助かるけどな」って言われた。
バックパックからコボルトを出して、地面に落とす。それを俺が「アイテムボックス」のスキルで収納する。
「確かにスキルを他人においそれと教えるのは良くない。けどな、俺は信用してくれてもいいんだぜ?信じなくても良いけどな」
「いや、だからどっちすか。それ」
収納し終わって、とりあえず歩き出したレオニードさんの後を追う。
この人に真意が何処にあるのか分からない。でも実際、信用して良いんだと思う。何となくだけどな。
「ただ、他人を疑う事も忘れるな。こんな世界だ。良い人面で近づいて来て、結局裏切るヤツなんて腐るほど居る。俺も、もしかしたらそんな奴かも知れん。複数人でパーティーを組むこともあるだろから、その時は特に注意しろ。お前以外は全員グル。なんて事だって実際にはある。鑑定のスキルがあれば、ある程度は分かるけどな」
「あー、鑑定ですか……」
「おい、お前まさか……」
レオニードさんは信じられない様な物を見る目で俺を見る。
「はい……そのまさかですね……」
レオニードさんは呆れた表情で俺を見た。
「成程ねぇ……お前もアレか、勇者か何かか?」
「いやいや、勇者なんかじゃ無いですよ。只の無職です、って今は冒険者見習いですよ」
「鑑定を持っててその態度って事は、まだ俺には使って無いな?」
「使って無いですね。そう言えば」
「だろうな。まぁ鑑定された瞬間にお前を切らなきゃだから、出来れば止めておいた方が良いな」
え、なんですかそれ。怖いんですけど……。つーか怖っ!
「別に見られて困るもんは無いんだけどよ、何故か鑑定を掛けられると反射的に身体が動いて相手を切っちまうんだわ。何つーか、一種の呪いみたいなもんかもな」
「ははは……そう言うのは、先に言って置いて下さいね」
危ないじゃないか。反射的にとか、絶対死ぬ奴じゃん!
「そうだな。まさかお前が鑑定使えるとは思って無かったからな。まぁ、お互い様ってやつか?」
「いやいや、一歩間違えば死んでたじゃないですか。俺」
「今生きてるんだ。それで十分だろ?」
なんですか、その暴論は。確かに生きてますけど。
「はぁ……そうですね。そうしておきましょう」
諦めよう。多分レオニードさんはそこまで考えて無い気もするし。それに、鑑定しなきゃ良いだけの話だしな。
仮にレオニードさんが嘘を言っていたとしても良いんじゃないか?秘密の一つや二つあるだろうよ。それを暴こうとか思って無いし、そんな事しても何の意味も無いからな。
「で、お前……リンダとどこまで進んだんだ?」
「なっ!何の話ですか!」
唐突に話を変えてきた。きっとレオニードさん的に気を使ってくれたんだと思う。
話が途切れて気まずくならないだけ、かなりマシだと思ったよ。魔物が出るのに、随分気楽なもんだな。と思われるかも知れないけど。
林を抜けて、世間話をしながらレオニードさんの目的地である「アグストリアの丘」と呼ばれる小高い丘まで何事も無く到着したのだった。
街は随分遠くにある様で、殆どここからは視認出来ない。
時折吹く風が頬を撫でる様に……。いや、殴る様に……。
「レオニードさん!風!強くないですか!!」
急に風が強くなってきて、さっきまで晴れてたのに徐々に雲が厚くなって来た。
「まぁ、雨は降らなそうだし、少しの我慢だろうな。どうりで魔物が少ないハズだ。さっきのコボルト出してくれ」
言われた通り、レオニードさんの足元にコボルトの肉片を置く。その瞬間に数個の肉片は飛んで行ってしまったが。
「あぁ、大丈夫だ。何個かここにあればいい」
地面に埋め込む様に肉片を踏む。飛んで行った肉片の臭いを辿って、ここまで来るそうだ。
え、何が来るの?
