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第Ⅳ章 天国へ至る迷宮
初めて魔族領の魔族に出会う
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村であらかじめ作っておいた握り飯とお茶でさっさとメシを済ませ、俺とイヌガミはすぐさま出発した。
「進路はいかがいたしますか?」
視界を遮るものがないため、かなり北の方まで見渡せるが、北に多少行ったところで村も森もなさそうだった。
「今度は西だ」
「かしこまりましたっ!」
イヌガミの声に活力が漲ったのは、たぶん西に行けば海があることを知っているためだろう。
イヌガミの背に揺られ、疾風のようになって駆けていると不思議な心地よさがある。馬に乗ったことはない。けれど、乗馬を楽しむ者がいるというのもわかる気がした。自分の足で走るのとは違った面白さがある。
やがて、待ちに待った森が見つかった。
途中〈影走り〉を数え切れないほど使用して距離を短縮した。
そのため、もう沿岸部と呼んでもおかしくない場所まで来ていた。
たぶん、南に行けば、田園都市ヨポーツクと水産都市エレフィンの間くらいに出るはずだ。
そう思って南に目を向けると、山脈が続いている。
「山脈から川がいくつも流れているみたいだな」
風もここまで来ると暖かい。
土壌も、内陸部に比べればかなりマシらしい。森があるほどだ。
「ジャングルのようでありますな」
イヌガミのセリフに頷き、俺は背中から下りた。
イヌガミに元のサイズに戻るように告げる。
大樹がひしめき合い、蔦が絡まり合っているため、巨大な狼のままでは歩きづらそうだったのだ。
俺とイヌガミは、そのジャングルに分け入った。
「……凄いな……生物がひしめき合っている」
気配を感知するスキルが役に立たないほどだ。
頭上には鮮やかな鳥がいた。
植物なのに気配感知のスキルが反応するところを見ると、トレントかドライアドの一種までいるらしい。
小動物や昆虫までカウントしたら頭が痛くなりそうだ。
「さっきまでの光景と極端だな」
「エサがたくさん集まれば、いっぱい生き物が集まるであります!」
イヌガミはお馬鹿っぽいしゃべり方をしているが、さっき言ったことは結構まともだ。
確かにあの過酷な大地と、このジャングルとなら、こっちに住もうとする生物ばかりだろう。
「……雨、か」
最初は頭上の葉っぱが不思議な音を立てているのかと思ったが、次の瞬間にはなかなか盛大に雨が降ってきた。
土砂降りとか集中豪雨とかそんな言葉を連想してしまう。
先ほどまで木の根などを足場に器用に移動していたイヌガミだったが、うっかり雨で滑って、沼に落ちた。
「わ、若様~!」
沼で暴れるイヌガミが、ずんずんと沈んで行く。
沼というのは動くと余計に沈むらしい。
「底なし沼であります。若様ご注意を!」
いや。注意も何もお前が沈んでる方が大変だろうが。
俺は適当な枝を折り、沼に差し込んだ。
どうやら俺の膝くらいの高さらしい。
入って大丈夫そうだな。
イヌガミにとっては身長並みの沼だが、俺にとっては大したことない。
俺は膝まで泥にまみれて、頭部だけになっていたイヌガミを沼から引っこ抜く。
「わ、若様~!」
感動しているイヌガミに悪いが、この豪雨を利用してさっさと泥を洗い流すべきだろう。
「てか、イヌガミ。お前、〈変化〉はどうしたんだ? 出発前に見せてもらったドラゴンに化ければ簡単に沼くらい出られただろ?」
「〈変化〉の術は我の切り札ゆえ、一日に二回しか使えないのであります!」
雨で泥を綺麗に落としていた俺は、「ん?」と手を止めた。
「じゃあ、もしかして……お前、もう今日は〈変化〉できないの?」
「不可能であります!」
ドラゴンにも化けられると知った時は、なんて便利な術なんだと感動したが、まさかの弱点があった。
「……イヌガミ」
「ははっ!」
顔を前脚で拭っていたイヌガミは、ちゃんとお座りした。
「次からは大事なことはもうちょっと早めに言おうな」
「はいっ!」
返事はとても良かった。
だが、わかっていない気がする……。
もうちょっとちゃんと注意しようかと悩んでいると、ふいに声がした。
子供の声だ。
