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第三部 父と子

第41話 約束② ※

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「シェン⋯⋯、シェンっ! あっ!」
 柔らかくまれた時に、これ以上は自分が耐えきれないのがわかった。胸しか弄られていないのに、出したくてたまらない。シェンバーの腹に雄茎がずっと当たっているのも恥ずかしくて仕方がない。

「あっ! やだ。やっ!」
 体をよじって逃れようとするイルマを、シェンバーは逃がさなかった。
「あっあッ! だ、だめっ!」
 かり、と噛まれた瞬間。
 張りつめた前から噴き出した白濁がシェンバーの腹に散った。イルマの体が、がくがくと震えてじわりと目の前が滲んでいく。
「あ、あ⋯⋯」
 抑えられていた手首からシェンバーの手が離れていく。唇に、目尻に、優しく口づけられた。

 自由になった手で、イルマはシェンバーの胸を押した。思いきりぐいぐいと押しても、鍛えられた体は少しも動かない。
 イルマは口を引き結んで、じわじわと浮かんでくる涙を堪えた。眉をしかめていると、シェンバーが額に口づけながら顔を覗き込んでくる。瑠璃色の瞳が嬉しそうに輝いているのが見えた。

「⋯⋯イルマ。可愛い」
「かかかわいくないっ!」
「だって、胸だけでいくなん⋯⋯」
 イルマはシェンバーの口を思いきり両手で塞いだ。
「シェンのばかッ!」
 こんなはずじゃなかった。こんなはずじゃ。イルマは真っ赤になりながら、小声で口走った。

「じゃあ、どんなはずだったか、教えて」
 瑠璃色の瞳が妖艶に微笑んで、イルマの指をぺろりと舐めた。

 イルマが慌てて舐められた手を引っ込めようとすれば、先ほどとは違って軽くシェンバーに掴まれた。そして、指先から手首にちゅ、ちゅ、と音を立てて口づけられる。

「ねえ、教えて、イルマ。何をしようとしたの?」
「……」
「ふぅん。……イルマは、いつもは素直なのにね」

 イルマが答えずにいると、シェンバーは目を細めた。もう片方の手で包み込むようにイルマ自身に触れれば、鈴口からは残っていた白濁が零れる。
「んっ、あっ」
 滑りが良くなり、出したばかりで項垂れていた雄が柔らかく扱かれた。双球までが優しく揉まれて、緩急を心得た手に自然にイルマの体が反応する。びくりと跳ねた途端に、再び、シェンバーの手の中で雄茎が勃ち上がる。

 ふ、とシェンバーの口元がほころんだ。
「さっきは、ここに触れもしなかったのにね。そんなに、胸が気持ちよかった?」
 今度は乳首を捏ねられて、イルマは顔が熱くなる。さらに刺激され続けると背にはぞくぞくと痺れが走り、抑えようとしても声が漏れた。

「あ、あ! シェン、も、やだ」
 イルマが堪らず手を伸ばしてシェンバーの腕を掴む。
「じゃあ、こっちはもうやめる。その代わり」
 シェンバーは、自分の中指をイルマの唇に、ちょんと当てた。
「もう一度、舐めて。イルマ」
 目を瞠るイルマの口の中に、シェンバーはゆっくりと自分の指を押し入れた。

「んっ、うっ」
 シェンバーの指がイルマの舌を、喉の奥を、ゆっくりと嬲っていく。口中を掻きまわされて、口の端からだらだらと、唾液がこぼれ続ける。
 イルマの目に涙が浮かんでいるのを見て、シェンバーは指を外す。そのまま、たっぷりとぬめりを帯びた指が、後孔に触れた。

「シェ……」
 唇が唇で塞がれ、イルマは言葉が出なかった。あやすように優しく舌が絡められる。イルマの体から力が抜けたのを感じて、シェンバーはイルマの後孔にゆっくりと指を挿し入れた。
「あっ、あ」
「泣かないで、イルマ。すぐに、もっとよくなるから」
 快感だけを少しずつ引き出していく。イルマの目尻に浮かんだ涙を、シェンバーの唇がそっと吸い取った。
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