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第15話

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「サザンスター、悪いんだが運ぶの手伝ってくれや」

 そんな気まずい雰囲気を眺めてる暇はないからな。とりあえず飯だ飯。

「りょーかいニャンっ」

 サザンスターが席から立ち上がり、俺の方へと駆け寄って来る。

 栗色のショートカットから覗く猫耳をピコピコと動かして、尻尾を左右に振っている。

 150cmと小柄な彼女は、何でか事あるごとに俺に絡みついてくる。物理的に。

 まぁ、猫だしな。

 デニムっぽいショートパンツから延びる脚が、何とも眩しいのは心に留めておこう。
 
 七分袖の白いブラウスの上に、薄いグレーの袖なしベストを着ている。

 胸の膨らみから、その大きさを想像してしまうのは仕方無いだろう。だって、男の子だもん。

「あ、私も手伝います!」

 そう言って僧侶ちゃんもこっちへと向かってくる。

 フリフリとした白いワンピースだ。うん、良いね!って、何の話だっけ。

 俺は二人を連れて厨房へと入る。二人は料理の数に驚いていた。


 そう、本日のテーマは……「ホテルビュッフェ」をイメージしてみた。

 台車を使い、手分けして食堂の中央にある大きいテーブルに運ぶ事に。



 テーブルに皆を集めて、とりあえず座らせた。

 左からリルリー、アマンダ、サザンスター、僧侶ちゃんの順番に座り、そして向かいに大盾君と……俺。

 いや、まぁ良いんだけどね。

「それじゃ、とりあえず色々用意したから適当食べてくれ」

 俺がそう言うと、空気を読んだのかリルリーが近くにあった唐揚げを自分の皿に取り分けた。

 それを見た面々は、それぞれ食べたいものを取り分けていった。

「おい、大盾君も好きなものを食うと良い。毒なんかは入ってないから、安心しろ」

 動こうとしない大盾君にそう促す。

 すると、大盾君は……涙を流していた。

 その光景を見た女性陣は何事かと大盾君の様子を注視している。まぁ、誰も声を掛けないんだけどな。

「どうした、腹でも痛いか」

 もっと気の利いた事を言えれば良かったのだろうが、なにぶん咄嗟だったからそんな言葉しか出て来なかった。

「い、いえ……。その、こんな飯が食えるとは……思っていなかったのでっ」

 大盾君は、腕で流れる涙を必死に拭っていた。

「あ、あれ?可笑しいな、何でこんなに涙が……」

 自分でもどうして泣いているのか理解が出来ていなかった様だが、俺には何となく分かった。

 というか、正直自分の目の届く範囲の事以外には興味が無かった訳だが、この城の外の生活を想像すれば、自ずと答えが出て来た。

「俺にはお前がどんな生活をしてきたかは分からないが、今は安心して好きなだけ食うと良い」

 我ながららしくない・・・・・とは思うが、励ます様に大盾君の背中を2度3度叩いた。

「すみません、有難う御座いますっ……。あ、あと……」

 大盾君が俺の方を向いて、

「そろそろ、大盾君ての止めてもらいたいっす」

 た、確かに!

 それを聞いた女性陣も、うんうんと頷きながら笑っていた。

 少しだけ場の雰囲気が和んだ様な気がした。

「あ、ああ。そうだな。大盾……いや、名前を聞いてなかったな」

 気を抜くと大盾君って呼んでしまうよね。俺、悪くないよね?

「はい、俺、【神宮司じんぐうじ あきら】です。光って書いてアキラって読みます」

 え、名前カッコいいな!

「そ、そうか。アキラ・・・は何歳なんだ?」

「こっちに来てから?多分1年も経ってないと思うんで……多分まだ15歳っすね」

 その言葉に全員の動きが止まった。

 え、年下?!と。



 
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