「お姉ちゃん、待ってー!」
「早く雨宿りできる場所を探さないと……」
「木の下じゃダメなのー?」
「ダメ! パパとママが見つかる前に、風邪を引いて死んじゃうわよ!」
俺とイヌガミは顔を見合わせ、声のする方に歩き出した。
しばらく進むと、まさに右往左往という様子の魔族の幼い姉妹がいた。
額に一本の角がある方が姉で、側頭部に二本の短い角がある方が妹らしい。
髪はナイフか何かでばっさりと切ったのか、おかっぱのようなまっすぐな切り口になっていた。
「イヌガミ……驚かすなよ」
「ははっ!」
せっかくだし情報収集しよう。それに困っている様子だから助けるのもいいだろう。
イヌガミを元の姿に戻しておいてよかったな。
イヌガミの小犬の姿はかなり愛らしく、かつて曾祖父が戦うことができなかったほどなのだ。
「人!」
「ひとぉ!」
魔族の姉妹が口を揃えて叫んだ。
ピタリと動きを止めたポーズがよく似ていて笑ってしまう。
(ほんとに、ここは魔族領なんだな)
人が歩いて驚かれるというのは、さすがに初めての経験だ。
「モンスター! ……?」
「もんすたぁ?」
あと、イヌガミを見て、戸惑っている。
モンスターにも見えないが、まず見かけないような変わった顔をした犬なのだ。
「我はイヌガミである!」
「しゃべった!」
「しゃべったー!」
おい、驚かせるな、と言っただろう。そう苦言を吐こうとしたが、なぜかしゃべるイヌガミを見て、魔族の姉妹はダッシュで近づいてきた。そしてイヌガミは抱きかかえられてしまった。
「くっ……放せ、この……!」
イヌガミが短い手足を動かして暴れているが、挟み込まれるように抱きかかえられていて、逃げる隙間がない様子だ。
「この雨、まだまだ続きそうなのかい?」
「続くー!」
「氾濫するかも?」
魔族の妹と姉が交互に答えてくれる。
氾濫とは川のことだろう。
「そうなのか。教えてくれてありがとう」
「うん!」
満面の笑みの姉妹。
「……にしても、めちゃくちゃ天候が狂ってるな。なんで雨が一滴も降らないような大地の端っこは、大雨なんだ……」
海風は湿っているため雨が降りやすい、と昔アイリーンに教えてもらったことがある。だがそれにしても、この北部はおかしすぎる。
魔族領は気候も土地も狂っているとしか思えなかった。
「進路はいかがいたしますか?」
視界を遮るものがないため、かなり北の方まで見渡せるが、北に多少行ったところで村も森もなさそうだった。
「今度は西だ」
「かしこまりましたっ!」
イヌガミの声に活力が漲ったのは、たぶん西に行けば海があることを知っているためだろう。
イヌガミの背に揺られ、疾風のようになって駆けていると不思議な心地よさがある。馬に乗ったことはない。けれど、乗馬を楽しむ者がいるというのもわかる気がした。自分の足で走るのとは違った面白さがある。
やがて、待ちに待った森が見つかった。
途中〈影走り〉を数え切れないほど使用して距離を短縮した。
そのため、もう沿岸部と呼んでもおかしくない場所まで来ていた。
たぶん、南に行けば、田園都市ヨポーツクと水産都市エレフィンの間くらいに出るはずだ。
そう思って南に目を向けると、山脈が続いている。
「山脈から川がいくつも流れているみたいだな」
風もここまで来ると暖かい。
土壌も、内陸部に比べればかなりマシらしい。森があるほどだ。
「ジャングルのようでありますな」
イヌガミのセリフに頷き、俺は背中から下りた。
イヌガミに元のサイズに戻るように告げる。
大樹がひしめき合い、蔦が絡まり合っているため、巨大な狼のままでは歩きづらそうだったのだ。
俺とイヌガミは、そのジャングルに分け入った。
「……凄いな……生物がひしめき合っている」
気配を感知するスキルが役に立たないほどだ。
頭上には鮮やかな鳥がいた。
植物なのに気配感知のスキルが反応するところを見ると、トレントかドライアドの一種までいるらしい。
小動物や昆虫までカウントしたら頭が痛くなりそうだ。
「さっきまでの光景と極端だな」
「エサがたくさん集まれば、いっぱい生き物が集まるであります!」
イヌガミはお馬鹿っぽいしゃべり方をしているが、さっき言ったことは結構まともだ。
