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影で動く者
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「やはりあそこには何かあったのか」
路地裏で一人呟くのは修だった。
「ホームズの手を借りると面倒だからな時間はかかるが仕方ない。」
「ボス報告書まとめておきました。」
羽鳥が、整理した書類を相川の元に届けに来た。
「何か変わったことはあったか?」
「いいえ何も。組織そのものが解体されたのではないかと思う程に音沙汰がありません。先日の派手な攻撃からしてあれが最終目的だったとかはあり得ませんかね。」
「それはないな、あいつは絶対にまだ何かを隠している。些細な情報も見逃さないでくれ。」
「そうじゃな、あやつがあれで終わるとはワシも思えん。お主と同意見じゃ」
二人の間に突如少女が現れた。二人は、その少女が放つあまりにも膨大な魔力に少女に刃を向けた。
「そう、怯えるな。少なくともワシはお主らと敵対するつもりはない。ただワシの邪魔をするなら塵にしてやらんこともないが…」
少女の言葉に二人は背筋が凍るような思いをした。
「まあ、どうせお主らには手も足も出ぬ案件であろう。それとは別に今日はある用事があって来たのじゃ。玉木紗希という女はいるか?」
「うちの仲間に何をしに来た。」
「そんなに睨まんどくれ。さすがのワシも怖いわい。ただ、お主らが彼女をなめとるようじゃから彼女を元に戻しに来たのじゃ。ホントに仲間思いなのは良いが、仲間なら信じてやることも必要だというのにどこの過保護じゃ。」
そういって少女は、紗希の元へと部屋を出ていった。そして、その瞬間に羽鳥はその少女が何をするかが分かり必死に止めさせようと説得した。
「お願いです。あなたが何者かは分かりません、気にさわったのなら私をどのようにしてもいい。けど、それだけは…」
「じゃから過保護じゃといっとるじゃろうが。そんなに柔な女ではない。お主らは人の事を思うという本質を理解しとらん。結局お主らのは自分の為ではないか。傷つけたくないのではなく、傷ついているのを見たくないだけなのだろう?そんなやつが行動で誰かを救おうとする資格などない。しかしまあ、勘違いはしないでくれよ。ワシにだってお主らの考えが理解できんわけではない。ただ、今回に限ってはそれはただの足かせでしかないということじゃ。」
と言って少女は手にした杖で紗希の頭を軽く叩いた。すると紗希は気を失い机に伏せてしまった。
「しばらく安静にすれば数時間で起きてくるじゃろ」
その言葉を残して少女は姿を消した。
「さて、とりあえずすべきことはこれで全部じゃろ。あとは気になることはあるが最悪には至らんだろ。」
「やっと監視が外れたか。興味をもって近づき過ぎるのも良くないな。探偵ごっこは終わりだ。」
煌輔は、一条と優衣で夜の街を歩いていた。それは、殺される前に蒼太を見かけた最後の場所であった。ファミレスの近くへ来たところで2手に別れて探索しようとなった。一条は近くの山に、優衣と煌輔はファミレスの付近をそれぞれ手がかりが何かを探していた。もしかしたらそこに蒼太からのメッセージがあるのではないかと信じたかったのだ。さらにそこが蒼太が派手なアクションを起こした場所でもあった為その可能性は僅かながらにも存在したのだ。
「ちょっとあの日何か変なこと無かったか店員に聞いてくる。」
と優衣はファミレスの中に入っていった。
「君は?」
外で待っている煌輔に声をかけたのは修だった。
「あなたは蒼太のいたwriterSの…」
「そうそう。一応僕達も君たちと同じ目的って所かな。専門的な情報とかないだろうからこれをあげるよ。」
「ありがとうございます!でも俺たちからは何にも…」
「いやいや、気にしなくて良いって。こういうのは気持ちが強いやつにしか解決出来ない。writerSの皆も蒼太の生存を信じてはいるだろうけど、やっぱりあんな光景を見せられたらそっちの方が気になっちゃうから」
修と別れファミレスの中を覗くとまだ何か話しているようだったのでしばらく外で待つことを決めた時、煌輔の背後に凄まじい魔力が現れるのを感じた。
「やあ、どうもお久しぶり。元気かな?いや、まあどっちでもいいんだけどね。君にはここでリタイアしてもらうから。」
「お前は」
「そんなに睨まんでくれよ。それと私の名前は加古直紀だ。それと蒼太のことで私には非はないということだけ理解してほしい。」
煌輔は、刃を向けるか悩んだ。勝てる相手では無いのは承知の上だったからだ。では、近くにいる一条を呼ぶか?しかしそれでも足りないだろう。最終的に逃走を選んだ。優衣からも遠ざけることが出来るし、生存の確率が一番高いからだ。
「煌輔~。一応聞いてきたけど目撃情報だけでその他はなかったよ。ん?煌輔?どこ?」
優衣はその付近をふらふらと探した。煌輔の事だから何かに気づいて飛んで行ってしまったのだろうと思ったのだ。
「何この匂い。血?」
