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第Ⅳ章 天国へ至る迷宮
夜明けの空の下 10
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途中、何体かの〈上位職〉同族殺人鬼と遭遇したが、さすがに戦い慣れてきた俺たちなら余裕だった。
そして『天涯』近くの難民キャンプに潜んでいた奴を倒した後、セーレアが何やらごそごそとそいつのいたテントの中を漁っていた。
「こいつよ、こいつ!」
セーレアの声に、周囲を警戒していた俺たちは集まった。
「どうやらこいつが指示を出していたみたい……」
セーレアが握っていたのは、テントの中で見つけたらしい指示書。暗号化されているが、見るからに怪しい。難民と暗号化された書類の組み合わせは違和感がある。
俺はそれを受け取り、スキルで暗号を解読。文章を読んで、嘆息した。
「セーレアの言った通り、こいつが、今回の騒ぎの立案者ナラクの指示に従って動いていた中心人物だ。難民たちに剣をばらまき、先導して騒動を起こしたのも、港の大火災もこいつらが……騒ぎを大きくするために行ったものらしい」
「どうしてそんな真似を……」
「…………」
俺は答えなかった。
〈上位職〉同族殺人鬼になるためには、〈上位職〉シノビ(上忍)になるためとは別の取得条件があった。それは自らと同じ種族を短時間に連続で殺すこと。
何が目的だったかといえば、ナラクは最後まで〈最上位職〉フウマを超えるような存在になるか、もしくは作りたかったということなのだろうか。
さすがに死んだ者の考えまではわからないが、おそらくそういうことなのだろう。こんな書類を残すなんて、よほど自信があったのか。
「倒した〈上位職〉同族殺人鬼の数は、この計画に書かれている人数と合致する。あとは、まだ残党がいるらしい。……俺たちはこのまま騒ぎを起こしている連中を止めるために動こう」
西の港が夕焼け色に染まるようにして始まった大騒動は、本当の夕日が沈み、夕焼け色に水平線が輝く頃には、なんとか収まった。
そして俺はラインハルトとリリィと会い、彼女らと共に、とある一つの計画を進めることにした。
ナラクのしたことの罪滅ぼしというつもりはない。だが、そういう気持ちがまったくなかったといえば嘘になるだろう。
俺はシノビの掟の一部を曲げ、数百人に及ぶ難民たちをシノビノサト村に受け入れることにした。ラインハルトも彼らのまとめ役としてついてくるという。
数百人の難民の受け入れで終わりではない。これは始まりだ。
(リリィは上手い具合に情報を流してくれるそうだし……そうだ! ラスクやイーサーたちにも、ちょっと手伝ってもらおうかな)
今後の計画について俺は再び思案を巡らせた。
そして『天涯』近くの難民キャンプに潜んでいた奴を倒した後、セーレアが何やらごそごそとそいつのいたテントの中を漁っていた。
「こいつよ、こいつ!」
セーレアの声に、周囲を警戒していた俺たちは集まった。
「どうやらこいつが指示を出していたみたい……」
セーレアが握っていたのは、テントの中で見つけたらしい指示書。暗号化されているが、見るからに怪しい。難民と暗号化された書類の組み合わせは違和感がある。
俺はそれを受け取り、スキルで暗号を解読。文章を読んで、嘆息した。
「セーレアの言った通り、こいつが、今回の騒ぎの立案者ナラクの指示に従って動いていた中心人物だ。難民たちに剣をばらまき、先導して騒動を起こしたのも、港の大火災もこいつらが……騒ぎを大きくするために行ったものらしい」
「どうしてそんな真似を……」
「…………」
俺は答えなかった。
〈上位職〉同族殺人鬼になるためには、〈上位職〉シノビ(上忍)になるためとは別の取得条件があった。それは自らと同じ種族を短時間に連続で殺すこと。
何が目的だったかといえば、ナラクは最後まで〈最上位職〉フウマを超えるような存在になるか、もしくは作りたかったということなのだろうか。
さすがに死んだ者の考えまではわからないが、おそらくそういうことなのだろう。こんな書類を残すなんて、よほど自信があったのか。
「倒した〈上位職〉同族殺人鬼の数は、この計画に書かれている人数と合致する。あとは、まだ残党がいるらしい。……俺たちはこのまま騒ぎを起こしている連中を止めるために動こう」
西の港が夕焼け色に染まるようにして始まった大騒動は、本当の夕日が沈み、夕焼け色に水平線が輝く頃には、なんとか収まった。
そして俺はラインハルトとリリィと会い、彼女らと共に、とある一つの計画を進めることにした。
ナラクのしたことの罪滅ぼしというつもりはない。だが、そういう気持ちがまったくなかったといえば嘘になるだろう。
俺はシノビの掟の一部を曲げ、数百人に及ぶ難民たちをシノビノサト村に受け入れることにした。ラインハルトも彼らのまとめ役としてついてくるという。
数百人の難民の受け入れで終わりではない。これは始まりだ。
(リリィは上手い具合に情報を流してくれるそうだし……そうだ! ラスクやイーサーたちにも、ちょっと手伝ってもらおうかな)
今後の計画について俺は再び思案を巡らせた。
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