確かにあの過酷な大地と、このジャングルとなら、こっちに住もうとする生物ばかりだろう。
「……雨、か」
最初は頭上の葉っぱが不思議な音を立てているのかと思ったが、次の瞬間にはなかなか盛大に雨が降ってきた。
土砂降りとか集中豪雨とかそんな言葉を連想してしまう。
先ほどまで木の根などを足場に器用に移動していたイヌガミだったが、うっかり雨で滑って、沼に落ちた。
「わ、若様~!」
沼で暴れるイヌガミが、ずんずんと沈んで行く。
沼というのは動くと余計に沈むらしい。
「底なし沼であります。若様ご注意を!」
いや。注意も何もお前が沈んでる方が大変だろうが。
俺は適当な枝を折り、沼に差し込んだ。
どうやら俺の膝くらいの高さらしい。
入って大丈夫そうだな。
イヌガミにとっては身長並みの沼だが、俺にとっては大したことない。
俺は膝まで泥にまみれて、頭部だけになっていたイヌガミを沼から引っこ抜く。
「わ、若様~!」
感動しているイヌガミに悪いが、この豪雨を利用してさっさと泥を洗い流すべきだろう。
「てか、イヌガミ。お前、〈変化〉はどうしたんだ? 出発前に見せてもらったドラゴンに化ければ簡単に沼くらい出られただろ?」
「〈変化〉の術は我の切り札ゆえ、一日に二回しか使えないのであります!」
雨で泥を綺麗に落としていた俺は、「ん?」と手を止めた。
「じゃあ、もしかして……お前、もう今日は〈変化〉できないの?」
「不可能であります!」
ドラゴンにも化けられると知った時は、なんて便利な術なんだと感動したが、まさかの弱点があった。
「……イヌガミ」
「ははっ!」
顔を前脚で拭っていたイヌガミは、ちゃんとお座りした。
「次からは大事なことはもうちょっと早めに言おうな」
「はいっ!」
返事はとても良かった。
だが、わかっていない気がする……。
もうちょっとちゃんと注意しようかと悩んでいると、ふいに声がした。
子供の声だ。
「お姉ちゃん、待ってー!」
「早く雨宿りできる場所を探さないと……」
「木の下じゃダメなのー?」
「ダメ! パパとママが見つかる前に、風邪を引いて死んじゃうわよ!」
俺とイヌガミは顔を見合わせ、声のする方に歩き出した。
しばらく進むと、まさに右往左往という様子の魔族の幼い姉妹がいた。
額に一本の角がある方が姉で、側頭部に二本の短い角がある方が妹らしい。
髪はナイフか何かでばっさりと切ったのか、おかっぱのようなまっすぐな切り口になっていた。
「イヌガミ……驚かすなよ」
「ははっ!」
せっかくだし情報収集しよう。それに困っている様子だから助けるのもいいだろう。
イヌガミを元の姿に戻しておいてよかったな。
イヌガミの小犬の姿はかなり愛らしく、かつて曾祖父が戦うことができなかったほどなのだ。
「人!」
「ひとぉ!」
魔族の姉妹が口を揃えて叫んだ。
ピタリと動きを止めたポーズがよく似ていて笑ってしまう。
(ほんとに、ここは魔族領なんだな)
人が歩いて驚かれるというのは、さすがに初めての経験だ。
「モンスター! ……?」
「もんすたぁ?」
あと、イヌガミを見て、戸惑っている。
モンスターにも見えないが、まず見かけないような変わった顔をした犬なのだ。
「我はイヌガミである!」
「しゃべった!」
「しゃべったー!」
おい、驚かせるな、と言っただろう。そう苦言を吐こうとしたが、なぜかしゃべるイヌガミを見て、魔族の姉妹はダッシュで近づいてきた。そしてイヌガミは抱きかかえられてしまった。
「くっ……放せ、この……!」
イヌガミが短い手足を動かして暴れているが、挟み込まれるように抱きかかえられていて、逃げる隙間がない様子だ。
「この雨、まだまだ続きそうなのかい?」
「続くー!」
「氾濫するかも?」
魔族の妹と姉が交互に答えてくれる。
氾濫とは川のことだろう。
「そうなのか。教えてくれてありがとう」
「うん!」
満面の笑みの姉妹。
「……にしても、めちゃくちゃ天候が狂ってるな。なんで雨が一滴も降らないような大地の端っこは、大雨なんだ……」
海風は湿っているため雨が降りやすい、と昔アイリーンに教えてもらったことがある。だがそれにしても、この北部はおかしすぎる。
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