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故郷

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 「そんな………」
 レイラはさっきまで嫌がっていた様子とは変わって、深くかぶっていたフードを外し、絶望したような顔で辺りを見渡した。
 レイラがフードを脱いでから数秒後元気な子どもの声が聞こえてきた。その声の方を向いたレイラは涙を溢しながら笑顔を見せた。レイラが向いた方向を向くと元気いっぱいに走ってくる子どもの姿が見えた。その子供達は、レイラの名前を声に出しながらレイラを目掛けて一目散に飛び付いた。その子供達をレイラは優しく抱きしめた。
 「その子ら知ってるのか?」
 「あーえーっとちょっとね」
 レイラからは曖昧な返事が返ってきた。その頃、無数の足音がこちらに向かってくるのに気がついた。獅凰はそれに対応出来るようにいつでも動ける体制をとった。が、それは、杞憂であった。その足音というもの、本来ここにいるはずの村人たちだったからだ。レイラは、人が増えれば増えるほど、顔を赤くし照れていった。それと安心したのだろうか人間の姿から竜の姿へと変えてしまった。獅凰はこのときすべてがダメになったと思った。一番、見られてはいけないものを見せてしまった。これで戦局は不利になるどころか、勝つことが不可能になったと感じた。そんななかシフェリは竜になったレイラもいいと言い出しその姿のレイラに抱きついた。獅凰は、村人もこんなんだったらいいのにと感じながら村を離れようとした。しかし、獅凰のなかで頭によぎる何かがあった。あのやたらと目立っていた石像が頭に浮かんできた。そしてその像こそが今目の前に現れている竜の姿をしたレイラにそっくりだったのだ。驚いて振り返ると、村人たちは竜の姿のレイラを恐れずシフェリと同じように近づいていった。
 「また大きくなったねぇ」
 「レイラちゃん町の人に嫌なこと言われなかった?寂しくなったら今みたいに戻ってきていいからね。」
 おそらく主婦であろう方々は、レイラに優しい言葉をかけ、
 「ねえねぇレイラ姉ちゃんまた背中に乗せてー」
 「レイラ姉ちゃん今日ここに泊まる?」
 子供達は、レイラがやって来たことに興奮してとても喜んでいた。その光景は、実にほほえましかった。シフェリが荒い吐息で別の興奮をしていること以外………
 獅凰たちは、事情を話ししばらくここに居させてもらうようにさせてもらった。そのなかで獅凰は、ある契約を村長と結んだ。獅凰は、事情を話したときに村の現状を細かく聞いていた。すると、レイラが居なくなってからモンスターの襲撃が多くなったという。今まではレイラが抑制していたものをレイラが居なくなったことで一気に弾け出してきたのだろう。それを聞いて、獅凰はこう切り出した。
 「よろしければ、村の警備を僕たちに任せてもらえないでしょうか。」
 「それは、誠に嬉しいのですが、今も、見たいただいて分かるように経済的に警備を雇うことができないのです。」
 「いえいえ、報酬など要りませんよ。強いて言えば、宣伝ですかね。僕らの事を素直に話してくれれば報酬なんて要りません。」
 獅凰は、レイラの村生活していた村からお金を受けとることに少し嫌だと思っていたが、宣伝をしてくれるなら今はお金を貰うより嬉しいと思った。
 「それは、いいのですが我々も何かしなくては………」
 「だったらこうしましょう。僕たちは村の復興と警備をします。その間だけ衣食住の管理をお願いできないでしょうか。」
 「わかりました。あなた方がそれでいいというなら、こちらもそうしましょう。私たちの男手が必要でしたら好きに使ってください。あなたの指示も聞いてもらうようにいっておきます。」
 「ありがとうございます。では、早速辺りを回ってきます。」
 
 獅凰は、村の回りを見回った。今村人は洞窟に隠れすんでいるそうなのでとりあえずはその付近を回った。獅凰は、歩き回りながら様々な事を考えていた。警備、復興、さらにアフターケアまで。警備に関しては、土地を理解しその土地にあったものを。村の復興には、そこらじゅうにある材料のなかでどれが最適か。アフターケアは、獅凰達がここを離れても自衛できるだけのシステムを作り上げること。それらを獅凰は、歩きながら頭のなかで構築していった。その後ろにある1人の女の子とその女の子を追いかけるシフェリの姿には気づかないほどに集中して。
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