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小等部

帰ろう

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蘭夜らんや!無事か!」
 部屋に入ってきたのは青い顔をした悠真ゆうまだった。
「え!?悠真!?なんでここにいるの!?」
 私はちょうどベッドの上でゴロゴロマンガを見ていたので、驚きのあまりに飛び上がってしまった。
 悠真は私の姿を確認すると、すぐによってきて体をペタペタと触り始めた。
 あ、胸とかは触られてないよ?
「怪我は!?何もされなかったか!?」
 必死の表情で怪我を探す悠真は、私から見てとても面白かったりする。
「大丈夫だよ?ほら!怪我なんてひとつもない!」
 ひとまず悠真をなだめるために、何も心配ないと、腕を出したり足を出したりした。
 足を出した瞬間に、悠真がすごい勢いで青い顔を赤色に染めて、私の足を布団で隠した。
 そこ速度、正しく光のごとくってね。
「バカ野郎!男の前で何足出してんだ!!とういかお前は元々ーー」
 あ、これは長引くタイプの説教だ。
 前世の知識からして、悠真みたいなタイプは、説教を始めると本当に長くなるタイプだと思う。
 
ーーーーーーーーーーーー

「ーーだ!わかったか!?」
 説教が終わった頃には、もう何人か部屋に入ってきて、私が説教されているのを、とても暖かい目で眺めている見物人達がいた。
「‥‥悠真ぁー」
「なんだ」
 悠真は気づいていないようなので、私は悠真の後ろを指さして、今の状況を教えてあげる。
「‥‥な、な」
 悠真は見事に固まって、そのままカチコチと動いて、ベッドから降りて、何事も無かったかのように無心になった。
「‥‥悠真。もう手遅れ」
「っ!言うなぁ!!」
 悠真は頭を抱えて床の上で悶絶してしまった。
 私はそれを哀れむ目で見てから、見物人達の中で、1番歳を食っていそうな白い髪で、とても優しそうな老人に、目だけで『あなた方の事の、説明プリーズ』と言ってみた。
 するとその老人は頷いて、私に説明してくれた。
「私達は、水永みずなが家に使える者です。大友おおとも様。助けに来るのが遅れてしまい、誠に申し訳ありませんでした」
 そう言って、全員揃って頭を下げてきた黒スーツの皆様方。
 小学生に向かって、頭を下げている大勢の黒スーツの図。
 ‥‥なかなかシュールだな。
「あ、えっと、捕まっているあいだ、それほど苦でもなかったし、逆に快適だったというか、羽根伸ばしができたというか‥‥」
「!‥‥なるほど‥‥ふぉふぉふぉ」
 老人は驚いたような表情を見せた後、笑いだしてしまった。
 私は悠真の様子を横目で見てみると、まだ悶絶していた。
「‥‥悠真?」
「なんだよ」
 一応悠真から返事は帰ってきた。
「‥‥帰ろっか?」
「‥‥‥‥‥‥ああ」
 私が差し出した手に、悠真は手を伸ばしてくれた。
「‥‥ほぅ」
 さっきの老人が小さくそう呟いたが、私は気にしないことにした。
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