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第Ⅳ章 天国へ至る迷宮
新米たち 12
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ラックとヤン、エーデの新米冒険者三人組は、なんとか山菜を手に入れた。
夜に、怪人かと思うような不思議な老人に出会った。
噂のように斜面を駆け上り、山菜を採っていた。
腰が曲がっているのに、走る速度がヤンの数倍は速いというとんでもなさだった。
三人はなんとか追いかけて、必死に声をかけ、山菜の見分け方や見つけ方などを教わったのだった。
夕方どころか、もう完全に真夜中だった。
小さな籠をいっぱいにするだけでも、それだけ時間がかかったのは、ヤンの回復を待ったからであり、山菜の見分け方が最初わからなかったからであり、要するに自業自得だったのだ。
彼らはそれがわかっていたからこそ落ち込んでいた。
帰路につく彼らは、無言でとぼとぼと歩いた。
あれほど歩きづらいと思った山道だったが、無駄な力が抜けたからか、必死に数時間にわたって走り回ったからか、今では街の舗装路を歩くくらい何気なく歩けていた。
「はぁ~……俺ら、冒険者に向いてないのかもなあ……」
ラックの言葉に、ヤンとエーデは無言だった。
ただ自分の足元の地面を見つめている。その姿だけで十分答えになっていた。
ラックも自分の足元を見つめた。
月夜が濃い陰を足元に作っている。
「あんな老人でも、あんなに山歩きが達者なんだぜ? ……俺らで一番身軽なヤンだってあんな真似できねえよ」
「百年経ってもな」
ヤンは自嘲気味に吐き捨てた。
「才能の差って奴ね。……私も魔道士だからそういうのについてよく知ってたつもりだったけど、いろいろと思い知ったわ」
「でも、剣は捨てたくないな」
ラックが腰の剣を叩く。
「私はもう、幸い杖を捨てたわ」
「あっ」と気まずそうな声を男たちが上げる。
「悪い。俺のせいで」
「いいわよ、別に。どうせもう癒し手として活動するつもりないし」
「そうなのか?」
「癒やすべき相手がいる場所って、基本危ない場所でしょ? もともと戦場とか嫌いだし」
「じゃあ、どうして癒し手になったんだよ?」
不思議そうなラックの顔を見て、エーデは男たちの顔を交互に見つめた後、「そんなの……!」と何かを言いかけて、黙った。しばらくしてから、結局、口にした。
「そんなの……決まってるじゃない。アホな幼馴染みたちが野垂れ死なないようによ。怪我して動けなくなったりしてさ」
エーデの返答が予想外だったらしく、ラックとヤンは黙り込んだ。
夜に、怪人かと思うような不思議な老人に出会った。
噂のように斜面を駆け上り、山菜を採っていた。
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夕方どころか、もう完全に真夜中だった。
小さな籠をいっぱいにするだけでも、それだけ時間がかかったのは、ヤンの回復を待ったからであり、山菜の見分け方が最初わからなかったからであり、要するに自業自得だったのだ。
彼らはそれがわかっていたからこそ落ち込んでいた。
帰路につく彼らは、無言でとぼとぼと歩いた。
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「はぁ~……俺ら、冒険者に向いてないのかもなあ……」
ラックの言葉に、ヤンとエーデは無言だった。
ただ自分の足元の地面を見つめている。その姿だけで十分答えになっていた。
ラックも自分の足元を見つめた。
月夜が濃い陰を足元に作っている。
「あんな老人でも、あんなに山歩きが達者なんだぜ? ……俺らで一番身軽なヤンだってあんな真似できねえよ」
「百年経ってもな」
ヤンは自嘲気味に吐き捨てた。
「才能の差って奴ね。……私も魔道士だからそういうのについてよく知ってたつもりだったけど、いろいろと思い知ったわ」
「でも、剣は捨てたくないな」
ラックが腰の剣を叩く。
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「あっ」と気まずそうな声を男たちが上げる。
「悪い。俺のせいで」
「いいわよ、別に。どうせもう癒し手として活動するつもりないし」
「そうなのか?」
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「そんなの……決まってるじゃない。アホな幼馴染みたちが野垂れ死なないようによ。怪我して動けなくなったりしてさ」
エーデの返答が予想外だったらしく、ラックとヤンは黙り込んだ。
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