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予測不能の開戦
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writerSは対魔機機動部隊の事件を重く見て、防衛省と手を組み大規模な殲滅隊を編成した。そして今回戦うのは主に機械であるため科学陣営にも手を借りて殲滅に望むつもりだった。
「一条さん」
編成に組み込まれていた一条に声をかけてきたのは紗希だった。
「お前はあのときの…いや、それより用件があるんだな。大体の予想はついているが」
そして、一条の予想通りの用件が紗希から伝えられた。
「あなたは私たちと共に行動してください。」
「今回の作戦は、大規模な編成ではあるが俺達はほぼ単独で行動する。そこで、紗希を中心に立ち回り各個撃破が目的だ。」
writerSの方針として、複数の相手を同時に受け持つのではなく、紗希のアンダーワールドを利用し一体を、結界内に閉じ込めることで一体を撃破するのにかかる時間を極限まで縮めかつ確実に仕留めることを目的とした作戦である。さらにもし強敵に遭遇した場合他の隊に危害が及ばないようにする配慮でもあった。主力として紗希、大柴、羽鳥、池宮、そして一条が存在し、サポートに倉野、相川、切り札として背水の陣を有する沖田という役割のもと撃破につとめる。紗希は主力として配置はされているが極力温存を心がけ結界の維持に専念するといった感じだ。
「大きく出るのか…」
修は、確認できたwriterSなどの動向をまとめた資料に目を向け呟いた。
「意外そうな声を出してるけど読めてたんだろ?その為のアレじゃないか。むしろ一網打尽で好都合だと思ってるじゃないか?」
しかし、その予想とは裏腹に修の表情は若干険しい様子がうかがわれた。修はある女を警戒していたのだ。大規模作戦に参加していないどころか姿を隠し、恐らく一人で行動しているだろう人物。イリス・アーヴィングだ。この女を危険視するのには2つの理由があった。まずひとつとして、現代の知識ではない知識を確実に持ち得ているということ。いわゆる古代魔術を使える可能性があるということだ。魔法の歴史において、近代で1度滅びた後の現代魔法よりもはるかに強力なのが古代魔術である。本来、古代魔術は、その強力さゆえ非常に扱うことが困難で、効率化された現代魔法と比べると到底実用するには難しいじゃじゃ馬状態である。しかし、修は調査からイリス・アーヴィングにはそれを現代魔法と同じ効率で高性能な魔法を使用できることを確信していたのだ。さらに、危険視している理由がもうひとつ。修には彼女の思考を予測することができていないからだ。彼女は、修からすれば神出鬼没の厄介ものなのだ。どのタイミングでどこに現れるかを予測することが出来れば対策の講じようもあるが、修はイリス・アーヴィングに対してそれが出来ないのである。
「まあ、魔術師サイドは任せるわ。使いたい放題の駒がいる俺が科学サイドを片付けておく」
またこうして修たちも準備を整えていくのであった。
そして各々が準備を整えていくなか着々と衝突の日が近付いてきた。writerSは、遂に修がいる本拠地を判明させ攻め込む準備を整え、またそれに気づいている修たちも迎え撃つ為の準備を整えていた。しかし、この戦いは意外な形で始まりを迎えることとなる。
「グヴォォォォ」
町中に獣の雄叫びが鳴り響く。その雄叫びを合図に暗雲が町を覆った。
「なんだあの雲は…」
一条は驚きのあまりそれ以上の言葉がでなかった。当然それが自然に発生したものではなく魔力によって引き起こされた現象であることはその現象を目にした誰もが感じていたことだろう。しかし、それはあまりにも異様であったのだ。なぜならその暗雲が魔力そのものだったからだ。そして数秒後それは消え空がピンク色に光始めた。その光はあまりにも大きなものでそれが何か判明した頃には事は起こっていた。
「これは冗談だよな。」
修は、よろめきながら状況を確認する。目の前に広がっていたはずの建物近くに並べていた機材はすべて消えそこに戦力と呼べる者のみが残っていた。そう先ほどの光は巨大な魔法陣であり、関係しているものだけを転移させたのだと考えられた。そしてその事実はさらに恐ろしいことを告げるのである。術者はこの件に関係している人物、そしてその者の位置を全て把握していることの証明になるのだ。無差別に転移をかけたのなら町ごと転移させてしまえばいいだけの話で、その方がいくらか簡単だ。だがこれをやってのけた人物がいる。修はすぐにピンときた。
「イリス・アーヴィング…」
