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中等部

修学旅行の怖さ

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 帰りたい。

 私の今の気持ちはそれにだけだった。
 修学旅行は、ほぼ成功と言っていいと思う。少なくとも、帰りのバスまではそうだった。


 そう帰りのバスまでは‥‥‥


「蘭夜に似合うのはこの赤の簪だ!」
「違うな。オレンジ色の簪だ」
「違いますわ。お二人共。この桃色の簪ほど蘭夜様に似合うものはありませんわ」
 家に帰りつくまでがなんとやらとは、よく言ったものだ。
 バスをおりて解散をした瞬間に、私はいつものメンバーに囲まれてしまったのだ。そして、それぞれに簪を差し出され、今の状況に至る。
「‥‥私、もうそろそろ帰りたいのですがいいですか?」
「「「ダメだ/ですわ」」」
「はぁー」
 さっきからこの調子だ。
 ただでさえ修学旅行の疲れがあるのに、この三人に構っていては、一向に帰って休めない。
 だが、ここでこの三人を放って帰りでもすれば後々面倒でもある。
「‥‥‥水永様」
「俺を巻き込むな。俺も疲れてるんだ」
 助けを求めるように悠真を見ると、悠真は頭に手をやってため息をついた。
 私と同じぐらい使えれている様子が
見て取れる悠真に、私を助けてもらうのは申し訳ない。これは、一人でどうにかしなければならないらしい。
「‥‥‥‥‥はぁー。もういいです」
「「「!」」」
 私の声が少し低くなったことで、言い争っていた三人が肩をびくつかせた。そして、恐る恐るだが私の方を振り向いた。
「私は疲れているのです。今回は、お三方の意見を一人一人聞く気はありません。あなた方の中で解決してください」
 そう言って、私はその場を去った。

「はぁー。つっかれたー」
 修学旅行中にもしたように、私はベッドに倒れ込んだ。
「「お姉ちゃん!おかえりなさい!」」
「!ただいま!将弥!輝!」
 しばらく倒れ込んでいると部屋の扉が勢いよく開いて、入ってきたのは可愛い我が妹と弟だった。
 不思議と二人の顔を見ていると疲れが吹っ飛ぶ気がする。
「修学旅行どうだった?」
「楽しかった?」
「うん!楽しかったよ~?でも、2人に会えなかったのは辛かったよ~」
「「僕/私も!」」
「っ~!二人とも大好き~!」
 抱きつくと、二人はキャーといながらも抱きつき返してくれた。
 もし、ゲーム通りにシナリオが進み、私がこの子達から離れることになるとすれば、それは私が大失敗をおかした時だ。
 もしそうなったら私はどうなるのだろう。
 元々この世界の人間ではないわたしかだ。そのまま消えてなくなることは十分にありえる。

「‥‥‥‥‥大好き」

 私は腕の中にいる二人を一層強く抱きしめた。
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