優衣はそれを見た瞬間泣き叫んだ。優衣が見た血の泉には赤く染まった書類と煌輔の死体があった。叫び声を聞いて来た一条もただそれから顔を背けるだけだった。
路地裏で一人呟くのは修だった。
「ホームズの手を借りると面倒だからな時間はかかるが仕方ない。」
「ボス報告書まとめておきました。」
羽鳥が、整理した書類を相川の元に届けに来た。
「何か変わったことはあったか?」
「いいえ何も。組織そのものが解体されたのではないかと思う程に音沙汰がありません。先日の派手な攻撃からしてあれが最終目的だったとかはあり得ませんかね。」
「それはないな、あいつは絶対にまだ何かを隠している。些細な情報も見逃さないでくれ。」
「そうじゃな、あやつがあれで終わるとはワシも思えん。お主と同意見じゃ」
二人の間に突如少女が現れた。二人は、その少女が放つあまりにも膨大な魔力に少女に刃を向けた。
「そう、怯えるな。少なくともワシはお主らと敵対するつもりはない。ただワシの邪魔をするなら塵にしてやらんこともないが…」
少女の言葉に二人は背筋が凍るような思いをした。
「まあ、どうせお主らには手も足も出ぬ案件であろう。それとは別に今日はある用事があって来たのじゃ。玉木紗希という女はいるか?」
「うちの仲間に何をしに来た。」
「そんなに睨まんどくれ。さすがのワシも怖いわい。ただ、お主らが彼女をなめとるようじゃから彼女を元に戻しに来たのじゃ。ホントに仲間思いなのは良いが、仲間なら信じてやることも必要だというのにどこの過保護じゃ。」
そういって少女は、紗希の元へと部屋を出ていった。そして、その瞬間に羽鳥はその少女が何をするかが分かり必死に止めさせようと説得した。
「お願いです。あなたが何者かは分かりません、気にさわったのなら私をどのようにしてもいい。けど、それだけは…」
「じゃから過保護じゃといっとるじゃろうが。そんなに柔な女ではない。お主らは人の事を思うという本質を理解しとらん。結局お主らのは自分の為ではないか。傷つけたくないのではなく、傷ついているのを見たくないだけなのだろう?そんなやつが行動で誰かを救おうとする資格などない。しかしまあ、勘違いはしないでくれよ。ワシにだってお主らの考えが理解できんわけではない。ただ、今回に限ってはそれはただの足かせでしかないということじゃ。」
と言って少女は手にした杖で紗希の頭を軽く叩いた。すると紗希は気を失い机に伏せてしまった。
「しばらく安静にすれば数時間で起きてくるじゃろ」
その言葉を残して少女は姿を消した。
「さて、とりあえずすべきことはこれで全部じゃろ。あとは気になることはあるが最悪には至らんだろ。」
「やっと監視が外れたか。興味をもって近づき過ぎるのも良くないな。探偵ごっこは終わりだ。」
煌輔は、一条と優衣で夜の街を歩いていた。それは、殺される前に蒼太を見かけた最後の場所であった。ファミレスの近くへ来たところで2手に別れて探索しようとなった。一条は近くの山に、優衣と煌輔はファミレスの付近をそれぞれ手がかりが何かを探していた。もしかしたらそこに蒼太からのメッセージがあるのではないかと信じたかったのだ。さらにそこが蒼太が派手なアクションを起こした場所でもあった為その可能性は僅かながらにも存在したのだ。
「ちょっとあの日何か変なこと無かったか店員に聞いてくる。」
と優衣はファミレスの中に入っていった。
「君は?」
外で待っている煌輔に声をかけたのは修だった。
「あなたは蒼太のいたwriterSの…」
「そうそう。一応僕達も君たちと同じ目的って所かな。専門的な情報とかないだろうからこれをあげるよ。」
「ありがとうございます!でも俺たちからは何にも…」
「いやいや、気にしなくて良いって。こういうのは気持ちが強いやつにしか解決出来ない。writerSの皆も蒼太の生存を信じてはいるだろうけど、やっぱりあんな光景を見せられたらそっちの方が気になっちゃうから」
修と別れファミレスの中を覗くとまだ何か話しているようだったのでしばらく外で待つことを決めた時、煌輔の背後に凄まじい魔力が現れるのを感じた。
「やあ、どうもお久しぶり。元気かな?いや、まあどっちでもいいんだけどね。君にはここでリタイアしてもらうから。」
「お前は」
「そんなに睨まんでくれよ。それと私の名前は加古直紀だ。それと蒼太のことで私には非はないということだけ理解してほしい。」
煌輔は、刃を向けるか悩んだ。勝てる相手では無いのは承知の上だったからだ。では、近くにいる一条を呼ぶか?しかしそれでも足りないだろう。最終的に逃走を選んだ。優衣からも遠ざけることが出来るし、生存の確率が一番高いからだ。
「煌輔~。一応聞いてきたけど目撃情報だけでその他はなかったよ。ん?煌輔?どこ?」
優衣はその付近をふらふらと探した。煌輔の事だから何かに気づいて飛んで行ってしまったのだろうと思ったのだ。
「何この匂い。血?」
優衣はそれを見た瞬間泣き叫んだ。優衣が見た血の泉には赤く染まった書類と煌輔の死体があった。叫び声を聞いて来た一条もただそれから顔を背けるだけだった。
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