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脱獄計画

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 「迷惑をかけずに逃走となると、全滅させるか。バレずに抜け出してヴィンスに一言言って先にクラウディオに帰るかだな。」
 「けど、あの扉の奥に数十人ぐらい気配がする。」
 動物的にレイラは感じ取ったらしい。それほど重要であると思われているということだ。だとしたら騙し討ちが有効な手段だろう。十人を相手にすることなどこの3人にとって分けないが万が一一人でも取り逃がし、外に獅凰たちが逃げたという情報が漏れてしまったとき確実に不利な状況になるのは間違いない。それを避けるために確実に独りづつ消していく必要があるのだ。しかし、それにも方法には気をつけなければならない。少しでも誤ってしまえば、自分たちの危険ではすまない可能性もあるからだ。
 「私の魔法で幻術を見せるというのはどうでしょうか。効果はそれほど長くはないですが、二人なら数秒もあれば倒せると思うのです。」
 二人はそれでいくことに賛成した。
 シフェリの準備が出来たので早速作戦に移ることにした。
 ガタガタ………ガシャン…ガシャン
 「ん?おい、何か暴れてないか?」
 「どうせ出られっこないですって。」
 「いや、でももし逃げられでもしたら、俺たちの命なんてあったものじゃないぞ。あのお方ならそういった判断もしかねない。」
 見張りの人々は黙り混んでしまった。
 「お、おい誰か中で見張りをつけた方がいいんじゃないか?ほ、ほら念のため念のため…な?」
 「ならお前が行けよ。」
 そう言われてしぶしぶ、扉を開けて牢屋がある部屋へと足を踏み入れた。
 するとそこには必死に牢屋をぶち壊そうとする獅凰たちの姿があった。そして、その鉄格子は今にも破壊されそうな状況にあった。男は驚いて助けを呼んだ。
 「お、おい、たすけてくれ!こいつら脱獄するきだ。死ぬ気で捕まえろ!」
 その男の掛け声と同時に多くの男たちが扉から入ってきた。
 ドス…ゴス…
 「ふー、これで終わりか。しかし、よく騙せるもんだな。数秒の幻術で勘違いして助けを呼ぶとか必死過ぎだろ。」
 「まあ、この程度の強さなら助けも呼びたくなるよ。」
 「一応、今回活躍したの私なのですからね。誉めるといいのです。」
 獅凰達は、始めに音を立てた段階で牢の外に出ていたのだ。それも、獅凰の能力あってのもの。獅凰の能力の前であらゆるものは耐久力の意味をなさない。鉄格子を曲げて人が通れるようにするくらいわけないのだ。そして、その段階で準備していたシフェリが今まさに鉄格子を壊そうとしているように偽装し、一人目の人間が助けを呼ぶように誘導したのである。結果は、思惑通り。全て獅凰達が予想した通りに事が運んだのだ。そして、その後異変に気がついた者が確認しに扉を開いたところを倒した。それが数人ほど続いた時獅凰達は動き出した。
 「そろそろ人数的に大丈夫だろう。もう10人以上気絶してる。23人残っていたところで大したことはないだろ。」
 「それくらいならレイラだけで十分。」
 レイラは親指を立てて獅凰に合図する。
 そして、扉を開けて外に出た。
 
 はずだった。獅凰達は気がつくと牢屋の中にいるのである。獅凰達は、目の前で起きていることにも関わらず理解が及ばなかった。そして、やっとの事で声を発した。
 「俺たち逃げた…よな。」
 獅凰は恐る恐る、二人に聞いたが、二人とも首を縦に振った。
 「おう?お前ら目が覚めたのか。」
 そして、目の前にはさっきまでいなかったはずの男が面と向かって座っている。獅凰は、ある程度状況を理解した。こいつの何かによって再び捉えられてしまったのだと。
 「何をした。」
 「特に何もただ面白いものは見せてもらったかな。自分の策がうまくいって外から出るまで気付かないなんて。」
 「シフェリ、幻術を掛け合ったらどうなる?」
 「能力が高い方か、早く仕掛けた方の効果が発動するのです。例外もあるのですが、それは魔術反射という極めて高価な使いきりのマジックアイテムを使用しなければならないのです。」
 幻術を掛けられていたことがここで判明した。目の前にいる男はその何らかの方法で獅凰たちに幻術をかけたのだ。
 「いやーたまたまこんなものを持っていて助かったよ。それにしても作戦失敗おめでとう。これで晴れて脱獄失敗というわけだ。」
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