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中等部

輝の友達

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「[コンコン]輝?いる?」
『!お姉ちゃん!ちょっと待って!』
 輝の部屋について扉をノックすると、すぐに輝の明るい声が聞こえた。その声に少しだけ自分の表情が和らぐのを自覚しながら輝が扉を開けてくれるのを待つ。
「お姉ちゃん!」
「ふふふ。危ないわよ輝。倒れたらどうするの?」
「へへへ~大丈夫だよー。お姉ちゃんが私を受け止めてくれるって信じてるもん」
「あら。それは嬉しい言葉ね‥‥入ってもいい?」
「うん!」
 出てくるなり抱きついてきた輝を受け止め、頭を撫でながら部屋の中に入る。
「輝ちゃん?梨花さん帰ってきたの?あら?」
「おい輝ー!これ食べてもい‥‥誰だ?」
 輝の部屋に入って声をかけてきたのは、琴原 美優と小坂 茉美。残りの攻略対象達だった。
「こんばんわ。輝の姉の蘭夜です。はじめまして」
「お姉さん!?マジかよ!」
「あなたが噂の‥‥」
 美優の言っている噂が何か気になるが、今は深く聞くことじゃないだろう。
「ごんばんわ。琴原 美優といいます。お姉さんの話は、輝ちゃんから色々と聞いてますわ」
「あたしの名前は小坂 茉美!よろしくな!輝の姉ちゃん!」
「ええ。よろしくね?ほら輝。お友達がいるんだから、私から離れてお友達と遊びなさい」
「えぇー!お姉ちゃんも一緒に遊ぼうよ~」
「輝?」
「うぅ~‥‥はーい」
 渋々離れてくれた輝が可愛くて、私から抱きついてしまいそうだったが、そこはぐっと堪えた。
「それでは、皆おやすみなさい」
「「「「おやすみなさい」」」」
 部屋を出るまで、梨花と美優の視線が痛かったが、そこは気づかないふりをした。

「ふぅー」
 部屋につくと、私はベッドに倒れ込んだ。
 もう疲れた。輝の友達だから何も言えないが、そうじゃなかったらとっくに火花を散らしているところだ。
「とくに梨花と美優。私あの二人に何もしてないはずなんだけどな~」
 まるで、私を憎むような睨みをきかす梨花。見た目は静かだが、どこか観察するように私を見る美優。二人とも怖すぎる。
 茉美は、いたって普通だった。元気のいい女の子という感じだ。
「‥‥‥もういいや。寝よ」
 三人の中の誰かが、輝や将弥に悪影響を及ぼす恐れがあるのなら、私は全力でその子を潰すが、今のところ私を警戒するだけで、誰も危険な感じはしない。
 そんなことを考えながら、私の意識は薄れていった。

