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小等部

修学旅行でも落ち着けない〜一日目〜

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 修学旅行当日。飛行機内。

 修学旅行は、4泊5日。その全てが北海道での観光だ。
 私は昨日の夜は楽しみすぎて眠れなかったので、飛行機が飛んでいるあいだに寝ようと思っている。
 ‥‥そう。私は思っていたのだ!

「おい。あいつらどうにかしたらどうだ?」
 やっと寝れそうになってきた時に、悠真ゆうまが後ろを指さしながら話しかけてきた。
 悠真君♪知っているかい?人ってね?安眠している時に起こされる時が1番ムカつくんだよ!!
「‥‥分かってるよ‥だけど、それが難しの」
 眠たすぎて強い口調にできない口を、できるだけ強く言えるように頑張って、悠真に返答する。
 悠真が指さした場所には、弘輝こうき真士まなと心音ここねがいる。
 あの3人は、あの後同じ班になった。
 理由を弘輝に聞くと、『あいつらが抜け駆けしないように、見張るためだ!』って、言っていた。
 ‥‥‥心音を見張る必要はないと思うのだが、あえてそれは言わない。
 だって、多分弘輝は心音が好きなのだ!だから、しゅん先生に近づかないように、見張るつもりなのだろう。
 ‥‥正直引きました。立派なストーカーだと思う。
 好きな人のためにそこまでする?人によってはすると思うけど、大切な幼馴染がそうだと、知ったときの私の心を想像してみて!
 ええ、ええ!その夜、怖くて震えていましたよ!
 まぁ、それは置いといて。
 弘輝達は、同じ班になったはいいものの、口喧嘩ばっかりしている。主に弘輝と真士がだけどね。

 結果!
 飛行機内で寝られずに、そのまま北海道に付いた。

 ふざけんな!このままじゃ、『楽しい修学旅行』が『地獄の修学旅行』に変わるよ!
 ダメだ。それだけは阻止しないと!
 私は飛行機を降りてからもなにか言い争っている2人の元に足を向けた。
 2人は私に気づいたのか、言い争いをやめて、こちらを見る。
「「蘭夜らんや!こいつに何か言ってやってくれ!!はぁ!?真似すんな!!」」
 ‥‥あんた達って、本当は似たもの同士だよね。あと、『何か言ってやってくれ!!』って、具体的に何言えばいいかわかんないよ。
 そんなツッコミは置いといて、私は弘輝達の元へ来た、本来の目的の言葉を言う。
「弘輝に真士君?うるさいよ?この後の修学旅行中、私の前でまた言い争ってたら、これから一生!‥‥2人と口も聞かないからね!?」
 私は、2人の前に仁王立ちして、腰に手をやって、最後はそっぽを向いて、怒ってる風に強ねめに言葉をはっした。
 すぐに静かになったため、内心やり過ぎたか?っと思いながら、2人の様子を横目に見てみる。
 すると‥‥‥
「「‥‥‥」」
 見事に口を閉じており、弘輝は少し涙目になりながら、 口を自分の手で抑えていた。真士は、一言も発するものかと、唇を噛んでまで、我慢している。
 ‥‥‥本当にやり過ぎちゃった?てへ☆
 ‥‥コホン。ま、まー静かになったからよしとしようかな‥‥?
「‥‥唇かまなくていいし、喧嘩しなければいいのよ?じゃ、私は班に戻るね?」
 嫌なことをずっとためているのは、体に悪い。
 私は『私の前で』の所を強調して言った。
 2人は無言のまま頷き、目だけで喧嘩している。
 ‥‥ま、いっか。うるさくないし。

「‥‥静かになったな。さすが《 使》って、ところか?」
「ちょっと待って、今すごい単語が聞こえた気がしたのは、気のせい?悠真くん」
 今、私の耳には《使》と聞こえた。もう一度言おう。《使》と聞こえた!!
「ん?知らないのか?お前は影で《猛獣使い》と呼ばれているんだぞ?」
 え!?マジですか!そんなの知らないよ!?てか誰だよそんな二つ名私につけたのわ!
 私の驚きを読み取ったのか、悠真は丁寧に説明してくれた。
「弘輝?とか言うやつが、ライオンだろ?で、真士とかいうやつが、チーター。心音とかいうやつが‥‥うさぎ?だったかな」
 ‥‥なんだそれ。弘輝はライオンっていうか、番犬では?あと、真士はチャラ犬だよ。心音は‥‥間違ってはいないかな?
 まあ、それは置いといて‥‥

「なんで猛獣使いなのよ!!」

 私は移動用のバスに乗車した瞬間に叫んだ。
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