「愉快じゃ愉快。喧嘩なら人様に迷惑をかけないようにするのが無関係の、人々への礼儀じゃからな。それが戦争規模になるならなおさらじゃ。それとお前が暴れてしまうとあの一帯を消し飛ばしかねないしな。」そういってイリスは黒い狼の頭を撫でた。
「一条さん」
編成に組み込まれていた一条に声をかけてきたのは紗希だった。
「お前はあのときの…いや、それより用件があるんだな。大体の予想はついているが」
そして、一条の予想通りの用件が紗希から伝えられた。
「あなたは私たちと共に行動してください。」
「今回の作戦は、大規模な編成ではあるが俺達はほぼ単独で行動する。そこで、紗希を中心に立ち回り各個撃破が目的だ。」
writerSの方針として、複数の相手を同時に受け持つのではなく、紗希のアンダーワールドを利用し一体を、結界内に閉じ込めることで一体を撃破するのにかかる時間を極限まで縮めかつ確実に仕留めることを目的とした作戦である。さらにもし強敵に遭遇した場合他の隊に危害が及ばないようにする配慮でもあった。主力として紗希、大柴、羽鳥、池宮、そして一条が存在し、サポートに倉野、相川、切り札として背水の陣を有する沖田という役割のもと撃破につとめる。紗希は主力として配置はされているが極力温存を心がけ結界の維持に専念するといった感じだ。
「大きく出るのか…」
修は、確認できたwriterSなどの動向をまとめた資料に目を向け呟いた。
「意外そうな声を出してるけど読めてたんだろ?その為のアレじゃないか。むしろ一網打尽で好都合だと思ってるじゃないか?」
しかし、その予想とは裏腹に修の表情は若干険しい様子がうかがわれた。修はある女を警戒していたのだ。大規模作戦に参加していないどころか姿を隠し、恐らく一人で行動しているだろう人物。イリス・アーヴィングだ。この女を危険視するのには2つの理由があった。まずひとつとして、現代の知識ではない知識を確実に持ち得ているということ。いわゆる古代魔術を使える可能性があるということだ。魔法の歴史において、近代で1度滅びた後の現代魔法よりもはるかに強力なのが古代魔術である。本来、古代魔術は、その強力さゆえ非常に扱うことが困難で、効率化された現代魔法と比べると到底実用するには難しいじゃじゃ馬状態である。しかし、修は調査からイリス・アーヴィングにはそれを現代魔法と同じ効率で高性能な魔法を使用できることを確信していたのだ。さらに、危険視している理由がもうひとつ。修には彼女の思考を予測することができていないからだ。彼女は、修からすれば神出鬼没の厄介ものなのだ。どのタイミングでどこに現れるかを予測することが出来れば対策の講じようもあるが、修はイリス・アーヴィングに対してそれが出来ないのである。
「まあ、魔術師サイドは任せるわ。使いたい放題の駒がいる俺が科学サイドを片付けておく」
またこうして修たちも準備を整えていくのであった。
そして各々が準備を整えていくなか着々と衝突の日が近付いてきた。writerSは、遂に修がいる本拠地を判明させ攻め込む準備を整え、またそれに気づいている修たちも迎え撃つ為の準備を整えていた。しかし、この戦いは意外な形で始まりを迎えることとなる。
「グヴォォォォ」
町中に獣の雄叫びが鳴り響く。その雄叫びを合図に暗雲が町を覆った。
「なんだあの雲は…」
一条は驚きのあまりそれ以上の言葉がでなかった。当然それが自然に発生したものではなく魔力によって引き起こされた現象であることはその現象を目にした誰もが感じていたことだろう。しかし、それはあまりにも異様であったのだ。なぜならその暗雲が魔力そのものだったからだ。そして数秒後それは消え空がピンク色に光始めた。その光はあまりにも大きなものでそれが何か判明した頃には事は起こっていた。
「これは冗談だよな。」
修は、よろめきながら状況を確認する。目の前に広がっていたはずの建物近くに並べていた機材はすべて消えそこに戦力と呼べる者のみが残っていた。そう先ほどの光は巨大な魔法陣であり、関係しているものだけを転移させたのだと考えられた。そしてその事実はさらに恐ろしいことを告げるのである。術者はこの件に関係している人物、そしてその者の位置を全て把握していることの証明になるのだ。無差別に転移をかけたのなら町ごと転移させてしまえばいいだけの話で、その方がいくらか簡単だ。だがこれをやってのけた人物がいる。修はすぐにピンときた。
「イリス・アーヴィング…」
「愉快じゃ愉快。喧嘩なら人様に迷惑をかけないようにするのが無関係の、人々への礼儀じゃからな。それが戦争規模になるならなおさらじゃ。それとお前が暴れてしまうとあの一帯を消し飛ばしかねないしな。」そういってイリスは黒い狼の頭を撫でた。
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