これだけ風が強いと、魔物も自分たちの巣に籠るらしく、なかなかエンカウントしないそうだ。逆に言えば、この風の中でも動き回っている魔物が居るとすれば……そう、中々の脅威度があるって事で……。
何かこっちに歩いて来るんですが……。あれ?可笑しいな。何か、高さが2m以上はある気がするんだけど……?
見間違いかな?
何か棍棒みたいなの持ってるね。うん、あれで殴られたら痛そうだな、っつうか死ぬな。
「おう、なかなか良いのが引っかかったじゃねーか」
そう言うと、足元にあったコボルトの肉片をその2mのヤツに向けて蹴り飛ばした。
ソイツはコボルトをキャッチすると、躊躇いもせず口に放り込んでニチャニチャと咀嚼している。
「あいつは、オーガだな。確かこの辺では出ないハズなんだがな……、まぁいいか。丁度良い。ほら、倒して来いよ」
いや、全然良くない!
「はい?オーガって、確か【Cランク】以上の依頼でしたよね?!」
ギルドの掲示板に貼ってあった気がするな。あれ、確か可能なら討伐って……。
「ま、お前ならいけるって。楽勝楽勝」
「俺、武器短剣しかないんですが……」
「まぁ、死なない程度にやってみろ」
んなアホな……。
覚悟を決めるしか無いのか?でも、いざとなったらレオニードさんが助けてくれるだろうし……。くそ!やりますよ!やりゃあ良いんでしょ?!
「おう、頑張れよ。人型だからよ、割かし闘いやすいんじゃねーか?」
風に体が持ってかれそうになる。髪の毛がバサバサしてじゃまだ。目が乾いてしょぼしょぼする。はぁ……帰りたい。
言い訳ばかり浮かんで来るけど、やらなきゃいけない時だってあるだろ!って言い聞かせて、オーガに向けて走り出した。
俺の方を見てニヤニヤしてるレオニードさん。
「はぁ、はぁ……、新人ですからね。ただ、直ぐ慣れそうな気はしますね……」
主にスキルの力でね。
ちょっと心の準備が出来てなかっただけで、多分次からは大丈夫……なハズ。
そんな事より。
その足元の犬はどうするのでしょうか。その完全に抵抗を諦めてしまった子犬の様に震えてる魔物はどうするのでしょうか……。
いえ、もはや子犬です。
「あの、その足元の魔物はどうするんですか?」
「あん?あぁ、忘れてたな」
レオニードさんはスモールガルムが逃げない様に踏みつけたまま、首根っこを掴み足を退けた。
スモールガルムは完全に戦意喪失しており、抵抗せずされるがままになっている。
「殺して食う……にしても不味そうだしな」
食うつもりなんかい。
「そうすね、流石に食べたくは無いんで……。その、やっぱり放しちゃうと危ないですかね」
人間を襲って食べるって言ってたし、ここで開放したら誰かが襲われるかも知れないもんな。
やっぱりここで処分するしかないのだろうな。
「大丈夫じゃねーか?こいつはもう人間に近付かないと思うぜ?」
「え、そうなんですか?」
「そりゃ、こいつだって死にたくないだろうし。そうだろ?犬」
「くぅ、くぅ~ん――」
おい、自分の事犬って認めんなよ。つーか、言葉分かるんかい。お前、犬で良いんだな?