「おはよぉ~お姉ちゃ~ん」
「ふふ。おはよう輝。寝癖がついてるわよ?皆もおはよう」
「「「おはようございます」」」
 先に起き朝食を食べていると、輝達が仲良く食堂に入ってきた。
 梨花と美優の視線は変わらず、私をしっかりと睨み観察している。
「お好きな席に座ってください。すぐに朝食を持ってこさせます」
「やった!お腹すいてたんだよ~」
 茉美は自分のお腹をさすって、お腹がすいたとアピールをする。
 私は、そんな茉美を見て微笑みながら、片手を上げてメイドに指示を出す。
 すぐに動いたメイドを見て、茉美は「ほぉー」と感心している。とても可愛い光景で、少し笑ってしまう。
「ん~?お姉ちゃんどうしたの?」
「ううん。なんでもないわ‥‥ふふ」
 輝の頭を撫で、寝癖をなおしてやってから席に座るように背中を押した。
「お姉ちゃん!」
「あら将弥。そんなに急いでどうしたの?」
 食堂の扉が開いたと思ったら、元気のいい将弥が入ってきた。手にはなにか握りしめていて、それをしきりに私にみせてくる。
「お姉ちゃん!これ!これ似合うと思わない!?」
「ちょ、ちょっと待って将弥。そんなに近ずけられたら見えないわ」
「あ、ごめんなさい」
 将弥は恥ずかしそうにしながら、私に持っていた物を渡してみせてくれた。
 将弥が持っていたものは、黒猫のピンだった。誰に渡すかは知らないが、可愛いのは間違いない。
「うん。可愛いピンね。誰に渡すの?」
「茉美ちゃん!いっつも前髪が邪魔そうだから、これでとめてあげるの!」
「え‥‥‥茉美ちゃんって」
 チラッと茉美を見ると、髪と同じぐらい顔を真っ赤にしていて、見ていて可哀想に思えてきた。
「あ!茉美ちゃん!」
 茉美に気づいた将弥は、無邪気にも赤くなった茉美に近づいてピンを差し出している。
「はい!茉美ちゃんにプレゼント!僕がつけてあげる!」
「う、うん」
 驚いた。さっきまでは元気のいい女の子だったのに、今はとても大人しい女の子だ。
「はい!つけれた!これで、茉美ちゃんの可愛い顔がよく見えるようになったよ?」
「あ、ありがとう」
 原因はすぐに分かった。どうやら将弥に気があるらしい。
 まぁ、あんな言葉をハッキリ目の前で言われたら、顔も赤くなるだろう。
 将弥は流石ゲーム主人公とばりに、顔や性格は二重丸をつけれるぐらい良い。それに加えて、しれっと恥ずかしい事を言ってしまうので、流石我が弟と思えてくる。今だってそうだ。
「美優ちゃんから僕と同じ匂いがする!ん~‥‥でも、僕はいつもの美優ちゃんの方が好きかも!」
「え、あ、ありがとう」
「あれ?梨花ちゃんどうしたの?そんな怖い顔してたら、せっかくの可愛い顔が台無しだよ?」
「‥‥‥わかってる‥わよ」
 はい。全員落ちましたね。
 ある意味、この世界での最強は乙女ゲームやギャルゲームの中の堅物攻略対象ではなく、将弥なのではないだろうか。
「あ!お姉ちゃんが一番だからね!?」
「え、何が?」
 急に将弥が私に声をかけてきた。あまりに急で何が一番なのかわからなかったが、予想するに、一番将弥が尊敬する人だ!
「お姉ちゃんが一番綺麗で可愛くて僕の好きな人だからね!」
「‥‥‥将弥。それを私に言っても、何も出ないわよ?そういうのは、恋愛的に好きになった人に言いなさい」
 予想が外れたのもそうだが、私が可愛いとは意外すぎる。
 綺麗は色んな人から言われてるし、自分でもそう見えるように頑張って振舞っているが、可愛いは言われたことないし私には皆無だ。
「え?僕の好きな人はお姉ちゃんだよ?」
「‥‥‥」
 もう何も言えない。
 もしかしたら、私は将弥の育て方を間違えたのかもしれない。このままでは、将弥に一生彼女が出来ないかもしれない。
「将弥ずるい!」
「っ‥‥輝?」
 先程まで大人しくしていた輝が、机を叩いて立ち上がった。声はどこか怒っているように感じる。
 将弥の事で頭を抱えていた私は、輝の動きが見えなかったので驚いて輝を見た。
「お姉ちゃんを一番好きなのは私だもん!」
「ひ、輝?やめましょ?」
 いつもなら微笑んで終わらせるのだが、今は梨花達が居るから、どうしても止めなければいけない。主に私の羞恥心のために!
「なんだよ輝!いつもお風呂はお前がお姉ちゃんを占領してんだから、今ぐらいは僕に譲れよ!」
「いやよ!というか、お風呂はしょうがないでしょ!?将弥は男の子で、年齢的にお姉ちゃんと入るような歳じゃないんだから!」
「それを言うならお前もだろ!なんだよ!友達来てるのに、友達放ってお姉ちゃんの方に行ってさ!ずるいのは輝の方だろ!?」
「ちょ、二人とも!その話は後で聞くから!今はやめましょ?」
「「お姉ちゃんは黙ってて!」」
「えぇー!?」
 二人の言い合いに口を挟むのははじめてだったが、これはなかなか骨が折れそうだ。
 助けを求めて梨花達の方を見ると、優雅にご飯を食べている。まるでこれが日常とでもいうような感じだ。
「‥‥‥もしかして」
 私は嫌な予感がして冷や汗を流す。でも、確かめずにはいられなかっので、美優に聞いてみた。
「琴原さん?もしかして、二人の言い合いを見るのはじめてじゃない?」
「?ええ。学校では日常茶飯事ですわ」
 最悪だ。美優がここで私に嘘を吐くメリットはないので、これは本当の事だと信じることが出来た。いや、出来てしまった。
 つまり、昨夜言っていたとは、この二人の言い合いのことだと思う。二人がここまで熱弁する「お姉ちゃん」が、になったのだろう。
「ちなみに、止められませんわよ?ああなっては、気がすむまで放っておくしかないのです」
 マジか。あれを放っておくんですか。
「‥‥‥二人とも?」
「だいたい将弥も将弥よ!男の子なんだから、少しはお姉ちゃんに抱きつくの遠慮したら!?」
「はぁ!?そんなことしたら、僕とお姉ちゃんの接触回数が減るだろ!ただでさえ一緒に寝てくれなくなったのに、これ以上減らされたら僕死ぬ!死ぬでお姉ちゃんが泣くことになるからな!?」
「ふん!将弥の穴ぐらい私がすぐに埋めることが出来るもん!お姉ちゃんが泣くのなんて、一瞬よ!一瞬だけよ!」
「‥‥‥二人とも!私の話を聞きなさい!」
「「ぴゃぁ!」」
 ヒートアップして「死ぬ」という単語が出てきたので、私も我慢が出来なくなって大声を上げて二人を引き離した。
「二人とも?今自分が言ったことわかってる?「死ぬ」という単語を使ったのよ?」
「だ、だって!将弥が!」
「違う!輝が悪い!」
「‥‥‥‥ああそう。反省する気は無いのね?」
「「‥‥‥」」
 どうやら、本格的に二人の教育を間違えたらしい。
 これまでは、頑張って尊敬出来るいいお姉ちゃんでいようと頑張ってきたが、それは間違いだったようだ。

「もういいわ‥‥‥反省するまで、私は二人と話しません!それじゃあ、さ・よ・う・な・ら」

「「嘘!待って!」」
 私は、必死に手を伸ばす二人を無視して食堂を出た。
「‥‥‥はぁー。なんであんなこと言っちゃったんだろう」
 出た瞬間に後悔した。
 だってそうでしょ?勢いで言ってしまったとはいえ、これは私にもダメージが来る罰だ。でも、これまでの事であの子達に一番効くのは、この罰だとよく知っている。
「‥‥‥早く反省してよね」
 私のためにも。
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