「こいつが余程頭が悪く無ければ、だけどな。敵わないって理解した相手には牙を向けてくる事は無いだろうよ」
この世界で生きている魔物は、それ位の危機感位はあるそうだ。まぁ、そりゃそうか。魔物と言えど弱肉強食だ。
「じゃあ、放してあげましょうよ」
いつまでも持ち上げられたままってのも可哀そうだしな。
「んじゃ、そうするか」
地面にスモールガルムはを下ろし、既に興味を失ったレオニードさんはコボルトの死骸に近付き、その辺に落ちている枝や枯葉を集めて、コボルトを隠す様に被せた。
「ほら、行っていいんだよ。もう人間を襲うなよ」
俺はあっちに行けってジェスチャーをして、スモールガルムを追い払った。
テッテッテッと駆け出して、離れた所でこちらを振り返り……クワンっと一鳴きして去って行った。
まぁ、あの個体は人間を襲わないだろうけども。……だけど次からは躊躇わずに駆逐しないと駄目だろうな。
そうこうしている内に、レオニードさんは枯葉に火の魔石を使い火をつけた。一応燃やして置かないと他の魔物が群がって来る可能性があるそうだ。
街からそんなに遠く無い場所だから、万が一そこから街道にでも魔物が流れたら厄介だ。との事。
「そういやお前、さっきの動きは良かったな。普段からアレが出来りゃ大丈夫だろうよ」
咄嗟に体が動いたってのが正しいんだよな。無意識。
「そうですね……、頑張ります」
きっと意識の問題なんだよな。実際自分の中では、生き物を殺す事に忌避感があるし…。そんな事言ってる場合じゃないんだけどさ。
さっきはフローラが一瞬頭に浮かんで、そこから怒り?なのかな、そんな感情が思考を満たして。
って、怒りで能力が爆発するとか、どこの戦闘民族ですか……。
「まぁ、焦んなくても良いけどよ。それなりに焦った方がいいな」
「いや、どっちすか」
「はははっ、両方だな。んじゃ、そろそろかな」
コボルトの死骸が良く焼けて来た所で、レオニードさんは徐に例のライトソードを取り出し、コボルトを簡単に等間隔に切り始めた。
「え、まさか食べるんですか?」
「食わねえよ。俺はな。だが――っと、まぁこんなもんか。これを一応持って行くぞ」
コボルトの解体が終わったレオニードさんは、背中のバックパックを下ろし、中にコボルトを詰め始めた。
「収納持ちが居りゃあ、こんな事しなくても良いんだけどよ……」
あ、それ持ってますね。俺。
「あ、あの……」
「あん?どうした」
「持ってます……収納……」
「は?」
「それ……収納出来ます。俺……」
その手を止め、俺を凝視するレオニードさん。き、気まずい……。
「早く言ってくれよ。まじで」
「はい、ごめんなさい……」
いやだって、このスキルは人にあんまり見せるなって助言されてるしさ!って話をしたら「俺は良いんだよ、そんなもん。大体お前を利用したって何の得にもなりゃしねぇっての。あ、コボルトを収納すんのは助かるけどな」って言われた。
バックパックからコボルトを出して、地面に落とす。それを俺が「アイテムボックス」のスキルで収納する。
「確かにスキルを他人においそれと教えるのは良くない。けどな、俺は信用してくれてもいいんだぜ?信じなくても良いけどな」
「いや、だからどっちすか。それ」
収納し終わって、とりあえず歩き出したレオニードさんの後を追う。
この人に真意が何処にあるのか分からない。でも実際、信用して良いんだと思う。何となくだけどな。
「ただ、他人を疑う事も忘れるな。こんな世界だ。良い人面で近づいて来て、結局裏切るヤツなんて腐るほど居る。俺も、もしかしたらそんな奴かも知れん。複数人でパーティーを組むこともあるだろから、その時は特に注意しろ。お前以外は全員グル。なんて事だって実際にはある。鑑定のスキルがあれば、ある程度は分かるけどな」
「あー、鑑定ですか……」
「おい、お前まさか……」
レオニードさんは信じられない様な物を見る目で俺を見る。
「はい……そのまさかですね……」
レオニードさんは呆れた表情で俺を見た。
「成程ねぇ……お前もアレか、勇者か何かか?」
「いやいや、勇者なんかじゃ無いですよ。只の無職です、って今は冒険者見習いですよ」
「鑑定を持っててその態度って事は、まだ俺には使って無いな?」
「使って無いですね。そう言えば」
「だろうな。まぁ鑑定された瞬間にお前を切らなきゃだから、出来れば止めておいた方が良いな」
え、なんですかそれ。怖いんですけど……。つーか怖っ!
「別に見られて困るもんは無いんだけどよ、何故か鑑定を掛けられると反射的に身体が動いて相手を切っちまうんだわ。何つーか、一種の呪いみたいなもんかもな」
「ははは……そう言うのは、先に言って置いて下さいね」
危ないじゃないか。反射的にとか、絶対死ぬ奴じゃん!
「そうだな。まさかお前が鑑定使えるとは思って無かったからな。まぁ、お互い様ってやつか?」
「いやいや、一歩間違えば死んでたじゃないですか。俺」
「今生きてるんだ。それで十分だろ?」
なんですか、その暴論は。確かに生きてますけど。
「はぁ……そうですね。そうしておきましょう」
諦めよう。多分レオニードさんはそこまで考えて無い気もするし。それに、鑑定しなきゃ良いだけの話だしな。
仮にレオニードさんが嘘を言っていたとしても良いんじゃないか?秘密の一つや二つあるだろうよ。それを暴こうとか思って無いし、そんな事しても何の意味も無いからな。
「で、お前……リンダとどこまで進んだんだ?」
「なっ!何の話ですか!」
唐突に話を変えてきた。きっとレオニードさん的に気を使ってくれたんだと思う。
話が途切れて気まずくならないだけ、かなりマシだと思ったよ。魔物が出るのに、随分気楽なもんだな。と思われるかも知れないけど。
林を抜けて、世間話をしながらレオニードさんの目的地である「アグストリアの丘」と呼ばれる小高い丘まで何事も無く到着したのだった。
街は随分遠くにある様で、殆どここからは視認出来ない。
時折吹く風が頬を撫でる様に……。いや、殴る様に……。
「レオニードさん!風!強くないですか!!」
急に風が強くなってきて、さっきまで晴れてたのに徐々に雲が厚くなって来た。
「まぁ、雨は降らなそうだし、少しの我慢だろうな。どうりで魔物が少ないハズだ。さっきのコボルト出してくれ」
言われた通り、レオニードさんの足元にコボルトの肉片を置く。その瞬間に数個の肉片は飛んで行ってしまったが。
「あぁ、大丈夫だ。何個かここにあればいい」
地面に埋め込む様に肉片を踏む。飛んで行った肉片の臭いを辿って、ここまで来るそうだ。
え、何が来るの?
これだけ風が強いと、魔物も自分たちの巣に籠るらしく、なかなかエンカウントしないそうだ。逆に言えば、この風の中でも動き回っている魔物が居るとすれば……そう、中々の脅威度があるって事で……。
何かこっちに歩いて来るんですが……。あれ?可笑しいな。何か、高さが2m以上はある気がするんだけど……?
見間違いかな?
何か棍棒みたいなの持ってるね。うん、あれで殴られたら痛そうだな、っつうか死ぬな。
「おう、なかなか良いのが引っかかったじゃねーか」
そう言うと、足元にあったコボルトの肉片をその2mのヤツに向けて蹴り飛ばした。
ソイツはコボルトをキャッチすると、躊躇いもせず口に放り込んでニチャニチャと咀嚼している。
「あいつは、オーガだな。確かこの辺では出ないハズなんだがな……、まぁいいか。丁度良い。ほら、倒して来いよ」
いや、全然良くない!
「はい?オーガって、確か【Cランク】以上の依頼でしたよね?!」
ギルドの掲示板に貼ってあった気がするな。あれ、確か可能なら討伐って……。
「ま、お前ならいけるって。楽勝楽勝」
「俺、武器短剣しかないんですが……」
「まぁ、死なない程度にやってみろ」
んなアホな……。
覚悟を決めるしか無いのか?でも、いざとなったらレオニードさんが助けてくれるだろうし……。くそ!やりますよ!やりゃあ良いんでしょ?!
「おう、頑張れよ。人型だからよ、割かし闘いやすいんじゃねーか?」
風に体が持ってかれそうになる。髪の毛がバサバサしてじゃまだ。目が乾いてしょぼしょぼする。はぁ……帰りたい。
言い訳ばかり浮かんで来るけど、やらなきゃいけない時だってあるだろ!って言い聞かせて、オーガに向けて走り出した。
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